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稼ぐ人の武器「プロフェッショナルシンキング」(全3記事)

元マッキンゼー・宇田左近氏が語る「稼げる人の条件」とは?

2015年8月6日、ビジネス・ブレークスルー大学にて公開フォーラムが開催され、教育改革実践家で元リクルート社フェローの藤原和博氏、BBT大学経営学部長の宇田左近氏、BBT大学卒業生代表者の中西佑樹氏、佐々木あや氏が登壇。「稼ぐ人の武器『プロフェッショナルシンキング』」をテーマに、学生から起業家まで学びたい「稼ぐ」ということについて意見が交わされました。本パートでは「稼ぐためにもっとも重要なこと」を、それぞれが回答します。藤原氏は「時間の編集」について紹介し、「自分の時給が3000円だったら、3000円出して自分の時間を買うべき」とお金を出してでも時間を効率化することの大切さを説きました。一方、宇田氏は「時給の3倍はクライアントにチャージできるかどうかを常に考える」として、クライアントにいくらチャージできるか考えて働くことで、人間は動くようになると語りました。

学生から起業家まで学びたい「稼ぐ」ということ

司会:それではここから、「プロフェッショナルシンキング」稼ぐ人の武器ということで、先ほど宇田先生のお話の中にもありました、答えのある世界から答えのない世界に変わっていく中で、どうやって答えを自分たちでつくりだしていけばいいのかを考えたいと思います。それが稼ぐということに繋がっていくということになりますね。

ここからはみなさんで考える時間をとっていきたいと思います。実際に質問シートと、今日イベントに参加された理由を拝見すると。

「稼ぐということを理解したいと思ったからです」

これは40代会社員の女性。

「会社の名刺で仕事をするのではなくて、個人として仕事ができるようになりたい」

これは40代の男性会社員ですね。

他には、若手の20代学生の方で「来年から社会人として働くことを決めています。新しい働き方のヒントを得られると期待して、今日参加しました」。

次は、40代の起業準備中の男性の方から。

「自身の後半の人生とともに自分の子供たちの教育のために価値観をしっかりとしたものにしていきたい」

それではこれから、みなさんにいくつか質問をしていきます。これはすでにみなさん事前にお配りした質問シートに寄せられたものになります。登壇者のみなさまは、お手元のフリップに回答をご記入ください。

稼ぐ力を持つ人の共通点とは?

まずは1つ目。「稼ぐためにもっとも重要なことは?」という質問です。稼ぐために必要だと思われることを、ご自身なりの言葉で結構ですのでお書きください。書いていただいてる間に、会場のみなさんから事前にお寄せいただいた回答をご紹介していきます。

20代、薬剤師の方ですね。あなたにとって稼ぐ力がある人は、どんな共通点があると思いますか?

「考えて、それを必ず実行に移す。それを続ける」

他には……30代、男性会社員の方。

「新しいビジネスを立ち上げることができる。人を説得する、納得させるリーダーシップがある」

次は30代、会社員の方。

「世の中の変化をとらえられる力。そして自分が変わることができる力」と書いてあります。

他には、50代、会社員の方。

「当然、心身が健康。そして普通の人はあまり気づかない点に着目することができる。イメージを具象化、具体化(分析からわかりやすく分解)。理解力をアップする。仲間が増える」

ちょっと(会場のみなさんに)意見を聞いてみたいと思うんですけど。ご自身なりに稼ぐ力がある人はどういう人でしょうか?

参加者:特に考えてこなかったので、今ここで思いついたことを書いたのですが、稼ぐってことは稼ぎ続けることが大事だと考えています。

そのためには自分だけではなくて、他者の利益にもつながることを考えるということじゃないでしょうか? 同じようなことを言い換えてるだけなんですが、世の中、社会の役に立つことをやるということが大事なんじゃないかなと思っております。

「自分の時給」を意識して、買える時間にはお金を出すべき

司会:はい、書き終わりましたかね。では、藤原先生から順番に。

藤原和博氏(以下、藤原):先ほど、正解がある時代から正解がない時代へというプレゼンがありましたよね。

正解のある時代は、正解を早く正確に出す、当てる。そういう情報処理力があれば稼げたんです。情報処理力が稼ぎのキーワードだったんです。だから日本では、情報処理力偏重、正解主義の教育が70年間続いています。

ところが1998年から成熟社会に入りまして、どんどん正解がない問題が増えている。そうすると処理力じゃだめで、情報編集力というものが大切になってくるのです。私はこれを、納得解を導き出す力だと言っています。自分が納得して、かつ関わる他人も納得させるような解を導く力ということですね。編集力がこれからのキーワードなっていきます。

先ほどお話しましたように、あの表の数直線上、左から右へいくためにもですね。情報編集力が鍵なんです。希少性を高めるために情報編集力が鍵だということなんですが、抽象的でわかりにくいので、ここで具体的な話を紹介します。

1つは時間の編集ですね。フリップに「時間を買う」と書きましたが、時間を編集するということに時間をどれくらいかけられるか、ということなんです。例えば今、会社に勤めてらっしゃる方で、1時間半とか2時間かけて通ってらっしゃる方。申し訳ないんですが、僕は会社のそばに住むべきだと思います。

その1時間とか2時間を、×往復で考えると2時間とか3時間になっちゃうんですね。それを10年やったら一体何時間になるのか。しかも満員電車だとすると本も読めないんじゃないかと思うんですよ。

それで四六時中ゲームとかやっていたら、さすがに頭は働かないですよね。時間をどうやってつくるか、ということがすごく大事なんです。年収が700万、800万を超えてきたら、時間を買うということをガンガンやったほうが良いです。

先ほど、自分の時給を計算しましたが、例えば自分の時給が3000円だっていったら、3000円出して、自分の時間を買うべきなんです。わかりますか? 帰るのに1時間半もかかっちゃいますと。3000円出せば、タクシーで15分か20分で帰れるんでしたら、間違いなくタクシーで帰るべきです。

つまり3000円出して、自分の1時間を買うべきなんです。あるいは自分の部屋を掃除するのに3時間かかるんだったら、時給3000円の人だったら9000円分の時間ということになりますよね。だったら9000円までは払っていいから、業者など、人にお願いするってことなんですよ。

お金を払ってその3時間を買ったほうがいいということです。それで読書をするとか、教養を高めるとか、BBT大学に行くとかですね……ちゃんと宣伝しておくんですが(笑)。

(会場笑)

宇田左近氏(以下、宇田):時間をかけて通わなくていいですからね。

藤原:そうですよね。さっきのクロアチアで海を見ながら大前さんの授業を受講するなんて、シャレてましたよね。

佐々木あや氏(以下、佐々木):でしょう?(笑)

藤原:そういう時間の買い方、これすごく大事なことなので。覚えておいていただければと思います。以上です。

司会:はい、ありがとうございます。答えのある世界では情報の処理力、答えのない世界では、情報の編集力が大切ということですね。ありがとうございました。

「上司とケンカしてもいい」問題を伝えて反論すること

司会:続いて、宇田先生お願いします。

宇田:とにかく何でも3つ書かなきゃいけないというのが強迫観念のようにありまして、今回の答えも3つです(笑)。コンサルティング会社に16年もいるとですね。ワンツースリーまではいかないと(笑)。

まず1つ目は、「前例を否定する」ということですね。前例を否定するっていうのは先ほど言った、上司とか先輩の言うことは聞かないということです。まず、それを否定して考えるということですね。

多少、ケンカしてもいいですからね。つまらないおっさんの言うことを聞いて、人生を無駄にするなと。僕もつまらないおじさんにならないように頑張らないといけない。

藤原:右近さん、マッキンゼーだったんですか?

宇田:左近さん(笑)。

藤原:ああ、左近さんだ(笑)。

(会場笑)

藤原:わざと間違えたんだよ(笑)。左近さん、マッキンゼーのときに大前研一さんに逆らってたの?

宇田:これは、なかなか難しいところですね……(笑)。

(会場笑)

宇田:2つ目は「問題を発見したら上司でも伝えて、反論する」ということです。僕はよく言うんですけど、問題を発見したらですね。おっさんたちはわからないんだから、自分が文句を言うのは相手のためであると。[つまらないおじさんたち、わからないでしょう?」という気持ちで。だから僕が言ってあげるんですよ。親切にって思えばわりと簡単にできるんですね。

「反論する義務を負う」と英語でいうと「obligation to dissent」ですが、そういうものを負ってるんだってことですね。

先ほどのプレゼンテーションでは、課題の前にみなさん平等なんだって言いましたけど。稼ぐためにもっとも重要なことというのは、前例を否定して、問題だと思ったら言いたいこともちゃんと言うということですね。

もしかしたらそれでクビになって収入がなくなっちゃうかもしれないけど、そのときは「しまった」と思って、またもう1つゼロからやりなおす。

時給の3倍クライアントにチャージできるか考えて働く

宇田:それと3つ目は「クライアントにいくらチャージできるか常に考えて働く」ということです。これは先ほど、藤原先生がおっしゃった自分の時給ももちろん大事なんだけど、その裏側には自分が相手にいくらチャージできるか? ということがあるんです。

要するに自分は3000円貰うけども、お客さんからは1万円とればいいんですよね。自分はコンサルタントをやるとして、さっき8万円って書いてありましたけど、クライアントチャージはもっと高いだろうって。その通り。クライアントには例えば30万円のチャージをしますと。

それで自分が貰うのは8万円。30万円をクライアントにチャージできるかが勝負になります。その差額はどこにいくかというと。例えばリサーチ費用やコンピューターなどへの投資とかですね。すばらしいセクレタリー(秘書)とかですね。

例えばそういう固定費であるとか、自分がそこの会社にいて8万円の給与がとれるような仕組みをつくるために、クライアントには30万円チャージしないといけないわけです。

そういうことができるかどうか。あなたの仕事は1時間何十万円、クライアントにチャージしてんだぞと。うたた寝してる間に5万円を、お客さんから机に積まれてるんだと。そう言われると、うたた寝できない。一生懸命早く起きて仕事しようかなと思う。

このクライアントチャージを考えながら進めるというのも、大事な点です。そのほうが人間は働くようになります。その場合は、時給の3倍はクライアントにチャージできるかどうかっていうのを常に考える。以上です。

司会:ありがとうございます。3つ出していただきましたね。前例を否定する。問題を発見したら理解して反論をする義務を負う。クライアントチャージの考え方ですね。

お客様が自分に会いたいと思ってくれるかどうか

司会:続いて、中西さん。

中西佑樹氏(以下、中西):僕の意見は「変子であれ」です。

先ほどの希少価値ということに近いんですけども。ちょっと事例をあげるとですね。例えばビジネスをするとか、企業にいたときに、差別化って絶対に考えるはずなんですよね。同じものを作って市場に出すっていうことは、まずありえないと思うんです。

例えば自分自身が経営者であれば、どうするかっていうことを考えると、他の人と違ったことをしなければ希少価値は生まれない。「変子」は僕なりの言葉なんですけども。大阪でよく変子って使うんです。変わった子という意味なんですけど。なので、ここで言いたいのは「変わった子であれ」っていうことです。そこを僕は追及するべきなのではないかなって思います。

司会:変わった人を大阪風に言うと変子であれっていうことなんですね。ありがとうございます。次は佐々木さんお願いします。

佐々木:私は頑張って1つに集約すると「人に会える」かなと思っています。

これは2つ意味をこめていまして。1つは、自分が会いにいけるということですね。例えば営業でいった、テレアポ何回できるか。大きな会に行けるよとか、人に会うことが苦じゃない、ということです。

もう1つのほうが私は大事だと思っていて、お客様や自分と繋がりのある人から会いたいと思ってもらえるとか、もう1度仕事を頼みたいと思ってもらえるかどうか。稼ぐっていうのは結局、人がいないとできないと思っていまして、お金をいただく人が自分に会いたいと思ってくれるとか。

クレジットとか、先ほどからいろいろ言葉が出ていますけども。人から信頼を得られるということが人に会えるということかなと思い、「人に会える」という言葉にまとめました。以上です。

司会:はい、ありがとうございます。人に会えるですね。クレジットの話も出ましたし。宇田先生や大前さんの言葉でいうとクレディビリティーですね。

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