2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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ムーギー・キム氏(以下、ムーギー):ムーギー:いや本当にね、今、池原さんのお話をうかがって、あとみなさんの反応を見て私が思ったのは、「この人がメインでよかったんじゃないの?」みたいな(笑)。
今のお話で、まさしく私がこの本に書いてあること、本当に本質的にモチベーションの高め方というのは非常に同じだなと思いながら聞いていたんですけれども。
やっぱりね、先ほどありましたけれど、結局認められているとき、尊重されているときが、相手に魅力を感じるし、自分のモチベーションも上がるというのは、これはお国を問わず永遠の心理だなと思うんですよ。
世の中で「この人はカリスマティックだ」と言われたリーダーの方で、例えばレーガン大統領にしても、アメリカのクリントン大統領にしても、あとラリー・キング、CNNのアンカーマンの人ですごい有名な方でしたけれども、このへんの人たちは、なんで人を惹きつけて、みんなこの人たちのために働こうと思ったのかって、そういった調査があったんです。
そこで書いてあっておもしろかったのは、ビル・クリントンというのは、会うときに絶対に、「世の中で、自分がこの人にとって一番大切だ」と思わせるらしいですね。ボディランゲージにしても、どんなに忙しくてもその人を本当に重視して、「あなたのことを尊重してますよ」ということをやる。
すると、相手はファンになるわけですよね。「この人のためにがんばろう」と思うわけです。結局、あなたのためにがんばろうと思える人をどれだけ作れるのかっていうのが、やっぱりリーダーの基本だと思うわけですよね。
私のこの本の4章では、どうやったらいいリーダーになれるのかという章があるんですけど、その基本としてはやっぱり、1章、2章、3章というのは比較的どうやったら自分の生産性が高まるのか、仕事の能力が高まるのか、主体性が高まるのか、そういった自分の生産性をアップするための話になっている。
4章からは、どうやったらいいリーダーになれるのか、そのためには結局どうやったら周りの人が支えてくれるのか。支えてもらっている人たちの秘訣というのを調査して書いたのが4章なんですけれど、そのなかで一番重要なのが、私の前の尊敬しているボスもそうなんですが、2つあるわけですよね。1つは、部下のことをものすごく尊重してくれているのが伝わってくると。
会社のカルチャーもそうだったんですよね。実際、これも行動指針に書いてあるんです。「部下を部下と思わない」と。「この人は同僚で、上下なんかないんだ」と。
とくに優秀になれば優秀になるほど、みんな引っ張りだこなわけですよ。それを単にお金だけで釣っていると、いくらでもお金でほかのところに行っちゃうわけでしょ。
そんななか、信頼関係とか、「この人のためだったら働きたい」と思わせるような信頼関係があったら、それはひいては会社の生産性とか会社の競争力につながってくるし、これがリーダーシップにつながってくるということなんですけれども。
私が入ったその会社ですごかったのが、まずエレベータの中とかで絶対にボスが先に新入社員とか入れるわけですよね。ご飯とか食べに行くときも、秘書さんとかに会長がお酒を注ぐわけですよね。ものすごく丁寧に接する。
そういうのを見ると、やっぱりいろんな人が、この会社で私は大切にされているなと思うからモチベーションが高くて、「その人のためにがんばろう」っていうのをものすごく感じたわけですよね。これはいろんな会社で広めたい、モチベーション高めるためのカルチャーだなと思ったのが1つあります。
もう1つは、どうやって会社の部下をモチベートするのかというところで、マネージャークラスにはこういったルールがあるんです。「マネージャーのあなたの評価基準は、どれだけ部下をモチベートしているかですよ」と。そのなかの1つとして、「あなたの下で働くことによって部下がどれだけ得してますか?」と。「あなたの仕事は、あなたが教えることによって、部下がこの会社にいることには自分の自己実現ができてると思わせるかどうか、それが重要なんだ」と。
これは実はシンガポールの話なんですけれども、普通、政府系の金融機関っていうとみんな嫌なんですよね。「ビューロクラートの仕事も多くて、つまらないな。ボスも多いし」と言うんだけれども、彼女はものすごいハッピーで。
「なんでそんなにハッピーなの?」っていう話をした時に、「いや、うちのマネージャー以上の評価制度のところに『部下の自己実現を助けてるかどうか』っていうのがあるから、絶対そうせざるをえないんだ」と。
それと同じことで、インドでものすごい伸びてる大きな財閥の会長と話す機会があったんだけれども、その人が言ってたのが「俺がmake sureしてるのは、俺と働いたほうがその人の5年後の市場価値が高まっているという確信を、自分の部下に与えるんだ」と。
「この会社で働くことによって、将来、自分がどれだけ得するかという、結局部下を最初に得させることを考えてるかどうか」「そういったマインドセットを会社が持ってるどうかというのは、部下に伝わるから」と。
「社員1人ひとりが『この会社は自分の自己実現とか人生のことを大切に考えてくれているな』と思うと、やっぱり認められてる感と信頼感があってがんばるでしょ」と。これも本当にモチベーションのあふれる環境を作る上で非常に重要な要素だと思うわけですよね。
そういった意味で、みなさんの会社ってモチベーションを高めるためにいい環境できていると思いますか? 私が今回おうかがいしたいのは、「うちの会社ではうまいこと社員をモチベートできていると思います。それはこういうことができているからです」といった事例をちょっとおうかがいできればと思うんですけれども。
参加者1:役職名で呼ばない。さん付けで呼んでいて。飲み会だったりとか、ふだんでも積極的に上司からコミュニケーションを取ってくれるようにしてもらっているので、非常にコミュニケーションがこちらからも取りやすいです。
ムーギー:ああ、フラットな。いいじゃないですか。どちらのどこの会社?
参加者1:Eというところで。
ムーギー:あ、知ってます、知ってます。そんなにいい会社だったんだ。
参加者1:そうですね。
ムーギー:ポジティブにまとめるとね、やっぱり一度苦労を経験した会社というのは、どうしたらよくなるんだろうかと。そういったところ。
とくに日本の企業で往々にしてあるパターンなんですけれど、ヒエラルキーがある会社って、トップ、上が暴走してるときに止める機能がないんですよね。物を申せないから。
これは、例えば某大手総合商社とか大手のメガバンクとか、ああいったところにいる人にも「会社の問題点なんだと思う?」って聞いたときに、やっぱり異口同音に言うのが「どう考えても間違ってる方向に行ってるんだけれど、ただ止めることができない」と。
2つあって。1つは、まず前任者の社長が言ったことを変えることがまずできないんだと。自分が「これ、おかしいな」と思ってても、それを言うと自分にバッテンがつくから到底言えないと。だから、そういう失敗を止めるメカニズムがない会社ってものすごく脆い。
かつ、社員のモチベーションが下がるので。自分はこれが正しいと思って言うんだけれどぜんぜん聞き入れられない。これもけっこうモチベーションが下がる典型的な事例ですよね。
だからそういったところ、やっぱり聞く耳を持ってるカルチャーかどうかというのも、モチベーションがある会社というのは非常に重要なんだろうなと思います。
でね、私、このモチベーション関係をちゃんと真面目に調査してきたんです。なんでもかんでも適当なこと言って、本を売りつけたろかって、そんなこと考えてるわけじゃないですよ。
モチベーションの高め方を生業にしてる会社ってあるんですよね。どの会社だと思います? なんとなくみなさんご存じかもしれないけれども。モチベーションを高めることに特化した会社。なんか聞いたことあるでしょ。
参加者1:リンクアンドモチベーション。
ムーギー:だって社名がそうじゃんって感じだよね。リンクアンドモチベーションという、いかにもモチベーション高そうな会社があって。
そこの会社はモチベーションマネジメントっていうことをやってるんですよね。こんなのが仕事になるのかしらと思って、私はびっくりしたんだけれど。これ、リンクアンドモチベーションの宣伝になるから、書かなくていいですよ。なにももらってないですからね(笑)。
そこで言ってたのが、モチベーションスコアリングとか言って、聞くわけですよね。つまり、いくつかの質問で、50個ぐらいの項目があって、これにどう答えているか、つまり「ここでずっと働きたいですか」とか「満足度は高いですか」とかあるじゃない。
あなた、リンクアンドモチベーションと関係あるんじゃないの?
参加者4:うち、入ってます。
ムーギー:あ、リンモチが入ってるんだ?
参加者4:はい。スコアリングやってます。
ムーギー:スコアリング、どんなこと聞かれました?
参加者4:自分は理想と実際はどうか? 経営者に引っ張っていってほしいかというところがあって、実際にうまく引っ張ってもらっているかどうか。そこのギャップがどれぐらいあるのかを調べてもらっていて、うちの会社はけっこうスコアがよかった。
ムーギー:つまり、モチベーションが高い部類だったと。
参加者4:はい。
ムーギー:なるほどね。リンクアンドモチベーションが入って、あとどんなことやってくれました? 「ああ、なるほど。こうやって組織のモチベーション高くするんだ」と感心した。けっこうここにいらっしゃる方。
参加者4:ちょっとあんまり覚えていないですけど、あとは実際に各チームごとにそのチームのメンバー、匿名ですけど、チームとしてどういうスコアがでたのかということをやって、それをもとにチームで話し合いました。
ムーギー:これ、ものすごくおもしろいのが、リーダーがちゃんと率いてくれてるかというのが1つでしょ。あと確かにこの質問は、その組織のモチベーションをレベルを図るのに make senseだと思ったのは、ほかにどんなことですか?
参加者4:給料体系だったり。
ムーギー:ああ、「ちゃんとがんばる気がする給料体系になってますか?」みたいなね。
参加者4:そうですね。あとは、一緒に働くメンバーだとか、「あとは会社のミッションに対してどう思っているのか」とか。
ムーギー:今、聞いておもしろいなと思ったのは、たぶんみなさん、思い出されたと思うんですよね。今ここで、(池原)真佐子さんにしても、私がディスカッションしてきたこと、本質的に聞いてること同じわけですよね。
つまり、「そのミッションの意義に、共感していますか?」「一緒にいる人と働きたいと思いますか?」「やっていることに意義があると思いますか?」ということですよね。
結局モチベーションを決定づける決定要因がかなり明確にわかっていると。これを1つひとつつぶしていくことで……。
たぶんね、とくに人をリードするような立場になったときに、「なんで人は動かないんだろうか?」とか、「なんで俺はがんばろうとしているのに周りはついてこないんだろうか?」「なんでこの会社はいまひとつモチベーションが低いんだろうか?」と思うときって必ずあると思うんですね。
そのときに、今日ディスカッションされた内容とかを1つひとつ「これはできているかな?」「こっちはできているかな?」みたいなところを心がけられると、自分のモチベーションの高め方、および周りのモチベーションの高め方ということも非常に重要だと思います。
私がおもしろかったのは、モチベーションを高める会社で働いておられる、責任ある立場の人に聞いたんですよね。「結局いろんな組織のモチベーションを高めるためにどんなことをやっているんですか?」と。
すると、結局これが一番重要だと。1つは、先ほど言ったことと同じで、それを強調する上で言おうと思うんですけれど、「その人がやりたいことをちゃんとやっているんですか?」と。
そういった意味で、日本の組織の問題点は入口の段階でマッチングのレベルがめちゃ低いですよね。「本当にそれをやりたいの?」ということをあまり聞いていなくて、「大本営発表 VS 嘘の戦い」になってるじゃないですか。
つまり、学生は「こんなことを言ったらあなたは雇ってくれるんでしょ」というのをわかりながら演じて、人事のほうも、こういったことを言うと白々しい、誰も信じてないけれど、一応「大本営発表」をするというね。いざ入ってみるとぜんぜん違うじゃないかという。
ここは面接が「嘘のつき合い大会」になっているから、それはマッチングレベルが低いよなと。でも、ここで不幸なのは、入口からモチベーションが低い始まりですよね。だって、やりたいことと関係ないことやるんだから。これは非常に大きな制度上の問題があるなと。
もう1つは、やっぱり周りから尊敬されているか。つまり、目を見て、膝突き合わせて、「あなたのことを尊重してます」という態度で接してくれているかどうかというと、やっぱりこれは、ちょっと儒教カルチャーの影響があるかもしれませんけど、どうしても先輩が先輩風吹かせて威張るところがありますよね。
そういういった意味では、フラットに「さん付け」で話すとか、そういうことは非常に……。確かに私がいた会社とかでも階級ということはなかったんですけれど、若いからといって年齢だけで威張るみたいな、寒いカルチャー。これはもう激寒ですね。
そういった意味で、「私の会社、すごいヒエラルキーで、年上だっていうだけで威張っている人が多いんです」みたいな会社ありますか? 言いづらいよな。これは。「うちの会社です」みたいなことを(笑)。
(会場笑)
そういった意味で、本当にmutual respectというのがモチベーションでものすごく重要だと。
もう1つ言ってたのが、やっぱり結局のところ、私が先ほど強調したポイントなんだけれども、「聞く耳を持ってるか」ということなんですよね。
確かに私自身の経験でも、やっぱり人って自分が貢献したということが自己肯定感につながって、自分の安心感につながるわけですよね。会社に行く気がするというのも、「ここにいると私が価値のあるものだと認識されている」という気持ちが強いわけですよね。人って。
そのためには、自分の出した改善案がちゃんと聞き入れられて、なにかポジティブなインパクトがあったということが、自己肯定感につながるわけですよね。そんななかで、なにを言ってもぜんぜん変わらないとむなしくなっちゃう。
そんな風土のなかで、結局、このリンクアンドモチベーションとは異なる、某モチベーションを高めるために特化している会社が言うには、結局一番効くのはその上司を変えることなんですよ。
これ、アイロニカルなことですよね。だって、そこの会社のおじさんがね、「なんでうちの会社は社員があまりやる気ないの?」「モチベーションが低いのはなんでなんですか?」と聞くとそういった会社は調査するわけだよね。「なにが問題ですか?」と。
すると、一番多いのが、その人がダメだったという。むしろ、その人をクビにするか配置換えすることで、ものすごく会社がよくなったという事例が非常に多くて。
だから、もしもビクッと心当たりのある方は、間違ってもそういったところで「なんでモチベーションが低いのか調査しよう」と言うと、けっこう自分のクビが飛ぶかもしれない。そんな恐ろしいオチもあるなということがあります。
そういったわけで、もうそろそろ時間が。今日はモチベーションの高めかたに関して、私の本の内容、および仕事で学んできた内容、INSEADでコーチングに特化した、グローバルでいろんなリーダーからモチベーション高い人の共通点を学ばれた方の、いくつかの視点でモチベーションの高め方およびモチベーションの高い方の作り方について話させていただきました。みなさん役に立ちましたか!?
(会場拍手)
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