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立石美津子氏インタビュー(全1記事)

“自暴自棄な5歳児”がいい子に変わったきっかけとは? 「テキトー母さん」の子育て術

発売以来増刷をかさね、累計5万部を突破した『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』。今回、その第2弾となる『1人でできる子になる「テキトー母さん」流 子育てのコツ』を発売した著者の立石美津子氏が、30年間に及ぶ教育現場での経験をもとに、「テキトー母さん」流の子育てのポイントについて語りました(この記事は日本実業出版社のサイトから転載しました)。

お母さんはもっと「テキトー」になっていい!?

――前作を知らない方のために、「テキトー母さん」とはどういったお母さんのことなのか、あらためて教えていただけますか?

「テキトー」という言葉を辞書で調べてみると「いいかげん」「なげやり」と、「ほどよい」「適度な」という2つの意味があります。この本で使っている「テキトー」の意味は後者です。

具体的に言うと、テキトー母さんとは、3つのことを満たしている人だと思っています。

1つ目が「期待しない」。子どもの成長や能力に対して期待しすぎてハードルを上げると、子どもも親もしんどいです。

2つ目が「よその子や兄弟と比べない」。よその子どもと比較するのではなく、子ども自身の昔と今の成長を比較する。

最後が「あるがままを受け入れる」。いい子でなくても、わがままを言っても、子どものあるがままを受け入れる。世界中を敵に回しても子どもの味方になれるということです。

子どもに過度な期待をせず、よその子や兄弟と比べず、あるがままを受け入れる。そして“ほどよい加減”の子育てをしているのが、「テキトー母さん」です。

――前作『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』は多くのお母さんから支持されましたが、なぜだと思われますか?

実は、私自身が徹底的な過保護・過干渉の完璧主義な母親に育てられ、母がいないと何もできない子どもで、自分に自信がもてず苦しみました。

完璧主義なお母さんというのは、3ヶ月になったら絶対に首が座らなくてはいけない、1歳になったら1人で立てるようにならなければいけない……と育児本の平均値というのを常に気にしています。そして、子どもの発達が平均から遅れていると、「どうして○○ちゃんはできるのに、あなたは……」と、子どもを叱るばかりです。

その結果、子どもは自信を失い、常に人と比べるばかりで満たされることのない大人になってしまいます。もし、子育てに成功と失敗があるとしたら、他人を妬むことなく「自分自身の人生を楽しんで生きる」大人に育つことが成功だと言えるのではないでしょうか。

「元気で毎日生きているだけで十分」ぐらいが、親も子供もストレスを感じないですよね。だからこそ、“いい子”に育てなきゃと一生懸命なあまり疲れてしまっているお母さんにとって、心がラクになる子育てのアドバイスとして「テキトー母さん」が受け入れられたのかもしれません。

5歳児にして人生に自暴自棄……?

――叱られてばかりだと子どもはどうなってしまうんでしょう。

かつて私が経営していた幼児教室に、A君というとても態度の悪い子がいたのですが、5歳児にして自暴自棄になっているんですよ。落ち着きもないし、勉強もできない、幼稚園を脱走する。だから親は叱ってばかりで、幼稚園でも叱られてばかりいました。

ある日、その子が私の教室に入ってきました。あいかわらず態度が悪いのですけれど、私が怒ってもよけいにかたくなになるだけだと思ったので、ささいなことでも褒め続けてみました。

授業前に、「A君、昨日お風呂に入った?」と聞くと、「入った」と言うので、「お風呂入ったんだ、すごいね! 先生なんか毎日入らないのに(笑)」「髪もちゃんととかしてるんだ、偉いね」「トイレに行って、手を洗ってきたんだ、立派だね」なんてことを言い続けたら、椅子に座っておとなしくできるようになりました。

それは私の授業の時だけだったようですが。褒められて嬉しくなり、もっと褒められたいから、ちゃんとしようとなったのでしょうね。どのようなことでもいいので、いいところを見つけてあげると子どもって変わっていくんです。

怒られてばかりだと、頑張る気もなくしてしまいます。叱ってやる気がでる子はいないです。一見すると困った行動も、見方を変えてみると、子どもが成長するにつれて長所になる可能性があります。

子どもだけでなく、ママだって認められたい!

――子どもの成長もそうですが、親としての自分をほかの親と比べてしまい苦しむお母さんも多いと思います。比べてしまうのは、止められないのでしょうか?

簡単には止められないです。そもそも、学校教育自体が成績で評価されますし、その教育のもとで育った人たちが親になるんです。そうなると、やはり比べるという行為からは逃れられません。他者と比べることによって、自分の幸せを確認する。それが人間の逃れられない性(さが)、ある種の「比べる病」ともいえるかもしれません。

――では完全に比べなくなることはできないにしても、比べてしまうことに悩んでいるお母さんにアドバイスをいただけませんか?

間違いなく言えることは、比べることは百害あって一利なしということです。ほかの子と比べられることによって「どうせ自分はダメな人間なんだ……」と自信のない大人に育ってしまった後に、小さな頃に追い詰めなければよかったと後悔しても子育てのやり直しはできません。

さらに今はFacebookなどのSNSで、否応なしにたくさんの情報が入ってきますが、それに惑わされず目の前の子どもの、日々の成長を見てあげてください。お母さんもママ友がお出かけした楽しそうな写真や幸せそうな子どもたちとの写真を見ていると、「自分なんて……」と思うかもしれませんが、そんなことは気にせず、自分自身の子育てを認めてあげてください。

――読者の方へのメッセージをどうぞ

この書籍を開くと、まず、「こんな子育てしていませんか?」という言葉からはじまります。本人が納得していなくても、強引に自分が言わせたいことを言わせる。念仏のごとく「ちゃんとしなさい」「はやくしなさい」。叱るのは口先だけで、ママが手出ししてしまう……などなど。

世のお母さんが子育て中にしがちな行動や、お悩みのほとんどを収録しています。さらに、2人のお子様を子育て中のマンガ家のあべゆみこさんに、それぞれのQ&Aに対応した素敵なマンガを描いていただき、忙しくて時間がないママ、本を読むのが苦手なママも「テキトー母さん」流子育てのポイントがパッとつかめる1冊となっています。

前作を読んだお母さんからは、「テキトー」と言いながらも、けっこうきっちりしたことが書いてある、というご指摘もいただいていますが(笑)。「ここだけ押さえたら、あとは“いいかげん”な意味のほうのテキトーでいい。完璧なママにならず、完璧な子育てをしなくていいのよ」というメッセージを込めています。

たくさんの育児書を読んで頑張りすぎているお母さんにとっては、きっとこんなに「テキトー」で大丈夫かな? なんて感じるかもしれませんが、本書を読んで「あ、頑張らずに今のままでいいんだ」と思ってもらってえれば嬉しいです。テキトー母さんになると、子どもも親も幸せになれる。そう私は信じています。

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