2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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宮下彩夏氏(以下、宮下):ここからは、金谷さんと土田先生のお二人にお渡しして、対談パートとさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
土田俊輔氏(以下、土田):よろしくお願いします。
金谷智氏(以下、金谷):気合い入ってきた。
土田:僕も気合い入ってますよ(笑)。
金谷:今年のテーマは「いかに社会とつながるか」ということで、孤独の解消、機会の格差の是正、というすごく壮大なテーマを掲げてるんですが、学校の先生をやっていると本当に孤独じゃないですか。
僕だけかな? と思ってたんですが、学校で働いている中でも孤独を感じることがよくあって。今日は、孤独の解消について深掘っていきたいと思ってます。
土田:わかります。
金谷:土田先生に聞いていきたいんですが、「複業先生」を初めて知った時の印象とか(があれば教えてください)。
宮下:そういえば、授業をやった時の(映像があります)。土田先生の高校で授業やったという話をしてたんですが、NHK富山放送局さんに特集いただいたものがあるので、どんな授業をやったのかという様子をお送りします。
【ニュース映像が再生】
宮下:いったんここまでにしますかね。
金谷:公立の小学校から公立の高校、もちろん私立でも(「複業先生」を)使っていただいてますし、いろんな事例が生まれています。今回、土田先生の学校でやらせていただいた概要や、(複業先生の導入に)至った経緯を簡単にご紹介いただけるとうれしいです。
土田:時間もあったからだと思うんですが、特にコロナ禍になってから「学校の意味って何なんだろう?」というのをすごく考えるようになって。その時に1つあったのが、生徒たちのことです。
土田:どうしてもこれまでの高校生活だと、大人になるまでに保護者と教員ぐらいにしか会わないじゃないですか。それ以上に、外部のいろんな分野で活躍している大人と出会う機会をとにかくたくさん作ってあげるのが、僕らの役割の1つなのではないかと思うようになって。
そんな時に、ちょうどCocoさん(阿辻香子氏、複業先生の講師として登壇。以下、Coco氏)の授業の話が舞い込んできて、すごくおもしろいサービスがあるんだなと思って、「ぜひやりたいです」と言ったのがきっかけですね。そういうことを考えてた時に話が来たので、ちょうどいいなと思って飛び込みました。
金谷:タイミングがよかったということで実際にやっていただいて、子どもたちの様子や変化はどんな感じだったんですか?
土田:そうですね。今までは、「いい大学に行くために勉強するべきだ」「偏差値を上げるには」という話ばっかりが学校で飛び交ってる傾向にあったと思うんですが、それ以上に「こういう大人になりたいから勉強しなくちゃ」とか、学びに対する姿勢(が変わった)というか。
特にCocoさんもそうですが、高校生よりちょっと年齢が上のお兄さん・お姉さんに言ってもらうと、僕が「勉強しなさい」と言う以上にすごく言葉にパワーがあったりするので。そういう言葉の一つひとつが、生徒たちにとってすごく大きかったなという印象はありますね。
金谷:なるほど。今まで、台湾から(オンラインで先生と)つないだり、外部の人とつないだりすることって、土田先生がご自身でやられようとしてたこともあったんですか?
土田:僕個人でやることはなかったです。おそらく、県内ならどこの学校もあると思うんですが、夏ぐらいに進路講話を学校で企画して。教員が保護者の職業を見ながら、看護師をやってる保護者に電話しました。これ、すごく労力がかかるんですよね。
金谷:確かに(笑)。
土田:「絶対に学年主任をやりたくない」と思いましたもん(笑)。しかも職業バランスもありますし。一応ツテはあったんですが、保護者に看護師がいたから呼べただけであって、もしいなかったらどうするんだ? という問題もありますし、けっこう大変だと思いますね。
金谷:なるほど。先生が本来やるべきことと、僕らみたいな外部のパートナーが巻き取れるところと、そのバランスがもっと上手にいくと、「先生だからこそ」のことに注力していただけるといいなとく思いますね。ちなみにこれは、土田先生だからできたという側面もなきにしもあらず。ここから(さらにつっこんだ)本音トークでいきますか。
土田:そうですね。
金谷:今日ここに来てる人たちは、「社会とつながって学ぶことが必要だ」ということに100パーセント同意だと思うんですが、「社会とか言ってないで、英単語を覚えなさいよ」「仕事とか考えずに、1個でも漢字を練習したほうがいい」と言う学校の先生たちは、まだまだ世の中に多い。
そんな中で、実際に学校の中でのそういう(外部人材導入の)取り組みは、多少でも(他の先生たちにも)理解していただける側面があったのか、それとも未だに不思議な空気になっているのか、実際はどんな感じなんですか?
土田:そうですね。Cocoさんは、授業としては今までに2回ぐらい、あとはアーカイブ動画でも使わせていただいています。その度に校内の掲示板で「今度、こんな授業をやるので見に来てください」って、ちょっとうざがられるぐらい(笑)、しつこく宣伝してたんですが、あまり(他の先生は)見に来られないんですよね。
先生方が忙しいというのもあるんですが、1〜2人ぐらい授業を見に来て「なかなかおもしろかったね」という感想をいただいて終了、というのが実際のところです。個人的に、「なんか僕だけ盛り上がってるな」というのはけっこうありますね。
金谷:なるほど。
金谷:「県の表彰で」(※南砺福野高校は「第14回 キャリア教育優良教育委員会 学校及びPTA団体等文部科学大臣表彰」を授与)という話があったじゃないですか。あのあたりで潮目が変わったり、明らかにアーリーアダプターっぽいと思うんですよ。
「オープンイノベーション」といって、必要としている民間企業だと当たり前ですが、そもそも学校の先生たちの中では、外部のパートナーと(提携するのは)「すごいこと」という感じになっているんじゃないかなと、見ていて思いました。なので、県のキャリア教育の話を聞いてすごくうれしかったですか?
土田:そうですね。県のキャリア教育の話も、学校で大々的に「こんなのもらえました」と言っている感じじゃなくて、一部の進路の担当してる先生がさらっと「こんな賞をもらったんだよ」と言って、「あぁ、そうなんですか」といった感じでした。
「これ、学校全体でやったら相当おもしろいと思いますよ」ということは、けっこうプッシュしてるんです。学校は「前例主義」があるあるだと思うので、今のところまだ動きはないですが、そこはめげずに、今年もひたすら取り組んでいこうかなと思います。
金谷:なるほど。ひたすらやりましょう。もうちょっと大きい話で、働き方や先生の業務負荷軽減という観点でいくと、「複業先生」含む外部連携は、将来的にどういうインパクトがあると見ていますか?
土田:そうですね。これ、実際に使ってみるとすごく思うんですが、キャリア教育や働くことに関することとか、「今のうちにやっておいたほうがいいよ」ということは、無理して教員側がやらなければいけないことでもないと思うようになっていて。
キャリア教育とかは、「餅は餅屋」じゃないですけど、専門の人にどんどんやってもらったほうがいいんじゃないかなと、僕はすごく思っています。
複業先生のサービスも、「ここまでおんぶに抱っこでいいのか?」というぐらい全部準備してくださって、「この人でお願いします」と言ったら、もう事前の準備もありましたし。だから、負担がすごく楽に軽減されます。
さらに授業の内容も、今まで我々がヒーヒー言いながら一生懸命やっていた以上のものを生み出してくださるので、かなり可能性があるなと思っていますね。
金谷:なるほど。餅屋としてがんばりたいなと思います。
土田:いやいや、本当に助かってます。
金谷:準備でいうと、弊社のコーディネーターとの事前の打ち合わせが1回と、当日(の打ち合わせ)という感じですよね。
土田:そうですね、2回ぐらいです。最初はZoomで「こんな感じで」と話して、2回目の時には授業がほぼ完成していて、「こんな流れでいきますので、お願いします」と。「こんなにやっていただいてすみません」という感じで、ペコペコしていたのを覚えています。
金谷:懐かしい。もう半年前ぐらいですかね。
土田:そうですね、半年前ぐらいです。
金谷:今回は(複業先生を)英語の時間の中で使っていただいたと思うんですが、例えばロングホームルームの中で、アーカイブ(動画)で「進路を一緒に考えよう」という使い方をしていただいたり。
人によっては、複業先生は「キャリア教育のためのものですか?」「探究学習のためのものですか?」「プログラミング教育のためのものですか?」とか、けっこういろいろな側面で理解していただいているんです。
(人によって「複業先生」の)イメージはまちまちなんですが、土田先生にとっての「複業先生」は、教科とキャリアの比重なのか、それ以外の何かがあるのか、そこの感覚はどんな感じなんですか?
土田:僕の中では、「キャリア」とか「教科」という感じではなくて。例えばCocoさんの場合は、英語を学ぶ以上、「実際にこうやって世界で使う人がいるんだよ」というのを(生徒たちに)知ってもらいたかったので、英語の授業で使わせていただきました。
みみたろうというVTuberがいるんですが、キャリア教育の一環で「こういう仕事があるんだよ」と、みみたろうの授業を使わせていただくこともありました。
あと、10分以内で収まるアーカイブ動画は、朝学習で「今日はこんな職業を紹介するよ」というふうにやらせていただいたり、本当に適材適所というか。「こういうのがしたいな」と思った時に、「『複業先生』でいい人がいないかな?」という感じで使っていましたし、これからもそういう使い方をしたいなと思ってます。
金谷:ありがたいです。生徒たちから追加で質問を出してもらって、やり取りしていただいてましたよね。
土田:それもありましたね。びっくりしたんですが、朝の会でフリーランス先生のアーカイブ動画を生徒に見せたら、教育関係に興味ある子が「先生、この方に連絡したいんですけど何か手段はありますか?」と寄って来てくれたので、つなぎました。そういう積極的な生徒もいて、生徒はすごく喜んでましたね。
金谷:うーん、すばらしい使い方。
土田:本当に「こういう子、いいな」と思いましたね。なかなか今、質問する子って少ないので。
金谷:確かに。授業の中で、チャットで質問できることはあると思うんですが、レポートを配信していたところにわざわざ質問しにいく。僕らからすると、「そういう生徒向けのマイページが必要だね」という学びにもなったし、複業先生側からしても、本当に届いてるんだという手触り感もあって、喜んでくれてたのは心に残ってますね。
ちなみに、他の学校の先生方とこういう先進的な取り組み自体を分かち合うことって、ふだんはあるんですか?
土田:ふだん、研修会はなかなかないので言わないんですが、今日は(イベントに)富山県の教員もいて、たまたま会った時に「こういう授業があるよ」と紹介する、立ち話程度です。
あと、SNSには教員仲間もけっこういるので、「こんな授業をしました」「LX DESIGNのこんな授業を使いました。けっこうおもしろいです」というのは、一応発信してます。「南砺福野高校、またなんかやってるね」みたいな感じで、アンテナを立ててくれる先生もいますね。
金谷:アンテナは立ってますね。
金谷:ちなみに、僕も教員を志して先生になったタイプなんですが、土田先生も(教員を)10年やってみて、働き方や捉え方の変化とか、仕事がしやすくなったのか、より大変になってるのか、この10年を振り返ってどんな感じですか?
土田:冒頭でも言ったんですが、最近特に思うのが「学校って何のためにあるんだろう?」という、モヤモヤポイントです。生徒も学校に来てるんですけど、あまり勉強のモチベーションを見出せない子も多いですし、メンタル的に病んで学校に来れない子も多いです。
いろんな状況もあるので、「学校は何のためにあるんだろう? ぶっちゃけ学校に来なくても勉強できるよな」という思いがあるじゃないですか。今は通信でもできるし、外部のサービスやYouTubeでも勉強できる。
10年経って思うのは、やっぱり我々は、学校でしかできないこととか、僕らしかできないことをもっと突き詰めていかなくちゃいけないと、最近すごく思っています。
金谷:なるほど。よく僕は、土田先生のことを「富山のエースです」って他の人に紹介してるんですが、向こう10年で何を仕掛けて、「こういう10年になってくれたらいいのに」という願いはありますか?
土田:願いですか。まず教員としては、何か目標があってがんばっていて、僕らが一番生き生きとしてないとだめだと思っていて。僕らの幸せというか、まずは僕らが満たされてないとだめなんだと思います。
今後10年で、教員はどんどん外部の方の力を借りながら、任せるところは任せて、僕たちしかできないことは僕たちがやって、いい意味での「手抜き」をした働き方になっていってほしいです。
土田:生徒たちには、「○○だけ」というのにはなってほしくないなと思っています。特に普通系統の学校では、やっぱり今はまだ「学歴重視」という雰囲気が多くて、結局それで生徒たちは病んでしまっていたりとか。
確かに5教科の勉強は大事ですけど、それ以外にも学校には大事なことがあって。友だちとなにかをすることもそうですし、部活動とかボランティアとか、いろいろあるので。
「学校=勉強」じゃなくて、生徒たちが3年間でいろんなことに自由にチャレンジできる。勉強にこだわらず、アルバイトも部活動もどんどんやればいいと思いますし、「複業部活動」とか、兼部もありえると思ってます。
そういうかたちで、子どもたちにももっと自由度を与えていくと、今の子どもたちがもっと楽しく、充実した学校生活を送れるようになるんじゃないかなと思ってる。そういうことも願っていますね。
金谷:なるほど。ちなみに余談ですけど、ある高校のダンス部で、「複業先生」から講師を入れてる事例があって。ダンス部の顧問の先生が「私、踊れない~」という感じで困っていたので、(「複業先生」で)ダンスの経験者を入れて、喜んでくれているという事例があります。
今までやったことのない部活を作ってみるとか、既存の部活の中で外部の人に手伝ってもらうことで、先生方も楽になる。今までの「その部活は学校にはないから、辞めましょう」という感じではなくなる世界が、もうすぐそこに来ている感じはします。
土田:そうですね。
金谷:僕らは、今の話にあった「先生のために何をするか」という会社でもあるので、学校の先生になりたい人たちが、ちゃんとその志を果たしてほしいなと思います。
このままでは、「先生になってよかった」と思って40年生きていく人たちが増えないと思ったんです。10代~20代で「教員になりたい」とがんばってた時の気持ちがちゃんと守られて、ちゃんと分かち合われるために、なんとかしようとしてLX DESIGNが始まってるんです。なので、「本当に先生になりたい」と思ってくれる人たちのために尽くしたい。
そのためには、先生が先生としてやるべきことに注力できる環境をどう作るか。今、まさに自治体を巻き込んで、先生の働き方改革や国を巻き込んでDXにも取り組んでいるんですが、これがもっともっと尖らせていく。
もともと「PBLをすごくがんばってます」「キャリア教育をがんばっています」という自治体からしか(依頼が)入らないわけです。だけれど、その波をもっと作っていきたいなと、お話をうかがってあらためて思いました。ありがとうございます。本当に、すばらしい対談のコーナーをいただきました。
土田:いえいえ。ありがとうございます。
金谷:この企画が立ち上がる前から、土田先生にはいろいろお話を聞かせていただいていて。せっかくなので皆さんにシェアすると、僕が教員をやっていた時に一番大変だったのが授業作り。2番目(に大変だったこと)が、保護者のみなさまに僕らの取り組みをどう理解していただくか。一緒に仲間になっていただいて、地域一体になるか。3番目が、庶務諸々という感じだったんです。
「複業先生」の授業で、先生たちが「できれば手伝ってくれたらいいな」というキャリア(教育)とか、ITとかグローバル(教育)とか、社外のつながりを作りつつあって、土田先生みたいに(外部人材を)使いこなせる先生も徐々に出てきてくれています。
次に、保護者とのコミュニケーションのために作った、オンラインの学級通信というものがあって。複業先生の授業が終わったら、学級通信になって届くというものを作ったので、今年度進化させて、みなさんにお披露目できるといいなと思ってます。
どういう授業が行われて、どんな様子だったか、どんな複業先生が授業をしてくれたか、子どもたちの感想やデータを持ってるので、それを保護者に見ていただける仕組みを作れるといいなということで準備していますので、ご興味のある方は見ていただければと思っていて。ということで、あっという間の対談コーナーでした。ありがとうございます。
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