2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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司会者:本日はお忙しいところ、ありがとうございます。英語教育界で大注目の白川寧々さんと、ベストセラー『ニューエリート』(大和書房)の著者、ピョートル・フェリクス・グジバチさん、教育や働き方の場所で革命を起こすお二人に、「英語×働き方×教育」と未来について自由に語っていただきます。よろしくお願いします。
(会場拍手)
白川寧々氏(以下、白川):こんばんは!
会場:こんばんは!
白川:初めまして……じゃない人もいるけど、今日は来てくれて、ありがとうございます!
(会場拍手)
ピョートル・フェリクス・グジバチ氏(以下、ピョートル):こんばんは、ピョートルです。よろしくお願いします。(照明が)すごく眩しいです。必死に、どうすればいいのか……とがんばっているんですけれども、なんとか、あと1時間であればがんばります。よろしくお願いします。聞こえますか? ありがとうございます。
白川:Lower the spotlight.(スポットライトを下げて)
ピョートル:そうそう。スポットライトという言葉をご存知ですか? (指差しながら)……あれです。すみません、勝手ながら。
白川:私も眩しいけれど、写真写りがよくなるんだったら我慢しようかな。
(会場笑)
ピョートル:これで楽ですね。ありがとうございます。
白川:でも、眩しいよね。こっちを見ていると眩しくないから、ピョートルさんを見ていようかな(笑)。
ピョートル:ぜひ(笑)。
白川:今日はせっかくのジャズなセッションです。私はいつも超堅いクラウドで講演してばっかりなんですよ。ふだんどんな人に喋っていると思う? 教育委員会の人とか、学校の先生とかですぜ。後ろにこんなゆるくジャズとか流れていないですよ。私のノリはこのまんまですけどね!
ピョートル:クラシックの世界ですか?
白川:そうです。タランタラーン、みたいな。(ふだんの公演では)みんなご飯とか食べていないし……。どうぞ食べてください! おいしいらしいです。ふだんは、みんな堅い顔をして聞いているんですよ。だからちょっと、柔らかくいきましょう。ということで、これはちょっとふざけてもいいということですよね!?
ピョートル:たぶん、ふざけたほうがいいと思う。まだたぶんお互いに慣れていないので、少しずつ「ふざけ」を深くしましょう。
白川:そもそも、英語で喋っていい? ダメな人? さっきから「英語でいいよ」っていう人がめちゃくちゃいるんだけど、「ちょっと嫌だ」っていう人、素直に手を挙げてください。
(会場挙手)
賛成多数で? 反対多数で? しょうがなく(日本語で喋ります)。今日はピョートルさんと喋れて、すごくうれしいんですよ。なんでかというと、英語の本を書きましたが、私は「英語の世界の人」じゃないです。ピョートルさんのことも、英語の本も書いているけれど、思いっきり誰も、「英語の世界の人」って間違わないじゃないですか。
英語は「前提」です。「『英語の話』とかをしているうちは、英語ができるようになりません」っていう新常識を私の本で発信していこうと思っていて、一緒にそんな話をできたらいいなって思っています。
ピョートル:わかりました。よろしくお願いします。
白川:しかも二人とも外国人。二人とも共産圏出身。よろしくお願いします! (本日のテーマが載ったスライドを指しながら)このダサいスライドは、ご容赦ください。一瞬だけダサいスライドを流します。そもそもどうして私はこの本を書いて……あ! 本を買ってくれた人ー?
(会場挙手)
いっぱいいる! ありがとうございます! 超うれしいです! 出版社の方も、めちゃくちゃ喜んでくれています。これから読む人も、読んだ人もいますが、「なんでこれを書いたのか」というのと、「日本の教育界で何をしたいのか」ということを、ちょっと流します。流し気味に10分くらいで喋ります。カウントしておいて! 長すぎるとピョートルさんに申し訳ない。突っ込んでいいですよ!
ピョートル:わかりました。
白川:オッケー。ここに書いてある文章に似た文句を見たことがある人? 朗読しますね。「私の国の教育は時代遅れだ。生徒がロボットのように聴いている中で、先生は前に立って言われた内容を右から左に流すだけ。学びの本質も何もあったもんじゃねーわ。点数とかばっかり見やがって。このAIとかこんな世界に、これからの子どもたちは対応できるんだろうか? というか、そもそもこれからの我々は対応できるんだろうか?」。
これ系のこと、こういう愚痴を、なんとなく聞いたことある人? ……言ったことある人? どこの国だと思う? 日本だと思う? ほかはどうだろう? 中国とかもこういう文句が出ていると思う? アメリカはどう? (それぞれ会場の一部挙手)ピョートルさんはたくさんの国を知っているけど、どう?
ピョートル:アメリカもありますよ。
白川:そう。ほかは?
ピョートル:ポーランドとか(笑)。ヨーロッパですと、やっぱりフランスとかイタリア、あとは英語圏ですよね。英語の話ではないんですけれども、実際にEUの中で一番外国語が喋れない人たちは、イギリス人、アイルランド人、その次にイタリア人とフランス人です。
白川:意外でしょ? 今ピョートルさんが言ってくれた通り、これは世界中の問題なんですよ。ハーバード大学の授業に潜り込んだことがいっぱいあるんだけど、ハーバード大学の教育大学院、Harvard Graduate School of Educationっていうのがあって、日本人も何人かいます。いろんな国の教育エリートが来ていて、ほぼ全員が「うちの国の教育は、マジ最悪」って言っているんです。
飲み会になると、大抵「いや、うちの方が最悪!」「うちの方がもっと最悪だ!」って喧嘩になる。そういうことってない? 教育界の愚痴ではよくあるんですよ。今、日本のいろんな界隈でも、アクティブラーニングとか、主体的で対話的でどうのこうのみたいなやつとか、教育改革のことを言っているじゃないですか。
あれって「日本の教育はこうだから、今、日本の競争率は下がっていますよね」みたいなことを言っているじゃないですか。その因果関係は嘘です。そんなことはないです。教師が一方的に教えて生徒はロボットみたいに聞いてて、結果的に主体性が微妙になる現象は世界的な問題です。今、世界中で「いろんな教育を新しくしなきゃ」「教育改革しなきゃ」と言っています。だから私は、マジで「教育乱世」と呼んでいます。みんな教育改革をしています。やっぱりEUでもしますか?
ピョートル:していますよ。ちょうど先月、日本の起業家と投資家を連れてヨーロッパのフィンランド、エストニア、ラトビア、ポーランド、マルタに行ってきたんですが、みなさん、目がまん丸でした。簡単にいうと、エストニアでは「Latitude59」という起業家のイベントがあるんですけれども、高校生が自分たちのビジネスアイディアをピッチしていたんです。
しかも英語でピッチしていて、すでにMVP(Minimum Viable Product)と呼ばれる、使えるプロトタイプができていました。高校生ですよ? 起業家のマインドセットもわかって、プロダクトも作れて、それを英語でピッチしているんですよね。歴史をご存知の方もいらっしゃると思うんですけれども、エストニアという国は1990代年にやっと独立した国です。戦争の前に20年間近く、国として機能はしていたんですけれどもね。
今はやっとソ連から独立して、国として存在しているんですけれども、やっぱり教育に投資するしかないんですね。ただ、エストニア人に聞くと、「足らない。まずい。もっとアグレッシブに、シリコンバレーの子たちと戦えるようにしなきゃならない!」と話が出るんです。どこからどこまで来たというのも関係なくて、「今(の状態)はまずい」というのは、おそらくどの国にもあると思うんですよね。
白川:一番「まだうちの国の教育はまずくない」って言っているのは、日本だったりして(笑)。アントレプレナーシップが流行っているんですか?
ピョートル:流行っていますよ。ただ、ヨーロッパ人は「話す」というより「やる」という民族が多いんですよね。何らかの対策を組んで、「とりあえずやってみよう!」というスモールスケールでプロトタイプを出しているところが多いんですね。
本当におもしろくて期待できるところが今、ヨーロッパの中で山ほど、キノコのように出てきているんです。もちろん、日本にもおもしろいところはあるんですよ? 孫泰蔵さんのVIVITAとか、(白川氏を指しながら)もしかしたら、御社とか!
白川:弊社だなって(笑)。みんなに英語でアントレプレナーシップやらせて、ピッチさせるとか、めちゃくちゃ弊社です。ヨーロッパでも同じようなことをやっていると聞いて、ちょっとうれしいです。アントレプレナーシップだけじゃなくて、プログラミングとか、アクティブラーニングとかいろいろやっていますよね?
新しい時代の教育の形は変わるべきだ! 次のスタンダードはコレだ! と世界各地で百花繚乱。その状態が「乱世」なんです。
今までのスタンダードを揺るがしてもいいんじゃないかと。世界中の人がその問題意識を持っている。ただ、日本特有の問題ってあるよね。
これ、知っていますか? ごめーん! 丸の内でこんな暗いグラフを見せて、ごめーん!! これ、知っていますか? 最近テレビで出るようになったやつです。1997年から比べて、日本だけ実質賃金がだだ下がりなやつです。これは見たことあるでしょ?
ピョートル:もちろん。
白川:うちの親なんかは1980年代後半に日本に来た移民なんだけど、やっぱり「その時の日本は、よかったよ」って、「昔の日本がどれだけ希望に満ちていて、人も優しくて寛容で豊かな雰囲気だったか」って話をしてくれたりするの。バブルだったからね。そんなこといったって、「我々の世代はそれどころじゃないっつーの!」みたいな。
私はこの本を書いて、みんなに英語ができるようになってほしいというか、日本人のみなさんには、みんな英語ができるようになって、自由になってほしかったんですよ。とくに高校生とかは、いつも目にしているから。だけど今の日本、自由だと思いますか? 思う人? (会場の10パーセントほどが挙手し)思える人って、たぶんお金がいっぱいある人じゃないですか?
(スライドを指しながら)残念ながら、お金はいっぱいなくなっているじゃないですか。だから、どんどん不自由になっていますよね? そういうことです。
経済的に、お金がなくなってもいいんだったら何をしてもいい自由って、けっこうあったりしますよね。一応、日本育ちだったから(わかるのですが、日本では)私が子どもだった時、「好きなことをやる」ということ、テレビの中でもそうでしたが「好きなことをやって生きる」というのは、基本的に「ダンボールボックスへ直行」という意味なんですよ。
「会社を辞めてラーメン屋をやります」的なのは死亡フラグ、ホームレスフラグじゃないですか。
(会場笑)
白川:そういうナラティブ(語ること)しかなかったんですよ。だから、好きなことはいろいろ諦めないといけない。だけど、諦めてなくてもこんな感じになっちゃいますよね?
(スライドを切り替えながら)あと、これ。出していいのかな? まあいいや。これ、なんかしんどくないですか? とくに、お子さんをお持ちの人たち。先生の言うことを聞いて、「いい学校」に行って、「いい会社」に行って、それでこれ。このナラティブ、やばくないですか?
(スライドを切り替えながら)あと、これ。これはまさに、丸の内の真ん中でこんな話をしているのはあれなんですけど、これもしんどいですよね。
(スライドを切り替えながら)一番しんどいのが、日本の高校生が自分をダメな人間だと思っている割合。72.5パーセント。諸外国で一緒の調査したところでは、5割を超えているところはあまりなかったらしいです。しんどいですよね?
自分をダメだって思うその呪縛自体がもう、自由じゃないってことなんですよ。好きなことをやろうとして、それができないって思うってこと自体が(自由じゃない)。私はそう思っています。「そんなこと言われても」って気がしません?
経済的不自由と、選択の不自由と、心の不自由。不自由って複雑なんです。
「自由に生きたかったら、グローバルに出ようよ」って私は思っています。でも、「そんなこと言われても」って思う人? 「じゃあグローバルに行こうか」って思う人?
(会場挙手)
ありがとうございます。いいですね。やっぱり丸の内は勘がいいです。ピョートルさん、どう思います? 日本人が自由に生きる道って、けっこうグローバル化にある気がしません?
ピョートル:あると思いますよ。日本でもあると思う。どこで何をするかというのは、結局それぞれの期待感や夢にもよりますけれど、日本からグローバルへというのは、あるんですよね。これからは行かないとだめだし、増えると思うんです。今の話を聞くと、現実主義でも楽観主義でも、楽観主義を世界にもたらさないと、変わらないと思うんです。これから(白川氏の)おかげさまで増えるんじゃないかな。
白川:おかげさま?
ピョートル:そう、おかげさま。がんばっていただければ。私もがんばりますよ。
白川:でも具体的にどうすればいいの? この中で、「自分はグローバル人材です」っていう人、手を挙げてください。
(会場挙手)
お? おお? ……だいたい、3パーセント。ピョートルさんは?
ピョートル:(挙手しながら)はーい。
白川:ここに来ているだけで変わり者なので、このルーム内で3パーセントって、相当な変わり者ですよ。だけど、グローバル人材っていうのに対するイメージがあるじゃないですか。そんなイメージ、持っていない? まず、グローバルの逆として、ローカルな生き方というのがあるよね。日本に生まれて普通に生きるっていうものです。自分も含まれます。
(スライドを指しながら)たまたま飛び出したこいつ、この変人が「グローバル人材」。だいたい変(な人とされる)。
グローバル社会っていうのは未知の世界で、「自分の生きている所とはちょっと別の所にあって、英語が話せなきゃいけなくて、自分と関係ないかも?」って(イメージです)。
(スライドを指しながら)これはマジで思うんだけど、地球は丸いですよね? 2つの金魚鉢でできていないですよね? グローバル経済圏全体に我々が住んでいて、世界が開かれていますよね? 「鉄のカーテン」はなくなりましたよね?
ピョートル:だいぶ前ですね。
白川:ね! 「鉄のカーテン」があった時は、もうちょい閉じ込められて(外国と)関係なかったかもしれないけど、今の日本ってぜんぜん鎖国していないし、何のカーテンもないですよね。たまたまこういう(飛び出した)人もいるけど、本当は(みんな)繋がっているんですよ? ユニクロに行ったことがある人?
(会場挙手)
スタバに行ったことがある人?
(会場挙手)
はい。全員ですね。おめでとうございます。ここにいる人たちは、「消費のレベル」で少なくとも確実に、全員「グローバル人材」です。グローバル経済圏の住人だったら、「グローバル人材」でよくないですか?
ピョートル:いいんじゃないですか?
白川:だって、ぜんぜん隔離されていないですよ。グローバル経済に、もう参画させられているんですよ。「関係ない」って言えないんですよ。なのに今の教育だと、「日本で生まれて日本で死ぬ人は、グローバルとは関係ない」って思わされている。私はこれがもったいないとすごく思っています。だから、大事なのはこの現実を知った上で……。
すみません、みなさん。「グローバルは自分に関係ない」とか、「グローバルって言葉にそもそも嫌悪感を持っている」っていう人、日本にはけっこういっぱいいると思うんです。だけど、大変申し訳ないんですけれど、グローバル経済の中の立派な一員でございます。
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