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リクルート×サイバーエージェント(全6記事)

「尊重するより面白がれ!」リクルートの人事制度にみる、個性の違いから価値を生むヒント

メンバー一人ひとりの強みを見つけ、活かすにはどうすればいいのか。FRESH!で放送されている「人事就活チャンネル」の中で、サイバーエージェント曽山哲人氏とリクルートホールディングス瀬名波文野氏による対談が公開収録されました。各社で行われている「強みを活かす」人事とは? 最終パートでは、リクルートの「個の強みを活かすヒント」を紹介。尊重よりもおもしろがる、個人の差異から価値が生まれる……などの格言が次々と登場しました。

「舞台は用意して音も鳴らすけど、踊るのはみなさんです」

曽山哲人氏(以下、曽山):なにかほかに質問も進められればと思いますが。瀬名波さんのところでもなにかあれば投げていただけますか? 

質問としては、人事制度のところについてありますね。

瀬名波文野氏(以下、瀬名波):あっ、そんなにありますか?

曽山:そうなんですよ。「人事制度ってたくさんあって運用するのって大変じゃないですか」という質問があります。運用のときになにか気をつけていることがこれだけあるので、人事もたくさんいるわけじゃないじゃないですか。なにかあります? なんででリクルートさんはこんなに人事制度が上手くいくんですか? シンプルに運用を作っているんですか?

瀬名波:どうでしょうか、ちょっとメンバーがいるので。……なにかある?(とメンバーに聞く)

曽山:(メンバーの回答を聞いて)ああ、なるほど。「現場のマネージメントが率先してやれるようにちゃんと仕組みを作る」と。そうなんですね、人事はそのサポートをしたり。

瀬名波:「舞台は用意して音も鳴らすけど、踊るのはみなさんです」っていう(笑)。

曽山:すごく純粋な質問は、中間管理職とかマネージャーの人から「ちょっと面倒くさいよそれ」みたいな声は上がるのかなと思ったんですけど、意外にそんなにないですかね。そういうのを巻き込んじゃうんですかね。

瀬名波:いや。ある時もありますけど、本人もイチ従業員として手間暇かけて育ててもらっているという恩義があるケースも多いし、ぐちゃぐちゃ言っても本当にそれが組織のためとか、誰かのためになるんだったら、なんだかんだ言ってやってくれる。

アウトプットの量と質の圧倒的な向上がゴール

曽山:この中で比較的新しい制度ってなにかあるんですか?

瀬名波:「リモートワーク」がけっこう新しいですかね。

曽山:こういうものの説明ってどうやるんですか? 管理職にも、現場社員にも導入するんですよね。「やるよー、ポン!」とメール1本で済まなさそうな雰囲気なんですけど。

瀬名波:リモートワークは働き方改革という文脈の中で、トップが意思を持って「なぜ我々は働き方改革をするのか」を発信してますね。

曽山:まず?

瀬名波:まず。

曽山:どこで発信するんですか?

瀬名波:メールの場合もあるし、キックオフの場合もあるし、リーダーを集めた会議の場合もあるし。

曽山:必要に応じて2通りあるんですね。

瀬名波:長時間労働を短くするだとか、生産性上げるんだということは当然そうなんです。でも、個の力を磨くために時間を使ったりエネルギーを使ったりすることによって、今はない新しい価値を創るということに最終的にこだわるというのが我々の狙いです。

圧倒的なレベルでのイノベーションに向けて、最初のステージとしての生産性アップですよ。かける時間を減らすことが最終目的ではまったくなくて、アウトプットの量と質の圧倒的な向上がゴールだと私は思ってます。

曽山:最初のところですね。

瀬名波:はい。そのレベルの改革ってやっぱりトップのコミットメントがないとできないんですね。単純な長時間労働を圧縮するとか、生産性を上げていくということはある程度は現場の意思でできるんですけど、それが目的ではない。なんのためにやるのか、それによってなにが起こると僕らはいいと思ってこれをやるのかということは、トップが発信するケースが多いですね。

曽山:なるほど。普通だったらギャップが出ちゃう。

リモートワークには仕事の質を変える刺激がある

とはいっても現場はこうだからって思うのもあると思うんですけど、そういうときにはちゃんとトップから伝えていくと。なるほど。リモートワークは実際に使われているんですか?

瀬名波:やってますね。うちの部署でもおそらく3分の1ぐらいは。誰かが必ずその日はリモートワークしてるっていう感じです。私もわりと頻繁にやっていますし、2週に1度ぐらいは沖縄に帰るんですけど。

曽山:2週に1度ご実家のほうに?

瀬名波:そうです。ワークライフバランスとか、集中できるとか、いいことはいろいろあります。そうすると、ふだん会わない人とのコミュニケーションの中で、仕事の質を変えるような刺激があります。驚くくらい。

曽山:ほう!

瀬名波:さっきも会場で業務連絡してました(笑)。「今週は木曜日、金曜日はリモートワークですから」って。

曽山:さっきお話しされてましたね。

瀬名波:沖縄から仕事しますからねっていうのはわりと普通ですから。今日来た中島くんも朝は広島で仕事してましたし。

曽山:ああ、そうなんですね。なるほど。そういうふうにかなり浸透されているということですね。どれぐらいですか? リモートワークがスタートして。

瀬名波:本格導入から2年目です。

曽山:いやいや、すごいなと思って。なるほど。わかりました。

状況を変えたければ「最初に踊る人」になれ

最後のまとめにいく前に質問を1つお受けしたいなと思うのですが。例えば、強みを活かす文化になってない会社だと思ってください。一人ひとりの可能性にも、正直そんなに着目している風土じゃないという人事部長や経営者だったときのまず1歩。どこから始めますか。

瀬名波:そんなの超簡単ですよ。

曽山:えーっ! なんですか?

瀬名波:えーっ! 自分からやればいいんですよ。

曽山:まず。

瀬名波:そう! あなたの部下におもしろい人いるでしょっていう(笑)。

曽山:自分の部下に?

瀬名波:とか、あなたの同僚にいるでしょっていう。私からするとぜんぜんなにも難しくないですよ(笑)。

曽山:なるほど。

瀬名波:「うちの会社はそういうカルチャーじゃないんです」とか、社長がそういう人ではないんですとか、聞くことはよくあります。だけど、自分に変えられないことに光をあてて嘆いているのは時間とエネルギーの無駄なんですよ。人生は1度しかない。短いかもしれない。自分が変えられることに絞るとけっこうあるんですよ(笑)。

だから自分の同僚とか部下とか上司でもいいんですけど、おもしろがる。おもしろがることによって、ふだん踏み越えられない線というのが踏み越えられるようになって、そういうチームになるとやっぱりいい風が吹いて、いい仕事ができるようになるんです。

いい仕事ができたら、「僕らは違いがあって、その違いを活かしたからこのいい仕事ができたんだ」と、正々堂々と自慢すればいいと思うんですよ。そうしたらみんな真似するから。そっちのほうがいいんだって思って。

曽山:なるほど。まず自分ができることでいいからやる。それで上手くいったら自慢する。この2ステップで少しずつ広がっていく技ですね。

瀬名波:人間も動物なので、「あっちのほうが良さそうじゃね?」ってなったらそっちのほうにいくんですよ。

曽山:なるほど。本当に良さそうなら。

瀬名波:最初に踊る人になればいいということです。

曽山:なるほど。よくTEDでも踊ってるとみんながついて来て踊るっていう動画がありますよね。

瀬名波:最後に踊っていない人が変な人になるという。

曽山:確かに、なるほど。ありがとうございます。

どう差異を大事にし、価値を生むか

これでだいたいのみなさんの質問にお答えできたので、もし足りてなければあとでお答えしたいと思います。瀬名波さんすみません、あっという間に時間が過ぎてしまいまして。

「強みを活かす」というテーマを最初に投げさせていただいたときに、瀬名波さんは「すぐやりますよ」と、まさに2つ返事で「やるよ」って言ってくださいました。まとめとして、この「強みを活かす」というテーマについてどう感じられたのか。なにかメッセージがあれば、ぜひまとめとしていただければと思いますが。

瀬名波:こういうお話をいただいても、私は人事のプロではないし、あまりにもおこがましいのでお断りすることのほうが多いんですね。でも曽山さんからお話をいただいて、「すぐやります」って言ったのはなんでだったかというと、今って相当変化が激しくて、ほとんど予測できない時代ですね。

曽山:そうですね。

瀬名波:事業とか企業、市場の未来を予測するのは難しいというときに、普通にやってると生き残れないわけですよ。なので強烈に強みがある人と、もう1人の強烈な強みを活かして、強みを重ね合わせてチームとして勝負していかない限り、絶対成功しない。

いや、それでも勝ち残れるかわからないという世の中に突入していると思っています。その危機感でやらないと、人事としてはある意味、仕事していないことになる。自社の従業員に対して「ここが課題だよね。ここ足りないよね」っていうことをやって、どんどん平均化していってしまうとまずいんと思うんです。平均的な人がたくさん集まっても、平均かそれ以下のことしかやっぱりできないんです。

曽山:なるほど。

瀬名波:だから、「差異が価値を生む」「それでないと生き残れない」を信じて、尖っている部分をどう大事にするかとか、どう伸ばすかかにエネルギーを投じた方がいい。

それから、尖った才能のある変わった人を「あいつはだからダメなんだよね」っていう人がいたら、全力でなぎ倒しにいくのも人事の仕事だと思っているので(笑)。だから、今回すごくいいテーマだなと思って、「じゃあ私もジョインします」ってお返事したということでした。

曽山:うれしいです。ありがとうございます。今のキーワードは差異を大事にするとか。価値を生むということです。違いをどれだけ認められるかというところがすごい大事だということですね。

尊重するより、おもしろがれ

瀬名波:覚えておいてほしいと思うのは、尊重するとかそういうレベルよりも、もっと、ちょっとおもしろがるみたいな感じなんですよ。そっちのほうが早いです。

曽山:なるほど。尊重するとか、むしろそんなにきれいじゃなくていい。

瀬名波:そう! 「おもしろいねー!」っていうぐらいがちょうどいいという感じですね。

曽山:瀬名波さんに「おもしろいね」って言われたら、めっちゃモチベーションが上がりそうですよね(笑)。

瀬名波:そんなことはないです(笑)。

曽山:いやいやほんとに(笑)。そういうリーダーさんが、リクルートさんにはたくさんいらっしゃって、どんどんみんな成長しているということですよね。わかりました。

ということであっという間に時間になってしまいましたけども。今日の「強みを活かす対談」はこれにて締めにしたいと思います。

ということで、今日はみなさんご参加いただきまして、コメントもご質問もたくさんいただきましてありがとうございました。そして瀬名波さん、今日はお忙しい中ご参加いただいて本当にありがとうございました。拍手をお願いします。

(会場拍手)

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