2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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河上純二氏(以下、河上):今後、百貨店のその場所(買取ご相談窓口)は、またもうちょっと増えていく流れはあるの?
青木康時氏(以下、青木):そうです、そうです。もちろんそういう計画もしていますし。ただ、闇雲に店舗を広げて、結局固定費が重くなって、そのコストを吸収するために買い叩かなきゃいけないとなると、これもまた本末転倒なので。
河上:そうか。
青木:だから結局、中古事業で難しいのが、固定費が重いとか、あとは在庫リスクが重いとか。それによって、本は10円でしか買えないというようなことが起こりがちなんですよね。これは別に暴利を貪っているわけじゃなくて、そうせざるを得ないので。なので、そこにお金をかけないで運営する方法を見つけないといけないんですよね。
河上:なるほど。
青木:効率的な場所というのは、どんどん広げていくべきだし。
河上:今は新宿の伊勢丹と、あと三越はどこに?
青木:銀座。
河上:銀座。一番フラッグシップ的な店に入っていると言えるよね。
青木:そうです。
河上:どうですか? まず(百貨店に)入ってみて。ここ数ヶ月。
青木:いや、でもまだ1ヶ月前です。
河上:まだ1ヶ月。
青木:でも、すごくいいのが、結局僕らはネットのサービスじゃないですか。そうすると、スマホに触れる人やPCに触れる人がお客さんなので。20代半ばから、ラグジュアリーだと55歳ぐらいまでがユーザーの層になりがちです。でも、本当にこのバブル期からずっと物を買っていらっしゃった方とか、百貨店のお客さんとか、外商の方でいうと、もっとそのアッパーの層はいらっしゃるんですよね。ここはネットでは触れないわけですよ。
そういうところに、実店舗だと、ようやく「2年前からやってたの? 知らなかったわ」ということで、知っていただけたりするので。そこですごくいいお客さんに出会えるというのは発見ですね。
河上:RECLO的には、フラッグシップみたいな意味合いも強いよね。また、ふだん届いていないところへのPR。
青木:そうです、そうです。
河上:役割ですよね。
青木:そうやって新しい場面を作っていくと、結局、生活動線の中で要らないものってあんまり意識しないはずなんですよ。要らないということに気づいてないので、捨てていないということだと思うんです。ただ、ついでに行ったところで(買取が)できるとか、いつも使っているサイトでできるとか、そういう場面が増えていったほうが、やはり物の循環は滑らかになってくるんじゃないかなと思っています。
河上:なるほどね。
青木:そこの起点になりたいというのがすごくありますね。
河上:なるほどね。ちょっとユーザーの話をするんだけど、やっぱり女性が大半?
青木:そうです。女性の方が7割ぐらい。
河上:7割くらい。それで男性が3割? やっぱり高級品が多いから、年代的には30歳から40歳くらい?
青木:おっしゃるとおり。
河上:あ〜やっぱりそうか。
青木:20代半ばから、30代、40代がやっぱり一番高い山ですね。
河上:なるほど。都心に寄っているの?
青木:いやそれがですね、意外ともう人口分布図そのまんまで。
河上:そういう感じなんだ。
青木:やっぱり地方の方でもなんとなく……僕は岐阜の出身ですけど、名古屋へ出かけて、名古屋の百貨店で物を買うようなことに、高校生とかでも憧れるわけじゃないですか。
河上:なるほど、なるほど。
青木:だから、そういった意味では意外と(要らなくなった売りたいものを)持っていらっしゃるし。そういう人のほうが、たぶん生活の中にそういう買取をしてくれる場面がないので。そうすると、けっこうネットを利用される方が多いですね。
河上:なるほどね。俺の家にあるものでも売れるものあるのかな〜?
青木:あるんじゃないですか?
磯村:テディベア?
河上:テディベア?
青木:テディベア(笑)?
河上:ブランド品じゃないじゃない。
(一同笑)
河上:モンクレーのダウンとかあったんだけどね。初期のモンクレー。
青木:すごい売れますよ。モンクレー。
河上:売れる? フリーマーケットで1,500円で売っちゃったよ。
(一同笑)
及川真一朗氏(以下、及川):1,500円は安いんじゃないですか?
河上:でも、初期の初期だからね〜。どういう価値基準なのか、そのリサイクル業界はわからないけど、こういうものがあることもよくわからなかったし。
青木:結局、僕らは、お客さんの物の売値も伝えるんですよ。通常は買取屋さんって、買値しか言わないじゃないですか。
河上:そうだね。
青木:粗利がばれたくないので。でも、「これは20,000円で売れるから、あなたには13,000円払えます」というコミュニケーションにするので、そうすると、なんだかちょっとクリーンでヘルシーじゃないですか。
河上:めちゃめちゃ優しいね。
青木:「そのうち手数料がこれで」というものがちゃんと明示されるから、何となく信頼関係として。
河上:すごいいいね〜!
青木:嘘つかないというのが何となく見えてるので。
河上:あら〜。人柄?
青木:たぶん、そう。
(一同笑)
そんなことないです。
河上:だってめちゃくちゃ良心的じゃない、それって。
青木:もうスマホの時代なので。
河上:そうか。
青木:例えば、メルカリもそうですし、いろんなサービスで、もう売れる値段ってみなさんも知っていらっしゃるじゃないですか。つまり、自分で調べればわかるんですよね。
河上:そっか、隠してももう。
青木:隠せないので、そこをブラックボックスにしようとしても、もはやなかなか難しいんじゃないかなと最初に思ったんです。それだったら、もうあけすけに全部見せながらやったほうが、なんとなく「それでダメだったら仕方ないわ」という感じになりやすいかなと。
河上:なるほどね。ちょっとグローバルの話とか、中国の話を聞きたいんだけれど。中国も同じようなかたちでやってるの? 今、中国ってどういうふうにやっているの?
青木:日本のお客さんから預かった物を、中国にも越境ECというかたちで(販売しています)。1年半ぐらい前からやりはじめたんですけれど。ちょうど半年とか、10ヶ月前ぐらいから急に、一気に越境ECで売れはじめまして。今は、会社の売上のうちのもう40パーセントぐらいが海外の売上げです。
河上:ウソっ! ええ〜!
青木:ほぼ中国になっています。
河上:マジで!?
青木:はい。これはけっこうもうバク伸びしているような(笑)、感じです。
河上:それはなぜ? 中国人がブランド好きで、中国で手に入りにくいから?
青木:もちろん、もともと富裕層も多いですし、10年ぐらい前から豊かになっているので、物はいっぱい買っているんですけど、彼らは中古品自体は5年前まで大嫌いだったんですよ、たぶん。中古車すら5年前までは売れていないんですね。
河上:なるほどね。
青木:なぜなら、「新品じゃないと恥ずかしい」とかいうことがあったので。メンツの国じゃないですか。そういうところがあったんですけれども、急にシェアサイクルとか、いろんなかたちで合理的な概念が入ってきて。そもそも自分で使うものだったら、こっちの方がいいやというものがあったし。あとは、上流層が育ってくると中間の層が育つじゃないですか。ベンツに乗りたいけど、400万円ぐらいで手に入れたいみたいな。
河上:そういうニーズが出てきた。
青木:そういう感覚が出てきたときに、その辺の自分で使うものだったら、というのがはまって。確か4~5年前に、(旅行に来た中国人の方の)爆買いのときに日本の中古ブランドがむちゃくちゃ売れたんですよ。これを今度、越境ECで買えるようになってきたタイミングで、たまたま僕らのアイテムは日本人が使って、日本人が目利きしているので、この価値は安心だ、というような。
メイドイン(ジャパン)じゃないのに、ジャパンクオリティというものが妙に刺さって。(中国の)現地にいるプレイヤーもいろんな方がいらっしゃるんですけど、ちょっとインチキっぽい人とか、(きちんとした鑑定などを)やったことがないけど(買取を)やっている人とかやっぱりいらっしゃるので、ジャパンクオリティがすごく刺さっています。
河上:なるほど。
青木:今はたまたま僕らがネットでそこの数字を作れていると言うのは、すごくチャンスですよね。
河上:なるほどね。具体的にその中国の越境のやり方としては、中国のECサイトというか、そういうところに掲載していく感じの流れ?
青木:そうです。いくつかパターンがあって、向こうのタオバオとか、アリババみたいなモールに入っていくというのもありますし。
河上:出店するということ?
青木:そうです、そうです。あとは向こうで元気なeコマース。会員を持っていて、マーケティングも成功しているところに、我々の商品を供給して、在庫連携させて、今の中古ブランドコーナーを作ってもらうということもありますし。あとは自社のRECLOの.CNという自社のサイトからやったりするんですけど。この一番最後の自社サイトって、マーケティングが大変じゃないですか。
もうウェイシンだ、ウェイボーだというので、お金をかけて。お金で戦うと、絶対に勝てないんですよ。持っている財布の厚みがぜんぜんちがうので、向こう(中国)が中途半端に遊びでやる金額と、僕らが本気で掛ける金額が圧倒的に負けるんですよ。だから、それではもうマーケティングでは戦わないというのは今の戦術にしていて。向こうの成功しているところに乗っかるというようなものが、けっこううまくいってる感じですかね。
河上:なるほどね。でも、それはいい発信ができたね。だって、売上の割合が40パーセントまで来ているんだよ。
青木:すごい。本当に。まだ伸びしろとしてはもっともっとあるので。
河上:今は中国だけ?
青木:いやいや、東南アジアもやっていますし。世界200ヶ国に同時で併売しているんですよ。
河上:あっ、そうなの!?
青木:ただ僕が「バックが要らない」と言って出品すると、1週間後ぐらいには、世界200ヶ国で200ドルで売れたり、日本で2万円で売れたり、1,000何百元で中国で売れたりというふうになって、どこかの国の誰かがほしいとカートに入れると、全部ソールドになるような仕組みなので。
河上:へえ! そうなんだ〜。
青木:その国へ嫁いでいくわけですよ。
及川:ちなみに供給の部分はどうやってるんですか? それだけ売れる先が多いわけですからね。
青木:どうしても万年モノ不足になりがちなので。
河上:ですよね〜。
青木:自社のマーケティングだけだと、物集めもすごく難しいので、例えば三越伊勢丹さんやセブン&アイさんや、BUYMAやいろんな提携先さんからの、その会員とお客さんの中古サービスをうちがOEMで担うようなかたちにしています。そうすると、そこのユーザーの不用品が、お金やそのグループのポイントになって、ぐるぐる回っていくという中古事業のOEMもやっていますよね。
河上:なるほど。
青木:そうすると、プロモーションのコストを使わずして、物自体は増やせるので、一番最適な場所に送るということができると。今、データなども使いはじめているんですけれども。さっきの純さんのあれじゃないですけど、モンクレーのダウンとか。あれって例えば、真夏にダウンが要らないから出そうとすると、どうしても物の価値の半分でしか売れないんです。
河上:そうだよね、そうだよね。
青木:今、夏なので、って。
河上:そうだね。
青木:でも、僕らはそれを(ネットで世界に)出していくと、それがニュージーランドで売れるんです。
河上:あぁそうか!
青木:最大価値で評価することができるんですよ。
河上:なるほどね。
青木:真冬にビーチサンダルをシンガポールで売るとか。
河上:は〜。そういうこと。
青木:シーズナリティを消せるので。
河上:おもしろいね〜!
青木:一番いい評価をしてあげられたりとか、あとはアービトラージ(裁定取引)ですよね。日本ではそんなに評価されていないけれど、中国では高いとか。
河上:今、これがブームになってます、みたいなね。
青木:このデザインはドバイでは流行ってます、みたいな。そういうことができると、その子を一番よく評価してくれる嫁がせ先を選べるので。
河上:今日一のおもしろさだと思う。おもしろいね、それ! おもしろくない〜? そうだよね。グローバルでネットワーキングできてるから、フローが。一番価値が高くなるところに卸してあげて、一番お客さんが一番喜ぶ金額で、嫁ぎ先を見つけてあげることができるってことだよね。素敵。
(一同笑)
青木:まさにそれにチャレンジしています。
河上:今の話聞いて、またすげー感度が上がった。それは素敵だよ。将来的にもすごくいいインフラじゃん。
青木:そうです、そうです。
河上:めちゃめちゃいいインフラ。
青木:必ず物には......。
河上:お金持ってたら投資したい。
及川:おせーよ(笑)。
青木:500円から受付......。
(一同笑)
及川:さすが! さすがですね(笑)。
河上:小口の小口みたいなね。
青木:任意参加ありますね。
(一同笑)
河上:それは素敵だね。本当にいいね。すごい素敵。
青木:そうすると、物の価値にはけっこう流行り廃りがやっぱりあったりとか、旬とかあるじゃないか。それを極力なくしていけると。
河上:そうだね〜。おもしろい。
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