2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
リンクをコピー
記事をブックマーク
司会者:お待たせいたしました。それでは時間になりましたので、世界最高齢プログラマーとして名高い若宮正子さんにお越しいただいております。前半は若宮さんによる「既成概念にとらわれずに、クリエイティブに考える」というテーマで講演いただいて、その後対談に進んでいきたいと思います。
それではまず、若宮さんのご講演でスタートしていきたいと思います。それでは若宮さん、ご準備大丈夫でしょうか? よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
若宮正子氏(以下、若宮):ジーズアカデミー「TOKYO GEEK DAY」にご参加のみなさま、こんにちは。若宮正子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでね、今日のテーマは「既成概念にとらわれずに、クリエイティブに考える」というお話を中心にということだったんですが、実際に私がどんなことをやってるのか、いくつか例をあげてお話しができたらいいんじゃないかと思いまして。私のところから1つ2つ、お話ししてみたいと思います。
まず「ExcelArt」というものなのですが、たぶんみなさん「何それ?」っておっしゃると思うんです。ExcelArtというのは、Excelのセルの塗りつぶしとか、それから罫線ね。ああいうものを使って図柄を作ることなんです。
今、私が着ているブラウスも、「ちょうど秋だわ。秋に合ったものは何かしら。今の季節といったらトンボよね」。ということで、トンボ柄のブラウスを作りました。
トンボ柄のブラウスなんて、そんなのどこのお店にも売ってないですよね。でも、自分で柄をデザインすればできちゃう。しかも私は絵心がありませんが、(ExcelArtなら)マス目を埋めていくことでできるんです。
若宮:じゃあ、どうしてそんなことを私が始めたのかっていうお話をしますね。10年ぐらい前まで、私と同じようなおじいちゃんおばあちゃんにパソコンをお教えしてたんです。私のところにいらっしゃる方は、だいたいWindowsのパソコンを持ってらっしゃるのね。
それにはまず、「コンピューターってどういうものか」というコンセプトをわかっていただきたい。それには何をやったらいいかということで、一番に考えたのがExcelなんです。
と言いますのは、コンピューターの働きがExcelが一番わかりやすいんじゃないか。例えばね、鉛筆と電卓を使ってお花見大会の会計報告書を作ってもらうわけです。それで、同じものをExcelで作ってもらう。
そうすると、Excelはどういう仕事をするのか、もうちょっと言うと、コンピューターはどういう仕事ができるのかを、初めての方にわかっていただけると思ったのです。
でもね、おじいちゃんおばあちゃんは「なんだこれ。マス目の中に字や数字が入ってるってうっとうしい。楽しくない」。確かに、うっとうしくて楽しくないです。じゃあ、とにかく入り口だけでも楽しくしましょうということで始めたのが、これ(ExcelArt)なんです。
若宮:もう1つ気がついたのは、Excelをお使いになってらっしゃる方がいたとしても、みなさんセルっていうマス目に色をつけることはなさるんですが、ただ単純に塗りつぶすという発想しかなかったと思うんですけど。
なんでExcelを開発された方がこんなことを考えられたんだか、私もよくわからないですが、グラデーションや縞模様やドット模様とか、いろんなものができるようにしてあるんですね。
だけど考えてみたらね、Excelの教科書には「ここの色をつけて、その項目を強調します」って書いてあるんですよね。「そんな、ドット模様だの縞模様にしたら字が読めなくなっちゃって、強調なんかできないのにな」と思ったんですが。
でも、これを使っておもしろいことができたんです。そうなんです、グラデーションを使うこともできました。さらにもう1つね、罫線という斜線と縦横の枠線ですが、これだってある程度、色を変えたり形を変えたりすることができるわけです。ですからこの罫線の色と形を変えるだけで、こんなくす玉ができちゃうわけです。
「おばあちゃん。でも、それどうして丸くなるの?」「だってあなたたち、Excelの教科書の一番最初のところに、『セルを結合して中央揃え』っていうのがあるじゃない。だから、セルを2つ、3つ結合したりいろいろやっていけば、好きなように曲線って描けるんじゃない?」って言ったら、「うーん……そうだ」ということになったんですね。
だから、表計算ソフトだからといって、なにも活用範囲を表計算に限定してしまうことはない。そうなんです、白菜があったら塩漬けにしなくちゃいけないわけでも、鍋にしなくちゃいけないわけでもないんですね。白菜でサラダを作ったり、白菜天ぷらもできるかもわからないのに。だから、そういう固定概念やめましょうっていうことにしました。
若宮:そしたら、またこれが意外と受けちゃったんですね。というのは、お年寄り、特に女性の場合は編み物とか手芸が好きな人が多いんですよ。だから、こういう編み込み模様みたいなものを作っていくことについては、とても親近感があるっていうんですか。
そして(受講者が)最初は何からやったら良いかわかんなかった。「日本古来の伝統的な文様からやってみれば?」ということで、「算崩し」とか「重ね菱」です。下は「紗綾(さや)形」、真ん中が「矢絣(やがすり)」ですね。右側が「六弥太格子(ろくやたごうし)」とか、こういう伝統的な文様を図案化することから始めたんです。
実はこの夏休みに、小学校の低学年、母と子とおじいちゃんおばあちゃんと、親子3代のExcelArt教室をやったんです。
そして、「日本には古来から伝わってる、こういう文様っていうのがあるのよ」「僕らそんなもの知ってる」「へぇー。どうしてそんなもの知ってるの?」「先生、『鬼滅の刃』って知ってるだろ? 『鬼滅の刃』のみんな、『市松模様』とか『麻の葉模様』とか、伝統的なの着てるじゃんか」。
「なるほどなあ」と思って。やっぱりあの作者もきっと、伝統的な文様に憧れてたんです。でも、別にそこに限定しなくても、これから発展していろんなものができるようになったんです。
若宮:そして、このバラの模様みたいにある程度立体化できるんですが、お魚でも何でも立体化しようと思ったら、今度はWindowsのアクセサリというただのおまけのソフトの中に、「3D Builder」というのがあるんですね。例えば、「白い薄い色を上に浮かべなさい。黒っぽい色は下に沈みなさい」って言うと、立体化もできるわけね。
そしたら、それはそれでまた楽しいじゃないですか。そういうようなことで、「こんなの作るのどう?」って言ったら、おじいちゃんおばあちゃんも喜んで作ってくださるようになって、それをグッズにしたり。
それから今はこういうふうに、布地に印刷する技術がすごく発達しまして。もちろん、自分の家にそんな印刷機はないんですが。
例えば、ネットで1メートル2,000円とかで「こういう柄で夏物の生地で作ってください」とオーダーする。それで、このトンボの柄を指定すると印刷してくださるんですね。それを縫い物の上手なお友だちに縫ってもらって、いろいろなふうにして着てます。
そして、Excelでうちわを作るワークショップをあちこちでやったんですが、これがけっこう子どもたちにも受けて。
若宮:私、エストニアに勉強に行った時も、おばあちゃんとお孫さんとか、そういう人たちと親しくなるためにExcelArtをやったんです。
要すれば、言葉が違ってエストニア語なんかわからなくたって、ExcelはExcel。中国行ったって、ExcelはExcel。壁がありませんから、すぐにわかって楽しんでくださった。
それから、前の天皇皇后両陛下さまの時の最後の園遊会に呼ばれちゃって。私、政府の仕事をしてるから、そういう時に呼ばれちゃったりすることもあるのね。その時も月並な洋服を着て行ったってしょうがないので、ちゃんとドレスコードに合ったくるぶしの長さのドレスをExcelArtのデザインで作ってもらって着て行きました。
ハンドバッグも月並なハンドバッグじゃなくて、よく小学生が電子工作でやるみたいに、アイロンビーズで下に柄の基盤を入れて、LED電池をこうやってピッカピッカ光らせるようにしたんですね。そしたら、皇后陛下が「あら、これ光りますのね」と言って、とっても喜んでくださった。そんなこともありました。
というのが、ExcelArtです。ですから、思いついたものがだんだんと翼を持ったり、それなりに変化したり進歩したりということで、みなさんに喜んで使っていただけることをとても感謝してます。
関連タグ:
2025.01.21
言われたことしかやらないタイプの6つの言動 メンバーが自主的に動き出すリーダーのマインドセット
2025.01.20
組織で評価されない「自分でやったほうが早い病」の人 マネジメント層に求められる「部下を動かす力」の鍛え方
2025.01.23
コミュ力の高い人が無自覚にやっている話し方5選 心を開かない相手の本音を引き出す相づちと質問のテクニック
2025.01.16
社内プレゼンは時間のムダ パワポ資料のプロが重視する、「ペライチ資料」で意見を通すこと
2025.01.22
部下に言いづらいことを伝える時のリーダーの心得 お願いを快く引き受けてもらう秘訣
2025.01.22
1on1では「業務進捗」ではなく「業務不安」を話すのがカギ 上司・部下は何をどう話せばいい?対話の悩みを解消するには
2025.01.14
目標がなく悩む若手、育成を放棄する管理職… 社員をやる気にさせる「等級制度」を作るための第一歩
2025.01.21
今までの1on1は「上司のための時間」になりがちだった “ただの面談”で終わらせない、部下との対話を深めるポイント
2025.01.07
1月から始めたい「日記」を書く習慣 ビジネスパーソンにおすすめな3つの理由
2025.01.22
「やったもん負け」の現場で何が起きている? 大企業の新規事業が成果を出すための条件とは