2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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高村ミチカ氏(以下、高村):私の自己紹介からさせていただければと思っております。私自身も公立の小学校教員を11年経験してきまして、先生という仕事が大好きだったんですが、ちょっとしんどさがたまってしまって適応障害の診断を受けました。
そのまま退職し、現在は先生の頃に培った傾聴スキルや言語化スキルを活かして、ライターや編集の業務に関わっております。今日のイベントはまさに、現職時代の私にもぜひ届けたいと思うようなイベントです。
次に、初めての方もいらっしゃると思うので、簡単にクジラボの紹介をさせていただけたらと思います。私たちクジラボは「教育のオープン化」をミッションに掲げています。このオープン化を実現するためには、教育の世界でのキャリアの多様性が大切だと思っています。
先生というキャリアが、自分らしい生き方を選択できる職業であることで、先生を志望する若い人たちを増やし、さまざまな価値観・考え方が認められる世界になっていくと信じています。
「先生のキャリア」という視点で、これまでもさまざまなイベントを行ってきました。私たちが大事にしているのは、「こういうキャリアが正解」というふうに示すことではなくて、いろんなキャリアの選択肢があって、その中で自分で選び取っていくことです。
なので、現役の先生、元先生、非常勤の講師をしながら副業している方など、さまざまなキャリアをこれまで取り上げてきました。
その中で、今日は「先生を続ける」というキャリアについて、お話を聞いていきたいと思います。先生を続けることもキャリアの選択肢の1つです。「どうやって先生を続けていくのか」ということについて、みなさんも一緒に考えていけたらと思っています。
高村:では、登壇者のお二人のご紹介を簡単にさせていただければと思います。渡邊友紀子先生は公立の小学校の先生で、「しんどい先生の心が少しでも軽くなってほしい」という思いのもと、InstagramやVoicyやSNSなどで発信をしています。
2023年2月に『学校がしんどい先生たちへ それでも教員をあきらめたくない私の心を守る働き方』を出版されています。友紀子先生、本日はよろしくお願いします。
渡邊友紀子氏(以下、渡邊):お願いします。
高村:次に松下先生です。大阪の公立小学校の先生をされていて、『せんせいって』という先生の実態を描いた絵本を執筆されたほか、さまざまな本を執筆されています。ダンスや演劇など、先生以外にも多彩に活躍されています。松下先生、どうぞよろしくお願いします。
松下隼司氏(以下、松下):よろしくお願いします。
高村:ここから、みなさんお待ちかねの本題に入っていきたいと思います。友紀子先生と松下先生それぞれから、ご自身のキャリアについてと、しんどさをどうやって解消してきたかについてお話しいただきたいと思います。まずは、友紀子先生からお願いしてもよろしいでしょうか。
渡邊:よろしくお願いします。最初に自己紹介をしていただいたので、こちらは飛ばします。私は、「しんどい先生に向けてなにか自分にもできたらいいな」という思いで、最初はInstagramで発信を始めました。
そしたらうっかりInstagramがバズって、そこからいろんなところに呼んでいただいてお話をする機会が増えて、今に至るという感じです。
渡邊:自分自身も適応障害で学校に行けなくなったことがあったんですが、Instagramにはその体験談を書かせていただいていてます。
私もあの時、「学校に行こう、いつものように化粧をしよう」と思って鏡の前に行ったんですが、鏡の前に行ったら、どうがんばっても化粧ができなかったんですよね。
「絶対にやらなきゃいけない」って思うし、あの時は夏だったから日焼け止めを持ってたんですけど、その手がぜんぜん動かなくって。でも、バスの時間は過ぎていくし、もう連絡しないと始業が始まっちゃう。「ぜんぜん自分が動かない」というのを経験したんですよね。
学校にしばらく行けないということがあって今に至るんですけど、でも私は、先生っていう仕事がやっぱり大好きだなって思うんですね。
今は非常勤講師として働いているんですが、非常勤講師になった理由も「なんか辞めたくて」「正規としては無理だから辞める」ということではなくて。本を出したい、もっと自由に発信したい、でも先生も続けたいということで、いろんなことを考えた結果です。
私の中では「先生を辞めたキャリア」ではまったくなくて、まだまだ肩書きとして小学校教員であり続けたいんですね。
だから、クジラボさんから最初にこちらのオファーいただいた時に、「非常勤なんだけど大丈夫ですか?」と言ったんですが、「それも含めて話していただければ」ということだったので、お話をさせてください。
渡邊:ざっくり私の変遷なんですが、2015年から4年間、九州で新規採用として働いて、もともと地元は横浜なのでこっちに戻ってきたんですよね。最初は東京で働いて、そのあと横浜で働きました。
横浜で働き始めた時に、ちょうどコロナの時期ということもあるんですが、その時に適応障害になって。私はパツッと1ヶ月休んで、非常勤で復帰をして、その年に教員採用試験に合格して正規採用として働きました。
2022年は産休・育休に入って、2023年から非常勤講師になって戻るというのが、ざっくりとした変遷です。
何がしんどかったかというところなんですが、いろいろあるんですが大きく言ってみると、まずはとにかく終わらない仕事。
そして私の中では、A先生に「これが大事」って言われたらそれもやらなきゃいけない、B先生に「これはやるべきだよ」って言われたら、「それもやるべきだ」と、自分自身で仕事の取捨選択がまったくできなかったんですよね。
そして毎日・毎時間、1時間目から6時間目まで完璧に全部授業をしたくって。でも、そんなのを毎日毎日続けていたら、「明日の外国語活動、なにも準備していない。学校に行きたくない」と思ってしまったり。
毎日、毎日、授業を考え続けることにどんどん焦ってしまったり、「学級経営がなかなかうまくいかない」「子どもたちに自分の声がなかなか届かない。こっちを向いてくれない」というのに悩んだり。
渡邊:それから、お家の方にどういうふうに伝えたらいいのか。どうしても若い頃には、お家の方の気持ちがちゃんとわかってなかったんだろうなって思うところもあるんですが、うまく伝えられない。「職場の人間関係がつらい」とか、もしかしたら、そういう思いをされてる方ってたくさんいらっしゃると思うんです。
でも、たぶん私が一番つらかったのは、そういうのを解消するためにまったく寝られなかったことです。
終わらない仕事をいっぱいするために、3時間、4時間睡眠で学校へ行って。だから、どんどん思考が「しんどい、しんどい」ばっかりに行ってしまって、心も体も疲れて立ち行かなくなってしまったんですね。
だからずっと毎日のように、「来年度は辞めよう」「産休に入ったらいったん区切れるんじゃないか」「担任はもう無理だ」「今日はしんどいから、ここで管理職の先生に電話して『今日休みます』って言えたらいいのに」「疲れがとれないのに、子どもたちの前でこんなに笑顔でがんばれない」って思ったり。
しんどい時には、「子どもたちをもっともっと成長させてあげたい」という気持ちにはなかなかなれなくて、「このまま、ただただ見守ってちゃダメなのかな」って思ったり。
「でも、こういう関わり方をしたらお家の方になにか言われてしまうかな」「学年主任の先生になにか言われちゃうかな」と考えてしまったりとか。
いろいろ考えて、「自分がしたい」じゃなくて、「周りからどう思われるかな」「周りの評価ってどうかな」というところにばっかり目がいってしまって。
結局、自分がしたいことも、そして目の前の子どもたちの目もまったく見ることができなくなっちゃっていた。それがどんどん苦しくなって、あの日化粧ができなくて、なにも手が動かなくって、学校へ行けなくなっちゃったんだろうなと思うんです。
渡邊:ただ、私は(教員を)辞めなかったということで、しんどいところからうまく抜け出せたのには2個の理由があります。
(1個めは)1ヶ月間休んだ時に、徹底的に自分自身と向き合ったんですよね。自分は本当は何がしたくて、何が好きで、何を大切に思ってるのかを毎日ノートに書き続けたり、いろんな人に話してみたり、時には苦しい思いをしたりしながら向き合った。
そして2個目は、発信してみたことです。最初はInstagramだったんですが、「もしかしたら、私と同じ思いをしている先生がいるかな?」と思って発信してみました。
最初はぜんぜん(先生たちと)つながったりとかはなかったんですけど、毎日毎日発信し続けていく中で、「私も同じ思いです」「同じ気持ちでも先生をやってる人がいたんだって励まされました」というコメントやメッセージをもらえて。
それが1人増え、2人増え、私の励みにもなったし、私のエネルギーにもなった。それで今、こういうふうになれているのかなと思います。
「何を大切にしたいのか」に向き合いながら、発信しながら見えてきたのは、「私は先生たちと関わることがすごく好きなんだ」「先生たちのキラキラした話も、しんどい話も、ただただ聞くことがすごく好きなんだ」「先生たちが先生たち自身を主語にして、自分たちの道を模索しながら見つけていく姿がすごく好きなんだ」って思えて。
だから、先生たちが自分自身のことを大切にできるような働き方ができるお手伝いを、これからしていければいいなと思いながら発信したり、非常勤講師として働いています。
渡邊:私自身も非常勤として働いているんですが、「正規がすべて」「正規が無理だったら辞めなきゃいけない」とか、そういうことじゃなくて。働き方にもタイミングや状況があって、そしていろんなグラデーションがあっていいと思うんですね。
非常勤もいいし、臨任もいいし、支援委員さんだっているし、ボランティアだっていいかもしれない。いろんな関わり方があると思うんですが、私の一番の願いとしては、子どもたち・学校と関わる大人が1人でも減ってほしくないと思っていて。
つらい気持ちはいっぱいあるだろうし、「正規でなかったらすべて終わりだ」って思ってしまう気持ちは、私もすごくあったからわかるんです。
でも、自分の心地良い働き方とか、自分の心地良い塩梅はそれぞれあって、それはタイミングかもしれないし、自分自身のパーソナリティかもしれない。そういうのを見つけながら、自分らしい働き方や「あなたの働き方」をそれぞれ見つけていってほしいなと思います。以上です。
高村:ありがとうございます。「周りの目、気になりますよね」というみなさんのチャットの反応、本当によくわかるなと思います。特に学校だと、保護者、子ども、地域といろんな目線があるからこそ、自分の軸を見失ってしまいやすいんだろうなと感じました。ありがとうございます。
渡邊:本当ですね。ありがとうございます。
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