2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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藤原和博氏(以下、藤原):最後に、お約束のですね。さて、なくなる仕事、なくなりにくい仕事の中で、教員の仕事は10年から15年ぐらい、2030年ぐらいまでの間でどうなのよと。みなさんはそのまま職場で機嫌良く今のような先生の仕事をしていられるのかどうかについて、ちょっと真剣に議論してもらいたいと思います。
真剣に議論してもらうのですが、あくまでもブレストです。なので最初の1周ぐらいはふざけたことを言っていいです。「全部なくなるんじゃねえか」「学校なんかいらねえ」みたいな、そういう意見が出たほうが絶対に刺激になるので、面白いと思います。いきましょう。3、2、1、はい、どうぞ。
(議論)
そこまでにしてください。この話題については、ぜひ今日すべてのセッションが終わった後に、夕食などを食べに行ったり飲みながらでも、またもう1回蒸し返してもらえれば。このテーマは非常に大事です。
僕の仮説だけちょっと言っておきますね。僕は、教師という仕事はなくならないと思っています。
その理由は、こうです。実際に知識を教えることについては、相当進むと思います。
今はオンライン授業で、東進ハイスクール、それからスタディサプリのあの普及率を見てもわかりますよね。スタディサプリなんかは、お金を出している有料会員が来年には100万人を超えるのではないかと言われているのですね。
そういう意味では、僕が観察していても、はっきり言いますが、偏差値65以上の子はドンドンやらせていいのではないかと僕は思います。
60ぐらいが非常に微妙で、例えば一条高校もすごく微妙なのです。60から65なので。やっぱり、サポートしてあげたほうが勉強をやるし、部活で夢中になっちゃうとすぐにほっとけばしなくなっちゃう。やっぱり、それは絶対、両方やらなきゃ駄目だということをかなり言ってあげないとやらない。
それから、その下の偏差値については、やっぱりサポートは必要だと思いますね。オンラインだけ、あるいはITだけでできるのは、65以上の子だと僕ははっきり言ってもいいです。今の段階ではね。
また、もう1つ言っておきたいのは、それでも教える機能については、例えば英語を教えるロボットが出てくると思いますよ。だから、目の前の発音やレベルにあわせて、カリキュラムをどんどん変えちゃうようなものは出てくるでしょう。
ただ、出てこない、あるいは人間にしかできないのはなにかというと、学ぶことの喜びを教えるということね。
これは、小学校の先生で僕のモデルがいるのですが、和田中の校長を僕がやっていたときに、隣にいた和田小の校長で横山正という理科の先生だった方がいました。学芸大出身のバリバリ教員です。この人が僕のことをものすごくリスペクトしてくれていて。
彼の校長室というのが面白くて。生物の先生で、教科書も入っているのですね。とにかく、虫が大好き。エンマコオロギを卵から孵すというので、それがどれほど難しいことかも、俺はよくわからないのですが、とにかくすごいのですよ。秋になると、この時期になると、ギャンギャンと鳴いているのよ。
校長室に虫カゴが30個、40個と積み上がっているの。それで「藤原さん、どれでもいいから持ち帰ってください」と言うのだけど、エンマコオロギってデカいじゃん。気持ち悪いんだよね。俺はイヤイヤなどと言って。
秋の運動会のときに行ったら、「明日あたり廊下でさなぎになっている蝶が羽化するよ」と言うのですよ。俺は本当かなあと思いながら、うちの娘がまだ小学校で10歳ぐらいのときに一緒に連れていったの。
なんとうちの娘と僕の目の前で、30分ぐらい待ったのですが、本当に蝶が羽化して飛び立ったのですよ。飛び立って、僕のズボンに止まったというのは、いまだに20いくつになってもうちの娘は言いますからね。そういう校長、いいと思わない?
要するに、バック・トゥ・ザ・フューチャーのドクのような感じで、生徒にそれが好きで好きでしょうがないというオーラが伝わるんだよ。生物が好きで好きでしょうがない先生もいるだろうし、古典が好きで好きでしょうがない先生もいるだろうし、算数、数学の難しい問題を解くのが大好きな先生もいるだろうし。要するに、学ぶのが好きで好きでしょうがないというオーラが伝わるのだと思うのです。
そのオーラこそ、伝染、感染していく。教育というのは、伝染、感染なのです。口で教えることは教育じゃない。絶対に伝染、感染なのですよ。教員の学ぼうとする、学ぶ喜びのオーラを伝染、感染させてほしいの。
これは、おそらくGoogleにはできませんよ。たぶん、アンドロイドにはできないんじゃないかなと僕は思いますので。30年、40年すると、そういったとんでもないロボットも出てくるかもしれないけど。しばらくはそっちじゃないかと思うので、ぜひ学ぶことを止めないでいただき、その学ぶ喜びを伝染、感染させてください。
もし、その学ぶ喜びというものをなくしちゃった校長などがいたら、すぐにどけてほしいし、すぐ辞めてほしい。そうした好奇心、向学心がなくなった校長は辞めろと僕はずっと言っているのですよ。みなさんの目上にはいるかもしれませんが、早くどけて、みなさんが校長になってください。
あとは、よのなかnetにはよのなかフォーラムという掲示板があります。ID、パスワードなしで入れますから。僕に質問や、質問よりはむしろ、宣言のような、自分の中の表明、これをやるぞといったものを書いてくれれば、僕はカズというハンドルネームで答えます。
一条高校については、表向きのホームページもありますが、公式裏サイトがあります。動画満載で生徒がバンバン出てくる一条ラボというのに、よのなか科の様子が入っています。
例えば、最近は生徒が先生になるよのなかというものをやっているのです。これが一条高校でのよのなかの完成形なのですが。生徒が先生になって授業をするの。今のような、こうしたものを。ぜひ一条ラボも見ていただければと思います。
ここまで言って、これ、予習をしてきた人はどれぐらいいると言ったっけ。はい。先生は面白いよね。生徒には予習してこい、復習してこいと言うのに、自分ではしてこないんだよね。
そこまで藤原に言われるのはこれまずいと、復習しないとまずいということで、とにかく「今日、明日買います」「読みます」という意欲の湧いた人、ちょっと手を挙げてみて。今日、この2種類しか認めないですから。
僕は今日、ラボに帰ったら、一応ネットを注視して、Amazonのサイトのランキングを見ていますから。今、ビジネスライフで19位ぐらいでしたので、これがどれぐらい上がるかをこの会に期待して。これは五反田の成果で上がっているなというように注視したいと思いますので、書店に行くか、Amazonでクリックするか。
それでは今日は「10年後、君に仕事はあるのか」をベースに語ってみました。はい。ちょっと元気になりましたか。元気になった人だけ拍手をくれる?
(拍手)
そういうことで、どうもありがとうございました。
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