2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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小安美和氏(以下、小安):他に質問ありますでしょうか?
質問者2:すごく新鮮なお話、ありがとうございます。うかがいたいのは、新閃力の尾崎さんのところで、女性が中心な話が多い中で、団塊世代の人のリタイア人材のこともあり、すごく興味があるんです。例えば、知人が勤めている会社なんかを見るんですけど、再雇用がない部門をリタイアでも再雇用がなくて非常勤になっちゃうんです。
そうすると、会社からしても再雇用というか、定年延長で5年あるのですが、給料が12万ぐらいになっちゃって。急に昔部下だった人たちの目線とか雰囲気が変わってしまって、耐えられないで2ヶ月で辞めてしまうみたいなケースもあったりするんですけども。
自己肯定を感じさせてもらうのは、お互いにとっていいんじゃないかなと思っていて。尾崎さんのところはそれができそうな雰囲気がある。なかなかそういう話が具体的に聞けないので、ぜひ男性の側の方からの話もうかがいたいですし、小安さんのところも、釜石の創生なんかにも、そういう人ってキーパーソンでいたりするんじゃないかなと思って。教えてください。
尾崎えり子氏(以下、尾崎):はい。ありがとうございます。子育てや介護でブランクのある女性のマインドセットとは違ったマインドセットが必要だと思っています。今までピラミッド型の会社組織で頑張ってきたシニアの方にはもちろんプライドがあります。そのプライドが悪い方に働いてしまうと若い人たちが「一緒に働きにくい」と思ってしまいます。
でも、彼らの経験は素晴らしい価値です。今ニーズがあるのは、スタートアップの顧問や、アドバイザーというお仕事です。専門性がある人、ネットワークを持っている人に週1回でも来てもらって話をしてもらいたい、Skypeで会議に入ってもらいたい。シニアの方たちも自分のキャリアを活かせますし、スタートアップ企業も知見の多い方からの意見を取り入れることができます。
若いスタートアップの企業で気持ちよく働くためには、一度リセットする必要があります。それをできるのがコミュニティの存在だと思います。ピラミッド型の組織、数字で評価される企業から、フラットな地域、人からの感謝が報酬になる地域コミュニティに入ることで、徐々に新しい自分を作っていけるのだと思います。
小安:ありがとうございます。私もモデレーターなんですけど、ご質問いただいたので。被災地の岩手県釜石市というところで、地方創生アドバイザーをやらせていただいています。
もともと人材領域や人材事業をやっていたものですから、そこで潜在能力の掘り起こし事業をやらせていただいています。釜石市の姿は、日本のこれからの姿だと思うのですけども、4万人の街が今震災で3万5,000人になりました。
一気に5,000人も人口が減ってしまったんですね。その中で地場産業が主に水産加工なんですけども、どうやって事業を維持していかなければいけないかという課題にいきなりぶち当たった街です。5,000人減った人口を賄うためには、実は働いてない主婦が2,000人いる。実は、働いてないシニアが4,000人いるということがわかりました。
まず、働いていない育児中の女性のマッチングを今やらせていただいています。シニアの雇用マッチングも必要なのですが、シニアの活用は、マネジメント観点で壁を感じる企業さんもいらっしゃいます。
それをどうやって乗り越えるか。例えば、小売大手さんなんかはもう踏み込んでいらっしゃるんですが、テクノロジーの活用ですね。また、マネジメントする側もされる側も、年齢ではないなにかで信頼関係を築いていくことが、今後必要になってくるのではないかなと思っています。
質問者3:貴重なお話、どうもありがとうございました。冒頭のご質問者の方に少し近いですけども、例えば、売上や利益、経営、事業ってすごく大事になると思っています。
一方で長時間労働を是正することで、一時的に生産性が一人当たりを考えるときに下がる時。そのあたりのジレンマというか、育成して生産性上げていくというのはもちろんできると思うんですけども。
なかなかすぐに難しいという中で、各社におかれてどういった議論をしていて、どうやって乗り越えられたのか。そのヒントをうかがいたいと思います。よろしくお願いします。
小安:長時間労働時間を減らしたら成果も落ちるし、生産性はなかなかそんなにすぐには上がるものではないので、一時的に売上利益みたいなものが凹むんじゃないか。そこで躊躇されるケースが多いと思うんです。そういった議論をされたのかどうか、それからどのように乗り越えられたのか。埋金さん、お願いできますでしょうか?
埋金洋介氏(以下、埋金):そうですね。闇雲に労働時間を減らすことだけに着目してもしょうがないということは、当初から話をしていました。
我々の場合は、18時以降に、明日の飛行機が飛ばなくなったり、急に購買しなければならないものが発生するということもあります。必要なこと、やらなければいけないことはしっかりやっていきましょう、と。ただ、やったことはしっかり見える化していきましょうということから始めました。
「やっていることがしっかり見えてくるということを実現した上で、そこから減らしていく」というステップを踏んだという感じですかね。
小安:時間を減らすということではなくて、なにに時間を使っているかをまず可視化する。無駄なことをやってないかどうかをモニタリングする、という理解でよろしいでしょうか?
埋金:そうですね。いったん全部出してみる。そこで、やらなければいけないことはしっかりやる。そこが隠れてしまうと結局わからなくなるので、まずは見える化した上で、やらなくてもいいことはなにか、逆に目標値を持ってそこに今度キャップを合わせていくということをやってきました。
小安:トータルの時間的なキャップをはめるのではなくて、分解してキャップをはめるというイメージで合ってますか?
埋金:そうでうすね。いろんな仕事があるので一人で全部やることないよねっていうところがあります。そこを分けていくということです。
小安:その「分ける」ということ自体が負荷なんじゃないかという問題。それが長時間労働になるんじゃないかと言われると思うんです。それはどう乗り越えられたんでしょうか?
埋金:そうですね。そこは、どういう仕事がas is(今ある姿)で存在しているのか、to be(将来ありたい姿)はどこなのかをちゃんと見てもらって、「じゃあそこに行けないのはなぜですか」とする。
若い人だったら、例えば電話の取次が忙しくってそこが一番のネックになっていたとする。では、その電話をなんとかしようとなります。業務の中でも、そういったものを見える化していくという部分と、ヒアリングをかけていくということかと思います。
小安:ありがとうございます。山本さん、パートナー企業からの学びがあればシェアしてください。
山本裕介 氏(以下、山本):そうですね。個人的には、なにを動詞にするかがすごく重要かなと思います。
時間を減らすのは、普通に真面目な人ほど抵抗があるものだと思うんです。でも、それを動詞として設定しちゃうとつらいんじゃないかなと思っているんです。我々のトライアルでも「業務を短縮しよう」ではなく、あえて「退社時間を計画しよう」というふうに設定しました。
結果的に、退社時間計画であれば「この時間までに帰る」とみんなにスケジューラーで宣言して共有したら、そこから逆算して1日1週間1か月という業務の効率化を自分で考えるようになる。
業務の効率化で言えばフォーカスを絞って、とにかく会議だけで良いので効率化をしようとしたり。動詞が違うと、参加する方もテンションが上がる。
なぜテンションが上がるかというと、それがみんなにとってメリットがあるからですね。時間を減らすという漠然としたものを動詞にするのは、やはりちょっと厳しい。
それはみんなの抵抗を逆に生みやすくなっているので、あまり良くないのではないか。もちろん時間を減らすことをゴールとして設定するのだけど、それだけではない具体的なアクションをどのように設定するかは、すごく重要です。それは、トライアルにご参加いただいた企業を見てもそう思います。
質問者4:山本さんが協力していろいろやってこられた会社の中で、労働集約型の環境で働き方改革された会社ってありますか? もしあればどうされたのかとかをうかがいたいと思います。
山本:労働集約型っていうのは、例えばどういうものでしょう?
質問者4:例えば、コールセンターは時給で。
山本:時給でその業務がズバリはまっている企業さんとか部署さんというのは、今回についてはご一緒していないです。ただ、そういった方々がどうやったらいいかは、みなさんすごく考えられていると思います。それを今回の知見を活かして、検証したいなとは思ってるんです。
時間単位でのお金のお支払いをどうやってコントロールするか、業務の効率化とかというよりも、もうちょっと前の次元でどうやって業務全体を最適化するかという話なんです。そこの部分は課題が大きすぎて、一気に取り組むというのは難しかったんです。でも、それはすごく大きな課題だと思いますね。
質問者4:ありがとうございます。
小安:そろそろパネルディスカッションが終わりに近づいてまいりました。最後にお1人ずつメッセージをいただきたいのですが。今日のセミナーに関しては明日からなにか会社の中、組織の中でできるヒントを持ち帰っていただければと思ってます。ぜひ明日から「これをやられるといいですよ」を、ご経験の中からメッセージいただければと思っています。
それでは、埋金さんからお願いできますでしょうか。
埋金:山本さんのプレゼンにも「在宅勤務をやってみる前とやった後で、ずいぶん違いますよ」というのがありましたけど、実際そうなんですよね。
まずはやってみましょう。1回既成の概念から外れてみて、トライしてみたら想定とは違う結果が絶対に出てくるというところが1つ。これが働き方改革。
あと女性や、ダイバーシティという部分で言うと、男性の意識をしっかり変えていきましょう。それが大事だと思います。まずは気付くという部分からがんばってみてはいかがでしょうか。
山本:我々が出した働き方改革推進ガイドに書いてあることは、結局は今、まさにJALの方がおっしゃったのと一緒で。やってみるというのがすごく重要。
また、やったら、それを効果検証することが大事です。効果検証するのは、みんな苦手じゃないですか。なぜかというと、それをやった分「これどうなったの?」「誰か責任をとらされるんじゃないか?」といった議論になると思うんです。
やることよりも、効果検証のほうがすごく大事。なので、推進ガイドを読んでいただいて、明日から始めていただいた時に、そこを逃げずにやることのほうがすごく大事だと思うのです。
ここに推進責任担当者みたいなのを書き込む欄も作っているんですけど、それをあえて入れていて、誰かがそういうふうにちゃんと責任を持つ。そうしないと、進まない。トライアルを通じてそういうふうに強く感じましたので、最後にお伝えさせていただきます。今日はありがとうございました。
二葉美智子氏(以下、二葉):みなさんおっしゃったことですが、iction!の事務局長としてというより、私も一企業の中で女性活躍とか、そういったテーマで推進をしていた当事者としてというところで。
まずやっぱり、さっきおっしゃった中で「働き方で時間を短くしたら売上が下がるのでは」みたいなことを仰っている方はけっこう多くてですね。かつ、それを悪気があって言っているのでなく、本当にそう思ってるんです。そういう場合は、まずファクトをきちんと見ていくという事も大事だなと思ってます。
リクルートグループも働き方もいろいろやっているんですけど、営業部門で言ったら、売上と労働時間の相関を図にしたときに、ぜんぜん相関がなかったっていうのが見えまして。「長く働けば売上が上がるものではないですよね」を一枚シートで出したりすると、一切そういう議論がなくなるということもあります。
女性活躍もしかりです。こういうテーマっていろんなものが絡み合ってますし、なかなかどこからスタートするかってわからない部分も多いと思うんですけど、それぞれの企業様で状況も違うと思うので。ファクトをきちんと押さえにいきながら、コミュニケーションをスタートするのがいいのではないかと思います。
先ほどの「まずやってみる」はまさにそうで、全部をやろうとするというのは難しいんです。自分の周りでいいから味方を見つけてください。賛同してくれる役員など、ほかのセクションでもちょっと始めてみたりする。兆しをどんどん波に変えていくのは、企業の中でやられている方にとってはすごく大事かなと思っています。
尾崎:2つあります。1つは質問の絶対奨励ですね。質問ウエルカムを明日からでもやってもらいたいです。
リモートワークをしたときに一番無駄な時間が生じるのは「質問ができない」なんですね。私たちがいかにいつも上司の顔色を見ながら、スケジュールを見ながら、「このタイミングでこの質問をしたら上手くいくな」と、無意識のうちに計算して質問しているんですね。
それが離れていると「上司が今どういう状況なのか、今この質問をしてもいいのだろうか。これは私が自分で考えるべきだろうか」でみんな止まっているんです。だいたい上司から怒られるのは、「それ質問ではやく聞けよ」なんですけど。
なので、みなさんの企業の中でも質問されたら忙しくても基本は受ける。忙しかったら「後で必ず聞くから少し待って」となっても気持ちよく答えるというような文化を作る。そうすれば、離れた場所になったときもスムーズにコミュニケーションがいくかなと思っています。
もう1つは、長時間労働とか働き方改革を眉間にしわを寄せて考えてたら楽しそうに見えないので周囲から協力してもらえないと思うんですね。なので、若干口角を上げてなんか楽しそうに「働き方改革の件なんですけど」みたいなことを言い始める。
私は、初めは1人でやったんですけど、でもあまりに楽しそうだから、いろんな企業が関わってくれました。いろんな人たちが協力をしてくれました。新しいことをすることって楽しいことだと思うので、それをワクワクしながら周りに伝えていくのは重要かなと思います。
小安:ありがとうございます。私も口角を上げて、働き方改革をみなさんぜひ明日から一歩踏み出していただければと思います。
それではここでパネルディスカッションはここで終わりにさせていただきます。4人のパネリストの方に大きな拍手をお願いします。ありがとうございます。
(会場拍手)
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