2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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斉田季実治氏(以下、斉田季実治):健康(命)に関わることとして「天気予報を見て、家族と話し合いをしますか?」と書きました。これはあいさつのような「今日はいい天気ですね」という話ではなく、防災のことをちゃんと家族で話し合ってほしいということなんですね。
やっぱり崖のそばに住んでいたら土砂災害の危険があるし、川が氾濫したらその近くはすぐにこういう状況になってしまう。もう1つはアンダーパスと呼ばれるもので、低い場所はやっぱり水が集まりやすいので被害が起こりやすいんですね。
私は台風や大雨の時は、家を空けて仕事に行かないといけない立場なので、住む場所に関してはすごく気にしています。ハザードマップもそうですし、過去の地図も調べる。もし過去に池や沼だったら、やっぱり浸水しやすかったりする。そういうところまで調べて、実際今住んでいる場所は決めました。
災害は同じ場所で、同じようなことが起こります。どのような災害の危険があるかを知ることが「防災」のスタートなんです。
水害だけではなく台風の時も、それこそ学校でルールが杓子定規に決まっていて、暴風警報が午前6時までに解除されたら、通常通り学校があるんです。でも、台風のあとは危険なものがいっぱいあるんです。なので1度、台風の翌日に子どもたちと一緒に学校まで歩いたことがあります。
それこそ木の枝が倒れていたり、ブロック塀が少しズレているところもあったんです。台風のあとでも土砂災害などでもそうですが、どういう場所に危険があるのかは、子どもと一緒に歩いてみないとわからなかったりします。なので、ぜひやっていただきたいと思います。
斉田英子氏:子どもって、水が溢れているのに好奇心で近づいたり、崩れかかったブロック塀にひょいとなにかをする危険性も伴う生き物だからね(笑)。
斉田季実治:そうそう。やっぱり家族で事前に決めておかないと、ほとんど動けないことが多いんです。今はコロナですから、避難所もすぐにいっぱいになってしまいます。例えば親戚や知人の家やホテルなど、避難所以外の選択肢も考えておいたほうがいいです。
2番目に「避難スイッチ」と書いています。どういう情報が出たら避難を開始するのかも家族によって違うんです。ご高齢の方がいたり、足が不自由で車じゃないと避難できない状況の家族の場合は、早い段階で避難する必要があります。
一番下の「避難開始までの行動」というのもいくつか書いてありますが、「誰が何をするか」を事前に決めておかないと、なかなかできないと思うんです。
例えば「避難しやすい服に着替える」と書いていますが、いざ避難しようとした瞬間にパジャマだったら、そこから着替えるとなるとまた時間がかかるわけで、そういうことも考えておく必要があります。
斉田季実治:「避難してもなんともなかったじゃないか」と思ったり、「天気予報で大雪と言っていたのに、ちっとも降らないじゃないか」と言われることもあります。ですが、「なにもなくて良かったよね」と思えたらいいんですよね。
楽しいルールを作ってしまってもいいんです。例えば避難所に避難してなんともなかったら、帰り道に必ず焼肉屋に寄って帰るとか。そこまでセットで家族と話し合って決めておいたら、それはイベントごととして「良かったじゃない」と。それぐらいのルールを決めておいてもいいのではないかと思います。
斉田英子:なにもなくて良かった。夫婦やパートナーでも、危険だと相当慎重に考える人と、「いやいや、大丈夫だよ」と考える人の場合がありますからね。
斉田季実治:いくつか防災に関して質問が来てますね。この質問をまず読み上げましょうか。
「防災について話し合いたいと思っているのですが、『ごめん。地震とか台風とか、そういうことを考えるのが面倒。君に任せるよ』と言われています。夫と一緒に防災について考えるには、どうすればよいのでしょうか?」。
さっき話したように、「君に任せて」という1人でなんとかなる問題ではないんですよね。家族としてどうするかを決めて、それを共有しておく必要があると思います。
斉田季実治:もう1つ防災について質問がありました。
「私の友だちが『僕が住んでいる地域は海岸沿いでもないし、断層からも離れていて歴史上でも大きな地震は起こっていない。近くに川もないし、洪水・浸水の恐れもない』と」……すごく調べていますね(笑)。この人はすごいです。
「『家は築5年だから台風もまず大丈夫だろうから、正直、防災に気を配る気にならない』と言っています。彼の言うとおり災害に気を付ける必要はないのでしょうか?」。
これはちょっと怪しいですね。新築だから大丈夫かというと、そんなこともないんです。台風の時は、窓ガラスが割れてそこから風が入ってしまうと、屋根が飛んで全損ということが簡単に起きてしまったりするんです。
雨戸を閉めれば、窓ガラスが割れるのを防ぐことができます。直接(木の板などを)打ちつけるのは大変ですが、そういうもので窓ガラスが割れても大丈夫な状況にしておく方法もあります。
自分の家が大丈夫でも、周りで浸水が起きたり、川が氾濫したりします。「家の中にいるのが安全」という選択肢はもちろんあるんです。安全な場所であれば、避難所に行くよりも自分の家が安全という選択肢もあります。ただ、その場合にはきちんと備蓄がないと困ります。
最低でも3日、東京だと1週間分ぐらい備蓄がないといけないと言われています。やはり大事なのは水です。1日1人2~3リットルを飲んで、その家族分×1週間となるとけっこうな量になります。そういうものも意識して準備しておく必要があります。
斉田英子:もちろん、これぐらいしっかり調べて生活している方こそ地域に何かあった時に呼びかける、率先して動くリーダーになっていただきたいです。
私たちは、地域にどんな人たちが住んでいるのかを把握することは大事だと思っています。お互いに声を掛け合い、避難したり準備をすることが大切なので、こういう防災意識の十分な方こそ、リーダーシップで率先してほしいですね。
斉田季実治:それこそ東日本大震災でも、結局は「近所の人の『一緒に逃げよう!』という声で逃げたという人が多かった」というアンケート結果もあります。
実は今年度から、NHKの関東ローカルの放送でも、関東圏は地方から人が集まっている地域なので、率先して「九州で大雨になるから、家族などにそのことを伝えてください」という放送の仕方をするようになっています。やっぱり周りの声掛けが重要視されているんです。そうじゃないと人は動けないので。
斉田英子:私たちがずっとテーマにしているのが、「1人が動けて、それが家族に広がり、家族がまた別の家族や親族に広がっていって、つながって、みんなで安心安全な暮らしを」というものなんです。なので、準備ができている方や行動ができる方は、キーパーソンとして動いていってほしいです。
斉田英子:命のことは、子どもや教育に関することにも絡むので、少し話題提供をしたいと思います。子どもに関することで質問もありましたが、やはりそれぞれ個性があります。
本にも会話の事例で書いたとおりなのですが、「子育てに正解はない」ということを基に、夫婦で「最終ゴールを何だと考えているのか?」「最終ゴールは何歳か?」と、大きな質問でお互いのいろんな価値観を出していってください。
「学歴でしょう。収入でしょう。エリートコースでしょう」と言う人もいれば、もちろん違う選択肢も出てきます。それに対して「なぜそう思うのか?」と考えます。
そういったゴールを基に、親として、一歩先を行く大人として、子どもたちにどんなことを伝えられるのか。子どもも別個人だということを念頭に、おしゃべりの流れからでいいのでぜひ話してほしいです。
そして、子ども本人を話し合いに参加させてほしいです。6章にも書いた「ファミリー民主主義」なのですが、どんなに小さい子でも意見を持っています。あるいは、ないと思っていても問いかけると考え出します。なので、たくさんたくさん問いかけることが大事です。
斉田季実治:そうですね。子育てでは、子どもが自分で考えて行動できるようになることがゴールの1つだと思います。
斉田英子:そうなんです。私は「自分を自分が一番信頼できて、どんな失敗やどんなヘマがあってもまた立ち上がれる力をつくる」という視点が子育てには大事ですね。
斉田英子:体調不良もそうですが、やはり今一番心配なのは心の病気、心の風邪です。その風邪をこじらせすぎないようにしっかりと見ていく、声掛けをしていくことです。
なので、勉強がどうのとか、試験がどうのとかは二の次三の次です。心の風邪をこじらせないことを軸に、どう勉強しますか? どんなことがやりたいですか? ということがついてきている状況です。
これは母親と父親も立場が違うという意味で、子どもに私が伝えられないニュアンスを季実治さんが伝えます。我が家が男の子というのもあるかもしれません。母親と性別が違うぶん、父親が同性として伝えられることもあると思います。あるいは、異性の母親として何ができるかな? といった役割分担にもなっています。
1つ質問がありました。さっきの話とつながる中学受験のことなのでここで読みたいと思います。
「娘が中学受験を行ったのですが、安全校と呼ばれた学校を含め、5つ受けて全部落ちてしまいました。気丈に振る舞っていますが、明らかにショックを受けています。『これまで十分がんばってきたじゃない。これで人生が決まったわけじゃないよ』と声掛けをしましたが、娘の自己肯定感はかなり下がってしまったようです。どうすればいいでしょうか?」。
人生でしくじった経験、ダメだった経験、こっぴどくフラれた経験を含めて、親自身もいろいろ経験をしていますよね。
斉田季実治:そもそも私は大学を二浪していますからね。その時は「大学を二浪していると就職先ないよ」と言われていました。
斉田英子:そうですよね。
斉田季実治:でもどこからでも新しいことはできるし、いくらでもやり直せると思います。そのことを伝えたほうがいいですよね。
斉田英子:伝えるか、そのことをしっかり親も理解をしていく。親御さん自身もこっぴどく痛い思いをした経験があれば、きっと寄り添えていると思いますし、そういった点で気にされていると思います。
なので、寄り添っていっぱい聞いてあげて、次に進学する中学校でどんな楽しい出会いがあるのか、どんな学びができるのか。そこをしっかり共有して、今までできたことやこれからできることとか、「○○中学校に行くと決まったけど、どんな中学生活をしたい?」って聞くことですね。
斉田季実治:やっぱり、未来に意識を向けることは大事だよね。
斉田英子:そうそう。そうすると、落ち込む時間はたくさん必要かもしれないけど、そのうち歩き出せると思います。どんなふうにしたい? と聞いて、しっかり見るんです。そして、決して他の子と比べることなく、その子の持っているもので、未来でどんなことをしたいのか、しっかりと共有していけばいいんです。
あと、これは本当に落ち着いてからでいいと思うのですが、失敗こそ宝です。何も経験していない、5つ受験して全部受かった人よりも、5校受けたけども5校ともダメだった人のほうが「感情の成長」があります。
「人生はネタ作り」ということで、私たちも「失敗をしろ、それをネタにしていけ」「それは必ず活きてくる。今はつらいかもしれないけども大丈夫だよ」と、ずっとずっと伝えています。
斉田英子:また、中学受験等々も含めて、お金がかかってきますよね。夫婦でお金の価値が違い過ぎると厳しいです。正直、お金の使い方がまったく違う2人が結婚してしまうとまずいので、若い方は折り合いをつけていく必要があります。
また、究極どんな暮らしをしたいのか、この収入で何をしたいのか、お金の話にはぜひ子どもも巻き込んでください。
我が家も小遣い帳を付けて管理をしているのですが、日本の学校教育でお金の勉強をする機会は一切ありません。なので、しっかりお金のことを話していく。稼ぐことはもちろん大事です。どういうふうに、何にお金を使うのかも大事です。ここの図表に載せたようにライフイベントをしっかりと、何歳で何が起こるのか見える化をしていくと、ドキッとしたりします。
私は3人目を高齢出産したので、3人目が大学に行く時に果たして健康もお金も大丈夫なのか? といったところがあります。車を持つのか持たないのか、家を買うのか買わないのか。家を買ってもメンテナンスが必要です。年齢は嘘をつきません(笑)。三大資金である教育・住宅・老後は、表にしていくことをお勧めします。
夫婦は他人であり、別の個人です。違うということです。それぞれが貴重な時間、貴重なキャリアのチャンスを逃すことは絶対にしなくていいと思います。なので、その仕事の緩急を夫婦でしっかりと調整をしましょう。
斉田英子:他所で使うちょっとした丁寧な言葉や態度は、家族でもしてみましょう。でも、ロボットじゃないので感情があります。喜怒哀楽が出てくるし、イラッともする。そんな時は「うまく言えないんだけど、今日は私すごくイライラしている」と、私は息子にも言っています。「今日は母ちゃん、なんかむっちゃ調子悪い」。
斉田季実治:言ってるね(笑)。
斉田英子:そうすると、長男は年齢もあって「あ、そうなの?」「はい、はい」と言ってくれるぐらい、わかってくれるんです(笑)。感情を出していいんだというのも、練習だと思います。
ギクシャクしてきても、何かを一緒にする、一緒にお茶をする、一緒に食べる。おもしろいYouTubeを見てギャハギャハ笑う。そんななんでもない時間も大切に、素直に気持ちを出し合える練習をしましょう。
ということで7つ目に書きましたが、「一緒に、安心、信頼の居場所を目指していきましょう!」。人は違うからいいんです。目の前の人のイラッとした部分があったら、そのイラッとした箇所は「私にもあるものだ」と思ってみてください。
まったくもって写し鏡のように、夫婦や家族は似てきます。なので「あなたが悪い」「この子が悪い」と思うよりも、「自分が悪い内面の何かがあるかもしれない」と気づかせてくれるきっかけになると思います。
そんな凸凹な自分も、しっかりコンフォートゾーン(心地良さ)を守って、ストレスを溜めすぎず、一歩他者との出会いの学びのゾーンにもいきつつ。自分を大事にしながら気持ちを伝える練習として進んでいきましょう。
斉田英子:エッセンスが盛りだくさんだと思います。ぜひ書籍を手に取っていただきたいです。また、公式LINEの「彩り家族」のバーコードが書籍の巻末にもあります。読み取っていただきますと、家族で話すきっかけに、週末の木曜日に配信しております。
それから「ヒンメルカレッジ」というコミュニティも走り出しましたね。
斉田季実治:第1回が終わって、次は第2回です。第2回は私のほうで防災の話をする予定です。マイ・タイムライン(個人防災行動計画)といって、家族で実際にどういうふうに行動するかを考えるゼミを予定しています。
斉田英子:「こういったコミュニティはどうなっていきそうですか?」という質問もいただきました。もともと、私自身も困った時に「誰かにちょっと話をしたい、聞きたい」という安心できる人や場所があります。
私もそういった場所になりたいなと思い、気を揉むことのない低額で「ここを覗くと何かヒントがあるかもしれない」「ここの場所は安心していられる」という場所作りをスタートさせました。なるべく夫婦で、あるいは参加者のみなさんと作っていきたいなと思って、動いています。
「コミュニティを作って、印象的なことはありますか?」という質問ですが、40〜50代の同世代以降で、子どもがもう大きい方でも家族のことにすごく関心があることが、私としては印象的でした。「子どもが巣立ったけれども、その子どもの家族がまた気になる」とかも。
斉田季実治:そうですね。年配の方も多いですね。
斉田英子:第2回は2月23日の予定です。ぜひいらしてください。
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