2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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井上祐巳梨氏(以下、井上):事前質問もかなりたくさん届いています。
河野ゆかり氏(以下、河野):ありがとうございます。
井上:1個1個深掘りしていきたいんですけれども、今日はトークテーマに沿って、少し談笑的に話を進めていけたらなと思っています。まず最初の質問です。「それぞれの理系選択のキッカケ」ですね。今のお話の中にも少し上がったかなとは思うんですけれども、あらためてどうして理系分野を選択しようと思ったのか、まずは河野さんからお話をお願いします。
河野:今思い返したら、受験の科目という意味での理系は、確かに昔から好きで得意だったんです。けれどもそこから、自分が得意だから理系に進もうと思ったというよりは、医学、医療に精通したい、よりわかりたいという気持ちから、医学部だなと(思った)。結果的にそれが理系だったというほうが大きいですね。
先ほど言ったように、映画を見て難病研究に興味を持ったのがきっかけではあるんですけれども、その結果として理系に進むことになった、というほうが正しいかもしれないです。
井上:なるほど。あえて理系を選択していたわけではない。結果として理系になったんですよね。山本さんはどうですか?
山本愛優美氏(以下、山本):今慶應のSFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)に通っているんですけど、私もめちゃめちゃ結果論に近いです。「ときめきを研究したい」と考えて、それができそうな大学を探していたら、結果的に環境情報学部に進学したというのが正しいです。
井上:なるほど。お二人ともそれで(理系を)選択して、今、非常にいろんなご活動をされていて、これからもさらに楽しみだなと思います。
井上:その理系の選択が、日本ではだいぶ少ないというところで、山田進太郎D&I財団の主催で今回のようなSTEM Girls Festaを行っています。次の質問はこちらです。
ずばり「STEM女子、日本でなぜ少ない?!」というド直球のトークになりますね。ここは時間を掛けてお話を聞きたいなと思います。次は山本さんから、このあたりはどう思われますか?
山本:自分の大学に通っていると、実感としてそんなに(STEM女子が)少ないなという感じがしないんですよ。いわゆる理系が少ないと言われているんですけれども、たぶん(SFCは)文理が融合しているからこそ、そんなに境目を感じないのかなとは思いつつ。
それこそ自分が参加しているIT人材育成プログラムとかを見てみると、すごく女性がマイノリティだと感じています。この「STEM女子」と言われる前は、「リケジョ」と言われたり、純粋にそういったカテゴリーに対するハードルみたいなものがあったりするのかなとは感じましたね。
井上:なるほど。山本さん、2022年の未踏アドバンスト事業にも採択されていますが、男女比率とかはどうでしたか?
山本:男女比率、これがびっくり。(選ばれた女性は)私1人だけしかいなかった。
井上:全体が何人か聞いていいのか、ちょっとドキドキしちゃうんですけど。
山本:何人だったかな。20何人ぐらいだったんですけど(※注 2022年度は8件のプロジェクト、イノベータ数24名)、別に女子だから取ろう、男子だから取ろうとしているわけではないんです。結果としてそもそもの応募数だったり、選ばれている母数が少ないのかなとは感じていますね。
井上:なるほど。これから母数をどう広げていくかは、みんなで協力し合いながら考えていきたいところですよね。
井上:では河野さん、どうでしょう。
河野:そうですね。さっきのいつの間にか理系だったという話とも通じるとは思うんですけれども。昔から勉強をする時に、今やっている数学は理系だとか、国語は文系だからとか、頭の中で勝手に「こういうものは理系」「こういうものは文系」という先入観が作られてしまっていて。
じゃあ「いざ自分が何をやりたいか」と言われた時に、多少興味があるなと思ったものがあったとしても、それを無理やり一般的な理系とか文系とかにカテゴライズしてしまって、「でも、そう言えば私は理系のあの科目は苦手だし」と、せっかくの選択肢を排除している気がするんですね。
実際に自分が理系に進んで医学部に入ってみて思うんですけれども、別に高校時代に数学が苦手だったからといって、医学部に行けないわけでもないし、入ってから必要な能力を培うこともできます。もし科目とか教科とかに縛られてしまっているんだったら、すごくもったいないのかなと思ってしまいます。
井上:すごくいいお言葉ですよね。科目とか教科に拘るのではなくて、本当にやりたいところに突き進んでいくということですよね。
井上:河野さん、この間お話した時に、まさに医学部の選択の時に、周りから掛けられた言葉のお話がありましたが。
河野:ああ。
井上:言っていい話なのかわからないですが、もしよければお話いただけますか。
河野:そうですね。医学部で女性だったら、将来的に女医になる可能性が高いじゃないですか。(なので進学する時に)「女医は結婚できないよ」とすごく言われました。今はもう言われません。でも周りとかちょっと上の先輩とかを見ていても、時代は変わっているなとすごく思うんですね。
「理系女子はちょっととっつきにくい」とか、そんなこと周りを見ていてもぜんぜんないですし、逆にもしそれを言われたとしたら、「この人は時代錯誤だな」と流せばいいんじゃないかなと思っています。
井上:そのとおりですね。「アンコンシャスバイアス」と言われる、かなり根深い無意識なバイアスですが、山本さんはこれについて何か感じることはありますか?
山本:そうですね。私はもともと高校ではいわゆる文系に所属していたんですよ。大学受験で理転して理系の学部に進学したので、最初に進学が決まった時は、ちょっと自分の中でも高揚感というか、「私もついに理系になったぞ」みたいなものはありました。
高校時代を振り返ってみると、「理系」に属している人たちを見て、すごくハードルの高さを感じていたなと思います。でも進学してからは関係なく、自分の学びたいものを学びたいように学んで、それが時に数式を使うこともあるし、というかたちでした。思っていたよりハードルが高いわけではないと、進学をしてから感じました。
井上:なるほど。山本さんはゲーム開発だったり、耳元で光っているプロダクトを作ったり(されていますが)、それぞれに必要としたスキルは違いましたか? 習得が大変だったなとか、何かありますか?
山本:そうですね。うちの大学はプログラミング言語が必修で、JavaScriptとかPythonとか学ばないといけなくて。私の場合は「恋愛ゲームを作りたい」が先行してJavaScriptを学んでみたり、Pythonを学んでみたり、と始まっていきました。
ソフトウェアを作ったので、ハードウェアも行けるかなと思ってこのイヤリングを作り始めて、今度はArduinoというC++に近い言語をやりました。「やりたい」が先にあって、それをやるためにプログラミングが必要だったから手を出していったので、「結果的にそうなった」というのが本当に大きいです。
井上:先ほどからの河野さん(のお話)もそうでしたし、山本さんもおっしゃっていたように、やりたいことがあってこれを選択する、ということが続いていらっしゃるんだなと思いました。
井上:スキルの話が少し出てきたので、次の質問はこちらです。「これからの時代に必要なスキルについて」。実は中高生のみなさんだけではなくて、保護者のみなさん(から)もいろんな質問がありました。
やはり保護者さんも「理系に行かせていいのかしら」とか、いろんな思いがあって。まさにZ世代のお二方から、これからの時代に必要だなと思われているスキルについて、率直に(お話を伺いたいです)。よかったら河野さんからお願いします。
河野:そうですね。私が理系という側面(があるから)なのかはわからないですけれども、一番は「コミュニケーション能力」だと思います。
必要なスキルはこれから絶対出てくるし、それをあらかじめ高校の時点で身に付けておくのは、不可能だと思うんです。でもこれからの人生の中でいろんなスキルを身に付けたり、いろんな人から力を貸していただいたりする上で、絶対に大事なことは「人と関わる力」だと思います。
私は今考えても、中高時代、もっといろんな経験をしておけばよかったなと思っています。(必要なのは)分野を問わずにいろんな人と関わっていくことかなと思います。
井上:ありがとうございます。本当に重要な、必ず出てくる「土台」ということでコミュニケーションのお話が出ました。
井上:山本さんはどうでしょう。
山本:そうですね。「好奇心」じゃないかなと思います。今いろんな新しい文化とか概念、技術が生まれていますが、そこに触れることに、若干ハードルを高く感じてしまう人もいると思うんです。でも実際に触れてみたら、そこにはいろんなおもしろい可能性が秘められているので、好奇心を持って、いろんなところにワクワクしながら臨むのが大事なのではないかなと思います。
井上:ありがとうございます。まさにスキルで言うと、国際団体さんとかが出されているもので、「creativity」が最近話題に上がってきているんです。まさにそのcreativityにつながる、何かを作り出す時のコミュニケーションとか、「作りたい」という思いの根源になる好奇心とか。このあたりが大事なんじゃないかということで、すごくいいヒントが詰まっていたと思います。
井上:そして次は「Diversity & Inclusionな未来に向けて」と(スライドに)書いているんですけれども。まさにZ世代のお二人が考える、これからの未来社会。これからどうなっていったらいいと思う? というお考えをお聞かせいただけたらと思います。河野さん、お願いします。
河野:そうですね。まず自分自身が、「べき論」に囚われないことかなと思うんですね。昔から自分を育ててくれるのは絶対年上の方で、その人たちは一世代前を生きているので、そういう人たちからいろいろ「こうあるのがいいんだよ」と教えられると思うんです。
もちろんそれは、いい人に育ってほしいと思って言ってくださっているとは思うんです。ただ、時代が変わったらそれも変わっていくわけで、それを自分で批判的に見て、「別にこうが正解じゃないんじゃないか」と思うことができたら、自分が持っている正解も、他の人にとっては正解じゃないという見方もできるだろうし。
自分で批判的に周りを見る。そして自分の中で得た答えに対して自信を持ちながらも、他の人の結論に対しても「そういう考え方もある」と捉えることが、一番大切かなと思います。
井上:ありがとうございます。まさに今「時代は変わってきましたよね」というコメントもいただいています。まさにそうだと思いますけど、山本さんはどうでしょう。
山本:そうですね。私たちは「e-lamp.」を作っている時に、「問い」をすごく大事にしていました。「これから変化が激しい時代には『問い』と『対話』が重要だよね」と常々言っているんですね。
正解がないこととか、人によって正解が違うことに向き合う上で、すごく重要な概念だと思っています。「Diversity & Inclusionな未来」というところで言うと、お互いのバックグラウンドとか考えが違う人と、接する場面が必ず出てくる。
その中で「この価値観についてどう思う?」という問いを投げること。そして、そこで分断を起こさずに対話を繰り返していくこと。このプロセスを続けていくのが、重要なのではないかなと考えています。
井上:問いと対話。本当に大切ですね。今もし教育関係者の方が見ていたら、頷くところかなと思いながら聞いていました。まさに事前の質問の中にも、(似たようなご意見を)たくさんいただいております。
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