2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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──そのほかに上場後、変えてきた取り組みはどんなものがありますか?
中村岳氏(以下、中村):KPI管理だと思います。それまでは、自分たち経営陣ではわかっていましたが、それが社員全体で共有され、それぞれの個人が追うべき目標値、数値が与えられていない状況でした。
そこでKPIを管理して、月ごとの目標値を見える化して全社員に明確化することで、それぞれの社員・グループがやるべきことを明確化し、成果に繋がったと思います。これができるようになったのも、2012年くらいかなと思います。
──今考えれば、こういった一連の経営改革はいつから始めればよかったと思いますか?
中村:人事制度は一番最初からやるべきとは考えていませんが、KPI管理などのマネジメント面は一番最初の方からやるべきだったと思います。もちろん知っていればというところですが(笑)。
──会社が上場し、役職がCTOから社長へと変化する中で、中村さんご自身が変わったと思うことは何ですか?
中村:上場や肩書きの変化に伴うものではありませんが、自分のやるべき仕事が実務寄りからマネジメント寄りになってきたと感じています。
創業当初CTOのときは、仕事の割合が30〜40パーセントがテクノロジー、30〜40パーセントがマーケティング、残り20パーセントくらいは戦略立案という感じでした。
その後テクノロジー部門を他人にすべて任せて自分は撤退し、マーケティングに専念したのちに再び他人に委譲するなど、自分の役割を変えていきました。
マネジメントする部分についても、自分の得意分野であったりそうでない分野であったり、はたまた海外だったりと、いろんな分野に関わってきたと実感しています。
また上場するにあたって、サービスを利用しているお客様に対しても真摯に向き合うだけでなく、株主のみなさまに対しても、達成可能な目標を提示しそれに向かって努力していくという姿勢を見せる必要があるということから、計画をきちんと立てるということも大きな役割として加わったと感じています。
──上場にあたり、M&Aやアライアンスの案件は増加しましたか?
中村:M&Aに関しては上場後に案件数がかなり増加しました。いい案件に巡り合うチャンスがあればやりたいとは思っています。アライアンスに関しては、より積極的に行いたいと考えています。
例えば2015年7月より三井物産と資本業務提携を行い、三井物産から1人出向していただき、そちらの知見を取り入れつつ法人営業・学校営業での売上増加を目指しています。三井物産は我々に投資することで注力分野である教育事業での機会増加が図れるというメリットがあると思います。
三井物産側も我々の事業、人、ビジョンに共感していただいており、一緒にやることで世の中が変わっていくことを期待しているようです。
──今後注力していきたいという取り組みがあれば教えて下さい。
中村:今後も「英語が話せるようになるプロダクト」作りに注力していきたいと考えています。現在取り組んでいる一例として「レアジョブ・スピーキングテスト」が挙げられます。
スピーキングテストを行い、レベルに応じたカリキュラムを与えレッスンすることでモチベーションを上げながら英語力を伸ばしていくことができます。
また日常英会話でしたりビジネスでしたり学生向けの学習でしたり、その他、ユーザーの目的、特性に合わせた教材をより充実させいくこともやっていければと考えています。
さらに英語力を伸ばしていくにはレッスンをするだけでなく、隙間時間にも学習していくことも大事だと考えています。
そのために単語・フレーズ、文法などを覚えるアプリの開発・提供にも力を入れています。そしてインプットした情報を、実際のレッスンで使いつつ、かつ外国人の先生と一緒になってグループワークなどリアルの場で実践し、ラーニングサイクルを回せるプロダクトの開発に力を入れていきたいと考えています。
──新しいサービスについて具体的に教えてもらえますか?
中村:隙間時間に行える学習サービスですと「瞬間英単語」というアプリがあります。名前の通り英単語をインプットするアプリでして、2週間で15万ダウンロードされるなど、好評をいただいています。このシリーズをいくつか出しているところです。
また、今年1月より「レアジョブ本気塾」というサービスも開始しました。これはオンラインとオフラインを掛け合わせたようなもので、モニターとして6万円で提供をしており、オンライン英会話のレッスンを行いつつ週1回2〜3時間リアルの場に来ていただいて、学習管理を行ったり、英語を実際に外国人と話す「実践」の機会を提供するというサービスになっています。
リアルの場では英語力のチェック、宿題の提示・提出、英語の勉強法のアドバイスなどを行うことになっています。コミットメントの高い人でなければ続けられない仕組みですが、3ヶ月続ければ最適な方法を提示して英語力を伸ばしていくことのできる「最速で英語力を伸ばす」ことを売りにしているサービスです。
このような取り組みを通じて英語力を伸ばしていけるようなサービスを我々としては真剣に追及しています。
──レアジョブさんのターゲット層についても教えてもらえますか?
中村:ターゲット層は拡大しているところです。従来我々がターゲットとしていたのは、自分なりの英語学習法を持っていてカリキュラムを自分で作れるような人でした。
例えばCNNやBBCのニュース記事を読みながらディスカッションを行う、フリーカンバセーションをワントピックで行う、英語の文章を作って添削する、というような内容を自分で作れる人でした。
ただ、そのようなユーザー様は限られているのが現状でした。そのため、自分ではどうやって勉強していけばいいのかわからないという人たちを取り込んでいくことが必要だと考えています。
そのような方にはサポートしながら英語力を伸ばしていけるサービスを提供したいと考えています。
そのサービスでは、登録後に日本人カウンセラーの方とSkypeで通話していただき、目標設定や効率的なレッスンの受け方などの学習相談をした後、体験レッスン・有料レッスンと段階的に受けていただきます。
そしてその後も、定期的に日本人カウンセラーと面談して、英語力の伸びや、今後の学習方針、あるいはお悩みなどを聞き、解決していきながら一緒に英語力を伸ばしていく。このようなサポート付きのサービスをより強化していきたいと考えています。
──「英語が話せるようになるプロダクト」作りという方針に向けて、解決すべき課題にはどのようなものがありますか?
中村:優先的に対応したいのは、講師や教材の質をいかにして高めていくかだと思います。それを解決するにあたっては人材が必要です。
例えば講師の質を維持するためには、日本人にとってどのような講師がいいのか、どのような質がいいのかというのを理解しつつ、フィリピンの講師陣をトレーニングできる人材が必要になっていきます。
そして講師4000人に対するトレーニング方法やチェック体制など、人対人だけでは足りない部分についてはシステムと絡ませてやっていけるような仕組みを作れる人材を育成する必要があると感じています。
4000人もの講師を教育するとなると、相当なシステムが必要になってきます。例えば小さいオフラインの英会話教室だったら、講師全員に目が届くので講師のクオリティは安定します。ただそういった教室が多店舗展開しようとすると、途端に質にばらつきが出てしまう。それは経営者の目が届かなくなってしまうというのが如実に現れた結果となってきます。
ただ我々はそのようなことを絶対にやってはならず、きちんと4000人の講師のレベルが高いという状況を作れるように仕組み化するというのが重要だと考えています。そこを日本とフィリピンをまたいでできる人材というのが重要になってきます。
──上場した“今”のレアジョブさんに参画する魅力を教えていただけないでしょうか。
中村:我々レアジョブで働くメリットとして、日本、フィリピン、ブラジルの3ヵ国の人々と一緒に働けることが魅力だと思います。
例えばフィリピンに常駐してフィリピン人たちをマネジメントする日本人もいますし、出張でフィリピンに行って一緒になってプロジェクトを回していく日本人もいます。
逆にフィリピンの方が来日して日本で働いて、働いたノウハウをフィリピンに持ち帰っていくということもあります。国内で閉じるだけでなく、日本とフィリピンとで一体となっていけるところが我々のおもしろいところです。
違う文化の人たちと一緒になって1つのものを作り上げていく、違った考えを持つ人を動かしていくのはすごく難しい。でもやりがいがある、というところが楽しいと考えています。
また我々は主体性を非常に重視しています。会社のためになる、お客様のためになる、サービスのためになる、というものを考え、どんどん発信し、どんどんいいものを作って、我々に還元してほしいと考えています。
自らこのようなことをやっていきたい、そうするとこんなメリットがありますよ、というようなことを論理的に考えて、行動できる人であれば我々の会社には向いていると思います。
そうすれば楽しく働きつつ、お客様にも喜んでもらえ、結果として日本人が英語を話せるようになり社会にも大きなインパクトを与えるような価値交換をしていくとができると考えています。逆に受け身な人だと、向いていないと思います。
──主体性を大事にしているということなので、若い方でも新しいことに積極的に取り組める環境があるということでしょうか?
中村:我々の会社には若いからどうかという考えはなく、むしろコミットメントとかいろんなことをどんどん率先してやれるかというのが重要だと思います。フィリピンに社員を送り込む場合でも、スキルかやる気、主体性があれば年齢関係なくやっていけます。
例えば大学4年の3月から入っている新卒の社員には、ブラジル事業をやるという話をしたところ、やりたいですということで入社し、1年目からブラジル事業に関わっています。
そしてブラジルで生活しながら、ポルトガル語を学びながら、英語で企業に対してアポを取って顧客を獲得しています。
新卒の社員では、他にもChattyというアプリを自ら企画しフィリピン人を巻き込んでやっている者もいます。このように新卒でもスキルややる気があれば十分に活躍できるような環境になっています。
──中途の幹部候補人材の方にとって、御社で働く魅力やメリットはどのようなものがありますか?
中村:第一の魅力としては、サービスそのものだと思っています。我々のサービスは日本人の英語力を向上させる、というものです。日本人にとって弱い部分ではあるものの、仕事で国際的に活躍していく上で重要な英語力。
これを本気になって上げていくサービスをきちんと提供することで、日本人の英語学習が変わり、自分たちのお子さんが大きくなり1000時間、2000時間と学習するにつれて英語が話せるようになっている時代を作れる。
こうした世の中を変えられるサービスを作れるというのが1つの魅力ではないかと思います。
2つめの魅力としては、日本・フィリピンを合わせたマネジメントができることです。我々のサービスの根幹は講師の方が良質なレッスンを提供するということにあります。
講師の質を上げていくには、日本人のニーズがわかっていなければならないですし、講師の採用やトレーニングを行うフィリピンの現地スタッフを教えたり動かしたりする必要があります。
その際にはフィリピンの考え方や文化的背景などをわかっていないとうまく動かせなかったりします。そのようなチャレンジングな環境が、やりたい方にとっては非常におもしろい環境ではないかと思います。我々のやり方は完璧なやり方だとはまったく思っていませんし、できていない部分だらけだと思います。
そのできていない部分をどんどん埋めてもらい、よりいいものを一緒になって作っていけるところが、幹部候補人材の方にとってはおもしろい職場になるのではないかと思います。
──中村社長、ありがとうございました。
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