2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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佐藤孝治氏(以下、佐藤):ありがとうございます。おそらく今日お越しいただいているみなさんの中にも、会社であったり自分でやっている活動で、ある意味、絶対絶命の状況の中でなんとかしないといけないという方もいらっしゃるんじゃないかなと思うんですけれども。
でも、本当にこのお三方は、(ライさんが)もう最初の1校目の学校を作るときは、「本当にそんなのできるの?」という状況だったんじゃないかなと思って。そこを突破してここまで持ってきていらっしゃいますし、(河南さんと増田さんは)「Think different」のプロジェクトをやって、ここまでのAppleの礎を築かれたという方々なんですけれども。
なにかそういう現状を突破して雰囲気を変えていこうとしたときに、なにが必要なのかを、ご自身の経験からみなさんにアドバイスいただけるとありがたいなと思います。ライさん、どうですか?
ライ・シャラド氏(以下、ライ):孫さんの言葉を借りると、孫さんは、自分がこの人生で目指したい山を見つけること。見つけて、その山を登り続けること。まずはその山を見つけること。
だから、たぶん一人ひとりが自分がこの人生で……じゃあ(この人生は)1回しかないじゃないですか。「3万日しかないという人生」と言われるんですけれども、僕ももう1万2,000日ぐらい終わってしまっていて、たぶんちゃんと元気でがんばれる70歳ぐらいまでは、あと1万日もないぐらいですね。
だから、毎日1日1日が終わってしまっているので、終わりがある前提で、たぶんもっと言うと、死から逆算して考えて行動してみると、たぶん目指したい山を見つけられるんじゃないかなと思いますね。その山を見つけることで、楽しさややりたいこと、生きる意味や力がたぶん入ってくると思いますので、ぜひみなさんも登りたい山をまず見つけてください。
佐藤:僕も実はジョブウェブを作ったのは大学4年生の時で。わりとそのタイミングで登りたい山は見つかっちゃって、ラッキーというかよかったなと思っているんですけれども。一方で、僕は45歳で倒れちゃって「これはけっこう死ぬかも」と自分でリアルに思って病院にいたんでね。でも、92日間の入院中にずっと究極の自己分析をして、あらためて自分がもう1回登る山を見つけたなという感じで。
実は「つなぎ道」というものの開祖になりまして。そういう道がございましてですね。人と人をつなげると、人は豊かになるということがわかりましてですね。実は、入院中にめちゃめちゃお見舞いに来てくれて、来てくれた人に、「あっ……」。社会人のみなさんがもう、けっこう悩んでるんですよ。本当に今、社会は大変ですよ。
それで、学生も悩んでるんですけど、めちゃめちゃ社会人が悩んでいて。「あなた、じゃあ〇〇君に会ったら?」と、僕の人脈でどんどん紹介していったら、だいたいみんな問題解決しちゃうんですよね。
どんどん(人を)つなげればいいなと思って「つなぎ道」を始めたんですけれども、僕も山が見つかったので、またライさんに対しても「つなぎ道」を実践しますので。僕、けっこういい具合につなぐので、おまかせください。クラウドファンディングする人もたくさんつなぎましたので、いろいろやりますので。
ライ:ありがとうございます。
佐藤:はい。お約束しますので。よろしくお願いします。ありがとうございます。
(会場拍手)
さあ、そして増田さんは、この(現状を打破して)雰囲気を変えるというか、何か(エピソードは)ないですか?
増田隆一氏(以下、増田:そうですね。すごいつまらない話なんですけど、私が中学の時に、当時付き合っていた彼女とデートの途中で占い屋さんに行ったら。
河南:渋いですね(笑)。
増田:「あなたは40歳で死にますよ」と、言われてですね。まあ、インチキだとは思うんですけど、ただ本当に何となく「俺40歳で死んじゃうのか」って信じちゃったんですね。わりと社会人になってからは、残年数というんですかね、あと何年というのをカウントするようになって、さっきのライさんの話と似ているんですけど。
僕は40歳で死ぬだろうと本当に思っていたので、こんなにのんびりしていたらいかんというか、立ち止まっている時間はないぞと。わりと30歳代はずっと残りの年数を数えながら貪欲に活動してきて、40歳の誕生日が来た時に、いよいよ死ぬときが来たぞと思ったんですけど(笑)。
(会場笑)
増田:そこからなんとロスタイムがもう9年ぐらい続いていまして。健康診断で問題はいろいろ見つかるんですけど、おかげさまでまだ一応生きてます。ちょうど30歳の頃って、まさにスティーブ・ジョブズがAppleに帰ってきて、「Think different」が始まって、会社がジェットコースターのように上ったり下がったりするのを繰り返すのと、自分にはあと10年しかないぞ! という思いがちょうど重なっていて。
本当に立ち止まったら死ぬぐらいのつもりでやっていたことが、結果、今の自分を作っているのかなと思っています。なので、あと何年かわからないですけど、今もまだ立ち止まれなくなっていまして、それで会社を辞めちゃったりしたんですけど(笑)。
佐藤:今日が人生最後の日だとしたら、(それを)やるだろうかということですね。
増田:そうです。スティーブ・ジョブズがスタンフォードのスピーチの中に出てくる言葉というのは、もう当然ながら、われわれも現役でAppleに居た時から、繰り返し見ていて、あのスティーブですからね。
ちなみにスティーブ・ジョブズは今週の金曜日が命日で、この日がくる度に「自分はこんなふうにしているのが本当にいいのか?」というのを自問自答するのが本当に日々続いてます。あと、雰囲気でしたっけ?
佐藤:(絶対絶命の状況を打破して)雰囲気を変える(ために必要なことは?)。
増田:そうですね。どんなプロジェクトでも、ある程度は上手くいくじゃないですか。部下は上手くできたって喜んでいるんですけれど、僕はぜんぜん上手くいったと思ってないんですよ。
実際にはちょっとぐらいは成功しているんだと思いますけど、私の場合は成功体験はばっさり捨てる。本当に「Think different」の影響だと思うんですけど、成功体験は捨てる、成功したら疑う。何かもうちょっとやれるんじゃないかとか、もう1歩踏み出せるんじゃないかと。要は、上手くいっちゃうと考えるのを止めちゃうと思うんですよね。
わりと年も上なので、部下に言っているのは、「とにかく成功体験はすぐ捨てる」と。成功した日ぐらいは打ち上げして、みんなで喜ぶんですけど、日が変わったらもう反省しようと。次をやろうと。次の一歩を踏み出すことをずっとやってきているおかげで、何となくいつも前に進んでいる気分でいられるという感じでしょうか。
佐藤:何か増田さんと一緒に働きたくなりましたね。新しい何かをされるので、興味のあるかたは名刺交換するといいかも。
増田:ありがとうございます(笑)。一応持ってきてますけど、あと1ヶ月間ぐらいで使えなくなる名刺なので(笑)。ご承知いただければ(笑)。
佐藤:はい。河南さん。雰囲気を突破する、(現状を)打破するために(やられたことは?)。
河南順一氏(以下、河南):私も振り返ると、いろいろ失敗したなと悔やむことがありますね。行く会社行く会社が大変な状況になったりするんですけど、追い詰められると良いことが2つありますね。1つは、本当にだめな状況になって一緒にその修羅場をくぐると、自分が信頼できる人が見つかる。
普通は難しい状況になると、保身に走っている人がはっきり見えますし、逆にここを一緒に踏ん張って、この人と一緒にずっとやりたいなという人が見つかるのはすごい宝でしたね。もう1つはライさんも言ってましたけど、そういう状況だと、要は、普通に考えると「これはもう理屈に合わないからもうやめた」となりそうなところを、そんなことをいってられる状況じゃなくて。
もうAppleがつぶれかけていたというところだったのも、一つは恵まれていたと思うんですけど。理屈に合わないことをやってみようという気になるというか、やらざるを得ない状況に追い込まれることは、すごくラッキーだったなと。
理屈に合わないことをやってみて、すごい理屈では考えられないことが起きているということがありますね。あとは、マインドを切り替えるというところだと、さっきのスティーブ・ジョブズの話に出てきますけど、彼が言っていた点と点を繋ぐことは、すごく視点を変えられるというか、自分の置かれた状況を見つめ直す良いやり方かなと思ってますね。
河南:自分が歩んできたことで「これは失敗だったな」というものは、私もたくさんあるんですけど、でも、ちょっと点を繋いでみると、実はこの失敗があるから今があるんだな、と気づくことが一杯あるんですね。「あの失敗のおかげで」というのは、実はスティーブがまさにスタンフォードのスピーチの中で言ってて。
彼(ジョブズ)は、Appleが創業して2人目のCEOのジョン・スカリーに追い出されて、本当に惨めな思いをしたんですけど、そのスピーチの中で彼は「あの体験こそが自分の人生で起きた最良のことだった」と言っているんですね。
(Appleを)追い出されたことで彼は非常に落ち込んで、何の希望もなくなったんですけど、それがあったので彼はいろんなことを模索して、成功に繋げました。NeXTはたぶん失敗だったのでしょうが、ピクサーは成功していました。
いろんなことに挑戦していて、NeXTも、結局OSのカーネルをMacintoshに移植するんだってAppleと接点ができて。彼はたぶん迷ったと思うんですけど、Appleに復帰するという選択肢も出てきて。結局、それをとるかどうかも実は悩んだりしたらしいですけど、最終的にそれを立て直すわけですけどね。
もう彼はいないですけど、今や時価総額1兆ドルの会社ができているわけですよね。どこの会社もできないことに。そこまでは彼は生きていなかったですけど、そういうことを作り上げた。彼がスタンフォードで話したのは2005年なので、まだiPhoneは出てません。でも世界を変えるということをやってのけたわけですね。彼にそれができた背景として、Appleを追い出されたことには大きな意味があったわけです。
あれが最高の体験だったと。そういう点の繋ぎ方ができることはすごく素晴らしいですね。模範にしたいなということもあるし、やってみると意味があることが見えてくる。点を繋ぐことをみなさんにもぜひおすすめしたいと思いますね。
佐藤:ありがとうございます。実は、私の親友と2時間ぐらい飲んでて「佐藤くんがやってきたのって、要は人と人とをつなぐオタクだよね」って言われてですね。これは1ヶ月前ですけど、オタクというのは、道だから「つなぎ道だよ。つなぎ道の開祖」って言われた瞬間に「あっ、俺そうだ、つなぎ道だわ!」と思ってですね。
最近そればかり騒いでいるんですけど、今日はそこがテーマになったのだったら、大変ありがたいなと思いました。さて、まだまだお話をおうかがいしていきたいのですが、時間が迫ってきましたのですが、何かご質問されたい方。はい、ではお願いします。
質問者A:貴重なお話をありがとうございます。(元)Appleの河南さんに教えていただきたいのですけど。理屈に合わないことをやってみるというか、「Think different」でやることは誰もが賛同するというか、たぶんAppleの社員もここでがんばっていきたいという気持ちになっていると思うのですけど、それはどん底から立ち上がりのところで、理屈に合わないいろんなことをさせられたと思います。
上から降ってきても、それを実行させるのは非常に難しいことかなと思っていて。仮にアメリカのスティーブ・ジョブズからそういう指令がきても、日本の社員をモチベートしてやっていくのはすごいことだなと思うんですけど、社員から見てどうだったのかなと思って。要は、中から見たらどうなのかを教えていただきいのと、どうしたらそうやれたのかということを教えていただきたいです。
河南:なるほど。スティーブから指令がくるものって、全部理屈に合わなかったんですね。例えば店に「カタログを置くな」と。パソコンやカメラを買う時に、秋葉原に行くと、みんなカタログを持って帰って買う、という感じなんですけど、スティーブは「カタログなんかいらない」と。何でかというと、これからはネット社会になるから紙はいらないということだったのですが。
例えば、私が見ていたのは広報、広告、イベント、それからマーチャンダイジングだとか、もちろん増田さんがやっていた部分もあるんですけど、全部今までの常識と違うんですね。広報で記者発表をする時に、当然プレスリリースやQ&A、想定問答集も作りますよね。スティーブ・ジョブズは「Q&Aなんか作らない」とかですね。
あとは、最初のミーティングはスティーブのところに(社員が)出てきて、みんなスティーブが話をするのでメモをとる準備をするわけですよね。「お前ら何でノートをとるんだ。ノートなんかとるな!」と。「何でですか?」って怖くて聞けなくて、真相は定かでありません。でも今解釈すると、みんなでここにいるのは、議論をして最高のものを作ることに参画するためなんだと。
人が言っていることをノートにとるだけの人間はAppleには要らないんだ、というのが最初のスティーブの振る舞いですね。私は実はノートをとろうとしていたんですけど、スティーブのちょうど斜め後ろにいたので、上手く机の中に隠しました(笑)。あとは、例えば「ダイレクトメールなんかもやるな」と。
河南:一般的に(Appleは)、iMacで起死回生したと報道されていますが、あのiMacは、アナリストに言わせると「あんなの売れっこない!」製品と評されました。どういうことかというと、たぶん市場調査をやると、そういう結果が出たことでしょう。
iMacはフロッピーディスクドライブがない。今だとそんなものなくて当たり前ですよね。その頃はフロッピーディスクドライブがなかったら、どうやってデータを交換するんだと。iMacが持っていたのはUSBインターフェイス。今ではもう当たり前ですけど。
その当時の主流はシリアルインターフェイスで、プリンターがつながったり、いろんな周辺機器がつながっていて。iMacには、シリアルインターフェイスがなくて。「こんなのが売れるわけない」とアナリストが言うことも、本当に理にかなってますよね。
誰が考えてもこれ以上の理屈はないんですけど、理屈通りにならない。スティーブが見ていたのは、これからはネットの社会になるんだと。その頃は、アメリカでもインターネットが1割も普及していなくて、スティーブはこれからネットになるんだから、カタログもいらない。
最初に見せた「AirMac」はWi-Fiのベースステーションですけど、あの広告ではURLしか出てこないですもんね。製品名も価格も出ないですよね。広告でURLが出て、みんながそれを見に行くのは、今は当たり前ですよね。
彼は先を見てて、ネット社会になったら、あなたたちがやっていることってぜんぜん意味がないことだと。カタログやダイレクトメールじゃなくて、これからはネットの時代だと。
その頃はすべてが理屈に合わないことばかりでしたけど、それをやりました。だから、理屈に合わないということに意味を見出す、ということがスティーブから学べたことだと思うんですよね。
増田:最初の質問に戻ると、河南さんのような上司がいて、私はその部下だったわけです。さらにブレイクダウンして落ちてくる仕事をやるチームだったんですけど、やっぱり1番大きかったのは「Think different」という、言ってみればちょっとしたポエムというか。最初に英語で流れてきて、当時は「なんじゃこりゃ?」とみんなが思っていたわけですけど。
それを河南さんの広告チームが日本語訳を付けて、日本語で言われてわれわれも腹落ちしたというのもあるんですけど、とにかく自分たちが今どん底であることは、嫌というほど認識させられていましたし、これ以上後ろはない、これ以上底がないという状態の中で、前を向いて進むしかなかったというのが1つあると思うんですよね。その中で、われわれが前を向く時に何を目印にすればいいのか。
何を指標にすればいいのかとした時に、目の前には「Think different」しかなかったんですよ。まさに河南さんとかが広告をやり始めると、言ってみれば販売店さんや、ユーザーさんからも反響があって、社員の中の人間が、いわゆる違う考え方ができるようになってないと、ツラが整わないというか「お前ら‟Think different”と言っているけど、中の人間はぜんぜん変わってないじゃん」と思われたくなかった。
もっと言うと、社員同士が「自分たちが立ち止まったら終わりだ、今、俺たちがいる会社は死んじゃうかもしれない」という状態の中で、例えば営業とマーケティングはよく仲が悪いとか言われちゃうんですけれど、「Think different」が発したときは、本当に営業とマーケティングは一体感を持って普通とは違うことをやらなければいけないんだ、と。
正しいと思うことをちゃんとやろうというふうに、何かお互いにリスペクトし合ったというか、その中で一体感が生まれたことは大きかったかなと思いますね。さっきスクリーンに一瞬だけ写ってましたけど、iMacの。これは僕が会社を辞める置き土産に1個書いたブログの記事にあった画像を引っ張ってくれたんだと思うんですけど、これはA4サイズの紙でできていて、実は社員しか持っていないんですよ。
iMacのプロジェクトが一息ついた時に、その紙をもらいました。ジャパンチーム270人ぐらいの名前が載ってます。僕の名前もあるし、河南さんの名前もあるんですけど、本当に270人が一体となってiMacを成功させたという1つの証しだったりするんですよね。ポンと席に置いてあったんですけど、いきなり何が席に置いてあるんだろうと思って、僕はこれをもらった瞬間、最初意味がわかりませんでした。
いそいそとカバンにしまう人もいたし、目の前に貼る人もいたし、僕は家に持って帰って、ずっと自分のパソコンデスクの前に貼ってたんですけど、何というんですかね、眺めているとこのプロジェクトに参加していたという、誇らしい気持ちになってくるんですよね。
増田:これは本当に自分の内面的な話ですけど、このプロジェクトに参加していた人間が、やっぱり他の仕事をやる時に、「手を抜いたら恥ずかしいよね」「一緒にがんばったメンバーに顔向けできないよね」という思いがどうしても残ってしまってですね。
結果、そこからもう20年ぐらい前の話ですけど、1つのプライドに昇華しているというのもあると思います。今会ってもみんなそれぞれの場所で、このプロジェクトのような気持ちになって仕事をするというのが続いている感じかなと思います。
佐藤:はい。良いご質問ありがとうございました。まだまだご質問をお受けしたいのですが、この後21時半ぐらいまでは、みなさん会場にいらっしゃいますので、名刺交換とご質問をしていただければと思います。
さて、ネパールで新しく目指す「Think different」ということで、まさにライさんが何をこれから発していくのかについて、最後にお話をうかがいたいと思います。
ライ:僕が目指したい山は、自分の国のリーダーになることです。自分のミッションは、自分の国をどうにかしたいということです。それは決まっていて、一生変わらないことです。その目標を達成するために今やっていることは、1つは学校をつくるプロジェクトとか、夢ネパール団体も同じですけども、これはあくまでも(一部の)集団だけです。これからは変わっていくと思います。
そのために、次は政治家になって、リーダーになっていくことをずっと昔から考えているんですけども。なぜ政治家になってリーダーになるか。それは、明治時代の日本のことを考えればわかると思います。もしその時に良いリーダーがいなかったら。例えばビジネスマンだけとか、サイエンティストだけとか、いろんな分野のリーダーたちがいますけれども。
でも、基本的にみんなががんばれる良い環境をつくるのは、まずは政治家のリーダーなんですね。だから、ネパールはまだまだそういう環境が整っていないんですね。だから、いくらイノベーティブな人が行っても、自分の能力を発揮できる環境はまだまだ整っていないです。
同じようにいろんな分野で、いろいろな人々がちゃんと自分のやりたいことができるような環境をまず作らないと。基礎を作らないといけないですね。基礎を作るために、やっぱり自分がリーダーにならないといけないと思います。そういうリーダーになって、例えば10年後、15年後の世界のことを考えると、そうですね。
(地理的には)中国とインドの間にネパールが挟まれていますね。今までずっと(ネパールは)内陸で海につながっていないからだめだと考えていました。次は、世界1位と2位か3位の経済大国の間にあることが、世界一地理的に恵まれている国なんじゃないかな、と僕は思っています。その時の自分の国のリーダーになれれば、やっぱり国の発展はあっという間にできるんじゃないかなと思っています。
3,000万人ぐらいネパール人がいますけども、みんなが自分の意志で生きていく。やりたいことを見つけるだけじゃなくて、それを実行できる自信と道具とかも国でどこでも見つけられるようにしておきたいので、良いリーダーになりたいという夢がありますね。
佐藤:拍手を。
(会場拍手)
ライ:ありがとうございます。
佐藤:恐らくみなさんは、きっと将来「ライさんという人に僕は会ったことがあるんだよ」というのは自慢できる時が絶対にくると思いますし、僕はこういうイベントが大好きで出るんですけども、こういう話を聞いて「ああそうか、あまり自分は関係ないや」と思うか、自分ごととして取り入れるのかがけっこう重要だという気がしてですね。自分にできることはいろいろあると思うんですよね。
クラウドファンディングで何かやってみようというのも1つの手ですけども、たぶんさっきのAppleの(iMacプロジェクトメンバーの)名前が載っている、というのが最高だと思うんですよね。ネパールに学校をつくった下敷きですかね。カードじゃないですね。あ、紙なんですね。紙に載るというチャンスがあると思うんですよね。なので、自分はコード入力ができるので関わりますよといえば、たぶん関わっちゃうと思うんですすね。
そういうご縁の瞬間だと思いますし、僕はたくさんの人を集めてくる担当なので。ネパールの場合は大統領でしたっけ?
ライ:大統領は基本的にパワーを持っていないんですけども、首相ですね。
佐藤:首相ですか。
ライ:はい。
佐藤:将来の首相も応援しているということで、みんなで応援していければなと思います。というわけで今日はお三方、河南さん、ライさん、増田さんにお話をお伺いしました。私としては、本当にこうやって人と人がつながると何かが生まれるということでございまして。またみなさんもぜひつながっていただいて、ライさんの夢をみんなで応援できればと思います。
あと、さっき慌てて作ったので、クリックしてもぜんぜん届かないんですけども、「つなぎ道」と検索してもらったら、出てきますので。そこからエントリーできるようにしておきますので、ぜひまたこの場所でお会いできればなと思います。というわけで、パネルトークセッションは以上でございます。拍手でお送りください。
(会場拍手)
佐藤:すみません、このタイミングで申し訳ありません。「ライさんに質問があります。ライさんには、日本の公教育、とくに高校世代はどのように映っていますか? また、日本の公教育の問題を挙げるとしたらなんだと思いますか?」という質問がありました。「私立じゃなくて国公立について、高校の教育とかどういうふうに見ていらっしゃいますか?」
ライ:詳しくは分からないんですけれども、でも外から見ていて……。昔、私が(日本に)住んでいた時、小学校と中学校の英語の先生を体験したことがあります。そこから見てみると、やっぱり今足りないのはAppleの「Think different」だと思います。
そういう環境がもっとあったらいいなと思っていて。そこに、いろんなことに興味がある人、いろんな夢を持っている人がいる。なんでもいいんですけど、自分が大切にしていることを胸に手を当てて言えるようなもの、YouMe(School)を混ぜたような、そういう環境がもっとあったらいいなと思いますけども。
でも、基本的にネパールで僕らが今生み出しているのは、日本の最低限のことじゃないですか。先生たちがちゃんと学校に行くこと、ちゃんと教えること、準備すること、遅刻なし。そして、子どもたちにも同じように(してもらう)。保護者にもちゃんと学校に来てもらって、子どもたちがちゃんと勉強しているかを心配してもらうこと。
日本は最低限のレベルはもうずいぶん前に突破しているので、これからは「Think different」を中心に、もっとおもしろい学校とか、もっとイノベーティブな学校とか、もっと楽しい学校とか、そういうところがあったらいいなと僕は個人的に思います。
佐藤:はい、ありがとうございます。ご質問いただきましてありがとうございました。トークセッションは以上になります。大きな拍手をお願いいたします。
(会場拍手)
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