2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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植松努氏(以下、植松):みんなが幸せになるためには、みんなのバランスが取れていなきゃいけないんですよね。誰かが「働かないで食っていきたい」と思ったら、誰かが倍働くだけの話ですから。どこにもひずみが生じない、つるっと美しい社会にならないもんかな、という感じがするんです。
朝山あつこ氏(以下、朝山):美しい・バランス、ですね。だからいろんなでこぼこがあってもよくて、それをみんなで尊重し合って、いいところをうまくつなぎ合わせて作っていくような社会のイメージだといいですよね。
植松:そのためには、いかにして無駄なものを排除していって、より最適化していくか。紙飛行機には動力がないところが、すごく好きなんですよ。エンジンを回すわけでもないのに、シューっと飛んでくしね。もっとすごい車もいっぱいあるけど、やっぱりオートバイがいいなと思うのは、すごくシンプルだからなんですよね。人の暮らしも、もうちょっとシンプルに美しくなるんじゃないかな。
朝山:そうなるといいですね。シンプルに暮らそう、シンプルに自然と共存しよう、人と人とで共存しよう、という人たちが、今日も6地域から集まってくれています。植松さんの好きなものはバイクや飛行機とかなんだけど、良くしていこうとする行動になっていることが、すごく重要。ここがすごく尊いなって思うんですよ。
植松:僕は、納得いかないことや理不尽なことが大嫌いなんです。
朝山:同じでーす!(笑)。
木本文絵氏(以下、木本):私も同じです(笑)。
植松:「本当にこれ、必要あるのかな」「無駄じゃないのかな」ということを、いつもすごく考えてる気がしていて。
朝山:追求してますね(笑)。
植松:それをバンバン切り捨てていくと、最後にシンプルなものが残る感じがするんですよね。
朝山:断捨離と似てますよね。
植松:物理的に断捨離はぜんぜんできないんですけど、そっちの断捨離はできてますね(笑)。
朝山:(笑)。わかります。私も子どもたちにプログラムをやる時も、「なんで?」と聞いてあげると、「え? なんでって聞かれても」みたいに、子どもが時々ぎょっとしたような顔をするんです(笑)。真剣に考えるとその子の考えがいっぱい出てきて、そのあとどんどん削ぎ落としていくんですよ。そうすると、たった1個残るのがわくわくエンジンなんです。
植松:この間、小学校の子が「金持ちになりたい」と言ったんですよ。「なんで?」と聞いたら「えっ?」と言われて。もう1回「なんで金持ちになりたいの?」と聞いたら、「おばあちゃんが入院してるから」「お金がいるんだ」と。
でも、だとしたら「とりあえずおばあちゃんに手紙を書いたり、会いに行ってみたら?」と言ったら、「確かにそうだね」という話になって。「来週行ってくる」とか言ってましたけども。
きっとその子は、すごく優しい子だったんですよ。大好きなおばあちゃんが入院していて、治ったらいいなと思っているけど、お金がかかる。だから「お金がほしい」になっちゃったんだと思うんですが。きっとおばあちゃんのためなら、ほかにも道はいっぱいある気がするんですよね。違う選択肢を考えるチャンスを作る必要があるのかなと思いますね。
木本:そうですね。まさにそれが対話ってことですよね。ただ上の話を聞くんじゃなくて、「どうしてそう思ったのか」というところから、どんどん真髄に突き進んでいく。
朝山:おばあちゃんと幸せな時間を過ごしたい、そのためにはお金が必要だって思ったから、「お金持ちになりたい」になっちゃったんですよね。そこの深掘りをしてあげると、その子の優しさが浮き彫りになってきますね。
植松:本当にね。もし、わからないままお金持ちになっちゃってたら、それこそ夢がわからないで終わっちゃうというか。「あれ。なんで俺、金持ちになったんだろう」と苦しむことになっちゃうかもしれないから。やっぱり、自分でやってみたいことがあったら「なんで自分はそれをやりたいんだろう」ということは、時々考えたほうがいいかもしれないね。
朝山:そうですね。「なんで?」と問うのって、きつい言葉のように聞こえるけど、実は優しい言葉なんですよね。ありがとうございます。
木本:どんどん聞きたいんですけど、植松さんのお話の間にも、チャットでみなさんがたくさんコメントをくださっています。
「専門学校、興味津々です。宇宙が好きな息子に教えます!」「自信をなくしている子どもや大人が。身近にたくさんいると感じます。自分の夢を語って仲間を増やしたいと思います」「勇気をもらいました」という声もたくさん上がっていたので。
朝山:うれしいコメントが山盛りきてます。あとで共有しますね。
植松:ありがとうございます。
朝山:北海道ハイテクノロジー専門学校は単なる技術の学校ではなくて、社会に貢献できる人を育てていく、みんなが幸せになるための専門学校であるということが、さっきすごく伝わってきました。
植松:なんとかして「優しい」を伝えたいんだよね。というかおそらく、「優しい」はもともと持っているものなので、それに乗っかかっている“優しくないもの”を除けていくと、優しくなる気がする。それを授業でやってみたいなと思ってます。
朝山:うわー、楽しみ! 来月伺いますから。
植松:そうだよね、ありがとうね(笑)。
朝山:わくわくしてます(笑)。
朝山:「だったらこうしてみたら?」と言ってくれる周りの大人たちがいるから、これから勇気を持って一歩踏み出せるんだと思うんですね。そういうふうにしてきた子の発表が、このあと3地域続きます。そこもみなさんにぜひ見ていただきたいんですが、今スタンバイしてくれてるんですけど、島根県江津市です。
木本:植松さん、行ったことあるって。
朝山:江津高校、いらしたことあるって聞きましたけど。
植松:ええ、確かにそうかも。
(一同笑)
朝山:学校が高台にあって、日本海がすごく眺めが良くて。江津瓦の屋根が見えるような、素晴らしい学校なんですよ。そこの子どもたちが、今から7人登場してくれます。
植松:僕、そこのバス停でアイスを食べた記憶がありますね(笑)。
(一同笑)
朝山:おもしろい、あとで聞いてみよう(笑)。実はその子たち、わくわくエンジンなんて何だかよくわかんなくて。学校の授業でやったんですが、初めは「なんかよくわかんないけど」って動き出したんですよ。
そしたら、先生たちもご指導下さってたと思うんですが、やっぱり自分たちですごく考えて。とにかく人見知りで、人前で発表することなんか「無理無理!」みたいな方たちなんですよ。それががんばって一歩踏み出して、先生が驚かれていたのは「えぇ、あの子たちが?」って。授業じゃない時間に自分たちで「いつ話し合う?」とかね。
木本:自主的に動き出してる。
朝山:そう。「どうやる?」「これどうする?」みたいな感じで自主的に動き出して、一歩踏み出した。言っちゃいけないかもしれないけど、この子たち本当に普通のJK(女子高生)なんですよ(笑)。
さっき植松さんがおっしゃった、「東大生が勉強できるのは当たり前」みたいな感じはあるけど、そうじゃなく普通にしている子たちがどうやって一歩踏み出していくかって、大人の応援やわくわくする気持ちの一歩だと思うんですよね。
そんなところを踏まえて、一歩踏み出した彼女たちの勇気を見ていただけたらなと思うんですよ。やる中で気づきがいっぱいあった、というお話です。
木本:そうですね。お話しいただきました、株式会社植松電機代表取締役・植松努さんにご講演のお礼と、トークセッションもどうもありがとうございました。あっという間の楽しい時間でしたね。
朝山:ありがとうございました!
(一同拍手)
木本:ちなみに植松さんには、またサプライズで。
朝山:そうですね。明日の夕方、みんなのわくわくエンジンが搭載されたロケットを(北海道の)赤平から飛ばしていただきます!
木本:なのでまた明日も、どうぞよろしくお願いいたします!
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