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ITが可能にする新しい働き方・デジタルスペースと女性の未来(全3記事)

「もっとわがままに生きていい」 キャリアウーマンたちが自信を持てない女性にアドバイス

『ELLE』による働く女性のためのイベント「ウーマン・イン・ソサエティ」に、ツネイシホールディングス代表取締役専務、ニューズ・ツー・ユー代表取締役会長の末松(神原)弥奈子氏、トリップアドバイザー日本代表の原田静織氏、HUB Tokyo代表取締役の槌屋詩野氏が登壇。「ITが可能にする新しい働き方・デジタルスペースと女性の未来」をテーマに意見を交わしました。本パートでは、槌谷氏が日本人女性の自尊心が低いという問題点を取り上げ、周囲からの期待よりも自分が自分に何を期待しているかを明確にすることが幸せな人生のカギだと語りました。(ウーマン・イン・ソサエティより)

食事の時間を大事にすることでライフバランスが改善した

長谷川玲氏(以下、長谷川):皆さんITとか使われていると思うんですけど、24時間7日間、ずっとIT漬けになっちゃうんで、疲れ果てちゃいませんか? この辺のバランスとか、どういうふうにしてオフにするかとか、そういう秘訣ってあるんですか?

槌屋詩野氏(以下、槌屋):私は見ない時間を決めてますね。見ない時間を決めているのは、もともと起業したての時は、ほとんど中毒状態です。見てないと、心配で心配でしょうがなくて。

今のパートナーが、フランス人のハーフの人なんですけど、彼がご飯をすごく重視しているんです。食事は全部きちんと朝昼晩と座ってちゃんと食べなくちゃいけない人。しかも、ちゃんと料理をして。

そのフランス人的なライフスタイルを聞いた時に、すごく納得をして。それ以来は、朝ご飯食べてから、ちょっとチルアウトして仕事するとか。夕飯の前には終わらせるとか。そうしないと怒られるんですけど。だからなんですけど。

そういうふうにしてから、すごく自分のライフバランスがよくなったと思います。

長谷川:軽井沢に引っ越されたっていうことも。

槌谷:私、体調崩しちゃったんですけど。それは、アレルギーが出たんですね。それで東京から離れたんですけど。それも全部含めて、自分としては、どんどんすごく健康な方向にワークライフバランスのことも含めて、なっていっていると思います。

旅行はあえて「Wi-Fi」のない場所へ

原田静織氏(以下、原田):私の場合は、バランス取れてるかな? ちょっと疑いがありますけど(笑)。

ひとつは、娘といると。例えば、娘と一緒にご飯を食べると、私がずっと携帯見ていたらいつか彼女もそうなる、っていうのを考えると、非常に恐ろしいですよね。家族と向き合う時間は、必ず一切触らないっていうこと。それは主人にも同じことを強制的にやっていただいているんですけど。家族といる時間は触らない。

あとは、外に行く。バーベキューしたりとか、公園行ったりとか、その時わざと携帯を置いて行きます。あると、触っちゃうんですよ。だから「忘れた」って言ったら、「仕方ない」みたいな(笑)。

もうひとつ、旅行する時に、宿とか、山の頂上とか電波が明らかに入らないところを意図的に選んでます。

長谷川:トリップアドバイザーなのに?

原田:そこに、「Wi-Fi通じません」っていう書いてるのにあえて(笑)。

長谷川:そういうところを探して?

原田:探して。逆に、最近、箱根の宿を、Wi-Fi導入しないっていうのをコンセプトにしているので、そういったところを選んで。

ほんの数パーセントぐらい、オフにさせていただけているのかなという。

集中したいときは完全なオフラインに

末松(神原)弥奈子氏(以下、神原):ここは自信ないところで(笑)。

基本的に仕事が大好きなのと、2つやってますから、できれば24時間仕事をしたいくらいなんですよね。

スタッフに「私のメールには勤務時間以外には返事を書くな」とか、「オンラインであっても声をかけなくてもいいよ」とか。「こっちは投げておきたいけど、返事をしなくていいよ」というのを言っているんですけど。

私に引っ張られる人がいて、そこは反省しているところですね。飛行機での移動、Wi-Fiがある時とない時の移動があって。あるとうれしいなと思う時もあるんですけど、ないほうがいいかな、と思う時もあるっていう感じですかね。

長谷川:すごく昔なんで、神原さん変わっちゃったかもしれないんですけど。神原さんは@minakoでツイッターのフォロワーもたくさんいらして。IT業界で有名な方なので、すごくnotificationっていうんですか、電話でいっぱいくるっていうのを、切ってらっしゃるって以前おっしゃってたんですけど、その辺はどうですか?

神原:基本的には、集中して仕事をする時には、ソーシャルは全部落としてます。原稿書いたりとか、事業計画書いたりとか、かなり集中したい時には全部切るようにしています。

どちらにせよ、こちらのコントロールできることなので、今自分のモードがテンション上がってて、この仕事の話しておきたい時には、ガンガンしちゃうんですけど、そうじゃない時には自分でコントロールする。

向こうからインタラプトされるとか、コントロールされることがないように自分でコントロールしてますね。

長谷川:この時代ですね、情報の洪水にやられてしまいそうになると思うんですけど、やはり、強制的にロケーションを変えたりとかっていうふうにされたりしているってことですよね。

はい、わかりました。ありがとうございます。

同じ会社でも国によってファッションが全く違う

長谷川:そろそろ、時間も迫ってきているんで。

次に、『エル』ということで、リーダーとしてのファッションの質問をしたいんですけれども。

先ほどおもしろい話が控え室で出まして。リーダーの方々って、海外に出張に行かれて、その時のTPOがいろいろあるのでその辺に関してざっくばらんにお話ししたいと思っているんですけど。どうですか。自分の見られ方とか。

原田:よく失敗するんですね。例えば、アメリカのオフィスにちゃんとスーツで行ったら、みんなジーンズ、短パンとか。Tシャツ、短パンで、1人だけカチカチの格好してたりとか(笑)。

逆に、ヨーロッパオフィスでジーンズで行ったら、みんなすごいきれいなワンピース着てるとか。国によって違うというところ。

先ほど、控え室で盛り上がったんですけど、日本の硬い洋服を中国に着て帰ると「なんで地味な洋服着てるの?」と。赤とか、鮮やかな色とか、ものすごい奇抜なファッションとか好きな国なので。

そういった意味で、ファッションは、私にとっては難しい! 人生賭けて、どんなに勉強しても追求しても、追求しきれない大きな最も難しい仕事じゃないかなというふうに。非常に難しいと思ってます。

長谷川:今日、お召しになられているものは、どうやって決めるんですか?

原田:あんまり考えないですね。3秒以内で決める。

長谷川:スピード感でね!

原田:買い物もそうですね。全然乗らない日は、1枚も買えない。乗ったら、ものすごい買って、「何だ、これ!?」みたいな(笑)。そういうタイプですね。選ぶのはあんまり考えない。逆に失敗したかな、って思ってます。

槌谷:ファッションは……。

長谷川:スーツを持ってないと、おっしゃってましたね。

槌谷:そうですね。

前、コンサルタントで働いてた時は、スーツ持っていたんですけど。

着ていると自分で合っているかどうかって、合っているというのは「自分らしいかどうか」っていうのが一番強くて。

着てみて「自分らしい状態じゃないな」って思ったら、「違うな」って思って、起業した後は、マインドがどんどん変わっていくんで、そうすると、着る服も変わると思うんですけど。

それで、揃いのセットアップのスーツとかは、なくなってしまいました(笑)。

その替わり、「ジーンズはちょっと」って言われたので、ジーンズじゃないんですけど(笑)。いつもジーンズとTシャツでうろうろしているんですが。

ジーンズとTシャツが、一番自分では自分の体のシルエット、形にも合うだろうし、それが自分らしいので、それを着ています。

大きな企業の打合せにいった時も、逆にジーンズで行くと、「あ、そういう感じなんですね!」みたいな感じで(笑)。異次元の者として取り扱われるようになると、話が逆に進みやすかったりとかして。向こうと同じ土台に立たないように、逆にしていたりとかしています(笑)。

エルメスにはまだ手が出ない

神原:重厚長大な会社にいると、派手な格好するだけでにらまれてしまうんで、役員会も女性は私だけですし、下手すると「○○研修センター」って女子トイレないですからね。

(会場笑)

みたいな会社なんですよ。とにかく目立たない、地味な格好にしたいなと思うんですね。

一方、3年ほど前に1年ほどニューヨークに行って、その当時買った服って、オレンジとか、きれいなパープルだったりとか、ブルーとか。そこにいる時は普通に着ていたのに、すっかり着なくなっちゃった服っていうのがあって。

やはり、場所によって着れる環境と、そうじゃないのってあるんだな、って思ってますね。ちょっと色物のスーツとか着た日には、主人から「政治家じゃないんだからさ……」みたいなこと言われますよね(笑)。

政治家って、色のついたスーツ着てるじゃないですか。確かに。

だから、モノトーンとかになっちゃいますね。勉強不足で。

長谷川:年齢とともにブランドとか、選ぶのが変わってくるとか、ありますか。

原田:全世界の女性が、エルメスに憧れてると思うんですけど、私の中ではエルメスに相応しい女性になりきれていない、っていうふうに決めているので、まずシャネルあたりで挑戦して(笑)。

つい最近までは、シャネルとか買うことできなかったんですね。先ほど槌谷さんもおっしゃっていたように、自分らしくないっていう意味では、私はあんまりブランドはこだわらないかな。自分に合うかどうか。

ただ、シャネルみたいな女性とか、エルメスみたいな、ブランドが追求するポリシーっていうか、企業理念というか、そういったところは、非常にリスペクトして選びたいなと思います。

女性はもっとわがままに生きていい

長谷川:そろそろ時間が迫ってきました。

最後に、皆さんにメッセージを1人ずつお話いただきたいんですけれども。

槌谷:うちはスタッフにも女性がいて、女性っていうものをいつも分解して考えることがあるんですけど。女性は、いろんな期待を背負って生きているなと思います。

皆さん、お父さんお母さん、周り、お子さん、その期待に応えなきゃって言って、自分の期待を忘れてしまうことがあるのをすごく感じていて。

「自分が本当は何をしたいか」とか、「自分が自分に期待しているものは何なのか」とかっていうのを、腹の奥のほうまで探っていくと、どんどん自分の能力が開花されていくのを感じる。そういうふうにチームの女性と話していたりとかして、どんどん変わっていくのを見たりしているので。

英語で"Self-esteem"って呼ばれるものだと思うんですけど。"Self-esteem"が低い女性が日本にはすごく多いんですが、その点は「どっかで聞いたな」って思ってですね、今後の人生で思い出してもらえたらと思いました。

原田:カンヌの広告大賞を取ったCMだったのかな。「ダヴ」のブランドなんですけど。たくさんの女性をインタビューして、「自分が美しいか」っていう質問をして。YouTubeでご覧いただいて。

何を言いたいかというと、女性は美しくあるべき。そもそも美しいものなんです。私も主人と喧嘩して、「なんで、わがままなの!」って言われると、「女性がわがままで何が悪いんだ」って言い返してます(笑)。

皆さんに伝えたいのは「わがままで生きていいんだ!」っていうこと。仕事選びにしても、人生選びにしても、恋人選びにしても、もっとわがままでいていただくのが、私はベストだと思います。

わがままに生きていていただいて、自分の趣味がキャリアになるっていうのが、私は個人的にベストだと。それこそ、究極のわがままですよね。好きなことをやらしていただく。ということを皆さんにお伝えできたらいいなと思っています。

不安にフォーカスせず、今やるべきことをやる

神原:年の功なのか、堅いメッセージを考えてきたんだけど、うーん……。

「まず、やるべきことをやってから、自分のやりたいことをやりましょう!」というのが自分のポリシーなんですね。やるべきことって、世の中から与えてもらっている。

例えば、上司からとか、仲間から期待されていること、そこに対してきちんと返してから、そのあと自分のやりたいことをやる。そうしないと、前に進めないんじゃないか、という思いがあって。

まず、やるべきこと。課題はあると思うんですけど、目の前にあるやるべきことをきちんとやることが、適応能力であったりとか、自分のキャリアにつながっていくんじゃないかな、というふうに思います。

もうひとつが、いろんな状況、社会環境とか、国際情勢とか、いろいろこれから変わるんですね。変化の時代だと思うんですけど、たくさん今までなかった不安なことが出てくると思います。

何歳になっても、不安って多いと思うんですよ。不安にフォーカスしちゃうと、今やるべきことをやる時間がなくなっちゃうので、目の前にある課題をちゃんと処理してやっていければ、不安に実際に直面した時に、自分で間違わずに意思決定できるスキルを身につけられるんじゃないかな、と思います。

目の前のことを一生懸命やっていくことが大事かなと思います。

長谷川:ありがとうございます。

お話を聞いていると、やはり皆さん、自分自身のやりたいこと、信念を持っているということ。それから、ITの洪水に流されない。切り分けが大事ですね。しっかりと仕事に集中した、ITも使う、オンオフを管理する、っていうところ。すごく印象に残っています。

それから柔軟な部分があると思うんですね。皆さんすごく世の中の動きを見て、変えていくというようなところもありますので、すごく参考になったと思います。ありがとうございました。

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