2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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三浦:(スタッフのほうを見ながら)残り時間が15分ですか? 12分。
水野:そうですよね、聞き合いをなんとか申し訳程度に。
三浦:そうですね。最後に水野さんにもこのホワイトボードがあるので、あらためて考え直して、夢ってなんでしたっけという話をできたらなと思います。
みなさんもこの1時間を通じて変化したことや「あなたにとっての夢って何ですか」というご自身の夢のイメージをこの場で共有できるとうれしいなと思うので、できればコメントをいただけると。これ僕も書きますね。静かな時間が続きますが、オンラインのみなさん、ぜひコメントをいっぱいください。
水野:(来場者の質問に対して)本当にこのメッセージは温かいですね。最近人の自己実現を支えることについて、本当にこれからはそういう時代になってくると思っていて。その魅力というか、例えば「お金持ちになる」とかに比べたらちょっとパンチが弱い気がしているけど、本当はそんなことはなくて、まだ僕が見つけられていないんだろうなと思っています。
最近友だちの作家さんに、人の自己実現を助けることについて「最近僕はこんなことがあって大変だったんです」と話していて。その方が、「でも水野さんがそこでがんばったおかげで、周りが全部花畑になっている」と言ってくださったんです。だから本当に人の自己実現を助けるって、美しくなった世界を見る権利というか、席というか。
三浦:確かに。それはやることでしか買えないですよね。
水野:そう、買えない。だって買うということは、自分に寄ってくることだから。服を買おうが、何かを買おうが、自分にくることだから。イメージとしては、全部の光を持っている宇宙の王子さまがいて、めちゃくちゃ光っていると。
みんなは彼に憧れていて、それで周りは真っ暗みたいな。彼がこの光を全部人にあげたら、自分だけは真っ暗になるけど、そのぶんめちゃめちゃいい夜空が見えるという、そんな違いだと思うんですよね。
そのめちゃくちゃきれいな夜空を見ることが本当に素敵だよねということを、もっと伝えていきたい。だって自分が輝くことと、めちゃくちゃきれいな夜空を見ることって、どっちもすばらしいことじゃないですか。
今は変わりつつありますけど、夜空を見るほうが裏方みたいな時代を僕は生きてきた気がするんですよね。
三浦:なるほど、ありがとうございます。今いっぱいコメントをいただいておりましたが、あとからまたゆっくり見せてもらいたいなと思います。
(コメントを見ながら)すごいな、「人の夢を笑う人にはならないよ」「他者貢献が生きやすさになっています」と、いいですね。最後に水野さんから、夢とは?
水野:(ホワイトボードを見せながら)そうですね、夢とは。僕が序盤に言った話なんですけど、やっぱりこれだなと思うのは、やっぱり「強(し)いない」ものであると。ただすごくいいものだというのを忘れないでという。
たぶんこれから夢がより攻撃される時代にいくと思うんですよ。多様性が広がって、いわゆる資本主義的なお金や地位が攻撃される。でもそこで混同しないでくれよと。
自分が全部の光を集めることも、ある種カリスマになることも人の夢だけど、その光を全部世に放って、めちゃめちゃきれいになった夜空を真っ暗な自分が見ることも同じぐらいの快楽であることを忘れないでくれというか、僕が今子育てしているのでそうあってほしいというか。
最後は子どもたちが育って、自分のポトフが子どもの輝きになって、それを見ることができるわけじゃないですか。「俺のポトフが(この輝きを)作っているぞ」という。
三浦:ポトフが一部になっているぞと。
水野:そう。でも子どもから「ポトフありがとう」とはいっさいこないわけです。
三浦:こないですね。
水野:深夜に人参の乱切りをすごくがんばった時のこととか。それは子どもからしたらわからないけど、やった俺はわかっているし、それが子どもの一部になったこともわかっているという、そのすばらしさ。それも夢だぞと。だから自己実現も人の自己実現を助けることも一緒なんですよ。
三浦:確かに。僕も書きました。夢とは持ってしまうものなんじゃないかということです。だから、(大事なのは)環境。
どうしてもその人に対して、個人的な変化を期待してアプローチをしてしまうけど、どうやったら“夢を持ってしまえる”ような社会にできるのかは、僕らが作る環境次第です。「なんでそんな楽しそうなんですか」って子どもたちに聞かれた時に「夢があるからだよ」って答えられる大人が増えたらいいかなって思いました。
水野:なるほど。やっぱり楽しく生きてそれが周りにも伝わっていく。本当にそうですね。
三浦:あっという間に1時間経ってしまいましたが、話をしてみてどうですか?
水野:本当に早かったです。人の自己実現を支えることが自分のテーマにもなっているんですけど、それをやられている方のフォーラムじゃないですか。
三浦:まさに。
水野:まずはこの会を開いていただいて、そして来ていただいて本当にありがとうございます。僕の娘の話にしても、「あなたはすばらしいよ」と先生に言えなくて、その動線がないんですよね。
でも本当にそう思っている人もいるし、伝わっていないこともあるし、また時代も人の自己実現を支えるほうにより流れていくというか。だから本当に時代の中心にいらっしゃる方々が今ここにいるんだなと。
三浦:なかなかないですからね。他者の自己実現を応援できる仕事って……。
水野:そうかもしれない。
三浦:その役割を担える職業って意外と少ないかもなって。
水野:あと、先ほど言った教育者のエキスパートに話を聞いていくというのは、今用意している企画なので、その話をしていていいのかって、最後にちょっと急に不安になったんですけど、すげぇ良い言葉がたくさんあるんです。
その中で未だに僕が忘れられないある教育者の方の話があります。半分うちの娘の相談をしているんですけど、「名門の学校に行っても(結局は)教師との相性ですからね」みたいなことをサラッと言うんです。
「うわぁ、それある」と思って。例えばちょっと荒れている学校だと言われていても、たまたま出会った先生が良い先生で、その人が良い言葉をかけてくれただけで、めちゃくちゃ開花していくみたいな。
三浦:ありますね。
水野:三浦君の活動もそれを志してやっていると思うんです。今環境という話が出たけど、よく学歴とか会社とか、大きな場の話になりません?
三浦:そうですね。
水野:そう。でもやっぱり、そこで出会う人なんだと思うんですよ。
三浦:だから他者にとっては自分も環境ですからね。
水野:そうそう。個人が環境で、しかも例えば一言声をかけることが、その人にとって一生の支えになるような言葉である可能性も本当にあって。
三浦:確かに。だから環境を作るってなると、自分以外のところを考えがちですけど、実は自分が環境であるという。
水野:もっと踏み込んで言うと、これは個人的な意見になるんですけど、感謝と褒め言葉なんじゃないかと僕は思っています。それで最近は「褒め過ぎるな」と、褒め言葉も攻撃を受けているんですよ。
でも僕はやっぱり褒めるってすげぇなと思います。娘が今日ちょうどプールなんですけど、キャップの色でクラスが変わっていくんですよ。
赤が一番最初で、最後はどんどん色が変わっていくんです。それで、一番初級の赤にいるコーチの実力がえげつないんですよ。ちょっと見学している位置から距離があるので何をしゃべっているか言葉はわからないんですけど、(コーチのすごさが)わかるんです。
ちっちゃい子が5、6人こうやってパーッて泳いでいて、(コーチが)頭をトントンと叩くんですよ。それで(その子が)クルッと振り向くじゃないですか。
(親指を立てる)
三浦:すごい。
水野:そうしたら、もうその子の顔がパーッて(明るくなる)。「こんなん水好きになるわ」みたいな。それでまた次の子が来ると、「ちょっとちょっと」とやって。
(親指を立てる)
三浦:(笑)。
水野:これが意外とできないんですよ。
三浦:そうですね。だから心から褒めるというのが超大事だと思うんですよ。
水野:本音で、でもちょっと大げさになっていいぜと。最初は我が子に大げさに「お前すげぇな」って言うのはちょっと恥ずかしかったりするんですけど、なんかそういうの見ていると「あっ、大げさでいいんだ」「大げさで伝わるんだ」と。
三浦:2分でまとめろと言われているんですけど、地域のお祭りでダンスコンテストがあって、子どもたちが踊るわけですよ。ダンサーの目線というか傍観者の目線で見ると「まだまだやな」って思うわけですよ。
でも僕はダンスを踊れないんですよ。だからそこに(ダンスを踊れない自分に目線を)セッティングすると、「マジすげぇ」って思うわけですよ。
だから褒める位置のセッティングも大事だなって。(子どもが)夢を持った時に「それ、マジすごいね」って、その場所に自分をセッティングできるかというところもめちゃくちゃ大事そうやなって思いました。
水野:感謝と褒め言葉の2つが本当に人を育てるなと。尊重しているし、尊厳のある一個人として「あんたすげぇな。すばらしいね」というのをいろんな人に(対して)できるかということだと思います。
三浦:ありがとうございます。もういよいよ1分です。ぜひ最後、水野さんからみなさんに一言メッセージがあれば。
水野:(先生たちは)日々板挟みになりながら、いろんな問題を抱えながら回してくれているし、本当にみなさんが気づいていない言葉がおそらくいろんな聞き手を育てていて、この世界が回っていると僕は思います。
本当にありがとうございますという、もうそれだけですね。あとは学校の担当の先生にやっぱりちゃんと伝えたほうがいいなという気になってきました。
三浦:そうですね。
水野:こんな遠くまで来て(笑)。
三浦:聞いてくれていたらいいですよね(笑)。
水野:子どもを送り出してこっちまで来て、「感謝します」ってぜんぜん違う人に感謝している(笑)。
三浦:(笑)。先生という概念に感謝していますからね。
水野:そうですよね、それは僕の反省として今日は持ち帰ります。この思いをなんとか直接伝えていきたいなという。
三浦:ありがとうございます。あっという間の1時間でした。夢が良いのか悪いのかというところから始まって、どうやったら良い夢が育まれるのかという、結局良いも悪いもないかもしれないですけど。
水野:すみません、時間がないですけど、最後にお伝えしたいことがあって。僕、子育てのエキスパートの方の話を聞いていて、共通点を1個見つけたんですよ。
それは、同じほうを向いてやっているということなんですよね。『夢をかなえるゾウ』って、ガネーシャが対面に立って、「これが成功する方法なんだ」って教えるじゃないですか。
でも、それこそスポーツだったら自分(親)もうまくなろうとやっている中で、最後(子どもに)勝てなくなる時期が来るんですけど、それまでは一緒にトレーニングをする。
勉強を教えるエキスパートの方も、子どもたちとめちゃくちゃ一緒に勉強すると言っていて。だから同じほうを見る。それで答えはないんですよ。もっと言えば、答えはわかっているんですよ。
例えば、10引く3は7とわかっているんですよ。でも、いかに10引く3を子どもに自分で考えさせて、支えていくかということが重要であって。同じほうを向いていることが大事なので、夢も結局、同じほうを見てウンウン悩む行為こそが本当に偉大であると最近思います。
三浦:ありがとうございます。すばらしいなと……。
(スタッフのほうを見ながら)もう、すごい怒られている。
水野:そうですね、次のテーマを……。
三浦:めちゃめちゃ時間が足りないとは思うんですけれども、いったん第1セッションの「『夢』を考えなおす」、これにて締めたいと思います。あらためて水野さんに大きな拍手をお願いします。ありがとうございました。
水野:ありがとうございました。
(会場拍手)
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