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日本企業が今、直面するグローバル展開への重要な挑戦 「グローバルキャリア」の考え方とは(全3記事)

グローバルキャリアは「うまくいかなくても当たり前」 石倉洋子氏が考える、世界で活躍する人がすぐに行動を起こせるわけ

テラドローン株式会社は、2016年の創業期からグローバル展開を行っている世界を代表する産業用ドローンサービスプロバイダーです。今回は、同社主催のセミナーの模様をお届けします。日本企業がグローバル市場で成功するためには、どのような戦略や人材育成が必要なのか、代表の徳重徹氏と初代デジタル監で「グローバルキャリア」の専門家である石倉洋子氏が議論しました。最終回の本記事では、これからグローバルに取り組もうと考えている人へのアドバイスや、参加者からの質問に対する回答などが語られました。

「私もグレートリセットして、世界3拠点計画やっちゃおう」

司会者:では、最後のテーマに移らせていただきます。お二人が今後グローバル展開について取り組もうと思っていることだったりとか、考えていることみたいなのを石倉さんのほうからお話しいただければと思います。

石倉洋子氏(以下、石倉):はい。私はグローバル展開というよりは、自分の生活をどうしようかということを考えていて、世界3拠点計画というので。

徳重徹氏(以下、徳重):3拠点というのはニューヨーク?

石倉:そう。

徳重:もう1つはどこですか?

石倉:もう1つはカナダと、それからそれからヨーロッパと、それからアジアも考えているんだけど。

徳重:3拠点じゃないじゃないですか(笑)。

石倉:3拠点じゃないんだけど、3拠点とちょっと言ってみたの。4拠点じゃ、なんとなくパッとしなかったんです。それで3拠点計画。

一時ね、なにしていいかわからない時があったんです。それで「どうするかな、私」と。その時に、「グレートリセット(現在における経済や社会を見直し、構築し直すという意味)」が流行ってね。全部壊しますと。

「そうか、私もグレートリセットして、世界3拠点計画やっちゃおう」と勝手に決めて。アメリカのニューヨークは好きなところだし、しょっちゅう行くから。カナダは散々行っていて、もうここ20何年間は、夏はあそこにいるんですよね。

それで、じゃあほかのところを探そうって、今まだ探しているんだけど、ヨーロッパもそれこそベルギーに行って「ここがいいのかな」とか、「ポルトガルのほうがいいのかな」とかね。それから、南半球も。

誰かが「南半球もあったらいいよね」と言うから「ああそうね」と。季節が逆だから。それでシドニーとニュージーランドに行ったんだけど、行ってみるとやっぱりわかるんです。「あんま気にいらないや」ということになって。

アジアのシンガポールとかインドネシアとかね、ああいうところも考えていないわけではないんですけど、まだ今検討中。検討中なんだけど、よくよく考えたら、私はなにをしたいからそこに行きたいのかわからなくて。Whatのほうがなくて、HowというかWhereから先に行っちゃったから。

行けばなにか見つかる可能性もある気はするんだけど、ちょっとそこは弱かったなと。

だから今はそれはあちこち探して、行ってみると実感としてわかるじゃない。ここは私に向いているか、良いところだけどちょっとおもしろくないよね、みたいな。コストが高いとかもあるから、今それを探している最中で、ここ1年半ぐらいはそればっかりやっている。だからあちこち行っているのはそのせいなんですよ。

突き抜けた新しい産業で、世界で圧倒的に突き抜ける会社を作る

司会者:なるほど、ありがとうございます。では最後、徳重さんはどういうふうに考えているのでしょうか?

徳重:そうですね、僕はテラドローンとして、空のインフラを日本だけではなくて海外で作っていく。すでに僕たちのベルギーの子会社が7ヶ国、空の航空管制を展開しています。

より広い国に展開していくというのもそうですし、先ほどのその突き抜けた新しい産業で、世界で圧倒的に突き抜ける会社を作るというのをより具現化していくことかなと思っています。

石倉:なんでベルギーなんですか?

徳重:それは買収したベルギーの会社がそこにあるからです。

石倉:そういうことか。でも最初にベルギーの会社に目をつけたからじゃないの?

徳重:それはね、僕がドローンの会社を日本で立ち上げて、最初の半年で3億円ぐらいの売上を作って。それから海外のイケてるスタートアップをぐるぐるぐるぐるずっと回ったんですよ。だからほとんどスタートアップを知っていて。

その時に僕らも航空管制やろうと思ったんだけど、先にやられちゃっていたんです。アメリカにあって、ベルギーにあって、UKにあったんですよ。その中で一番良い(ベルギーの)会社にシードで5億円出資したんです。

石倉:そうなんだ、なるほど。

徳重:別に小さいことをやってもしょうがないんで。

石倉:そうなんだ。いや私はベルギーはブリュッセルに行ったからね。コストも安いし、国際機関がたくさんあるから。おもしろいところかはちょっとよくわからないんだけど、ロジスティクスがすごく進んでるから、「じゃあ行ってみるか」みたいな感じで行ったんです。それと友達がいるからというどうでもいいような理由で行ったので、なぜベルギーなのかな、と聞いちゃいました。

グローバルキャリアを築く「まあやってみるか」の精神

司会者:ありがとうございました。では最後、今回グローバルキャリアに興味・関心がある方が多くご参加いただいていると思いますので、お二人から一言、グローバルキャリアを進めていく上で大事なことやメッセージがあればお願いできればと思います。では石倉さんのほうからよろしくお願いします。

石倉:常に好奇心を持つ。常にすぐ行動に移す。グローバルってそんな大した話じゃないんで「まぁやってみるか」というのと、私がわりと大事だと思うのが体力。体力がないと、世界でやるのはけっこう大変なんです。

私は最近それを感じていて、いろいろ運動しているんだけど、だんだん体力が落ちてきて大変になっています。長い間やっていないとダメなんで、若い時からずっとやっていることがすごい大事ですね。

それからコミュニケーションの力は必要です。英語はどうだということよりも、どんな人とでもちゃんとした話ができるということが大事なのかなという気はしますね。

司会者:ありがとうございます。徳重さんはいかがでしょうか?

徳重:僕はとにかく難しく考えずにとにかくやってみましょうという、Just do it ということだと思います。それに尽きます。

グローバルと日本のビジネス「差異」を知ること

司会者:ありがとうございます。ではQ&Aのほうに移らせていただければと思います。

「ちゃんと作らないといけない理由があるとして、過去の壊れないサポートが良い製品やサービスに慣れてしまい、日本の顧客やユーザーが細かくなっているという点があるのかな? と思っています。この点は日本人の意識が変わる必要があると思いますか」というところなんですけれども。

徳重:日本人の意識が変わるというか、要はビジネスをグローバルにしようとすると、それだけ差異があるということをわからなきゃいけないんですね。プロダクトとマーケットとお客がそこまで違うという中で、どうやるかというところもあるし。

僕はよく、60パーセントOKだったらGOって言っているんだよね。だけどその60パーセントというデータを見た時、アメリカ人は70パーセントでいけると思うんです。東南アジアの人だと80パーセントでいける。それぐらい差分があるわけ。

僕らからしたら「80パーセントも可能性があるのに、なんでやらないの?」みたいな。それを知った上でどうするかだと思います。

石倉:それはありますよね。だからなんでもちゃんとしていないとダメという(思い込み)はすごくある。果物でも野菜でも、きれいじゃないとダメですよとか。今食品ロス問題が流行っているから、なんでもかんでも使えるんだけど、今まではそういうところじゃなかったから。

だからそのあたり「日本はちょっと違うんだな」ということを見極めたら、経験したらいいと思います。

「うまくいかなくても当たり前」というマインド

司会者:ご質問いただきありがとうございました。事前に質問いただいたものを質問させていただければと思います。

「グローバルキャリアを考える上でお二人が最初に意識していたこと」というところで、先ほどの質問にも似ているかなと思うんですけれども。

グローバルキャリアを進む上で悩みとかはいっぱい出てくるかなと思うんですけれども、もう少し背中を押してもらえるような感じで、自分が意識していたポイントみたいなところがなにかもしあればお答えいただけますでしょうか?

石倉:「うまくいかなくても当たり前」というマインドはすごく大事で、計画どおりにやろうと思わないほうがいいんですよね。なんでもかんでも計画どおりに進まないと気分が悪くて、落ち込んじゃうみたいな。そんな必要はぜんぜんないわけで、だいたいうまくいかないのが普通だから、じゃあそこでどう切り替えてまたやるかという。

なんでもそうだと思うのよね。毎日やったほうがいいという話がたくさんあるんだけど、多くの人は1日でも2日でもできないと、それでもう「あっ、私はダメなんだ」みたいになっちゃう。でも、そんな必要ないでしょ。またやり出すというのがすごく大事だと思います。

司会者:徳重さん、いかがでしょう。

徳重:そうですね、今日参加されている方は若い方も多いかなと思うんですけど、旅行でもなんでもいいと思うんですけど、とにかく1回まったく違うなと思うところ(に行ってください)。

最近海外旅行も減っているらしいんですけど、イスラエルでもいいし、インドとかもまさにそうだし、場合によってはブラジルとかに行ってみると、たぶんなにか感じることがあると思うんですよ。またそこからなにか考えればいいんじゃないかな。

石倉:それはありますよね。さっきも言ったように現代は情報過多だから、みんな知っていると思い込んでいるんだけど、行ってみたら「なにこれ」ということがたくさんあって、その「なにこれ」が大事で。「思っていたのと違うのね」というのを実感として持つ。そのために旅に行くという。

いろんなところに行ったり、いろんな分野の人と付き合うのは、私はすごく大事だと思います。そうするとぜんぜん違うことを言ってくるわけで、「えっ、こういうふうに考えるのこの人たちは」みたいな。

徳重:特に今は、まったく違うようなところに行ってみると、いろんな意味でいいんじゃないでしょうか。

司会者:なるほど、ありがとうございます。

すぐに行動に移せたのは、あまり考えすぎなかったから

司会者:もう1問だけご質問させていただきます。石倉さん自身は海外に行かれて大学の博士号も取られたりとか、ハーバードも行かれたりしていて。徳重さんに関しても、シリコンバレーに行ったりしているんですけど、そもそもなぜお二人がすぐ行動ができたかという理由が、なにかもしあれば、たぶんみなさんのお役に立つ情報かなと思いますので。

石倉:あまり考えすぎなかったから。すごく深く考えちゃうと、「ダメかな」とか「本当にうまくいくかな」とか思っちゃうじゃないですか。考えれば考えるほど、ダメな可能性が大きくなっちゃうのね。だからそういうことを考える前に、なにか手を動かしちゃおうというか、もう「やります」とか「行きます」とかって言ってやるというのが、私はコツだと思うんですよね。

司会者:とりあえずチケットを買ってみるとか。

石倉:そうそう、それで予約しちゃうとか。そうすると「もう予約しちゃったし、チケットも買っちゃったから行かないわけにいかないよね」と。それをひっくり返すのが大変だからね、ということはあると思うんですね。

司会者:なるほど、ありがとうございます。徳重さんはいかがでしょうか?

徳重:僕は大企業を辞める時に、自分で考えて「とにかくシリコンバレーに行きたい」って、それだけだったんですよね。僕はエンジニアでもなかったから、もう行く方向としてはMBAしかない。

それでトライはしたんです。バークレー(カリフォルニア大学バークレー校)ぐらいは通るかなと思ったんだけど、バークレーも落ちちゃって、しょうがなくアリゾナでサンダーバードというかたちになって。僕の中ではそれもいい経験で、そうなったらもうMBAとかは正直どうでもよくて。僕の中では1ヶ月半ぐらいへこんでましたけど、もうリベンジ戦なんですよね。

アメリカに行くということは、「とにかくシリコンバレーに行かないと俺の人生は始まらない」ぐらい。人生を1回ゼロにしたわけじゃないですか、「それで行く」と言って格好つけて行ったのに通らないわけですよ。もうかっこ悪すぎるんですね。だから自分は1回死んだみたいな感じで、そこからとにかく(がんばりました)。

たまたまシリコンバレーでインターンをやる機会があって、そこからステップアップして、仕事をして、ベンチャーに行ってみたいのがあるので。それこそ計画どおりになっていないわけですよ。だけど当初の気持ちだけはあった。計画は曲がっていったんだけど、最終的にたどり着けたところがあるんです。

石倉:そうですね。だから私も最初にビジネススクールに行こうと思った時には有名ないいところにぜんぜん入れなかった。

徳重:そうなんですか(笑)。

石倉:うん。ぜんぜん有名なところじゃなくって誰も知らなかった。それから子どもの時から留学したかったから、留学生試験とかたくさん受けたんだけど、全部落ちたのね。「どうなんだ、これは」みたいな感じで、それで探して行った。挫折はするんだけど、でもそれで深く考えていてもしょうがないから。

司会者:確かにそうですね。グローバルキャリアを難しそうに捉えられていますけど、勇気や覚悟があれば誰でも叶えられる道といいますか、そんなに難しくないように考えていけば道は開けるかなというところですかね。ありがとうございます。

では本日の対談は以上となりますので、本日はご清聴いただきありがとうございました。

徳重:ありがとうございます。

石倉:ありがとうございました。

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