2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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梅田優祐氏(以下、梅田):よろしくお願いいたします。マネタイズイノベーションでは、われわれもNewsPicksをやるにあたって、ひとつのチャレンジだと思っている永続的なビジネスモデルの構築をテーマにしてお話ししたいと思います。
このテーマをお話しするにあたって、博報堂ケトルの嶋さん、コンデナスト・ジャパンの北田さんにお越しいただいておりますので、皆さん拍手をお願いいたします。
(会場拍手)
本日お二方にこのテーマでお話ししたいと思ったのは、お二方は編集者の側面もあれば、クリエーターの側面もあり、広告にも精通され、なおかつ会社の社長として経営もされている。
そういった様々な側面をもたれておりまして、より多面的にこのマネタイズのお話が聞けるんじゃないかと思いお願いさせていただきました。まず簡単に、皆さんに自己紹介をしていただいてもよろしいでしょうか?
嶋浩一郎氏(以下、嶋):嶋浩一郎と申します。93年に博報堂という会社に入りまして、最初に配属さたのはPRの部門でした。そのあと2001年に朝日新聞さんに出稿したことがありまして、当時スターバックスで販売された「セブン」というタブロイド紙を作っていたんですけど、これは若者向けの新聞だったんですが途中で失敗しました。
博報堂に戻ってきて、今から9年前にクリエイティブブティックの博報堂ケトルというのを作りました。出版に関わることを結構やっていまして、本屋大賞を11年前に立ち上げてひとりで本屋大賞の実行委員会の理事もやっています。
雑誌の出版みたいなビジネスもさせていただいていたりとか、デジタルコンテンツも多数作っています。2年前に下北沢ブックスアンドビア(B&B)っていうビールが飲める本屋をオープンして、その経営者もやっていたりします。いろいろマルチタスカーなんですけれども、いろんなお話ができれば良いかなという風に思っております。よろしくお願いします。
北田淳氏(以下、北田):コンデナストの北田と申します。こういう機会をいただきありがとうございます。まず、コンデナストですけど業界の方はご存知いただけていると思うんですが、会社の名前は出していないのでメディアカンパニーとして日本では「VOGUE」であるとか、「GQ」を展開しています。
世界で27ヶ国以上に出ていますけれども、まだまだコンデナストの本社には色んなアセットがありまして、まだ日本にないような「コンデナスト・トラベラー」などいいタイトルがたくさんあります。まだ出していませんが、そのうち考えようかなと思っているところです。
私はこの会社でもう19年やっております。だいぶロイヤルで、うちの同僚からはロンゲスト・サバイバーってよばれているんですけれど、僕が代表になったのはちょうど5年前。
5年前に代表になったときに、うちのカンパニービジョンを変えました。今までの出版社をマルチメディアカンパニーとして成立させるということで、デジタル化を一気に進め会社のゴールを変えてしまいました。
5年経って、また次のフェーズにいこうとしているというのが、今の状態になります。この会社は3つ目でして、1番最初の会社は電通さんの関連会社の広告会社でアパレル関係のアカウンターをしていました。そのあとが中央公論社という会社で、もうなくなっちゃいましたけど、そこでGQというものが発刊されるときに移って営業だとかをしていました。
僕はエディターの経験はないんですけれども、基本的にコマーシャルサイド、ビジネスサイドの人間です。今日は逆に、いろいろ教えてもらおうかと思って参りました。よろしくお願いします。
梅田:では、まずひとつ目のテーマといたしまして、スマホというものがでてきていろんな競争のルールが変わっているというのがあると思います。
皆さんは紙の時代、ウェブの時代、スマホの時代と、非常に大きな環境の変化をメディアの立場や広告の立場で見られてきたと思うのですが、大きな環境の変化が皆様の視点からはどのように映っているのかというものを教えていただいてもよろしいでしょうか?
嶋:ネットニュースを中心とするネットのコンテンツというのは、Yahoo!がニュースをはじめてから、10数年経つと思うのですが、PCの時代はPVを換金するビジネスだったわけですよね。
たとえば、Yahoo!さんがニュースのプラットフォームを設けて、そこに大量のPVが集まるわけです。そこにニュースを作っている人たちはニュースをどんどん配信して、代わりにPVが戻ってきて、バナーを貼っておけばそれがチャリンチャリンと換金されるというビジネスモデルだったわけですよね。
そのモデルが変わってきた変化がふたつあると思っていて、1つはソーシャルメディアが2009年くらいに出現してきてYahooでニュースを見るんじゃなくて、ソーシャルメディアのタイムラインで初めてニュースを見てニュースサイトにいく人が増え始めたこと。
もう1つの最近の大きな変化は、スマホができてスマホでニュースを見る人がすごい増えて、ブラウザでニュースを見るんじゃなくてアプリでニュースを見るようになったと思うんですよ。
PVを換金するという手法は、たしかに頭が良い広告の売り方だなとは思うんですけど、結構いろんな弊害があったと思うんですよね。
たとえば、PVってどんなニュースのサイトでも1PVが等価でトレードされるので、新聞社さんがロンドンに特派員を送って一生懸命取材して書いた記事の1PVも、ネットニュース編集者がアイドルのブログ記事を見て「あ、すっぴん発見」って書いた記事も、同じ等価で売られていくみたいなことがあったわけじゃないですか。
で、PVさえ稼げばメディアの収入が増えるということになったので、釣りタイトルとか、有名なのは、「ノーバン始球式」とかいうと「ノーパン始球式」と空目した人がいっぱいクリックするんじゃないかみたいなことになったわけです。
嶋:本来メディアがそういうことをするべきなのかなというようなことを、「ノーバン始球式」はクリエイティビティがあって面白いから許すとしても、たとえばひとつのニュースを読むために、一記事を分断して5PV稼がせたりとか、写真を拡大させて1PV稼いだりとか、そういうPVが交換単位になったのでそういうことも起きたと思うんですよ。
PVの換金システムって、基本はバナーを貼っておいて、それを換金するというわけなんですけど、スマホになると画面が小っちゃくなるのでバナーが貼れなくなってくるんですね。
だから、PVが換金できなくなってきているんです。そこで、どうメディアがそれ以外の方法でマネタイズをするかというのが、ゲームチェンジのタイミングだなという風に思っています。
うちはPVを換金するよりはちゃんと課金をして、たとえば日経新聞さんとかがそうなんですけど記事を読むのにお金を払っていただくという、今後コンテンツに課金するという動きがさらに加速するんじゃないかなと思いますし、バナーじゃなくてネイティブアドになっていくという動きはひとつの大きい趨勢だろうなと思います。
梅田:ありがとうございます。ぜひ次のテーマで、具体的にスマホ時代になったらどのようにゲームチェンジするのかというお話を詳しく聞かせていただければと思います。
梅田:北田さんからも、メディアの立場でずっと見られてこられてのご感想を。
北田:僕らのメディアの観点からすると、スマホの登場はビジネスモデルのチェンジですよね、それを加速させたという意味で大きい変化だと思います。
先ほど冒頭、私がうちの会社のビジョンをマルチメディアカンパニーに置き換えた話をしましたけど、マルチメディアカンパニーって何だって言うとですね、マルチマネタイズが成立している状態を指すのでマルチマネタイズができていない会社をマルチメディアカンパニーと呼んじゃいけないんです。
僕らはブランドビジネスをやっているつもりでいるんですが、VOGUEでもGQでも、いままでのマガジンブランドだったものをマルチメディアブランドとして成立させていこうとしている。
プリントがあって、PCがあって、スマホがあって、ソーシャルがあって、まぁいろいろありますよね。そのなかでスマホの登場で、今のウチのウェブサイトでVOGUEだったら60パーセントを超える流入がスマホからきてるんですよね。
もうこれは逃れられないし、まだ始まりでしかなくてもっと増えると思うんです。あと会社というか、生業としてすごく思うのは、働き方をものすごく変えたと思うんですね。
僕らにとっては特にそれが大きくて、VOGUEにしてもGQにしても月刊ペースで仕事をしてたんです、今まで。で、ウェブサイトが登場しても雑誌のコンテンツ、電子コンテンツは今のペースで良いと思ってたんですね。
それは大きな間違いだったことに気がついて今方向転換していますけど、スマートフォンっていうのが出た限りは月刊やウィークリーに代えて、アワリーに仕事の仕方を変えないといけないので、うちの編集部、広告のセールス、マーケティング、全員仕事の仕方が変わりました。
梅田:それは大きいですね。1ヶ月単位の仕事が、ウィークリー、アワリーになってきたということですよね。今スマホでは、実際にコンデナストさんではマネタイズに関して具体的にチャレンジされていることはあるんですか?
北田:方針として大きく3つを考えていまして、ひとつは広告ですよね。スマホで広告は非常にマネタイズが難しい、単価が安いという風に言われますけど、それを脱却するようにいかにリッチにプレミアム感をつけるかということで、アドメニューのバラエティ化ということを進めています。
もうひとつは、コンテンツの力がすべてだと思うので、嶋さんもおっしゃっていましたけど有料課金モデルをいかに作り上げるかということを考えています。たとえば、「WIRED」は非常にスマホでも長い記事が読まれるという傾向があるんですね。
もしかしたら一部分を有料化できるかもしれないし、スージーっていう世界的に有名なファッションジャーナリストがVOGUEに移籍してきたんですけど、各国スージーの翻訳版を掲載するようになってるんですね。27カ国ありますけど、日本が1番稼いでいるそうです。コアなファンがいて、課金モデルでも成立するかもしれない。
3つ目としては、メディアの会社なので、僕らはスマホプレーヤーでもないしデジタルプレーヤーでもないので、プラットフォーム間のシナジーをいかに出すかを重要視しています。
プリントとスマホとか、イベントとスマホとか、マルチマネタイズのなかにエデュケーションビジネスも入っていますので、エデュケーションビジネスをしながらもしかしたらスマホでうちのやってる学校が教材になるかもしれない。その有料課金が成立するかもしれない。このような大きく3つを考えているんです。
梅田:ありがとうございます。
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