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QREATOR INTERVIEW! by MEGUMI 「メルカリはなぜうまくいっているのか?」(全6記事)

メルカリ社長が明かす、採用したい人材像「リスクテイクできる人じゃないと向いてない」

女優業を行いながら、石川県金沢市で「cafe 多聞」をオープンするなど多方面で活躍するMEGUMI氏。そんな彼女がビジネス界のクリエイターにインタビューをする「QREATOR INTERVIEW! by MEGUMI」が行われました。第1回目のゲストは、メルカリ小泉文明氏。なぜメルカリはうまくいっているのか、MEGUMI氏がさまざまな角度から迫りました。本パートでは、メルカリ小泉氏が採用面接で必ず質問すること、さらに採用したい人材像を語りました。

ユーザーを迷わせないメルカリ

MEGUMI氏(以下、MEGUMI):こんなにメルカリが世の中に認知されて大人気ですよね。先ほどもおっしゃっていましたけれども、ほかにもいっぱい同じようなサービスを提供しているところがある中でのスタートでした。ほかと比べてどういった違いがメルカリさんにはあると思っていますか?

小泉文明氏(以下、小泉):本当にいくつか違いがあると思います。

立ち上げの頃の重要性でいうと、1つはプロダクトの完成度の高さがあると思うのですよ。使い勝手が悪いもの……例えばレストランで言うと味が悪い店です。こういうのはやっぱり長続きしないので、当たり前なのですが、使い勝手のいいサービスを作る。

そのときに、先ほど言った男性目線で作っちゃうと意外と「これぐらいみんな使うでしょ?」といった感じなのですが、けっこう使わないんですよ。

僕はいつも女子高生や女子大生が不自由なく使えるかどうかはすごく大事だと思っています。なるべく難しくせずに、そういう方々が使えるかどうか。いわゆる大衆層が本当に使えるかどうか。

もう1つは、それに対していいものを作ったら、やっぱりいいプロモーションをするというところだと思っています。

MEGUMI:確かにメルカリのサイトを見せていただきましたが、ものすごく簡単ですよね。もう本当に写メでパッと撮って、パッと入れて。

小泉:迷わせないというやつですね。社内のデータとしては、どこで行き詰まっているかはもう全部わかるんですよ。どこのボタンのクリックスルーが落ちるのかなど。

MEGUMI:そこまで徹底している。すごい。

細かいチューニングを徹底して行なっている

小泉:例えば出品する場合は上から入力画面がありますよね。どこで脱落したかなども全部わかるんですよ。そのあたりは、「ここで脱落したから、たぶんこうなんだろう」と仮説を出していく。

A/Bテストと言われているものですが、MEGUMIさんが見ているページと僕が見ているページが違っています。ユーザーごとによって違うページを出して、どちらのほうが通過率が高いか、完了率が高いかを見ながら、数字を見ながらチューニングしているのですね。

「これは、MEGUMIさんが見ているAパターンのほうが達成率が高い。だからAパターンで全体に公開しよう」など、そういった細かいチューニングをすごくしていますね。

MEGUMI:達成するまでのプロセスですよね。

小泉:プロセスの中でちょっとずつそういった改善をしていますね。

MEGUMI:でも、そういう意味では、確かにものすごく簡単でパッと売れてというのは気持ちがいいですよね。きっと使っている人も売る人も買う人も。ということをすごく思いましたが。

アメリカで2,500万ダウンロードを達成

今、スタッフの方は全員で何人ぐらいいらっしゃるのですか? 

小泉:今、日本が500人ぐらいで、アメリカ100人ぐらい、イギリスに30人ぐらいですかね。

MEGUMI:アメリカとイギリスもやっているのですか?

小泉:やっています。今、日本が5,500万ダウンロードで、アメリカが2,500万ダウンロードです。

MEGUMI:そんなに!?

小泉:イギリスはまだ始めたばかりなので、3ヶ月ぐらいですからまだ少ないですが。

MEGUMI:アメリカは、スタッフはアメリカ人ですか?

小泉:100名のアメリカ人に対して、日本人が10人ちょっとぐらいじゃないかな。

MEGUMI:すごく大変じゃないですか?

小泉:そうですね。まあアメリカはアメリカで日本とはまた違うマーケットですから。まだ日本ほどは成功していないのですが、アメリカへ参入したとき、僕らの競合は20社ぐらいいたのですが、もう今は本当に数社になってきたので。

欲しい人材は「メルカリをかなり使っている人」

MEGUMI:それだけの人をまとめるというか、同じ志に持っていくというのはものすごく難しいと思うんですね。まず日本の会社だけでいうと、社員の方たちへの触れ合いや教育などは、どうしているのですか?

小泉:そうですね。僕らはまず1つ大事にしているのが、採用の際にまずメルカリを使っているどうかというのは絶対に聞きますね。売り買いをやっぱりやっていない人……。しかも、ちょっとというよりはそれなりに。

MEGUMI:かなり使っている人。

小泉:ちゃんと使っていないと、まず箸にも棒にも引っかからないというのはありますね。先ほど言ったように、やはりプロダクト中心の会社なので。要は、MEGUMIさんがやっているカフェで「パンケーキ、私は好きじゃありません」と言ったら採らないじゃないですか(笑)。

MEGUMI:確かにね。確かに。

小泉:絶対に採用しないじゃないですか(笑)。

MEGUMI:そういうことかあ。

小泉:そういうことです(笑)。

MEGUMI:「粉もの、嫌いです」というような。

小泉:「ちょっと私、甘いものは……」なんて(笑)。

MEGUMI:(笑)。

小泉:カフェであればあまりないと思いますが、意外とWebサービスは、「使ってはいないけど、なんかこの会社は儲かりそうだ」「この会社なら伸びそう」「なんか良さそう」で来ちゃうんです。なので、まずは「このサービスが本当に好きですか?」といったものが1つですね。

「リスクテイクできるタイプかどうか」を見極める

小泉:もう1つ、僕らの会社は一応3つの価値観のようなものを定めていて、「バリュー」と呼んでいます。

その3つの価値観のうち、一番大事にしているのは「Go Bold」、大胆にやろうという意味です。要はリスクテイクしていこうという言葉なのですが、かなりGo Boldさのようなところは面接で確認しますね。

その3つのバリューに基づいた確認というか、ヒアリングをたくさんして「本当にこの人が僕らの会社で活躍することができそうかどうか」をかなり厳しく見ますね。

MEGUMI:でも、それって蓋を開けたら「なんだお前そうだったのか」みたいなことがありませんか? 私のお店は今20人ぐらいしかいませんが、そう思うことがいっぱいあるんです。そういうのはありません?

小泉:でも、少ないですね。

僕らが明確に言うのが、「あまりリスクテイクしたくない人は来ないほうがいい」と言っているのですよ。やっぱり、それに向いている職業があると思うのですよね。

でも僕らは先ほども言った、海外もやっていたり、日本でもまだまだ大きいことをやらないといけなかったりする。比較的危ない橋を渡ることもある。

「これをやらないと非連続な成長にいかないよね」というときに、そのリスクをとろうという判断ができる人じゃないと本当に欲しくないので、そのあたりはよく見ていますね。

MEGUMI:最初にじゃあいろんな質問をして、彼らの思っていることや本当に一緒にできるのかを見分けるといいますか。そういった力がものすごくあるんですね。きっとね。

小泉:それをいろんなメンバーが見て、みんなで「この人いいよね」となって初めて採るので、基本的に迷ったら採らないですね。

3ヶ月ごとに「チャレンジングなことをしましたか?」

MEGUMI:実際にそれで入った人には、部署というか、そういうものはもう「君はこれをやる人」「これをやる人」などとどんどん決めていくパターン?

小泉:一応3ヶ月単位で変えますね。

MEGUMI:えっ、そうなんですか?

小泉:3ヶ月単位でなにをやるかというのを明確に持たせた上で、そのタイミングで一応レビューというか評価をするんですよ。

その評価もさっきの3つのバリューに基づいて評価します。3つのバリューに紐付いた行動ができていないと、評価のときに「自分はこれやりました」とは言いにくいのですよね。

「じゃあMEGUMIさん、この3ヶ月にどんなGo Boldなこと、チャレンジングなことをしましたか?」がまず第1問目に質問される。それに答えられるぐらい自分が常に気を張っていないといけない。だって、意外とすぐに3ヶ月ぐらい終わっちゃうじゃないですか。

MEGUMI:そうですね。しかも自分の会社じゃないしね。

小泉:ですから、本当にそれをしつこく3ヶ月ごとにやるので、みんながどこかで必ずチャレンジをしている会社かもしれません。

MEGUMI:チャレンジをするということは、じゃあメルカリ内でなにか新しいことを「こういうことができます」「できるんじゃないか」という提案をしたり。

小泉:そう、提案などそうですね。

MEGUMI:そういうことということですよね。よかったら、それを採用して実際にやっていく。

小泉:はい。基本的には失敗してもいい。要は失敗よりチャレンジすることのほうが僕らの会社にとっては優先順位が高いことなので、基本失敗許容で、チャレンジしたことをまずは評価するという会社ですね。

MEGUMI:いいですね。すばらしい!

小泉:進められればいいじゃないですか。だから、ミスったときに、「あ、ミスった」と1歩進んだことだと思うのですよね。「こっちの道じゃなかった」というのは1つの前進だと思うので、そういった意味でどんどん進めていますね。

ベンチャーに向いているのは「失敗を忘れる人」

MEGUMI:メルカリね、今は大成功していますが、その前の仕事などできっと失敗もいっぱいなさっているということですよね。

小泉:はい。基本的には。あと僕らのようなスタートアップというかベンチャー向きなのは、失敗を忘れる人ですね(笑)。

MEGUMI:私もそうかも。そうですよね(笑)。

小泉:よく言われるのですが、失敗はけっこうしているんですけど、なんか忘れちゃうんですよね。

MEGUMI:でも、失敗しているから今があるというか、すべてがつながっている感じはとってもある。

小泉:そうですね。都合の悪いことは忘れたほうがやっぱりいいです(笑)。

MEGUMI:確かにね(笑)。でもそういう、今日来てくださっている方も、きっと社員の教育というか、その関わり方でものすごく悩んでいる人も多いと思うのですが。

「行動する」を恐れる人が大半

私は最近、なんだかキャラ的にものすごくいろんな人に相談されるわけですね。

小泉:すごくわかります。なんか頼りがいがありそう(笑)。

MEGUMI:すごいんですよ(笑)。でも、いろいろこうやって具体的に指示を出すわけですね。「こういうサイトを立ち上げて、こういうことをやったら?」などいろいろやるのですが、本当に実際やるのは、例えば10人の相談を聞いてそのうち0.5人ぐらい。

小泉:わかります、わかります。

MEGUMI:だから「世の中のシステムはこうなんだろうな」という。アイデアで「こんなものをやりたいんですよ。ハリウッド行ってどう」などと言うけど、「じゃあなにやっているの?」と言ったら、そのハリウッドに行けなかったらどうしようと悶々と悩んでなにもやらないような。

基本的に、実際に行動に移す人はものすごく少ないと思いません?

小泉:すごく少ないですね。行動が一番怖いのですよね。やっぱり変わることが怖い、人間は見えないものが基本的に怖い。

MEGUMI:ねえ。怖いですね。

小泉:やっぱりそれは大事で。

僕、どうして日本は挑戦者が少ないのかとか、ベンチャーが少ないのかというときに、単純に思っているのは、身の回りで成功者が増えるとどんどん勘違いする人たちが増えると思うんですよ。「あいつで成功するんだったら俺も成功するんじぇねえか」と。こういう社会が基本的にはいいかなと思っていまして。

MEGUMI:そうですよね。

小泉:ちょっとパッパラパーな感じなのですが、でも、そのぐらいじゃないとやっぱりいけないと思ってはいますね。

MEGUMI:そうですよね。だから、今の掲げていらっしゃる「チャレンジをしていく」というのは、実はみんな大変なのだろうなと思いましたね。聞いていて。

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