2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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水野雄介氏(以下、水野):山口さんの話で、地域のアイデンティティみたいな話があったじゃないですか。すごく重要だと思っています。(会場の奥を指して)あそこにいる彼は、もともと徳島の銀行に勤めていて、教育を変えたいと言って、3年くらいライフイズテックで働いてくれて。めちゃめちゃ成長して、ここからというときに、辞めると言うんですよ。
徳島のベンチャーに行って、やっぱり徳島が好きだから、徳島のベンチャーで上場するとか、地方でイケてるスタートアップを作りたいという……それには勝てないというか、すごく徳島愛があるんですよね。
まさにそのアイデンティティみたいなところで、どうやったら地元が愛されるようになるのかというところが、僕はまだ方程式になっていないんですけど、そこはすごく1つのチャンス。30歳を過ぎて、これからどういう人生にするのかをみんなが考え出すときに、そういう選択をする彼……もちろん応援するけれども、つまり、それは地方にチャンスがある部分なんじゃないかなと。
猪熊真理子氏(以下、猪熊):私も香川県出身で、同じ四国ですね。やっぱり東京の大学を出るのは、すごく大層なことというイメージでした。でも、東京に来てみたら東京出身の子は、みんな高校や大学で海外の学校を検討していたりしました。
教育やテクノロジーが変わっていくと、香川にいたままでもいろいろな教育を受けたりすることもできるでしょうし、もしくは地域のためになにかやりたい、事業を起こしたいと思ったときに、実際に大学に行かずにそのまま事業を起こして、起業した地域に寄付金を還元していくとか。
将来的にも価値を還元していくとか、そういうことも可能性としてできる未来もあり得るし、一方で現実化させていく課題も非常に大きいと、お話を聞きながら思いました。では、会場のみなさんから質疑応答をお受けしたいと思います。なにかご質問はございますでしょうか。ディベートお願いします。
質問者1:いいお話をありがとうございます。とても難しいなと思うんですけど、テクノロジー、オンライン教育みたいなお話があったり、シリコンバレーみたいなお話がありましたが、地方という観点で見たときに、やっぱり場所性というか……でも、みなさん東京にいますよねと。
東京は情報が入ってきて、こういうイベントとか対面でのコミュニケーションとかも多かったり、あるいは情報格差みたいなものなど、やっぱり格差が大きいなと思う一方で、リモートやオンラインみたいなもので、地方でも負けない人材ができてくるのかなとも思います。
この両方を考えたときに、オンライン、テクノロジーを本当の地方活性化のために、もう一歩、どう使っていくのがいいのかなというところをお聞かせ願いたいなと思います。
佐藤昌宏氏(以下、佐藤):誰か……まあいいか。ちょっと繋ぎますね(笑)。
(会場笑)
おうかがいしていて「ん?」 と思ったのは、地方は情報格差が大きいのかということで、おっしゃるとおり、対面やこうしたイベントの数でいうと、本当にそうだと思います。東京だと、どこに行ってもありますもんね。
ですが、こういったものも議事録がWebに載ったりもします。もっと言うと、どういう人たちをフォローしているか。東京にいる人と地方にいる人たちが、ちゃんと同じ人の情報源をオンライン上でフォローしていたとしたら、本当にその情報量は大きく変わるんだろうかというところが、ちょっと疑問です。
それ以前に、ちゃんとその情報源にリーチする方法を知っているのか、ちゃんとやっているのかという基本的なことの差じゃないかなと思っています。つまり、なにが言いたいかというと、やっぱりテクノロジーはあくまでもツールですから。そのツールの使い方を東京の人がよく知っているだけであって、それを地方の人も知れば、その差はかなり縮まるんじゃないかと思っています。すごくシンプルなことかなと。
山口文洋氏(以下、山口):佐藤さんが言ったように、情報量の差は感じないかなと思いました。地方軸の話ではないんですけど、もっと教育が自由になってほしいなとすごく思っています。自分がスタディサプリをやっている中で思うのは、なんで12年間も英語・数学・理科・社会に悩んでるんだと思ってるんですよ。
もちろん、基礎知識はすごく重要だと思うので、小学校・中学校くらいまではすごく必要だと思うんですよね。ただ、例えば日本史や世界史を学んでいるのに、自分の住んでいるエリアの歴史はあんまり詳しく知らないですよね。
学力偏差も含めた、レベル分けした高校の中において、進路多様校と言われているような高校で、本当に決まったカリキュラムをやらなければいけないのか? 彼らのほとんどが高校を出て社会へ出て行くなら、そのときに本当に必要なお金の教育や性教育をちゃんと教えるとか、実は英語・数学・理科・社会の手前で教える科目があるべきです。そして、それはまた、地域差があると思うんですよ。
県によって課題も違ったりするので、その県ならではの伝えたいこと、教えたいことがある。その場合、このオンライン教育のプラットフォームは、すべての先生に教えてくださいと言っても、そんなのは教えられないよ、となるんですけどね。
ただ、しっかりとした伝えるべきコンテンツを1つ作れば、その中で届けたい人全員に届けられるんですよね。それを見た上で、なにを考えてほしいとか、どういうディベートをして、自分の中にしっかりと身につけてほしいといった、ファシリテーションの仕方みたいな「あんちょこ」をオンラインプラットフォームに載せておけば、それに従ってオリジナルの授業は作れるんです。
だから、ただ教育をオンライン化して効率化するだけではなくて、地域ごとのオリジナルな教育プラットフォームを作って、今後の地方・地域の人材育成力や、長期発展における教育ブランド化みたいなものを作っていけるんじゃないかなと思っています。もっと自由に発想してみると、すごく武器になるかなと思うので、みなさんもフラットになってほしいなとすごく思っています。
猪熊:ありがとうございます。他にご質問はありますか?
質問者2:貴重なお話ありがとうございました。今、社内で「大人の学びについてプロジェクトを開始しよう」と社長から言われていまして、おうかがいしたいんですけど。例えば受験サプリなどは、親御さんがもう1回算数を学び直したり、大人のインターネット教育や、大人の学び直しなどに活用できたらと思います。それに関して、みなさまはどういうふうにお考えなのか、簡単でいいのでおうかがいできたらと思います。
佐藤:「Schoo(スクー)」がいいですよね。ああいったものも今、注目度が上がっています。日本は一番、大人が学び直しをしない国といわれています。大企業とかで人材育成の仕組みが整っているというのも、理由の1つなんですけれども。
最近、企業の人材育成の投資自体も下がっているんですね。転職とか離職も多いので、そう考えると個人でどんどん学ばなければいけない。そうなると、Schooとか、あとは御茶ノ水に、とある大学院があるんですよ(笑)。
(会場笑)
「デジタルなんちゃら」という大学院があって、そういうところにも社会人が通っていたりするんですよ。僕のゼミ生で、僕よりも年上のゼミ生もいますし、現役の衆議院議員もいますしね。そういう人たちが、テクノロジーでイノベーションを起こしたくて学びに来ています。
ちょっとずれましたけど、学校に通うという手段もあれば、もっと手軽に学ぶこともできます。海外には「ナノディグリー」というサービスもあります。Webで(特定の分野のみなど)小さく単位がとれて、デジタルで証明書が出せて、会社に「僕はこれだけ学んできましたよ」とアプリで見せたりできて、それが人事評価に繋がったりします。
つまり、会社の中の人材育成の仕組みを、外のいろいろなコンテンツを学んで、それを人事に証明して自分を認めてもらうというものもありますね。
「Learning over Education」……エデュケーションは企業の中の仕組みですけども、そこを超えて学びが手に入るわけですから、それを組み合わせて証明できるような仕組みは、企業の人材育成における1つの回答として、いいような気がします。
水野:山口さんに聞きたいです。リクルートの中でイノベーションをどんどん起こすじゃないですか。それがどう生まれてくるのか、どう人材を育成しているのか。そこは、地方にも重要なものなんじゃないかなと思っています。
山口:今の水野くんの質問と、そもそもの質問をかけ合わせると、例えばスタディサプリでも、リカレント教育という、社会人向けの教育サービスをやりたいなと、7~8年ぐらいずっと考え続けてはいるんですよ。
世界的にK12(幼稚園の年長から高校を卒業するまでの13年間)と言われている領域でのEdTechには、中国やインドを含めて、ユニコーンのサービスが出ていくんです。ですけれど、アメリカを含めて、アダルトラーニングはぜんぜんうまくいかないんですよ。
もともとバズっていたアメリカでも、もうオワコンになってる。その理由をすごく考えたんですね。強いていうなら、アダルトラーニングで儲かっているところは、語学かコンピューターサイエンス、ないしはプログラミングだけなんですよ。
それはたぶん、語学やコンピューターサイエンス、プログラミングは、オンラインラーニングに適したエクスペリエンスが、そこでできたりするから。それ以外の学びは、オンラインでは適していないんじゃないかなと思っているんです。
みなさんも、いまだにこういったセッションがメディア化されたときに、動画は見ないと思うんですよね。たぶん、テキストの方を見ると思います。その方が、この60分間分の知識も速く得られると思います。
そういう意味では、こうしたちょっとした教養みたいなものは、NewsPicksとかのメディアでいいんじゃないかなと思います。ただ、本当に興味を持って深い学びをするには、バカにしがちですけど、やっぱり書籍にあるのかなと思っています。
山口:本当の専門書は奥深く、すごく知の奥底まで書いてあるじゃないですか。だから、全部がオンラインに変わっていくというよりは、オンラインで基礎知識やベースの表層的な知識は得られるものの、深いものはやっぱり書籍だと思います。実際のトライ・アンド・エラーで身になっていくものなのかなと思っているので。
なんでもインターネットに置き換わっていくということではなくて、一部が置き換わりながら、リアルで得るべき学びはあるのかなと。そういう意味で、デジハリさんなどは生き残っていくんじゃないかなと勝手に思っています。
佐藤:ありがとうございます。
(会場笑)
もう1つ。その本も、今はオーディブルといって、音声で読み上げてくれるサービスもあるわけですよね。電車の中で読まなくても聞ける。表層的なネットのかたちよりも、深い情報を取りなさいという意味ではありますが、デジタル、テクノロジーでも深い情報は取れるようになる可能性もあるということは、やっぱり忘れちゃいけないなとは思うんです。
猪熊:ありがとうございます。
水野:あと、プログラミング教育で補足すると、例えばうちの教材のディズニーのものも、70パーセントは大人が学んでいて、グローバルで見ても、プログラミング教育のところはすごくニーズがあるところだと思います。山口さんが言ったとおり、例えば銀行の営業マンをなくして、みんなITでできるようにしなければいけないといって、どんどん業界再編が起こっていますよね。みんなの年収も上がりますしね。
猪熊:他にもご質問のある方もいらっしゃると思うんですが、お時間になってしまいましたので、分科会はここまでとしたいと思います。ありがとうございました。
(会場拍手)
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