2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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橋本善久氏:はい、こんにちは。ライフイズテックCTOをやらせてもらっています、橋本です。今日は「ゲーム×教育」というお題でバトンをもらっているんですけれども、サブタイトルとして「未来に働く中高生へ、7つの大切なマインドセット」というテーマでお話をさせていただこうと思います。
お話をさせていただく前に、ここにどんな人たちがいらっしゃるか、午前も挙手があったと思いますけれど、僕用にもう1回ちょっとお願いしていいですか? まずウオーミングアップで全員手を挙げてみてください。ありがとうございます。優しいですね、よかった(笑)。
ではまず学生の方、大学生以下は? あ、結構いますね。なるほど。手を下ろしてください。じゃあ、働いている方で教員の方とかは。あ、だいぶいらっしゃいますね、なるほど。あとは、エンタメ系で働いている方とか。ちょろっといらっしゃいますね。でも思ったよりいますね。なるほど、大体比率がわかりました。
今日は中高生にフォーカスしているんですけれども、基本的には一般に通じる内容だと思っているので聞いてください。ただ無謀にも、持ち時間が30分のくせにスライドが数百ページあるので、ものすごく早くいきますから集中して聞いていてくださいね。
じゃあ、まず自己紹介いきます。さっき紹介してもらったのでここもバンバンいきます。私はゲーム開発者です。1997年に新卒でセガっていうところに入りました。当時でいうとセガ・エンタープライゼスっていうところです。そこのソニックチームというところで―ソニック・ザ・ヘッジホッグっていう青いハリネズミがいるんですが―そこでこういうのをつくっていました。
これは私がセガで最後につくったやつで、このときはディレクターをやりました。あと技術ディレクターとかも込みでやりました。なのでシェフもやるんだけど、包丁、まな板、電子レンジとかそういうのもつくる、みたいな感じてやっていました。
こんな感じで、これはプレイステーション3のやつなんですけど、当時としてはかなり先進的な技術を使っていて、技術カンファレンスでも結構お話をしたりしました。さっき分散コンピューティングの話が出たと思うんですけど、こういう光の計算を事前にするんですよ。
100人ぐらいのスタッフのPCを借りて計算を分散でやってくんですけど、みんなのPCをつないで「いっせーの」で計算したら、ハイスペックPCがバーンと動くのでオフィスの電力がバーンと落ちてしまいまして、電気工事をする羽目になりました(笑)。電気工事が終わるまでは冷蔵庫使用禁止、コーヒーメーカーも使用禁止みたいな、何か所帯じみた感じで進めていました。
そんな思い出のあるソニックです。ちょっとピクサー的な、少し等身の低いカートゥーンアニメ調のものとして、映像もなかなかいいものが出てたんじゃないかなと思います。
これはおまけなんですけどつい数日前にリリースされたもので、僕もただのユーザーなんですが、最新作のソニックがスマホで動いて、ワンタップで遊べるんですよね。かなり快適なソニックがリリースされて、使ってみてなかなか僕も楽しめたんで、よかったら触ってもらえると。これは僕の元同僚たちがやってたんで、だからよくできているので見てみてください。
スクウェア・エニックスで2009年から働いています。CTO、最高技術責任者をやりまして、あとはファイナルファンタジーXIVでオンラインRPGの技術ディレクターをやって、『Agni's Philosophy』というCG映像作品や、Luminous Studioというゲームエンジン、それらのリーダーをやっていました。
これはFF14の映像で、オンラインで何十万人とかが接続されている中で、みんなで冒険をするというタイプですね。チョコボに乗ったり、いろんな街があって、自然があって……っていうものなので、これもなかなか2年半でタイトなスケジュールだったんですけど、いい感じでいったと思います。
あとこれが映像作品のほうで、当時のCG作品に負けないようにっていうクオリティーのものを、プレイステーション4を意識してつくったものです。バンバンいきます。
これはそういうのをつくるための道具で、こんなような画面のいろいろ独自のものをどんどんゲーム会社でつくるんですね。
Luminous Studioっていう呼び方をしていますけれど、積み上げた技術とか人員とかが、今スクウェア・エニックスで頑張ってやってくださってると思います。あと、ちょっと今参考までに最新のゲームのレベル感っていうのを皆さんに知ってもらいたいなと思って、映像をソニーさんに借りてきました。
もうYouTubeで出ているものなので、ゲーマーの方はよく知ってると思うんですけど、ちょっと参考までに、プレイステーション4のゲームを触ったことがあるとか見たことある人はどれぐらいいますか? 1割ぐらいですかね、なるほど。じゃあ多分初めてになると思うんですけども、ちょっと見てください。これは、映画の映像じゃなくて、ゲームの、プレイステーション4上の映像です。そういう目で見てください。
(映像開始)
(映像終了)
NAUGHTY DOGというのは北米の開発会社です。これ、意味わかりますか? ゲームの画面です。動かせるんですね。ソニーさん、貸していただいてありがとうございました。どうでした? これ結構驚きだと思いませんか? 皆さん、最近ゲームを全然見てなかったと思うんですけど、いつの間にかここまで来てるんですよね。
海外だとものすごく普及してるんです。ハイエンドのゲームの市場っていうのが広がっていて、実は日本だけが縮んできていて、若干ガラパゴス化してるんです。海外のゲームの市場でいうと、こういうのが標準で求められる、そういう時代になってきています。
「不気味の谷」って皆さんご存知ですか? それを超えつつあるっていうシグナルで、グラフの上がリアルで、下が気持ち悪い、右側が品質。品質っていうのは、つくり手にとっての品質が上がっていくっていうときですね。
品質がどんどん上がってだんだんリアルになっていくんですけど、あるラインでいきなり気持ち悪く見えるっていう現象が起き得る。それを不気味の谷と呼んでいるんですけど、不気味の谷がここにあって、リアルになってきて1回違和感を感じるっていうラインがあるんですが、最近それを突破しつつあると。
そうするとバーチャルキャラクターですら本当に、もう本物と認識してしまって、下手したら恋までしてしまうような存在になり得るというところが、もう近いと思っています。それは多分10年先じゃなくて、ほんの2、3年先に起き得ると思います。すでにかなりいいクオリティーですもんね。
リアルタイムテクノロジーがもたらす未来っていうのがあるんですけど、今IoTとかAIとか、あるいは3Dプリンターとか、いろんなそういう流行りの、これからの未来をつくるみたいな技術ってあると思うんですけど、実はこれあんまり触れられていないんですよね。
でもこれは結構影響力が大きくて、これからまくってくるんじゃないかなと思います。これをつくるのがやっぱりゲーム屋さんなんですよね。ゲーム屋さんがこういうのを引っ張っていく、そういう時代になると考えています。ゲームの後、そのルールやそういうノウハウをです。
ゲームのメカニズムのほうとゲームのテクノロジーがほかの産業にも貢献するポテンシャルっていうのは無限大だなというふうに思っています。それを以前からコツコツといろいろやってきています。
私はゲームの持つ可能性を心から信じているがゆえに、2014年に1回独立して起業もしています。ゲーム開発から一旦離れています。一旦っていうのがポイントですけど、1年前にLIBZENTっていう会社をつくりました。
キャッチフレーズのように、「仕事と生活向け」っていうところを重視していろんなアプリケーションとかWebサービスとか、会社さん向けのコンサルティングとかいろいろやっています。
Life、Business、EntertainmentっていうワードをくっつけたのがLIBZENTっていう社名なんですけどもう1個意味があって、橋本善久の善って善悪の善なんですけど、ここに善があって、ここがLibertyなんですよね。なので、僕が好き放題にやる会社っていう意味で、裏の意味が入っています。どうでもいい情報ですみません。
日本の会社の生産性や生活の潤いに貢献する活動というふうに位置付けています。ほかの活動もあって、陰翳という会社です。これは去年の末から執行役員プロデューサーをやっていて、何をやっているのかと言うとコンセプトアートです。多分皆さんは聞いたことのないワードだと思うんですけど、映画とかゲームとかCG作品の世界観のタネをつくるための、絵を描く人たちのことをいいます。
こんな感じです。これ全部オリジナル作品なので、どこかのゲーム用とか映画用っていうものじゃないんですけど、SFとかファンタジーとか、こういう絵を描く会社の内側の人としてやっています。これは日本のクリエイティブを守り、育む活動というふうにポジショニングしています。
そしてライフイズテックです。2014年末より執行役員CTOとしてやっています。こちらは日本の教育を変える活動というポジショニングをして、自分の中でやっています。
きっかけなんですけれど、もともと私はスクウェア・エニックスをやっているときに、ライフイズテック社長の水野から、こういうSQUARE ENIX GAME CAMPを「やりませんか?」というプレゼンを受ける側だったんです、昔。
それを一緒にやってうまくいって、ただそれと同時ぐらいにもう独立はしてたんですね。たまたま去年の10月末ぐらいにご飯を食べていて盛り上がって、「何か一緒にやりませんか?」「やろう、やろう!」ってなって、「ジョイントベンチャーでもどうですか?」「でもやっぱり内側で一緒にやったほうがいいよね」「まじすか、やったぁ!」5分、みたいな(笑)。
ものすごく劇的な速さで決めているんですけど、実を言うとそれぐらいお互いに確信があって、完全に僕自身は教育をいつかやりたいと思っていたんですね。ライフイズテックのポテンシャルって重々わかっていて、そして水野、小森の2人も僕のことをすごく信用して、期待してくれて声をかけてくれたというのがあったので、あっという間に決まりました。それで今やっています。
10月末に食事をして、11月1日の翌営業日よりもう活動していた……みたいな、そんなスピード感でやっています。今は新規オンライン教育サービスの開発とその事業の責任者的な感じでやっています。
ライフイズテックに入ってちょっとよかったなと思ったことがあります。クリスマスキャンプというのがあって、温度感をシェアするために、ちょっとバババッといきます。バスに乗って、250人の生徒とスタッフが50人、計300人でホテル貸し切りでこうやってこんなところで勉強して、プログラミングして。
みんな、すごくいい笑顔してますよね。こうやって教えてもらって。
これ、食堂ですよね。くそ寒い中で焼肉っていう、でもすごくおいしかったです。体育館でレクリエーションもして。これはキャンプファイヤーですね。
これまた真冬のキャンプファイヤーっていうね。それでライブやって、みんなですごく盛り上がって。
これはクリスマスの仮装パーティーですね。赤レンジャーとかもいて。
左側は私なんですけど(笑)、ちょっと悪い配管工って感じですかね。
Tehu君もこうやっていて。こういう出し物もいっぱいあって、盛り上がって、ちょっと休憩している赤レンジャーもいて、と。この人すごく上手でしたね。ものすごい。完全にプロ。これは社員ですね(笑)。こんな感じでものすごく笑顔満載で、最終日に女の子とか一部の子は帰りたくなくて泣いてるぐらいの、そういう印象の場でした。
どっぷり見るっていうのは私にとっても初めてだったんですが、ちなみに3泊4日でクリスマスを前後挟むっていう、いろんな意味でなかなか大変なスケジュールなんですけど、行ってみてよかったです。
生徒の子とかも、「クリスマスプレゼントとかお年玉とかそういうのいいから行かせてください」ってお父さんお母さんに頼む子もいるぐらい、リピーターとしてもどうしても行きたいところになってるそうですね。
私もテーブルとかを整え直すんですよ。テーブルクロスとかをつけたりするんですけど、そういうのもせっかくだから手伝ってたんですけど、それをやってるだけですごく幸せな気分ですね。
たったそれだけの作業なんだけど翌朝それでこの子たちが勉強する、つまり未来をつくる場所をそのまま作っているんだというダイレクトな感覚が、ゲームをつくっていると間接的な感覚なんですけど、ダイレクトな感覚っていうのがすごく新鮮でした。
こんな感じのライフイズテックですけど、そこでCTOを始めました。ところで、CTOの意味って知ってますか?
Chief Technology Officerっていうのは多分皆さん想像する名前なんですけど、違う。正解は、ちょっと(Chotto)トキメク(Tokimeku)お兄さん(Oni-san)っていう感じです。
これ、冗談じゃなくて結構まじめに思っていて、どういうことかというと、さっきの中高生とか大学生が中高生を教えるんですよね。そういう子たちにとってみればだいぶ年上で、テクノロジーとして、あとは人間としても、「何かちょっといいな」「こいつなかなかすげえな」って思わせておかないといけないみたいなのもあるので、ときめかせなきゃいけない。
そういう意味でいうと、ちょっとトキメクお兄さんでなきゃいけないし、そしてこれからつくるプロダクトはときめきを伴ったものをアウトプットしなければいけないと思っているので、これが1番ちょうどいいのかなとか自分では勝手に思っています。
お兄さんかどうかっていうのは、今もう41歳なので突っ込みがあるかもしれないんですけれど、そこはご容赦を(笑)。
それで何をやろうとしているのかというと、これからつくるのはゲームです。学習ソフトウェアにゲーミフィケーション、エンタメ要素を入れるのではなくて、ゲームソフトウェアに学習コンテンツを突っ込むと。
学習ソフトウェアに対してエンターテインメント風味をふりかけるのではなくて、あくまでゲームであると。その中に学習要素が丁寧に散りばめられている構造にしたい。
そんな感じで、ついつい夢中になってプレイしていたらプログラミングスキルついちゃったね、みたいな形に持って行こうという概念論だけですけど、そういうところで進めています。
「うちらはゲーム会社です」と言ってもいいぐらいのところまで行こうねっていう、そういう意味合いで書いています。それをつくるのがOZプロジェクトっていうもので、コードネームとして社内で呼んでいます。コードネームを社外に言っちゃだめじゃんって感じますけど(笑)。
ディズニーと構図を比較してみます。ディズニーとライフイズテック。目指す目標みたいなところでよく水野が言っているんですけど、ディズニーランドに対してライフイズテックのキャンプとかスクールは、リアルに接するという意味で同じポジションです。ディズニーグループの中のピクサーと、今回のOZプロジェクトってのが同じポジショニングととらえていいだろうと。
リアル側の対応と、そしてテクノロジー側、デジタル側の対応っていうところで、ピクサーっていうのはCGのテクノロジーを使ってブロードキャストする存在。ディズニーランドはリアルにその夢を届ける存在。それと同じ構図でやっていけたらと思っています。
なので、ライフイズテックにとってすごく重要であるというふうに考えています。乞うご期待。ちょっとここからは掘り下げず、プロダクトが出てきたらいろいろとお話します。
ここからが本日のメインなんですけれど、ある日1通のメッセージが生徒から届きました。クリスマスキャンプの翌週ぐらいだったんですけど、Facebookでメッセージがきました。
「はっしー、夜遅くごめんなさい。Sっていいます」
「ん、どうしたの?」
『NEXT WORLD』っていうNHKのスペシャルがあって、それをFacebookで「みんな、見ようよ」って言ったらこの子は見たらしくて、「人工知能が俺が大人になったときには超えてるっていうから、仕事残っているか心配になっちゃった」って言うんですよ。
つまり、「勉強だったりプログラミングとかやっていても意味ないんじゃないの?」って不安になって夜も眠れなくなっちゃったらしいんですよね。それで相談してくれたと。「勉強やプログラミングを何のためにやると考えてるのかな?」と聞いたら、「僕は名声と友情のために努力している」とか言って(笑)、何か結構、おお……! っていうか(笑)。
「死んだ後に残ってるのはこの2つだよね」みたいな感じで、おもしろいことを言うなあって。でも「ワンピースから影響を受けてる」らしいんですけど(笑)。ちなみに、「昔の画家とか音楽家みたいに死んでから名声を得るんだったらどうせだめなんだよね?」って聞いたら、「いやです」と。ここはドライではっきり、現実的ですよね。
「名声を得て何をしたいの? 尊敬を得たいのか、それともモテたいの?」と聞いたら、そこはさすがに考えていなくて、整理ができていないらしい。「何かそういうのが欲しい、それだけだ」と。
その後いろいろ議論して、「名声っていうのは人に感謝されて、尊敬されてすげーって思われるっていうことかね?」と2人で話していて、「かっこいい生き方をしてるってことかもね」っていう話を振ったら、「ルフィだね」って。やっぱりワンピース好き(笑)。
僕が「スティーブ・ジョブスがかっこいいと思うけど、どうよ? 人としてはちょっとあれかもしれないけど」と聞いたら、「ジョブスはかっこよくない」とおっしゃるわけです、このS君が。
「どうしてそう思うのかな?」と聞いたら、「ジョブスには優秀な部下がたくさんいた。それをみんなの前に立って代表として自分の作品として世界に売り出しているだけだ」と彼はそう言いたいらしくて、「おもしろい意見だね。半分はそうかもしれないけど、世の中の仕組みからいうと半分はこうで、ああじゃなくて……」という話をいろいろ説明してあげて、いろんな会話をしました。
このような会話が始まって、いろんな価値観とかものづくりの話とか、組織とか学校とか、そんな話を結局チャットで3時間もしました(笑)。いい加減夜中なので「やばい、やめよう」と言って閉じたんですけど、最終的に「何かつかんだ気がする。ありがとうございます」と言ってもらえて、「よかった、よかった」と。
それで、「スターウォーズ的に言うと、フォースをどう使うかっていう話だし、ダークサイドに堕ちるか、ジェダイの騎士になるか、まあゆっくり考えなさい」みたいな話をドヤ顔で言ったんですけど、「今、ジェネレーションギャップを感じました(笑)」と、S君もなかなかやりますね(笑)。
そんな感じで詳細は省略していますけれど、ちょっとしたヒントをこうやって伝えることで道しるべになることがやっぱり多いんだなとすごく感じました。なので、働くことのヒントをちょっと今日話そうと思っています。
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