2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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小崎亜依子氏:暗い話の次は、明るい話です。「女性こそリーダーに向いている」、これは、たぶんギンカさんが日本のみなさんに一番伝えたかった内容だと思います。
現在、リーダーシップの世界では「交換型リーダーシップ」と「変革型リーダーシップ」、こんな区分けが主流のようです。
交換型リーダーシップというのは、その名のとおり報酬と服従を交換する、従来型のアメとムチ型のリーダーシップなんです。
一方で、変革型リーダーシップというのは、みなさんをモチベートして率いていくリーダーシップのことで、ビジネスの環境が複雑になっている最近では、こちらじゃないとイノベーションを起こせないと、リーダーシップの世界では言われています。
アメとムチ型のリーダーシップは、右肩上がりの時代には非常に効率的に働いたんですけれど、部下をずっと見ていなきゃいけないわけですよね。その人をずっと監視していなきゃいけないので、最近では「非常に無駄がある」と言われています。
リーダーシップの世界では、変革型リーダーシップにかなり注目が集まっており、この変革型リーダーシップに必要な資質というのは、4つあると言われています。
4つとは、信頼、モチベーション、刺激、コーチング。信頼される人で、人々にモチベーションを与え、コーチングし、いろんな意見、いろんな創意工夫を促すような存在。このような4つが、変革型リーダーに必要な資質です。
これが非常に勇気づけられるデータなんですけれど、変革型リーダーシップに必要な資質、それから交換型リーダーシップに必要な資質。女性と男性、どっちが得意ですかということを分析したデータです。この数値は統計的なものなので、プラスが多ければ女性の方が得意。マイナスが多ければ男性の方が得意、と思っていただければと思います。
変革型リーダーシップの4要素って、実は女性のほうが得意というデータなんです。「日本の女性、もっともっとリーダーシップ発揮しましょうよ」「世の中、イノベーションを起こせるのは、女性のほうなんですよ」とギンカさんは言っているのです。
とくにコーチングに秀でているということは、私の実感からしてもそのとおりだなと思います。人を励ましたりするのは女性のほうが得意で、人を怒ったりするのって男性のほうが得意な印象です。
じゃあ、どうやってリーダーシップを築いていくのか。小安さんの話でもオーセンティック・リーダーシップの話がありましたが、どうしたらいいのかということなんですけれど、いくつかキーワードがあります。
1点目、オーセンティック。これは、真正、まがい物ではない、自分らしいということを意味していますので、誰かを真似する必要はぜんぜんありません。
冒頭の無意識バイアスの話にあったような、世の中みんなが考える典型的なリーダー、野心的で、競争心があって、自立心と自信に満ちあふれ、積極的に自己主張あふれる。なんとなくリーダーというと、そんな人物を思い浮かべると思うんですけれど、そんな人を真似る必要はぜんぜんないんです。
むしろ、そんな真似をすることは、リーダーシップにとってはマイナスです。自分らしくないとみんながみなす人に、人はついていかないからです。
誰かの真似をすることは、イコール仮面をつけること。いつわりの自分を作ることで、人々がリーダー、フォロワーの人がリーダーについていくのは、その人を信頼して共感するからなので、「あの人、なんか自分らしくないな」と思ったら、人はついていかないんですね。むしろ、逆効果ということなんです。
それから、非常に大切なこと、自分らしさを大切にすること。小安さんのお話の最後のほうにあったとおり、これまでの経験を振り返り、自分が社会でなにをすべきか見出す。このプロセスは本当に大変かと思います。
私たちは、この本を書くとき、自分らしいリーダーシップ、オーセンティック・リーダーシップってどういうことなのかが、最初は本当によくわからなくて、自分らしさを大切にするって、つまり、ありのままの自分でいいんじゃないか、最初はそんなふうに思ったんです。
ただ、ギンカさんに聞いていくと、ぜんぜんそういうことではなくて、自分らしいというのは、社会でなにをすべきか見出す、自分のビジョンとかミッション、そこは自分らしさにこだわる。それで、そのために自分を鍛えていく。そんなことなんですね。
なので、自分らしいリーダーシップというのは、安住の地位(comfort zone)にとどまることではない。「自分らしいんだから、私、このままでいいんだ」ということでは、ぜんぜんないんですね。むしろ、自分を鍛えていく。
この本の中でいくつか細かく書いていますけれど、自分を鍛えていくということは、自分の強み・弱みを認識して、自分を前進させていくこと。
こちら5つは人の性格を分析するビッグファイブというもので、心理学の世界では、ほぼ人の性格というのはこの5つの要素で、どれかの要素が高かったり低かったりする、この5つの組み合わせてできているということで、ほぼ合意されています。
5つの要素のうち、自分はどれに強くてどれに弱いのか。だいたい自分でわかると思うんですけれど、簡単に分析できる無料の質問表はWeb上にありますし、ギンカさんの本にも書いてあります。
結論としては、リーダーに向いている性格というものは、別にないんです。どんな性格もよい面悪い面があります。例えば、情緒安定性が高い場合は変化に強いというよい面もありますし、低い場合はスピード感があるというよい面もあります。
開放性が高い場合は、いわゆる感情豊かという面がありますし、低い場合は現実的という面もあります。
逆にすべて悪い面もあるんですね。例えば、外向性が高い場合、目立ちたがり屋と見られることもありますし、一方で、低い場合は冷淡と見られることもあります。
ですので、性格によい悪いとかはなくて、自分はどんな性格を持つ人間で、リーダーになるためになにを鍛えていかなければいけないのか、そこに向かって努力をする。
外向性が低いリーダーというのは実はけっこういるみたいです。私は非常にびっくりしたんですけれど、ヴァージン・アトランティック航空のリチャード・ブランソンさんは、実は内向的な人間のようです。
自分は内向的な人間なんだけれど、会社のビジョンを達成するために、いろんなところでパフォーマンスをする。本当にそれは嫌で嫌で仕方ないんだけれど、自分をトレーニングして、変な格好をしたり、おもしろい話をしたり。それはナチュラルにやったものではなくて、自分をトレーニングした結果である、と。
強みの部分はそのまま伸ばしていけばいいと思うんですけれど、リーダーシップを築いて、自分らしいビジョンを達成する上で、自分の弱点、弱みがなにかというのを認識して、それを克服するために自らを鍛えていくことが重要なんです。
最後に、ギンカさんがこちらの本を通じて、なにを言いたかったのかということを一言でまとめますと、こんなことなんじゃないかなと思います。
「自分らしいビジョンを達成するため、いい仕事をしていくために、自分らしいリーダーシップを築いていこう」ということです。
女性に「いい仕事、インパクトのある仕事をしていきたいですよね?」と言うと、みなさん「そうだよね」と言うんですけれど、「リーダーになりたいですか?」と言った途端に、「いやいや、やめてください」みたいなことが多いんです。
むしろ、リーダーになるとか、管理職になるということは手段であって、達成するべきはVisionとか、自分のWillなんだと思います。そこに向かって、自分を鍛えていこう。そんなすばらしいメッセージを、日本のみなさんに伝えている本かと思います。
私の話は以上です。ありがとうございました。
(会場拍手)
田中美和氏:小崎さん、ありがとうございました。無意識バイアスのお話は、ギンカ先生の著書を拝見すると、まざまざとデータで表れていて、ドキッといたしました。
「女性こそリーダーに向いているんだ」というギンカ先生のメッセージは、本当に私自身、励まされるものだったなと感じております。では、このあとは、パネルディスカッションに移りたいと思います。
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