
2025.03.07
メール対応担当の8割以上が「カスハラ被害」に クレームのハード化・長期化を防ぐ4つの対策
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曽山哲人氏(以下、曽山):あとは質問のところで最初のコンセプトに戻りたいなと思うのですけども、これですね。
私がちょっとおうかがいしたかったのは、「フラットなコミュニケーション」。これを言ってる企業が多いんですよ。いろんな会社の「フラットなコミュニケーション」がありますけど、どれぐらいフラットなんですか?
瀬名波文野氏(以下、瀬名波):例えば、私も営業をしていたのでクライアント先に行くことがありました。クライアントさんの課長と私が1対1の時は、ブワーッとしゃべってくれる。でも部長と本部長が一緒にいたら、本部長がしゃべるまで部長はしゃべらなくて。部長がしゃべるまで課長はしゃべらなくて……という会社もあるじゃないですか。
我が社でいくとどういうことかというと、いい意味で逆で。例えば、部下がいて、私がいて、役員である私の上司がいて……という3レイヤー同じ会議室にいるとします。誰が一番しゃべっているかというと、やっぱり私のメンバーがしゃべっているべきなんです。なんの会議をしているかによるんですけど、それを最も考え抜いている人がしゃべっているべきなんですね。
役員のほうが当然、経験値も高いわけですから「でもこうじゃん、こうじゃん」って言ってくれるわけですよ。叩いてもらうのはすごくありがたい。でもたまに、「それあるけど、2周考えてやっぱりこうです」ってケースもあるんですね。ここが会社の分かれ目だと思うんですよ。その場にいる一番偉い人が「こうだよ」って言った時に、部下が「そうですよね」って言っちゃうか。「いや、そうじゃないんです。実は」と言えるか。
曽山:もう1回、差し込める。
瀬名波:そう。これをメンバーができるケースが最高。でも上司や、場合によっては社長だったりもするので、ややピリッとするときがあるじゃないですか。
なので、間に入っている中間管理職が、「いや、そう思うじゃないですか。私も同じ質問をしたけどこうなんです」って言ってあげてファンファーレを鳴らしてあげるとか。「一番の理想はそうなんですけど、こういう理由でこうしました」ってストレートに言える。それを一番偉い人がグシャッとしない。これが大事。
曽山:ちゃんと意見として。
瀬名波:「そうか、そうか」と面白がったり、理解しようとする。そのコミュニケーションがうちの会社だとわりと普通にできる。私はそれをフラットだと言っています。やっぱり度量の大きい上司が多いなと思いますね。
曽山:なるほど。そういう人が上に行ってる?
瀬名波:そう思いますね。
曽山:そういう感じなんですね。
瀬名波:聞いてくれますね、おもしろがって。時間がなかったりすると、役員も「パンパン、これはこういうことじゃん」っていう時ってたまにあるんですよ。「どうしよう。どこからどう挟もう?」って思ってる時に、「なにかあるなら言って」と聞かれることすらあります(笑)。
裸の大将にしないことも、我々の仕事じゃないですか。彼らも「お前らが一番考えているべきだからな」というトーンでくるので、基本的には意見がある前提で聞いてくるし、こっちも言う。
曽山:なるほど。本人が意見を持ってるという前提だから「どうしたいか」が連鎖してる。結局はそこなんですね。
瀬名波:「これこれこうじゃん」「そうですね」って言ったら「お前、仕事してこいよ」っていう話に近いと思うんですよね。
曽山:むしろ自分の意見をぶつけてきたほうがいいと。
瀬名波:そうです。
曽山:なるほど。ありがとうございます。
もう1つ私がおうかがいしたいのは、「身の丈以上のチャレンジ」というのがさっきもキーワードとしてあったと思うのですけども、。最初の「起業家精神」のところですかね。身の丈以上の失敗した時にフォローするのか、しないのか。これによって新しいチャレンジが生まれるかどうかというのも1つあると思いました。
もちろん、失敗もあり得る。若いうちから任せるから、それはあるという前提じゃないですか。失敗した人はなにかするんですか?
瀬名波:折れ切る前には救いますね。ちょっと大げさかな。折れても立ち上がってきている時は放っておきますね。
本当にフォローが必要な時には、なんだかんだ周りにお節介を焼く人がたくさんいる。人事が介入したり、横の上司が飲みに連れて行って、「大丈夫?」って言うのをやったりというのはわりとありますね。
曽山:なるほど。そこは人と人との関係性でフォローは動く。
瀬名波:基本的には。身の丈以上の仕事を任せて期待していることを上司側も知ってるし、そう言うわけですよ。「瀬名波に今これができるかわからない」「今すぐにできるって思わないよね」と。しかし「こうこうこうで君に任せたいと思っているんだ」ということをコミュニケーションしてくれる。
「あっ、ちょっとこれ本当にわからない」ってなったら、「ちょっとこれ、本当に無理です」と相談しに行くことも許されますね。
曽山:仕事の任せ方として今、上司のセリフを聞きましたけども。「瀬名波さんにできるかどうかわからないけど任せるわ」という話もあるんですね。
瀬名波:あります。
私のキャリアウェブのときはまさしくそれで。具体的には言いませんけど、イギリスに行ったときの話ですね。
営業からいきなりイギリスに行ったんです。それがキャリアウェブだったんですけど、そのジョブというのは4つぐらいのクライテリアがあったのかな。「マネージメント経験」「駐在経験」「Excel・Accessのマスター」「ビジネスレベルの英語」という4つあって。
曽山:っていう基準ですね?
瀬名波:そうです。「これを満たしている人が応募資格があります」と。私、ほとんど満たしてなかったんですよ。
曽山:「本当は勉強してたんでしょ? 」って僕は思っちゃいますが。
瀬名波:いや、ほんとに、無謀でした(笑)。課長になりたくなかったから。ずっとマネージメントなんて未経験だったし、駐在経験も当然なかったし、Excel・Accessも「うーん」みたいな感じでしたから。
アプライして、面談して、「こいつおもしろい」と思ったから採られたわけですよね、そのポストに。でも最初は「なんで君は応募したの?」というところから始まるわけです。「だって応募基準を満たしてないじゃん」っていう(笑)。
曽山:面談の時に? まずそれを言われるんですか?(笑)
瀬名波:そうです。
曽山:なるほど。
瀬名波:でも、当時の面接者だった人……のちに上司になるわけですが。彼は私になにか感じることがあって、それは面白がってくれたんでしょうね。私にできるかどうか、彼も私もわからない。でもやりたいし、任せたい。なにかそういうところから始まりましたね。だいたい。
曽山:そういうふうにあっていく。それは「ボーン!」と任せる。上司もその分だけ難しいってわかってるから。なので、必要だったらフォローするからねっていうことは根底にある。
瀬名波:できるかぎり関わらないっていうのが、難しいところなんですよ。
曽山:できる限り放置というのが人材育成の重要なポイントじゃないかと思っていて、やっぱりその辺はありますか?
瀬名波:思います。
曽山:放置ってかわいそうで失礼っていうのが一瞬あるんですけど、違うんですよね。
瀬名波:違います。
曽山:可能性に期待していたら、手を入れちゃうと信頼してないことと一緒と思っているのですが。そういった考え方はリクルートさんの中でもあるんですか?
瀬名波:あります。とくに役職が上がってきてリーダーシップを発揮していく、事業をリードしていくというタイミングになると、「ここから見たらこれが正しくて、でもここからみたらこっちのほうが正しくて、さあどうする?」っていう事柄を意思決定して、事業を前に進めていかなければならないということばかりなので。
自分で決めて、万が一失敗したらそれに責任をとって。でも折れ切らずに、事業の未来に責任をとるためにもう一歩足を出せるか、というのが問われる。
ある意味では、失敗して、落ち込んで。だけどもう一歩足を踏み出して。そこから進むことで、やっとスタートラインということがあるんですよね。そこに口を出したり、助け舟を出したりしないという「育つのを邪魔しない」みたいな感覚は大事かもしれませんね。
曽山:「育つのを邪魔しない」ってすごい大事なキーワードですね。
瀬名波:大事かもしれませんね。そっちのほうが難しいと思うんですよ。上司の側だって、できれば転ばせたくないから。
曽山:そうですよね。なるほど、「育つのを邪魔しない」は本当にそうだな。任せる時は本当にそこですよね。なるほど。わかりました。
これあれですか、人レベルでいうと今みたいにフォローしますけど、事業って、僕らの場合だと撤退基準を先に決めておくんですよ。例えば「上限資本1億円」みたいなものです。なにかそういうのはあったりするんですか?
瀬名波:ありますよ。新規事業の時はよくあります。
曽山:先に立案者がそういうのを決めるのか、なにかもともと共通のルールみたいなものがなんとなくはあるんですか?
瀬名波:会社によって事業提案制度というのはまちまちなんですけど。
リクルートホールディングスだと、ステージゲート制になってたりするんです。このステージの関門をクリアするには、こういうことが満たされているとか、ここから次のステージに入ってこういうことが満たされたら進めるとか。逆にこれをいつまで、いくらの原資でいけなければ、その時は撤退ねというレベルのものはあります。
曽山:なるほど。共通言語化されているんですね。
瀬名波:新規事業というところにはあります。
曽山:なるほど。撤退ルールを事前に明文化するのはすごいフェアだと思うので、これはすごい大事だなと思います。わかりました、ありがとうございます。
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