2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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吉田浩一郎氏(以下、吉田):ありがとうございます。続いての質問お願いします。どうぞ。
質問者3:お話ありがとうございます。お三方にご質問させていただきたいんですけれど、先ほどM&Aの判断基準の話があったんですが。
もっと大きなくくりで、細かいことから大きなことまで毎日決断、判断の連続だと思うんですが、お三方の根本的なところでの判断基準、判断軸のなかで大切にしていることがあればぜひ教えていただきたいです。よろしくお願いします。
吉田:判断基準、経営のですか?
質問者3:はい。
藤田晋氏(以下、藤田):判断軸のない経営者ってそもそもダメだと思うんですけど、僕はやはり21世紀を代表するようなデカい影響力のある会社を作るというものがあって、そのなかの中長期計画みたいなものがあって、そのなかの今年のあるべき業績とか事業内容というものがあって。
その軸から見て、それがオッケーなのか、ダメなのか、ここで決めてはいけないとか、決めるべきだとかということが、わりと優先順位付けみたいなものがすぐ決まるので、大事な決断も息しながら決めているみたいな感じです。一瞬で決めている。
吉田:なるほど。
三木谷浩史氏(以下、三木谷):先ほど言った事業に対する判断については、カテゴリーを3つに分けているので、それによっていいのか悪いのかを決める。例えば、買収するなり新しくビジネスを作るなり、あるいは今やってる事業を評価するという意味においても、3つの違った軸を提供してるんですよね。
もう1つ重要だと思っているのが、「やる人が誰か」ということが、けっこう重要かなと。この20年間で学習したことは、できるやつはほぼなにをやってもできるということなんで。
若いとかあるいは経験があるとかそういうことじゃなくて、こいつは……、僕の言葉でいうと「Get things done」って言ってるんですけども、物事を成し遂げる人間なのかどうなのかというのが、人間的な判断のなかにおいてはけっこう重要だと思います。
今後ということでいうと、やはりこれから日本のコンシューマーマーケットは残念ながらシュリンクしていくんだと思うんですよね。それを考えるとこれから事業始める人は、最初の段階からある程度グローバルなビジョンを持ってやってほしいなと思います。
吉田:発想を変えて、「ミニ失敗力カンファレンス」みたいな感じで、決断に迷ったとき。
過去の事例で、例えば「メルカリに投資しとけばよかったな」とか、そういうような、「決断、あの時は迷ったな」みたいなことを、1個だけお二人からそれぞれ言っていただくと。決断が速いからこそ、ここまで来たというのはもうみなさん重々わかっていると思いますので、「ミニ失敗力カンファレンス」をお願いします。
三木谷:僕いつもそういう質問があったときに言うんですけど、英語で言うと「Entrepreneurs never look back」だと。「起業家は後ろを振り向かない」と。成功も失敗も。
例えば、うち昔、Ctrip(シートリップ)という会社の(株を)20パーセント持ってたんですよね。今20パーセント持っていたら、たぶん7,000億円くらいになってると思うんですよね。
吉田:それはなんの会社?
三木谷:中国の最大の旅行サイトです。それは、早く売りすぎたんですよね。今持ってればもうちょっと楽だったなーなんて思いながら、それは失敗したなって(笑)。
それはサイバーエージェントさんとかの株をずっと持ってたらもっと価値があったし、早く売りすぎたなぁというようなことはあるんですけども、でもそれは、その一方で成功してることもいっぱいあるので、やはりあまりくよくよしないことですよね。成功しても失敗しても。
成功したからといって、それで喜ばないし、失敗したからといってそこでくよくよしない。たとえばTBSの敵対的買収、これもメディアにボロクソに叩かれましたし、世の中は冷たいんだなぁと思って。大義があると思ってやったんですけど。
でも重要なことは、やっぱり大義があるかどうかですよ。大義があれば、失敗しても周りがサポートしてくれる。大義がなければ、失敗したら会社の中も外もサポートしてくれないということがあると思うので、大義名分というものはとても重要なのかなと思います。
吉田:ありがとうございます。ぜひ、藤田さんも。
藤田:僕も同じで。10戦10勝で勝てるわけないので、2~3敗つけながらじゃないとあり得ないから、はっきりいって失敗をしていかなきゃいけないというのは、わかってるんですよ。
麻雀の弱い人というのは、だいたい優先順位付けがヘタクソなんですよね。なにを切るとか、だいたいみんな同じようになっていくんですけど。
牌の効率とか見るのはそんなに変わらないんですけど、この局面だったら、要は始まったばっかりだったら、ここはもっと大きくするべきだけど……、なにを言っているかわからないですよね。麻雀を知らないと(笑)。
吉田:麻雀のほうが判断の説明がしやすい(笑)。
藤田:次々、新しい配牌が配られて、新しいピンチとかチャンスが現れるので、振り返っていた人はダメなんですけど。それと同じです。
吉田:今、「ミニ失敗力カンファレンス」なので、麻雀で負けたとき。
藤田:例え(麻雀)が失敗した感じがして仕方がない(笑)。
吉田:例えが失敗した(笑)。
三木谷:僕、失敗というと、もっと早い段階から国際展開をするべきだったなと。今、楽天は英語化をしまして、キャッチアップしようとしてるんですけれど、この10年間の遅れを取り戻すのはなかなか大変ですね。
結局、本来であれば、最初の段階から楽天市場は国際展開しておけばよかったなというのが後悔ですね。
吉田:なるほど、ありがとうございます。では、続いての質問どうぞ。
質問者4:マレーシアとスリランカでお坊さんのオンデマンドをやっております。
吉田:お坊さんのオンデマンド?
質問者4:スリランカのお坊さんはコストも安くて、みなさん菜食主義で結婚もしなくて、すばらしい人材で、今はマレーシアと中国にオンデマンドをしています。
1つ質問なんですが、今、円が強くて、日本から資金を動かそうと思ってるんですが、なかなか昨今、タックスヘイブンに関して厳しくなってきていまして。今、借款で1つはマレーシアにお金を動かしたりしてるんですけど、みなさんお金を動かすときになにかアドバイスがあれば。
吉田:それはCFOに聞くことじゃないかと思うんですけれど(笑)。では、海外における資金の運用。資金の使い方、あるいは出し方。
三木谷:新経済連盟的な話をしますと、例えば、この前AppleにEUが1兆5,000億円追徴課税というニュースがありましたけれど、例えばGEとかAmazonとかはほとんどたぶん日本で税金を払ってないと思いますし、それからAppleもそうだと思うんですよね。
これはアメリカ国内の税金もほとんどアイルランドに落とすような仕組みになっていて、(アメリカに税金を)落としていないということで。だいたい(アメリカに落ちる税金は)1桁パーセントなんですよね。
日本のタックスが下がってきて、29パーセント台になったと言っても、やっぱりまだだいぶギャップがあって、中国はBaiduとかAlibabaとかというのはだいたい10パーセント台なんですよ。10パーセントをゼロにしちまえという議論が今、中国のなかであります。
どうせアントレプレナーは新しいものを生み出していて、新しいものを生み出さないと価値が生まれないんだから、アントレプレナーに対してはもう課税しないという流れになってきてますね。
新経済連盟としてはもう少しそのへんの活動をする必要があるなと。それからタックスヘイブンに関しても、現実に合っていないようなところもあるので。
これについてはみなさんの意見を聞いて、もう少し政府に対して活動していきたいと思いますので、もし困ってることがあるんだったら、新経済連盟に加盟していただいて、意見を言っていただければ必ず政府に言いますので。
吉田:お坊さんのオンデマンドから非常に壮大な、1兆5,000億の課税の話になりましたけれど(笑)。
ということでそろそろお時間になってまいりましたね。最後に初の関西サミットということで、関西に期待してること、あるいは今日のご参加の方々へのお声がけなどあれば、ぜひ新経済連盟の代表理事、副代表理事としてひと言ずついただければと思います。
では、藤田さんから。関西への期待ですね。
藤田:僕は福井県(出身)なので、関西じゃないんだけど、大阪も神戸も京都も好きで、こっちでもっと事業やりたいなといつも思ってます。
吉田:大阪支店もありますよね。
藤田:大阪支店は大きくやってますけど、なにかだいたい東京でこと足りちゃうみたいなのがあるんですよね。渋谷が近くにあると池袋行かないみたいな、言い方は悪いですけど。関西ならではの特徴がほしいというか、集積効果というかね。
「この産業はだいたい関西に集まってるね。だから関西行かなくちゃ」みたいな感じで、やっぱりそういうもう少し新しい産業で、大阪でも神戸でもいいんですけど、なにか特色があって、それの仕事をするためにこっちに来るというふうにしていけたらいいんじゃないかなと僕は思ってます。
吉田:ありがとうございます。
三木谷:アメリカを見れば、もともとシリコンバレーがあって、ニューヨークがシリコンアレーという名前で、別のITセンターを作ろうとして。
ボストン、テキサスのオースティンとか、それからコロラドも最近いろんな意味ですごくIT企業が集積してきています。日本は東京一極集中化じゃなくって、やはり大阪もこれからITハブとして可能性はあると思うんですね。
京都も、任天堂さんもありますし、京セラもあるし、大阪も当然パナソニックがあっていろんな会社があって、神戸にも会社がある。ただ、そういう大きな会社と、それからいわゆるスタートアップの間が空いてるなって感じがしてるんですよね。
成長していく企業をもっとどんどん作り出していく必要があると思っていまして、そのためにはやはり府なり県なり、市なりがさまざまなかたちで支援をしていく、プラットフォームを整えるということが必要で。
今日も神戸の久元(喜造)市長がこちらにいらして、懇談会をしてくださったわけですけれど、これから我々としては関西のスタートアップ、あるいは新しい企業がどんどん発展していけるような努力をしていきたいということで、むしろみなさんのほうからいろんな意見を吸い上げて、(政府に)働きかけていきたいなと思ってます。
吉田:ありがとうございます。最後に、藤田さんから「目線の高い人につくとどんどん目線が上がる」というような話がありましたが、ぜひ、今回関西サミットをきっかけに、関西の起業家で、あるいは経営者のみなさんでしっかり集まって、目線をお互い上げていければなと思っております。本日はありがとうございました。
(会場拍手)
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