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2015年10月14日 カドカワ「ネットの高校」発表会(全3記事)

文化祭はニコニコ超会議で 川上量生氏が語る「ネットの高校」の学校行事

2015年10月14日、都内で開かれたカドカワ「ネットの高校」発表会に同社代表取締役会長・佐藤辰男氏、代表取締役社長・川上量生氏、ドワンゴ教育事業本部・奥平博一氏の3名が登壇。本パートでは2016年4月開講予定のネットの高校・N高等学校の授業内容や課外活動、リアルなイベントを通した交流について紹介しました。

プログラミングがゼロから学べる課外授業

野口かおり氏(以下、野口):大きな目標が出ました。ありがとうございます。では、続いてご紹介する課外授業はこちらです。

ニコニコ動画を生み出し、常にIT業界をリードするドワンゴの現役エンジニアが教えるプログラミング授業。特別講師としてプログラミング言語Rubyの生みの親、まつもとゆきひろさんをお迎えいたします。これらの授業を受ければ初心者でもニコニコ動画のシステムを、1人で大体つくれるようになります。

充実したプログラミングの授業はJavaScriptやHTMLを使ったプログラミングの基礎から、Webアプリの開発、スマートフォンアプリの開発、そのほか応用として大学で学ぶコンピュータサイエンスの授業、トップエンジニアによる特別講義、人工知能にまつわる授業などを展開予定です。

川上さん、このプログラミングの課外授業といいますのは、どういった意図で考えられたんでしょうか。

川上量生氏(以下、川上):プログラミングをこれからの初動教育に必須な教養として取り入れるべきだみたいな議論は、世界的にされているんです。

まずプログラミングっていうのは、非常に重要な時期であるっていうことと、現代の日本でプログラミングができれば、多分食っていけるんですよね。多分というよりは、100パーセント食っていけます。

ですので、これは単位がもらえるような授業ではありませんけれども、ちゃんとウチの高校を出てプログラミングを習得すれば、社会では必ず職があると。そういった状態にできたらなと思っています。

実際このプログラミングの講義の内容は、ドワンゴの社内で使われている講義の内容をそのまま使っておりまして、そちらのほうでは現役のエンジニアが受けるコースっていうのが元にはなってるんですけれども。

普通の企画者ですとか、そういうエンジニアじゃない人でも何ヵ月間か特訓をすれば、例えば初期のニコ動と同じようなものがつくれるようになるっていう、そういう講義等、今、実際にこれ行ってるんですけれども、それと同等のものを生徒の方にも提供していきたいと思っています。

野口:今のところ知識がなくて不安だという方も、ゼロから学んでいけるということなんですね。

川上:はい、そうですね。

人気作家・クリエイターによる創作授業

野口:そしてカドカワの強みを生かした課外授業も行います。

未来のヒットメーカーを目指せる文芸小説創作授業、こちらでは現役で活躍する一流作家や編集者が具体的な技術を伝授。作家の森村誠一さんが特別講師を務めることも決定しており、最新のノウハウ、小説創作の今に触れることができます。

さらに小説、コミック、ゲーム、アニメなど人気コンテンツを多数生み出している電撃レーベル、電撃クリエーターによるエンターテイメント創作授業。ライトノベル作家を目指す生徒へ向けて『ソードアート・オンライン』の川原礫さん、『キノの旅』の時雨沢恵一さん他、電撃文庫などの人気作家陣がライトノベル執筆のノウハウの講義をします。

またイラストレーターを目指す生徒にはいとうのいぢさん、黒星紅白さんの他、現役イラストレーターによるイラストの講義が。

その他、コミック作家を目指す人。ゲームクリエイター、アニメクリエイターを目指す人へ向けての授業も展開します。佐藤さんとても充実した課外授業ですよね。

佐藤辰男氏(以下、佐藤):そうですね。大変豪華な講師陣にご協力いただけたと思います。

野口:こういった作家の方や、クリエーターの方が授業をするというのは非常に貴重な機会だと思いますが、いかがですか?

佐藤:そうですね。例えば、森村先生、川原さん、それから時雨沢さんですね。私、何度もお話する機会はありましたけども、先生方の創作の秘密に迫るようなお話を伺ったことがないので、私自身がこの授業を受けたいと思うほどですね。

野口:そうですか(笑)。

佐藤:電撃小説賞の新人賞の審査員をやっておりますけれども、やっぱりクリエイティブにはノウハウがあるし、ハウツーもあるし、それから何よりも心って言いますかね……立ち向かう心というのを、こういう講師陣から学ぶというのは生徒さんにとっては大変貴重な経験になると思います。

野口:そうですね。技術だけではなく、その心構えも知ることができるというのは大きな経験になるでしょうね。

佐藤:はい、そう思います。

バンタングループと提携した通学コース

野口:そして昨年ドワンゴのグループ会社に加わり、さまざまなスクール運営事業を行っているバンタンは、現役プロ講師によるクリエイティブな授業を行います。

現役デザイナーやスタイリストがファッションの授業を。パティシエ、シェフによる授業や、ヘアメイク、ネイリストなどによるトータルビューティの授業も展開します。

その他、ゲームプログラマーやアニメ声優など、一線で活躍する講師によるリアルな授業を受けることができます。

また、実際に通学したい人へ向けて、N高等学校とバンタンとの提携通学コ―ス「マイセレクトコース」も開始いたします。学ぶ分野も通学する日数も自分で選べるバンタン「通学コース」と連携。東京、大阪のバンタン校舎に通学して学ぶことができます。

33分野のクリエイティブ授業の中から、学ぶ分野も通学する日数も自由に選択することが可能です。また、自宅で予習し、実際の授業ではほとんど講義を行わず、実習の時間を増やすことで学習の効果を高める反転教育も導入。今後は、バンタンの通常授業も反転授業となります。

生徒にSlack、GitHubのアカウントを発行

そして、N高等学校はネットなのに熱い。ネットの高校ですがネットだけに留まらず、リアルの行事も充実しています。ネットで同級生と楽しい学園生活を送るために、生徒全員にメールアドレスとチャットなどができる北米発のチームコミュニケーションツール、Slackのアカウントを発行予定。

さらに創作物やレポートを共有することができる、GitHubのアカウントも発行予定です。生徒同士がネットを通じてコミュニケーションを取ることができます。

川上さん、このSlack、GitHubというのが出てきましたけれども、これは簡単に教えていただくとどういうものなんでしょうか?

川上:Slackというのは簡単にいうと、今一番機能が優れているっていう人気のチャットツールですね。GitHubというのは開発者とかが実際に使っている、自分がつくったソース・コードやドキュメント、いろんな資料を管理するツールですね。そういうものを高校生の時から実際に使っていただこうという。そういう趣旨です。

ニコニコ超会議で行われる文化祭

野口:本当に生徒同士のコミュニケーションがかなり楽になりそうですね。ありがとうございます。そして、N高等学校ならではのリアルな行事とは。

まずN校生の文化祭は、毎年行われているニコニコ超会議で。ニコニコ超会議とは、ニコニコ動画の世界を全て再現したリアルなイベントで、ネットでコミュニケーションをとっていた仲間、同級生とリアルに触れ合うことができます。

その他ゲームのイベント、闘会議での課外活動、全国各地の夏祭りを盛り上げるイベント、ニコニコ超会議では地元の友だちと触れ合うことが。

池袋にありますニコニコ本社は自習室のような存在に。ネットの学校でありながら、リアルに触れ合える機会も多く提供していきます。

川上さん、このニコニコ超会議のようなリアルな行事も充実させていますけれども、こちらにはどんなこだわりがあるんでしょうか?

川上:そうですね、通信制高校に通ってる生徒さんの話をいろいろ聞くと、1つは勉強の悩み以上に「友達ができない」っていう悩みなんですね。やっぱり高校生っていうのは勉強も大事なんですけども、それ以上に友達をつくりたいっていう欲求がすごくおっきいわけです。

で、そういうことで友達をつくって、一緒に友達と学校生活を送ることで社会性を学んでいく。そういう機会が「ネットの高校で、だったらネットでつくればいいじゃないか」っていうのが1つ。

そしてネットだけでなく、それをリアルでも繋がることでそれがどんどん広がっていくような、そういった仕組みができればいいなと思っています。

地方自治体と連携した職業体験

野口:また、N高等学校では多くの地方自治体と連携して、日本各地に宿泊しながら職業体験の授業も行っていきます。

こちらには実社会に根ざした知識や技術を身に付けること。若手の人材不足に悩む自治体と学生とをマッチングすること。同年代だけでなく、年長者と触れ合うことで生徒の社会性を培うこと。後継者問題を抱える産業の解決など、多くの意味が込められております。

職業体験で社会性を培うために、事前にオリエンテーションやビジネスマナー研修を実施。職業体験後には総括レビューの作成や監督職員によるアドバイスなど、事後指導も徹底して実施いたします。

それではここで、職業体験を実施する地方自治体の代表の方からのメッセージをお届けしましょう。

(映像が流れる)

盛田信明氏:白い森の国、小国町は飯豊連峰、朝日連峰という2,000メーター級の山々がございます。これは、日本百名山の2つであります。そして古くからマタギの里として伝統的な狩猟を営んできております。これはみなさん若い人にもぜひ、伝承してもらいたいと考えております。どうぞ、みなさんお越しくださいませ。

上遠野集氏:茨城県城里町は東京から車で1時間半。美しい川と緑に恵まれた町です。今回みなさんには、伝統の桂雛で雛人形作りを体験していただきます。美しい雛人形に触れ、みなさんの心も磨かれる。そう考えております。みなさんに城里町でお会いできることを楽しみにしています。

高田幸典氏:大崎上島町長の高田でございます。人も景色も産業も豊かな大崎上島町は、本土とは橋で繋がっていません。学生のみなさまにとってすばらしい体験になるプログラムを提供します。みなさんをお待ちしています。

木山耕三氏:庄原市長の木山でございます。四季の変化に富んだ豊かな自然環境の中で日本一の刀匠の道場で、刀鍛冶という日本古来の伝統工芸にも触れていただきたいというふうに考えております。ぜひとも庄原にお越しをいただきたいと思います。

大西倉雄氏:本州、最先北端に位置する長門市、豊かな漁業でイカ釣り漁が盛んに行われています。磯の香りと幻想的な夕暮れを眺めながら、釣り糸から伝わるイカの鼓動を頼りに糸を手繰り寄せると、漁火に照らされた海面から光り輝く透明なイカが上がってくる感動を味わうことができます。お待ちいたしております。

小松政氏:みなさん、こんにちは。武雄市長の小松政です。武雄市は佐賀県西部、人口50,000人のどこにでもある街の、ここがどこにもない武雄市図書館です。この最高のロケーションで司書の経験をされてみませんか? みなさんのお越しをお待ちしています。

一瀬政太氏:みなさん、こんにちは。波佐見町は、緑豊かな自然に恵まれた焼き物の町です。焼き物作りは400年、延々と窯の火を守り続けています。波佐見町の職人の元で焼き物づくりを体験してみましょう。心からお待ちしています。

島袋俊夫氏:全国のみなさま、こんにちは。うるま市での体験メニューは、市の特産品であります黄金芋などを栽培する上田農場での農業体験や、その黄金芋や津堅にんじんを使った美味しいスイーツを制作する、洋菓子のPetits Foursさんでのお菓子作り体験を用意しております。ぜひ心に残る体験をしていただきたいと思います。

野口:ユーザーの方からも「わー」っとコメントがあがっています。「楽しそう」「ワクワクする」というコメントもありました。

ただいま代表の方にメッセージをいただいた地方自治体に加えて、北海道稚内市では畜産、酪農体験が。滋賀県湖南市では介護福祉体験が。合わせて10の地方自治体で職業体験を行うことができます。

山形県のマタギという体験がありますけれども、これは熊などの狩猟のことなんだそうです。そして本日は市長の方々も、何名かこちらの会場にお越しいただいているということです。遠くから、ありがとうございます。

そして、企業、団体の協力による職業体験もございます。築地市場、株式会社山和でのマグロ仲卸体験。和歌山県にあります、高野山での宿坊体験。大分県湯布院町、外国人ゲストハウス「時のかけら」運営体験。と大変数多くの職業体験が揃っていますが、奥平校長いかがでしょうか?

奥平:これが冒頭申し上げました、ぜひ我々がやってみたいことの1つだったんですね。本来、学校というのは子どもたちを世の中で自立させることが目的のはずです。こういった職業体験がその機会になればなと。

まだまだ増やしていくつもりです。単なる職業見学ではありません。本当に、その中で一緒になって働いて汗を流していきたいなと、このように考えております。

N高等学校の願書受付を開始

野口:はい、これからも楽しみです。それでは、最後にN高等学校の今後の予定をお伝えいたします。

N高等学校では本日より生徒募集の願書受付を開始しています。そして10月18日にはニコニコ超会議、沖縄県うるま市「うるま祭り」にN高等学校のブースが出店されます。11月からは全国各地で学校説明会、個別相談会を実施します。1日は東京、3日は大阪で行われます。

さらに来月からはネットの高校ならではの企画といたしまして、オープンキャンパスもネットで行います。ネットオープンキャンパスはニコニコ生放送の番組で月1回実施。誰でも気軽にN高等学校の情報に触れることができます。

そして、いよいよ来年4月にはN高等学校、開校予定となっております。それでは、N高等学校の学校説明会、個別説明会の詳しい日程をご紹介したいと思います。

まずは東京会場です。11月1日、日曜日。場所は東京駅近くの「フクラシア東京ステーション」。説明会は、10時半。午前10時半からのスタートです。

続きまして大阪会場です。11月の3日、火曜日の祝日。梅田駅近くの「梅田阪急ビルオフィスタワー26階」で午前10時30分からのスタートです。いずれも事前予約制となっております。詳しくはN高等学校のホームページをご覧ください。

そして、ネットオープンキャンパスの初回の日程も決定しております。11月9日、月曜日。夜の21時から。初回は、世界中に大勢のユーザーを抱える日本産プログラミング言語、Rubyの生みの親。N高等学校で実際にプログラミングの授業の特別講師を務める、まつもとゆきひろさんをお迎えして、みなさんに課外授業の体験をしていただきます。もちろん、N高等学校の情報もお伝えいたします。

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