2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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田中章雄氏(以下、田中):今回は、海外の注目企業のプレゼンテーションということで、これから日本と何らかの形で関わりを持ちたいと考えている、海外のベンチャー企業3社を招きました。彼らから、どんなビジネスをしているのか、日本との接点はどういうところかということを中心にお話しいただきたいと思います。
MamiLove(マミラブ)のアリスさん、Kamcord(ケムコード)のマットさん、Eyeota(アイオタ)からはケヴィンさんをお招きさせていただきました。
これから、それぞれのゲストに自己紹介をしていただきたいと思います。何をしているのか? 地域での共同ビジネスとしてどんなアイデアがあるのか? などを、簡単に紹介します。ケヴィンの話から伺ってみたいと思います。あなたは誰ですか?
ケヴィン・タン氏(以下、ケヴィン):私はアイオタの共同創業者です。オーディエンスデータを扱う会社で、世界中の顧客に関する最大規模のデータを持ち、デジタルでの広告配信などのために使用します。
田中:専門用語が多くて、なかなか理解するのが難しいですね(笑)。アリス、あなたはもう少しわかりやすく自己紹介してください。
アリス・チャン氏(以下、アリス):アキオさんのお願いどおり、自己紹介を簡単にさせていただきます。
田中:短く優しくで、お願いします。
アリス:私はエンジニアであり、最も大事なことは母親でもあります。親としての仕事は、非常に時間をとられてしまうものです。私が組織しているマミラブは、地域において人々が信頼して情報交換ができる場をWeb上に作っています。台湾に拠点を構えていますが、海外からの交流もしばしばあります。今後は台湾だけでなく、さらに海外に進出したいと思っています。
田中:アリス、ありがとう。マット、お願いします。
マット・ジッツマン氏(以下、マット):私はマットです。 ケムコードの共同創業者であり、CEOをしています。サンフランシスコでスタートアップの会社を始めました。ビデオゲームのセッションの録画は、現在さまざまなサイトで流されています。
こういった傾向は今非常に流行していて、YouTubeやニコニコ動画などでも映像が流されています。私たちは、このゲームの録画システムを携帯などのモバイルでもできるようにし、それを世界中に広めようと考えているのです。
田中:どうもありがとう。さあ、ではケヴィンの話から始めてみましょうか。一番難しいかもしれませんが、準備はいいでしょうか? ケヴィン、説明がとても難しいと思いますが、プレゼンテーションをお願いしてもいいでしょうか?
最も簡単な方法で、アイオタが今何に注目しているのか、なぜ私たちが共同で仕事をしていくべきなのか説明していただけますでしょうか?
ケヴィン:確かにデジタルの宣伝配信システムを説明するのは、非常に難しいことかもしれません。たくさん省略した言い方も出てきます。しかし、できるだけ簡単に説明できたらと思います。
アイオタはオーディエンスデータを扱っています。世界中の大規模なマーケットにおけるオーディエンスデータであり、初期にはヨーロッパ、そして現在はアジア太平洋地域にも拡大しています。
オーディエンスの個々の数としては、12億という巨大な数です。しかし、それぞれの地域のデータを扱うようにしています。
田中:つまり個人のデータを売り買いしているのですか?
ケヴィン:これはパブリッシャー(発行元)を通して行われており、消費者の許可も得た上で、プライバシーを隠してあるため、個人の特定はできません。私たちは情報を正当に扱っており、個々の情報であっても大きなグループに加えられていくのです。
田中:つまり、個人を特定する情報は入っていないということですね。
ケヴィン:外部の人には個人情報を特定できないようにしています。つまり、私は誰かの秘密を明らかにすることはないということです。
2010年に創業して、私以外に2人の共同創業者がいます。彼らとは以前からともに仕事を行っており、成功を収めています。私たちがカリフォルニアで始めたハダファイというスタートアップは、すでにアメリカの大規模なメディア企業に買収されました。
その会社の成長の過程で、「プログラム化されたデジタル発信の広告」が非常に成長の早い分野であり、オンラインでの広告の売買が流行となっているのに気がつきました。その広告の配信をより効果的に行うために、欠かせないのがオーディエンスデータとなります。
つまり、オーディエンスのデータが最も重要であり、私たちが開発したのは、そういったオーディエンスデータをより簡単に取り出し、取り扱いができるシステムです。それがデジタルでの広告配信に使用されます。
田中:「プログラム化された広告配信」が大事な言葉と言えるでしょうか。この「プログラム化された広告配信」について理解している人は、手を挙げていただけますか?
ああ、なるほど。本当にみなさんが理解しているか、確認しますね。(参加者に向かって)どういう意味か説明していただけますか?
参加者:プログラム化された広告配信は、リアルタイムでの情報交換によって行われます。それはパブリッシャーにとって広告の効果を最大限にするものであり、また購入者にとっても有益なものです。プログラム化されたということは自動式ということにもなります。
田中:1つの定義ですね。(別の参加者に向けて)こちらはどうですか?
参加者:プログラム化されたということは、どこにお金を使うべきか、つまり広告をどこに配信するかを自動で決めるシステムということです。購入者の興味のある分野における広告を配信することができますし、人ではなくコードを使って行うので、効率があがります。
田中:ケヴィン、この回答は1から10で評価するとどうですか?
ケヴィン:かなりよいと思います。
田中:スライドに戻ります。ケヴィンからも説明していただきたいと思います。手を挙げなかった人のためにも説明しますが、プログラム化されたということは、機械に組み込まれたシステムが広告の売り買いを自動で行うということです。人ではなくて、ということです。次のスライドですね。
ケヴィン:現在、プログラム化された広告が世界各地で広がっていますが、以前からのデジタル化された広告は、実はかなり人力に頼っている面がありました。多くの書類、時間、労力を必要としていました。
数千ものWebサイトを見て、メディアの企画をして、パブリッシャーに広告を買うように働きかけなくてはいけなかったのです。
しかし、コンピューター化して広告の売買を自動化することで、ストック(株)の自動での売り買いと同じように、すべてのシステムをより効率よくすることができます。広告がリアルタイムで配信されますし、その過程の中で、機械についていろいろと学ぶこともできます。
つまり、コンピューターに重労働をさせ、人間が企画や分析などのより高度な知能を要する分野に集中することができるのです。
田中:日本はこの分野では若干遅れていると思いますが、このプログラム化された広告配信は、日本以外の国ではすでにかなり広く使われているんですよね?
ケヴィン:そうですね、かなりのシェアを占めています。この分野の先進国である米国やイギリスでは、デジタルでの広告宣伝の50パーセント以上で、プログラム化された広告配信が使われています。
田中:プログラム化された広告配信がすでに主流となりつつあるのですね。
ケヴィン:納得だと思います。広告のエージェントや購入者にしてもずっと効果的ですしね。こちらのスライドをご覧ください。
近年行われた、世界のデジタルマーケットにおけるデータです。世界中で、プログラム化された広告配信システムに消費される額が、年ごとに増えているのがおわかりでしょうか? 2020年までに、46億ドルもの費用が、広告配信システムのために消費されると思われます。
広告のために投資された額が大半を占めていますが、25〜40パーセントほどはオーディエンスデータのために消費されています。時とともに傾向が変わりつつあり、以前は開発のために投資されたお金が大半でしたが、現在はオーディエンスデータの獲得のために使われるお金がより増えてきました。つまり、オーディエンス自体の価値が出てきているということです。
田中:日本は宣伝業界でのエージェントの数が、かなり密となっています。彼らは、職を失うことを心配するべきだと思いますか?
ケヴィン:日本の宣伝業界が心配する必要はあまりないと思います。プログラム化された広告配信システムがエージェントの仕事を助け、さらに宣伝の価値を高めていくと思います。ただ、以前よりもより効率的になるということです。
さらに、主要な宣伝業界のエージェントたちは、このプログラム化された宣伝システムを励行しており、ビジネスをより効率的に、しかもコストを抑えられるとすすめています。
田中:そうなることを期待しています。どうぞ続けてください。
ケヴィン:質の高いデータは、大規模のパブリッシャーによって売り出されます。登録や入会する際のデータなどです。パブリッシャーとして、例えばFacebook、YouTube、Twitter、LinkedIn、Yahoo、Googleなどです。
こういったパブリッシャーは、ユーザーの動向を1日に何回もいくつものデバイスから追っています。そうすることで、ユーザーが何をしているかすべて把握しているのです。こういった情報はビジネスにおいて非常に有用であり、役に立つため、ほとんど自社で管理されており、他のグループにそれらのオーディエンスデータが出回ることは、あまりありません。
何がオーディエンスデータなのでしょうか? それは、ある時点においてのインターネットの利用者の情報なのです。そのデータは、本当の人が実際にインターネット上で行っている行動のデータとなります。
例えば、CRMデータなどはかなり煩雑で、実際に何が起こっているのかはっきりとわかりません。私たちのデータはそれらを整理し、よりわかりやすくするため、メディア企画や広告の購入などを手助けします。
田中:どこからこういったデータが出てくるのでしょうか? ハッカーにデータを集めさせているのですか? もしくは、IRSにデータを集めさせているのですか?
ケヴィン:そんな方法で私たちが仕事をしているわけではありません(笑)。私たちは3万以上ものネット上のパブリッシャーと提携しており、テレコムやeコムサイト、プロダクトを比較するサイトなども含まれます。インターネット以外の情報も含まれ、そういった情報をオンラインのデータと比較したりもしています。
田中:オンライン情報やオフラインの情報も含まれるのですね。
ケヴィン:そうです。主な考えとしては、実際にターゲットとなりうる顧客層をできる限り探し当てることが、大事なポイントです。なので、さらにメディアにおけるデータ情報を探すことに尽力しています。
エージェントは、そのデータをメディアにおける企画のために使用します。つまりモバイルで、ターゲットとなる顧客層のデータをわかりやすく見せるのです。
つまりデータを引っ張り出し、集め、それを処理し、広告する側に理解しやすいようにセグメント化していきます。広告側と相談しながら、セグメント化された情報を示すためのプラットフォームを作り、モバイルやビデオなどを使って見やすくしています。
プラットフォーム上ではDSPEやDMPE、PMPEなどが使用されます。それらは広告配信において使われる技術用語ですが、今は世界75ヵ所に拠点を構えています。
つまり、オーディエンスデータは広告のターゲットとなりうる顧客層をより効果的に見つけて、メディアの企画や広告を売買する企業が消費するお金の価値を最大限に高めるのです。
オーディエンスデータは、アドテク(広告テクノロジー)のエンジンを加速させます。オーディエンスデータがインターネットにおいて、マーケティングの広告配信を支える土台となるのです。
田中:もし、アリスのような地域で母と子のためのサイトを作り出すビジネスをしている人が、あなたのシステムを使いたいとしたら、どうしたらいいのでしょうか?
ケヴィン:アリスには2つ選択肢があります。私たちは、消費者に関するデータがたくさんあります。アリスのサイトには、母と子供や家族に関するデータがあるでしょう。しかし、私たちのオーディエンスデータにはアリスのサイトのユーザーでない人たちのデータもあるでしょう。
田中:どういった情報になりますか?
ケヴィン:例えば、家族で休暇の時どこに旅行にいく人が多いか? どんな商品がより人気があるか? ある特定のお母さんたちのグループでは、ある特定のブランドの車が人気で、それはトヨタやレクサスなどです。
こういったデータを内容企画に使うこともできますが、それと同時にインターネットなどの広告でターゲットを絞って、顧客層を獲得することにも使用できます。
アリス:ぜひ、このプレゼンテーションの後で話せたらと思います。
ケヴィン:すばらしい!
田中:契約が1つ決まりそうですね。
ケヴィン:そうですね。それは宣伝する側としての話でしたが、アリスはパブリッシャーとして顧客層のデータを、こちらのマーケットに売ることもできます。私たちは他から入るデータなども使って、少しずつデータを追加していきます。
例えば、簡単な性別などのデータでもいいのですが、アリスは母親のデータやそれに赤ちゃんの数などのデータもありますね。そういったデータはマーケットで売れるのです。
アリスのサイトはおそらく中規模、もしくは大規模のオーディエンスのデータがあるでしょうが、そのようなサイトを追加していくことによって、データのサイズは10倍20倍となります。
簡単な個人の性別などの基本情報だけでも、宣伝業界ではデータの規模に従って情報の売り買いが行われるのです。こうしたことが、私たちの現代におけるプラットフォームの使用方法の1つとなります。
また、ブランド会社では、顧客が何度も戻ってくることが重要とされています。興味のない広告では、インターネットのサイトを見ている顧客たちはあまり注意を向けてはくれません。
オーディエンスのデータが画面でどう役に立つかというと、広告を適切な対象に、適切なタイミングで見せることができるということです。
広告が適切なタイミングで顧客にわたることによって、顧客は直接ブランド会社とより密な繋がりを持ち、ターゲットを絞った宣伝広告が可能となります。こういったオーディエンスのデータは、広告をより効率よく行き渡らせるために役立ちます。
田中:どのように役に立つのですか?
ケヴィン:私たちは、データを取り扱う会社です。私たちのデータをプラットフォームとして使うことによって、論理的に広告のターゲットとなりうるかどうかを判断して、広告を配信することができます。
もし、私が赤ちゃんのための商品を売りたいと仮定します。私がアリスのために仕事をしているとして、例えば、新しいベビーカーがその商品だとしましょう。しかし、あなたは男性であり、おそらく家族に赤ちゃんはいないでしょう。そのような人に広告を出しても、あまり役には立ちません。
ところが、アリスは小さなお子さんがいます。つまり、広告はアリスには興味があるものかもしれません。
田中:それはリアルタイムで決めることができる情報なのですか?
ケヴィン:広告のためのプラットフォームを使用すれば、広告配信の決断はリアルタイムで行うことができます。実は、私たちはきっかけを作るシステムも持っており、そのシステムを使えば、どのタイミングで広告を配信するかということも、リアルタイムで決められるのです。
質問者1:ケヴィン、好奇心からなのですが、現在Facebookは非常に人気があり、多くの人がアプリケーションをインストールしています。それはブランド会社やあなたにとっては、役に立つことになっているのでしょうか?
ケヴィン:前に述べたように、Facebookは世界で最大規模のデータを所有しています。その他、いくつかの会社がそうしたデータを所有し、外部には情報を出さないようにしています。
そして、それらの会社は自社の情報を使って、積極的に自分たちのビジネスを発展させています。Facebookは非常に興味深いサイトです。なぜなら他の企業に、どうやってオーディエンスのデータを使用して、マーケット上でビジネスを促進させるかという知識を広めているからです。
Facebookはオーディエンスのデータがあるばかりでなく、オフラインの情報をオンライン上にシェアしていくことができ、それは私たちのような企業も行っています。
Facebookは、もちろん私たちの将来のパートナーとして考えていますが、私たちのデータを大規模なパブリッシャーが購入することもあります。何よりも、Facebookはそういった知識を広めていることが重要であり、オーディエンスのデータがあるから成長しているといえます。
質問者1:先をどう見ますか? Facebookとの関係は将来どうなるのでしょうか?
ケヴィン:すでに4つか5つの大規模のパブリッシャーがあり、それらはオーディエンスデータを基盤に成長していると思います。さらに、アイオタなどの独立したデータを扱う企業がいくつか並んでいるといえるでしょう。
田中:先週、こういったニュースを見ました。ヤフーがFacebookに広告の数で負けてしまったと。Facebookにやられてしまいましたね。大規模のパブリッシャーの間でも競争が厳しいのでしょうね。
ケヴィン:もちろん、こういったオーディエンスのデータを持っていることはとても重要なことです。私たちは、パブリッシャーから個人の基本データを買っています。
例えば、性別、年齢、収入、趣味、どんな商品を購入しているか、旅行先の情報などです。そういった情報は、宣伝業界ではターゲットの獲得に非常に重要となります。
田中:わかりました。では先に進めましょう。
ケヴィン:インターネット上には、非常に多くの情報が含まれています。そういった情報は、まったく組織化されていません。私たちが目標としているのは、適切な宣伝広告を適切な対象者に、適切なタイミング、そして正しい環境で広めることなのです。
田中:つまりこういったデータは、すでにインターネット上に出回っているけれども、使うことができない状態である。それをアイオタが整理して、利用可能な形にして示してくれるということですね。
ケヴィン:そのとおりです。
田中:アイオタがしていることは、それなのですね。
ケヴィン:整理するというよりも、見せてはいけないプライバシーの部分を削除していると言えるでしょう。そうすることによって違法行為ではなく、法的に見合った正しい形でデータを使用することができるのです。
そして、データから個人特定情報を削除することによって、誰でもどこでも使用できるデータになるのです。
田中:そうすることで、世界中で使用可能なデータになるのですね。今は世界規模でいうと、どれくらいの数になるのですか?
ケヴィン:世界からの視点で見ますと、私たちは12億もの別個のデータを継続的に所有しています。多くのデータはヨーロッパやアジア、太平洋からきています。2億5000万のデータは、北米から得ています。
私たちが注目しているのは、インターネット上のプログラム化されたシステムがマーケットとして成長している地域です。プログラム化された宣伝システムのためのマーケットは北米で盛んですが、日本でも始まりつつあります。1億5000万ものデータは、日本からきています。
田中:もっと増加していくでしょうね。
ケヴィン:そう思います。USPとも提携していますが、それは地域に密着したデータだと言えるでしょう。地域のパブリッシャーや企業が、実際に何を必要としているのか、どのような過程を経て、商品を購入していくのかが大事なポイントです。そして、その地域での消費の動向などを調べるのです。
すべての人がアメリカ人ではありませんから、アメリカ人が購入するような考え方で商品を購入するわけではありません。そして、多くのデータがネット上に出回っています。地域の動向に注目したいと思っています。
ちょっとこちらを見てみましょう。これはプラットフォームの裏側にある情報です。ある特定の時間に、世界中にどれだけのプラットフォームがあり、それぞれにどのようなセグメントがあるのかを示しています。
アリスの場合でいうと、彼女のサイトでどれだけのセグメントがあり、どのようなデータが、私たちのプラットフォームにあるのかを、知ることができるのです。
そして、私たちは技術を適応してデータ収集のために使用し、マッピングを行い、データがどういったものにセグメントとして分けられるのか、どの期間でデータに価値があるのか、ビジネスとしてどのようにこのデータが使用可能かを考えます。
例えば、どのような人が車を購入しようと考えているかなどのデータです。このデータをキャンペーンと呼ばれるものに当てはめ、プラットフォームのDSPを使い、見やすいデータに変えていきます。どれくらいの期間、いくらでデータが使用可能か決めるのです。
田中:解像度が非常に悪くてスライドではあまり見えませんが、まずデータの基本情報からどういったターゲットかを絞り、その後キャンペーンが処理してくれるというものなのでしょうか。例えば、私が広告を特定のサイトで流したいとします。
ケヴィン:そうです。私たちのデータはサイトからも、プラットフォームからも独立しています。私たちのデータをネット上で集め、それをプラットフォームに組み込み、それが広告購入のシステムとして機能し、広告の自動的な売買が行われるのです。
田中:広告を買う側はターゲットとなる顧客層に集中することができ、そのデータ自体がどこにあるか自体はあまり心配しなくてもいいのですね。
ケヴィン:そうですね。ほとんどの広告の購入者は、私たちのプラットフォームを実際に見るわけではありません。それらは、Googleなどの他のパブリッシャーの裏側で働く存在となっているのです。
田中:すでにGoogleとも提携しているのですね。
ケヴィン:私たちは、今や72もの独立したプラットフォームと提携しています。データはそういったプラットフォームで使用可能です。
田中:すばらしいですね!
ケヴィン:そうですね。4年半の間に、私たちはプログラム化の拡大にともなって、大きな成長を遂げています。ここ2年では世界中への進出も遂げ、今では10億もの個々のプロファイルを持つことができました。
昨年からは、以前と比べ月々4倍もの勢いで成長を続けています。月2000〜3000もの広告元が、私たちのプラットフォームを使って出版しています。
先ほど述べたように、広告を購入する主要なプラットフォームとも提携をしています。今は私たちにとって非常にいい時期であり、プログラム化の道としては、日本は今成長期にあります。それが故に、私は今日ここに来ています。
世界のマーケット分析によると、日本でのマーケットは始まりこそ若干遅れていますが、将来は52億ものプロファイルの増加が見込まれています。
田中:その頃には、イギリスなどでは80パーセント以上がプログラム化されているでしょうね。
ケヴィン:すでに50パーセント以上を占めていますから、確かにそうかもしれませんね。日本では44パーセントのデジタル広告のうち、半々を占めています。
興味深いのは、ドイツと似ていて、どちらかというとパブリッシャーにもエージェントにも保守的な傾向が見られます。しかし、今はドイツでもシェアを増やしています。
田中:他のマーケットではどんな動向が見られますか? 例えば、他のアジアの国々やオーストラリアなどです。
ケヴィン:オーストラリアは最もプログラム化が発達している国の1つです。プログラム化を先駆けて取り入れた国でもあります。
田中:アメリカやイギリスよりも?
ケヴィン:そうです。オーストラリアでは、プログラム化された広告が拡大していく速度もかなり早いです。マーケット自体は小さいのですが、エージェント側が効率を優先しているのでしょう。
他の地域に関して言いますと、まだ発展途中の国もたくさんあります。南アジアではまだまだ遅れていますし、中国では他の広告のテクノロジーを作ろうとする動きなどもあり、まだまだ時間がかかりそうです。プログラム化のテクノロジーも多様性を持っていくでしょう。
田中:日本には最大手の広告会社として電通がありますが、まだあまりプログラム化された広告配信システムには乗り気ではないようですね。WPPはすでにプログラム化を採用しています。そのことを説明してもらえますか?
ケヴィン:WPPもプログラム化された広告配信システムを採用しています。もっと効率よく広告を配信し、利益を拡大したいからです。彼らはテクノロジーを発展し、実際に使用するためにいくつかのことをしています。
Xaxisも利益拡大のために、プログラム化に特化したプラットフォームを採用しています。すべてのエージェントが、このプログラムを使用しているのです。
田中:WPPではどのくらいの割合で、プログラム化した広告配信システムを使ってビジネスをしているかご存知ですか?
ケヴィン:平均的な企業における割合よりも高いことは間違いないですね。XaxisがWPPのプログラム化のための宣伝配信システムを請け負っています。2年半ほど前にたった数人で始めた部門ですが、今では400人以上の人が働いています。
田中:エージェントは気を引き締めて、プログラム化されたシステムについて考えなくてはいけませんね。
ケヴィン:ええ、確かに新しいものですが、何も恐れることではありません。ビジネスを多少は変えますが、ビジネス全体が変わらなくてはいけないというわけではありません。
田中:さあ、またセッションに戻りましょう。
ケヴィン:では、まとめに入ります。日本のマーケットに関わるチャンスに期待しています。他のマーケットに対して行った方法で、日本のマーケットでもうまくできると考えています。
地域のデータの協力者を見つけ、地域の広告のエージェントと繋がりを作っていき、地域に基づいたプラットフォームの作成をし、地域のデータを集めていきたいと思っています。
田中:地域のデータパートナーですね。Webサイトを持って、地域でビジネスをしている人なら、誰でも可能なのですね。
ケヴィン:地域でテレコム、eコムサイト、またはオフラインのデータでも構いません。クッキーやモバイルのIDを使って、データを集めることができます。
地域のエージェントとも話し合い、できるだけどんな種類のデータを扱うのか、何が必要とされているのかを相談していきたいです。また、地域のモバイルのDSPEとも話し合う場を設け、広告を購入するプラットフォームのサイトを作ることができないか、協議したいと思っています。この数日のうちに私と話し合いたいと思う方がいれば、ぜひ声をかけてください。
田中:ありがとう、ケヴィン。ケヴィンに拍手をお願いしたいと思います。
(会場拍手)
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