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新しい時代の「学校」の可能性(全5記事)

東大とホテル経営を両立する女子大生の“学びの姿勢” 「知識と実践、どちらが欠けてもいけない」

学校の先生たちが社会とつながる場を提供し、新しい視点を届けることを目的とした「先生の学校」が1周年イベントを開催しました。テーマは「Think Day~未来の私を考える日~」。セッション3で行われた「新しい時代の『学校』の可能性」では、東大に在学しながら北海道の「petit-hotel #MELON富良野」や京都の「HOTEL SHE, KYOTO」といったホテルを経営する龍崎翔子氏が登壇しました。龍崎氏が学業と経営の両立を目指す理由は? そこには今の若者が求める「学びのスタイル」がありました。

休学中にホテル経営をスタート

河田豊氏(以下、河田):まず最初に、龍崎さんにはご自身の口から自己紹介をしていただき、三原さんには自己紹介の代わりに、龍崎さんとどのように出会ったのか。なぜ今日、このテーマで龍崎さんをゲストに招いたのかをお話いただけますでしょうか。

まず、龍崎さん。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、今、ホテル経営をご自身でされていて、かつ東大生であるという現状なのですが、実際にどのようなことを行なっているのか、簡単にお話をお願いします。

龍崎翔子氏(以下、龍崎):はい。みなさま、初めまして。龍崎翔子と申します。教育関係のイベントに、私のような者を出させていただき、本当にありがとうございます。今日はよろしくお願いいたします。

私は今、先ほどのご紹介にありましたように、東京大学に在学しながらホテルを経営しております。

大学1年生が終わったときに休学しまして、小さい頃からの夢だったホテル経営がしたいと思い、北海道の富良野というところに飛びました。ご縁あって、そこにあった築30年くらいのペンションを引き継ぎ、リノベして、お客さまを迎え入れて……といったことをさせていただいているうちに、だんだん宿泊業についてわかってきました。そして「もうちょっと頑張れそうだな」といった状態にまでなりました。

地元が京都でしたので、京都でホテルをしたいと思い、その後は京都に戻って新しくホテルを作りました。そちらも、いろいろな方のお力添えのおかげでなんとかやらせていただいております。また、北海道の古き良き温泉街の温泉旅館を引き継いだり、今年9月には大阪の方に新しく「HOTEL SHE, OSAKA」というホテルを出させてもらったりしております。

河田:すごい。sli.do(会場から質問などを受け付けられるサービス)に書いてあります。「『HOTEL SHE, OSAKA』、行きました」と。

龍崎:ありがとうございます! どなたかな? (会場を見渡して)ああ! ありがとうございます!

河田:ああ、素晴らしい。

龍崎:ありがとうございます。本当に、こうした場に入れていただけて、すごく恐縮なのですが。

ちょっとでもみなさまのお役に立てるとしたら、親がどちらも教育関係の人なのです。父は研究系の人で、母は教育系の人なのですね。おじいちゃんや親戚一同、先生などをしている人が多く、わりとアカデミックというかエデュケーショナルな家系の人間であるということ。

また、私が21年間、ひたすら教育の消費者として生きてきている立場ですから、そうした消費する側の人間からの視点を伝えていければいいかなと思っております。また、アメリカに一瞬住んだことがありますので、そこでの教育の受け手側の比較として、お役に立てる話ができればいいなと考えております。

どうぞよろしくお願いいたします。

河田:よろしくお願いします。

三原:お願いします。

(会場拍手)

面白いことをやっている広報に会いに行く

河田:では三原さん、どのように出会ったかを。

三原:そうですね。私と龍崎さんの出会いなのですが。私は新卒から8年間、専門学校で教員をした後、不動産の広報やWebのプロモーション会社を経て、今の事業会社で広報という仕事をしています。

今勤めている会社の広報研修の一環として「広報の学びに繋がる面白いことをされている方に会いに行っていい」という機会をいただいたことがあり、近畿大学さんと翔子さんに会いに行ったのが出会いのきっかけになります。

もともと翔子さんのことを知ったのは、Web界隈で有名なしおたん(塩谷舞氏)さんが彼女を紹介されていらっしゃるのを拝見し会いたくて仕方がなくなってしまって。仕事を活かして会いにいったというのが最初の出会いですね。

9月1日に「HOTEL SHE, OSAKA」というホテルをオープンさせていますが、私が行ったときは「HOTEL SHE,KYOTO」という、京都駅から徒歩10分くらいのところにあるホテルまで会いにいきました。そこでいろいろとお話をしていく中で、先ほどにもあったように、お父さんやお母さんが教育者であることや、東大を続けながらホテルをやっているというところにすごく興味を持ちました。

そこでこの「先生の学校」に来ていただければ、先生たちと社会がつながる場になりそうだと思ったことから、今日このような場をセッティングさせていただきました。

河田:はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。

龍崎・三原:よろしくお願いします。

河田:もうすでにsli.doを書いていただいている方も多いと思いますが、さっき藤原(和博)先生からめちゃくちゃいい前振りがありました。このsli.doを今日は使いながらやっていきたいと思います。

質問だけではなく、感想のようなコメントも、ぜひ書き込んでください。自分の意見などのディスカッションをみんなでするようなかたちで進められたらと思いますので、ぜひガシガシ使っていただければと思います。よろしくお願いします。

ああ、さっそく質問をいただいていますね。このあたり、触れていけたらと思います。

経営をしながら大学へ通う=知識を実践を両立しながら学べる

河田:まず最初に、龍崎さんにお聞きしたいのですが。自己紹介にもあったように、経営をやりながらも、まだ学生として大学にも通っていらっしゃいますよね。普通は学校を辞めちゃうというパターンもあるのではないかと思うのですが。

龍崎:はい。

河田:なぜそこで辞めずに、大学にも行き続けているのかということについて、こだわりや理由がなにか……。

龍崎:そうですね。いくつか、自分が大学という空間に見出している価値があるからです。そのうちの1つは、学問を体系的に学べるということです。もちろん、自分でやっていれば、実践的・ゲリラ的な学びがあると思いますが、それらは少しずつ、いろんな回り道をしながらでないと得られない学びです。

それに対して、例えば(ピーター・)ドラッカーやマイケル・ポーターなどが書いた経営学の本があると思うのですが、そうしたある程度洗練されて体系化されたものは、それなりのカリキュラムの元で、きちんとした手順を踏まないと学べないと思うのですね。

どちらも異質なものであって、かつどちらも大切なものだと思います。いかにうまく知識と実践を両立しながら学んでいくことができるのかということが、自分の中の大きな課題としてあります。どちらかだけに絞ってしまうのは、学びを続けるという意味ではデメリットが大きいと感じていることが、大学を辞めない理由の1つです。

もう1つ理由があるとすれば、それは学校という空間がコミュニティとしての側面を強く持っているからです。この空間を、ほかの学内外の人と共有することができる。そこから得られるものが、やっぱりすごく大きいと思うことが、学生という身分を持ちながら活動している理由ですね。

河田豊氏(以下、河田):なるほど。ありがとうございます。

龍崎:はい。ありがとうございます。

河田:前半部分は、知識を自分にインプットをする上で、体系化されてまとまっている方がやっぱり効率がいいというところ、後半のコミュニティの話は大学ではなくとも、高校などでもそうですが、すごくあるなと思いました。

大学でのコミュニティ作りをホテルに応用する

河田:僕、龍崎さんのインタビュー記事を読ませていただいたのですが、「HOTEL SHE」というホテルを作るときに、コミュニティを1つのテーマとして仕掛けているようなところがあると思いました。

そのあたりの、ホテルでやっているコミュニティと学校での学びの場としてのコミュニティといったところで、ご自身の中でなにか関連性だったり、なにか思っていらっしゃることはありますか?

龍崎:そうですね。1つの共通点があるということは、コミュニティを作る上ですごく大事だと思っています。例えば大学の場合、同じ大学に通っているという共通点、同じ授業をとっている。または共通の知人がいるということが、すごく大きな要素になってくると思うのですね。

それがあってはじめて、その共通点を介して、その人についての興味があり、そこから先のその人と自分の異質なところを知りたいという気持ちが出てくると思うのです。

ホテルのコミュニティづくりの場合は、それをいかに応用するかということを考えています。お客さん同士や、あるいはスタッフとお客さんとの間にどのように共通点を見つけるか。その先の異質なところをどうやって引き出すかということがコミュニティづくりの上で大事だと思っています。

(sli.doの質問をみて)東大のコミュニティの魅力。うちの大学のコミュニティにおける魅力。そうですね、う~ん、いろいろあるのですが、すごく安直に言ってしまうと、やっぱり多様なんですよね。多様でありながら、スペシャリストが多いというところが、自分にとっての魅力だと思います。

河田:なるほど、なるほど。

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