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gCストーリー株式会社西坂勇人氏(全1記事)

「レッドオーシャンでは戦わない」介護、再生可能エネルギー市場に見る可能性

屋外広告・OOH(アウト・オブ・ホームメディア)のトータルソリューション事業およびWebプラットフォーム事業を展開する、gCストーリー株式会社・西坂勇人氏のインタビュー。西坂氏は、社名の変更に込められた思いや新しく始めた介護事業、健康経営を支援するヘルスサポート事業について語りました。※このログは(アマテラスの起業家対談)を転載したものに、ログミー編集部で見出し等を追加して作成しています。

社名変更に込められた思い

──2012年6月にインタビューさせていただいてから3年以上経過しましたが、社名が変わられたり、事業も看板事業以外にも拡大されています。その背景について教えていただけますか?

西坂勇人氏(以下、西坂):社名を変えたのは2013年です。最初に「サイン(看板)業界にイノベーションを起こす」という意味を込めて、サイベイトという名前を付けました。創業から数年は、看板という単一事業で安定した基盤を築くことに注力することを決意し、命名しています。

創業当初の市場分析から比べると、会社規模が大きくなり、看板業界における自分たちの5年後10年後にどのようなことが起こるのかが徐々に見えてきました。

5年10年の間に、看板業界で100億になっていくビジョンは見えたのですが、そのときに100億くらいの堅い会社を作るのか、もっと大きな可能性を見据えて展開していくのかということを考えたときに後者を取りたいと思いました。

なので、自分自身のやりたいことなど、大きな意味で違う展開に舵を切るぞということを社内に伝える意味もあり、“Growth for Contribution”(貢献の為の成長)の物語を作っていく、という意味を込めて「gCストーリー」に社名変更しました。

新たな介護事業の展開

──介護事業等の新規事業を始められていますが、事業展開についても教えてください。

西坂:2、3年前から舵をとって、優秀な社員を新規事業に回しました。事業部体制に変えて、1人を介護系事業のリーダーに配属しました。

僕自身の方向性としては、高齢者社福祉というかたちです。日本という国を考えたときに、一番大きな課題は、高齢者、労働人口が減るという問題です。

団塊ジュニアという世代も、団塊世代高齢化の当事者であったりするので、この問題をどう解決するかということで始めたのが介護事業です。私自身が看板よりもやりたいと思ったことから端を発しています。

3年前から高齢者問題を勉強して、1年間事業構想大学院大学に通いました。1年間通って、介護市場全体の仕組みを学んだのですが、やはり現実がわからなかったので、友人の介護系の経営者たちに協力いただき、実際にデイサービス形態の店舗をフランチャイズというかたちで東京と宮城県で運営することにしました。

その上で、店舗運営の経験をもとに、介護情報提供ポータル「マモリア」を立ち上げました。本サイトを起点に僕らの世代で社会問題となっている「介護離職」へのアプローチを行う構想です。

現在は、介護に携わる家族向けの情報提供ポータルと、企業向けに提供する介護離職防止関連サービスという二軸でのサービス提供を進めています。3年前から準備をしていて、なんとかここまで来ましたというのが介護事業です。

再生可能エネルギー事業に参入した理由

もう1つが、再生可能エネルギー事業です。うちの役員がエネルギー問題にすごく興味を持っていました。ほかにもエネルギー事業をやりたいという社員が2、3人いました。

ただ再生可能エネルギー事業も介護同様にゼロから始めるのは厳しいので、施工事業から横展開するようなかたちで行っています。できるとこから入っていくかたちですね。エネルギービジネスの売上は今期5000万円くらいで、来期3億くらいを予想しています。

──介護事業、再生可能エネルギー事業ともに成長市場ですが、競合も多く参入しています。どのように戦っていくのでしょうか?

西坂:どの仕事に関しても、あまり戦うような場所にはいかないようにしています。介護に関しても、団塊ジュニア向けに十分なプラットフォームを作って介護離職を解決したいという話って、聞かないじゃないですか。エネルギーも未成熟なソーラーカーポートという領域の施工に取り組んでいきます。

というのも、レッドオーシャンに行くというよりも、ブルーオーシャンに行きたいと思っているんです。

例えば、ソーラーカーポートをメーカーは今から売っていきたいと思うけど、それも施工が絶対必要です。企業がネットの世界で完結させると実はもう頭打ちみたいなところがあるじゃないですか。Iotのように、プラスαでリアルなところで展開していくときに、パートナーになるという可能性はあると思います。

最近でいうと、全国の電力会社さんが検診メーターをスマートメーターに変更していたりします。そのような手を動かさなければいけないという業務に関してはうちでは何でもできるので、看板に限らず施工というオペレーションの中で取りに行く。そこのオペレーションをいかに効率化していくかにフォーカスをしていこうと考えています。

──レッドオーシャンに入っていくというよりも自分たちが貢献できて、かつお客様がハッピーになるような市場を見つけてそこをやっていくということですよね。

業績不振のときに感じた組織力

──ここ3年で組織面、人材面で変化したことはありますか?

西坂:本当にここ2、3年はすごいチャレンジをしました。新規事業に振るとか、ここまで売上を支えたメインのお客さんが減ったりだとか、経営を立て直してみたりだとか、いろんな変化があったのですが、逆に組織的にすごく強くなっているのを感じます。

一般的には、売上と利益が伸びているときには求心力が強くて、業績が悪化してくると求心力が弱まってくるのが定石だと思います。

なのに売上が悪い中で、意外と過去最高な組織力になっているというか、みんなの力がまとまっている感じがしていて、組織として固まってきているというのが一番自分の中では良かったことだと思っています。

──組織力が強くなっていることを実感するのは、例えばどのような時ですか?

西坂:常日頃から感じています。例えば、うちは業績連動ボーナスなので、数字が悪いとボーナスがなくなったりするんですね。

減ったりなくなったりするときに、まったくモチベーション下がらずに、「自分たちのせいです」みたいな感じで言ってきたりとか、「今回業績悪くなったんで僕のボーナス減らして下さい」と申し出る社員がいたり。メンバーの当事者意識を非常に感じます。

gCストーリーの企業文化

──御社の経営理念を浸透するためにどのようなことをされていますか?

西坂:今までいろんなことを経験して、そのときに人間の心がどういうふうに動いていくのか、人間ってこう動くものなんだ、みんなが幸せになるってこういう状況だ、というのが自分の中でわかってきた気がしています。

役員から社員へ理念を伝えていき、理念が隅々まで伝播して全社共有の体制ができ上がっているということが一番大きいです。

──gCストーリーさんの企業文化醸成の仕組みはあるのでしょうか?

西坂:はい。僕自身の直接の研修を職務グレードや入社年次毎に毎月2回計20人程度を対象に行っています。理解の深さに応じて、パーソナルミッション(個人の志を明文化したもの)や思想の部分などをみんなに共有しています。

人にはそれぞれ自分なりの正当性、正義感があると思います。会社や仲間を批判する心と、そういう事に関係なく世の中の役に立ちたいと思う心など、ミックスされて人間の中にいろんな心が出てきます。

マネジメント層にも、メンバーの中にもそのような心が出てきます。そのような心をどうコントロールしてどのようにやっていけばいいのかという話を理論立てて話せるようになってきたと思います。

──研修によって社員の態度も変わってくると思いますが、その結果お客さんの対応やお客さんの質が変わったなど、変化はありましたか?

西坂:それに関しては課題かもしれないですね。まだまだ組織を強くする必要があると思います。今期の売上は厳しめですが、うちの会社は絶対潰れないんだろうなと思います。

給料ゼロでも働きます、という気持ちのこもった社員が多分一定数以上いるような気がしていて。そういう組織は強いですよね。

あとは日々、一生懸命頑張る。お客さんが多少意地悪で価格交渉してきたり、クレームが来ているときの社員の様子を見ていると、個々の社員が真っ正面で全部受け止めている。理念理解の純度を高めてきた結果です。

しかし、この純度の高さがビジネスに反映しきれていないイメージがあります。なので、今期はそこをどう変えられるかをすごく意識しています。そのために現場のメンバーをしっかり見るようにしています。

──gCストーリーさんの評価制度はとてもユニークで、その人が出した実績(売上や利益)に関係なく理念理解度だけで評価していましたがそれは変わっていないですか?

西坂:そうです。その本人が本気で身を投じているけど失敗したのか、心の中に何か志のようなものがあるのかないのかって、見えるじゃないですか。

志をしっかり持って仕事に取り組む人をちゃんと評価するという話です。志を持っていない人の業績が良かったとしても、ただ良かったって話ですよね。

gCストーリーに参画する魅力

──今後、注力していく取り組みはありますか?

西坂:高齢者福祉ですね。収益モデルはまだできていませんが、3年くらい準備してきたことで、少しずつ世の中の役に立てそうな気がしています。

人生の先輩たちが今後さまざまな問題で大変な目にあうかもしれないということを何とかしたい想いがあります。理念もマッチする事業じゃないですか。そこを骨にしていくところを一番頑張りたいと思っています。

gCストーリーという会社の名前は、それぞれ個人が自分のやりたいことを開花させてくストーリーをたくさん入れていきたいという想いが込められています。いろんな人が育って、一定のところまで育ったら自分の想いを事業というかたちで社会貢献に繋げていくことができればいい。そのように考えています。

──その想いを実現していくために、乗り越えるべき課題は何ですか?

西坂:志を持てる社員を育てたとしても、会社としてそれを大きく上回る成長ができていないことです。枠というか箱みたいなものができたので、これをちゃんと健全に伸ばし、スケールさせて、実績を伸ばしていくということをしっかりやる必要があるというのが今の課題ですね。

──今、gCストーリーに参画する魅力や御社にフィットしてきた人材像を教えて下さい。

西坂:理念共感を前提として、一定のスキルを持っていれば、それを活かす土台が揃っています。何かスキルはある中で、自分のやりたいことを形にしたい、もっと純粋な気持ちで働きたいという方はうちにすごくマッチします。周囲の純粋さに感動すると思いますよ。

また、圧倒的なスキルを持っていなくても、本当に能力が高ければ、それを伸ばしていく土壌はありますので、純粋さがあれば、すごく活躍できると思います。

フィットしている人でいうと、謙虚になれることですね。特性は別に何でもいいんですよ、実は。

現状で言うならば、新規事業など幅広くやっているので自分の可能性をどう広げるかが重要です。謙虚で純粋になりたくて、何かしらのスキルを持っていれば居場所は結構あります。純粋さ、そういうところを追求しています。なので年齢に拘りはぜんぜんありません。

──素敵なインタビューありがとうございました。

西坂:ありがとうございました。

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