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ログミーLIVE vol.1(全6記事)

給与100%保障の育休制度導入に迷いなし メルカリを支える「Go Bold」の精神

2016年2月25日、ログミーが初のトークイベント「ログミーLIVE」を開催。第1回目のテーマは「働き方」。後半のトークセッションでは、GitHubの堀江大輔氏、HatchCowork+KIDsの片山勇志氏、メルカリの掛川紗矢香氏がテーマに沿って“自由な働き方”について考えました。本パートでは、会場からの質問に答えます。リモートで働く場合にどう対面の価値を高めればいいのか? メルカリがmerci boxに踏み切れたのは儲かっているから? さまざまな質問が飛び出しました。

会っている時間の「密度」をどう高めるか

川原崎晋裕氏(以下、川原崎):それでは、もし会場からご質問があれば受け付けたいと思います。

質問者1:堀江さんにおうかがいしたいんですが、自分も今リモートを取り入れつつあるんですけれど、リモートだからこそ、対面の価値をどうやって高めるかがすごく重要だと思っているんです。限られた時間でしか人と会えないなかで、どうやって密度であったり、効果を高めているのか、取り組みをおうかがいしたいなと思います。

川原崎:すごい聞きたいですね、これ。

堀江大輔氏(以下、堀江):対面ってどういう感じで対面になるんですか? なにか決まってるんですか?

質問者1:会社のなかだったら一緒に働いているっていうことですかね。リモートというのが遠隔地で働いているということだと、直接会って同じ空間にいるということを「対面」という定義にさせてください。

堀江:1月にメルボルンに行ったんですよ。いろんなチームメートと一緒に集まりました。それで1週間働いたんですけど、そのとき、行く前にアジェンダとして「これは絶対にクリアしよう」「こういう会話は絶対にしましょう」と作ったものはクリアしたと思います。なので、仕事の面ではそういうのが大事なんです。

仕事面ではなんて言うんですかね。帯域が違うじゃないですか。チャットの帯域と、ビデオの帯域と、直接話す帯域って全然違う。まず準備することによって、実際に会った時になにを話したいかを決めたんですよね。それによって無駄な時間があまりない。

あとは、無駄な時間をいっぱい持つことなんですよ。仕事ばっかやってても意味がないので、必ず一緒にご飯いったり、夕方みんなで集まってどうでもいい会話をしたり、変な映画観たり。その両方を持つことは、すごく大事だと思います。

質問者1:じゃあ、その密度を高めることによって、一緒にいる時間のオフの時間を充実させられる?

堀江:はい。実際会ったことのないチームメンバーに会えて、いろいろあって。けっこうあるんですよ。入社して同じチームなのに半年くらい会わない人もいるので、そのときに、そういうふうに考えてちゃんと準備していくことによって、そのあとの交流の質がぜんぜん変わりますね。やはり時間を共有してお互い少し知り合うことによって、チャットとかの交流が全然変わります。

質問者1:ありがとうございます。

男性からの関心も高い「merci box」

川原崎:ほか、どなたかいらっしゃいますか? ちなみにmerci boxの反響はいかがですか? めちゃくちゃ応募増えたりとかありますか?

掛川紗矢香氏(以下、掛川):そうですね。ありがたいことに、けっこうご興味を持ってくださる方は増えてきていますね。

川原崎:やっぱり女性が多いんですか?

掛川:女性もありますけど、男性も多いですね。育児に参加したいけど参加できない男性って、けっこう多いのかなという印象を受けました。

川原崎:確かにそうですね。

掛川:出産後の8週間というのもそうですけど、それ以外の参観日に参加できるとか、迎えに行けるとか、そういうのも含めてご興味を持っていただけているのかなと思います。

川原崎:男性の需要にも応えられているということですよね。

掛川:そうですね。

信頼できるメンバーはどう探すのか

川原崎:ほかに質問者の方はいらっしゃいますか?

質問者2:堀江さんに質問なんですが……。

川原崎:堀江さん大人気(笑)。

質問者2:「信頼できるメンバーだから」というお話があったんですけれど、その「信頼できる」というのは、自発的な考え方だったり、マインドだったりという話だったと思うんですけど、そういう人を採用するときに測るものさし的なものは、なにかあったりするのか聞きたいです。

堀江:採用、難しいんですよ。やはり面接であったり質問とかを通して、けっこうその人の考え方を突っついていきますね。いま、サポートを採用しているなかで、面接が大きくわけて4ステップあるんですけど、最後の面接は6〜7人くらいと話してもらって、本当に「この人どんな考え方なのか?」「ほんとに一緒に仕事をしたいのかな?」というのを、すごく測りますね。一緒にランチ食べに行ったりとか、そういうこともして、情報を引き出そうとしますね。

あともうひとつ大きいのは、面接のプロセス以外で、これもちょっと危ないんですけどね。面接のプロセス以外でも、その人を知ることができる可能性あったら、どうしてもプラスになりますね。

たとえば、どこかのコミュニティであったり、昔の同僚であったり、なにかのイベントでのその人の働き方であったり、ほかの人との接し方を見たりだとか。そういうのもけっこう重要視していますね。

でも、実際に自発的な人をどうやって引っ張り出すかというと、絶対わかるときがあるんですよ。ダメな人は。たとえば、面接の最後の「どういう質問がありますか?」というときの内容であったり。ずっと無制限の有給休暇について聞いてきたりとか(笑)。

あるいは、どれくらい面接に対して準備してきているのかとか、そういうところで測っています。ただ、科学ではないので、最後はみんなで話し合って、どれくらいこの人と仕事したいかがあるかないかですね。

質問者2:ありがとうございます。

ソーシャルでのつながりも重視される時代

川原崎:その話で思い出したんですけど、うちはWantedlyさんで採用をやっているんですけど、Wantedlyさんって、つながりのある人が出てくるじゃないですか。僕は、すごくセカンドオピニオンを聞くんですね。

履歴書に書いてあることはもちろんちゃんと見るんですけれど、スタートアップって、自分のところにぜんぜん合わない社員を採っちゃうと、ホントに潰れるんですよ。会社が成り立たたなくなってしまうので、社長同士で「この人どうなの?」みたいなメッセージって、めちゃくちゃやってます。

そこで、基本的には「オススメだよ」って答えたいんですけど、相手も友達だし、変な人を採ってしまうと会社がつぶれてしまうので、やっぱり正直に言うケースが個人的に多かったりします。

なので、ソーシャルのつながりだったり、Wantedlyさんのような会社が出てきて、そういったところでの信頼の獲得も重要だなと思いました。

管理職がいきなり産休に入ったら

質問者3:メルカリさんに質問したいです。8ヶ月の妊娠でのお休みですが、あれを8ヶ月って決めたときに、たとえば管理職の人が妊娠したとして、8ヶ月の間の管理職の座に誰を入れるかとか、どういうふうに考えてMAX8ヶ月と決めたのかなと思いまして。

掛川:正直、そこまで深く考えて決めていないです(笑)。おっしゃる通り、管理職の人間がいきなりいなくなってどうするんだと、みなさん気になる方も多いと思いますが。

実は弊社も採用で苦労をしていないわけではないんですね。カルチャーフィットだったり、自発的なマインドだったり、ほかにもけっこう色々見ていまして、そういうところで入口を狭めているんですね。

なので、手前味噌ですけど、入った方は優秀な方が多いなと思っています。まだまだ若くても、上がいなくなったときに、そこに入れるような人材であって欲しいですし、あるべきだとも思っているので。逆にそういった若い人材を育てていって、ポジションにポンッと置くことができたらすごくいいことだと思いますね。

川原崎:どういうところが気になってそこを聞きたかったんですか?

質問者3:メルカリさんの先ほどの話を聞くと、やっぱりある程度の売上がないと、あそこまではできないなというのと。あそこを目指してベンチャーも上にあがらないといけないと思うんですけど。

たとえば、8ヶ月お休みをあげるよというのは、優秀な人を外部へ漏らさないための会社の囲い込みじゃないですけど。

掛川:おっしゃるとおりです。

質問者3:ですよね。それができない会社は、やっぱりベンチャーみたいな会社なので。優秀な人を離さないように8ヶ月給料を払うのはすごいことだと思いますけど、優秀な人がお休みの間に、それをバックアップするほかのスタッフも余分にいるよということが前提のお話ですよね。

そういう作りをしているということだから、それって儲からないと無理だなって話なんですけど(笑)。

掛川:そうですね。そこそこ流通額なども増えてきたというのもあって、いまのタイミングではあるんですけども。ただ、まだ規模として小さかったとしても優秀な人材を採りたいというところと、逃したくないというところで、やったんじゃないかなと思います。

「Go Bold」というのは当社の重要なキーワードになっていて、今回の制度もすごく「Go Bold」で、大胆に改革をしたと思っているので。そこはもちろん資金的な余裕ができてきたというところもあるんですけど。

やってみて、ダメだったらやめればいいという考え方も持っているので。今回のことも……まあ、あんまり大きい声でいうと怒られるんですけど(笑)。やってみて、あまりワークしないとか、いろいろ不具合がでれば、やめればいいんですよね。

そこはあまりこだわっていないというか、従業員にとってよりよい環境を整えることだけ考えているので。

川原崎:調達したお金って、ベンチャーの場合、人件費とCM打つくらいしか使い道がないから、人件費というのは大きな使い方ですよね。血迷って変なところに投資するよりは、人に投資するほうが圧倒的に効率がいい。

掛川:おっしゃるとおりです。そういった考えのもとでやっています。

質問者3:そうですね。

川原崎:納得いただけましたか?

質問者C:はい。

フリーランスをいかに活用するか

川原崎:ありがとうございます。では、最後にどうぞ。

質問者4:お話ありがとうございました。いまフリーランスで人事をしています。世論とか、制度だったり、ツールなどが整ってきているので、フリーランスで自由に働きたい方にとっては社会的に追い風になってきていると思うんですけども。そのなかで自然に増えてきちゃうフリーランスの人たちを、業務委託であったり、兼業とかを推奨して活用していくだったり、三者、どういうふうに考えているのかをおうかがいしたいなと思います。

川原崎:フリーランスの方をいかに活用するかどうか?

質問者4:そうですね。あと、場所も時間も自由に働きたいという方がけっこう増えているので、フリーランスを選ばれる方がそもそも多くなって来ると思うんです。そうなったときに会社として、フリーランスの方を、特にエンジニアの方を活用していきたいかとか、社員の兼業とか、ほかの会社へ参画することとかを推奨するかどうかというのを、良し悪しあると思うのですけど。

川原崎:では、堀江さんからどうぞ。

堀江:2つありまして、まず私は、もともとGitHubに入ったときはフリーランスでした。日本にGitHubがなかったので、業務委託というかたちで仕事をしていたのでフリーランスでした。言っていいのかな? アメリカ以外、全員そうでした。

ですけど、全員安心して働いてほしいという会社の考えもあったので、あちこちに支社を作って、全員正社員として仕事できるような環境を作りました。

それが1つで、もう1つはGitHub上のオープンソースのプロジェクトで、GitHubはいろんなエンジニアに出会います。そのなかで「この人と仕事したい」ということはよく起きます。

最初はフリーランスとして仕事したいという人も多いんですね。実際そういうエンジニアと仕事をします。今もたぶんいるかと思いますけど、ほとんどの人は途中で、「やはり正社員になりたい」と言い出して、その段階で採用プロセスに入りますね。

実際、日本にいるGitHub社員のなかで、日本の仕事をしていない人もいるんですね。ちょうどエンジニアやデザイナーがGitHubのプロジェクトで働いていて、正社員にならないかという話のときに日本にいたので、「じゃあ、日本のGitHubの社員になってください」ということも起きている。

あるいは、GitHubのない国でフリーランスとして働いていて、社員になりたいというので、「じゃあ、日本に引っ越してくれ」とか。日本がその人にとって、仕事をするのにちょうどいい場所だったり。ということで、フリーランスを基本的な路線としているわけではなくて、いい人と働くために、フリーランスが入口だったりする場合は、フリーランスの方と仕事をしてます。

メルカリが副業を推奨する理由

川原崎:では、掛川さん。

掛川:弊社は実はエンジニアもデザイナーもすべて自前でして、業務委託というのはしていないんですね。なぜなら「All For One」というバリューのもとでチームワークを重要視しているので。会社に集まって、みんなで会社の一員として働いていこうという理念があります。そういうところを考えると、業務委託は受けないという整理になるのかなと思います。

逆に、社員になっていただけるのであれば、副業は推奨しています。なぜ副業がOKなのかといいますと、優秀な方は短時間でも効率的に成果を出せるんですよね。でも会社の営業って、24時間やっているわけではないじゃないですか。なので、プライベートな時間を使って副業すると。

そういう方々って、実はうちでもけっこういて。「副業禁止規定」みたいなものって、優秀な才能を摘みとってしまっていると思うんですよね。でも、プライベートの時間で優秀な才能を活かして社会に貢献するのはすごく素晴らしいことだと思いますし、プライベートの充実へのサポートという意味でも、弊社は副業を推奨しています。

川原崎:片山さんは、フリーランスの方に一番近いのかなと思うんですが。

片山勇志氏(以下、片山):そうですね。フリーランスの方が会員にも数名いるので。基本的には長く続いている方たちは、すごくプロフェッショナルな気持ちでやっているので、求められているモノができるのであれば、それでいいと思うんです。

ちょっと話は変わりますが、、少し前に、フリーランスのお母さんたちでチームを組んでプロジェクトを受注してる人たちに会いました。フリーランスのお母さんたちがちゃんと成果物を提供するために、チームを組んで提供するという動きが最近出てきているんです。

エンジニアのお母さん集団とか、もしくはデータ入力などの事務作業とか。そういうことをやるお母さん組織が、ぽつぽつと出てきているので、彼女たちの持っている時間と、彼女たちの持っているスキルで、いいものを提供できてるのではないかと思います。

川原崎:ありがとうございます。では、こちらのほうでセッションを終わらせていただきます。3人の方、今日はどうもありがとうございました。

(会場拍手)

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