2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会:すごく新しい前例がない女性のリーダーなので、自らが前例を作っていく、っていうライフスタイルだったと思うんですけど、その中でも、いろいろ苦労があったと思うので。
「そうは言っても、苦労とかどうだったの?」っていうのを、聞いていきたいと思うんですけど。どうですか、今までの苦労は?
吉田晴乃氏(以下、吉田):苦労だらけで、「1番の苦労は何ですか?」って、「そんなもん!」みたいな。
どっちかっていうと、新しい環境が上書きしていくタイプで。やっぱり、「経営者って大変!」っていうのはすごく思っています。社長ってすごく大変(笑)。
自分1人のことじゃないじゃないですか。今まで、自分は営業畑だったんですけど。「とにかく、おじさんや誰にも負けないNo.1になるんだ!」と思って、自分で努力して、とにかく売上あげて、みんなを驚かせる数字さえあげていれば、注目もされたし、昇給もされたしね。キャリアパスだってあったし。
ところが、社長ってね、みんなにモチベーション持って、みんなに働いてもらわないといけないわけよ。これがね、すごい大変だってことにようやく気付いて。
昨年は、1週間単位で頑張ってたかな。月曜日始まって、とにかく金曜日まで頑張ろう。そんな年だったんですね。そういうもんですよ。何か不思議なこと言う人がいて。「社長になると、苦労なんてあるんですか?」
「もう、あのね!」みたいな。そんなもんなんですが。
でね、「それどうやって乗り越えますか?」ってこともありますよね。これは、さっき申し上げた、死ぬの生きるの3年間の病気をした時に、「あ、そっか」と。「心臓さえ動いて、次の朝目覚めれば、生きているんだ」と。そんな心境で、昨年は本当に乗り越えたの。
「とりあえず、一週間心臓動かそう!」って出勤して(笑)。社長なんて、そんなもんですよ! 皆さん! 上司は大切にしてくださいよ!(笑)。
でもね、それを乗り越えると。生きているから乗り越えているんですけど。このまんまで終わっちゃったら、次につながらないだろうなって思ったんで、次の局面だけは見ておこうと思って、毎週頑張りました。
不思議なもんでね。昨年は、打つ手打つ手が全部外れた年だったんですよ。あぁ、自分の経営者としての能力もないしね、リーダーシップとしての自分のケイパビリティっていうものを、本当に心底疑った時だったんですけど。
不思議なもんでね。年が変わると、打つ手打つ手が全部当たる、って年も来るわけ。「あぁ、待ってて心臓動かしといてよかった!」と。そんな感じです(笑)。
司会:ありがとうございます。
石谷桂子氏(以下、石谷):私も本当に社長では全然ないので、吉田さんには及ばないんですけれども。マーケティング部の日本のトップということで、組織を束ねていく上で、孤独になっていくというか、本当に大変だな、っていう気持ちはすごくよくわかりますね。
相談できる人が段々少なくなっていったり、その場その場でのディシジョンっていうのが求められていくので、それは本当に勉強になった2年半だったな、っていうふうに思っているんですけど。
私にとって一番苦労したのは、ペットフードの、買収先の会社に出向させられた時で。そういう意味でありがたかったんですけど、私がP&Gでキャリアも続けられて、東京にもいれて。本当にありがたかったんですけれども。
買収先っていうのは、カルチャーであったりとか、仕事のやり方も違いますし、同じ日本語でしゃべってても、言葉が通じないっていうことがあるんだな、っていうことを経験したり。
皆さんいい方たちだったんですけども、仕事のやり方が違って、買収先からくると、どうしてもそちらに合わせないといけない、っていうところで、どうやって彼らのもっているビジネスモデルというのを保ち続けながらも、こちらのほうのやり方ってものに合わせていってもらうのか、っていうのがすごく大変でしたし、そうは言っても、P&Gのやり方だけでペットフードってなかなかうまくいかなかったんですよね。
そうなると、やっぱりこちらとしては、P&Gで今までやってきたプライドもあるし、だけどそれによってビジネスを崩した、っていうふうに言われたくないので。そこはつらい2年ぐらいでしたね。
我々、組織変更とかもあって、ペットフードの会社自体が本社機能がアメリカでものすごく強かったので、製品を作るであるとか、何かひとつ変えてもらうのにも、直接訴えかけなければいけないと。
日本では日本で、日本の人事組織に合わせていかなければならないので、今度は神戸とのマネージメントもやらなければならないということで、非常に板挟みになっていく経験をしたんですけれども。
その時に、私は今まで上司にどれだけ守られていたのかというのは痛感しました。今度は、その組織の中では、一番上の人間になっていくわけなので、下の人たちとか、チームを守っていかなければならない、っていう責任感と。
そうは言っても、ビジネスを伸ばしていかなければならないっていうのを、使命感を経験できて。その時は、2年くらい大変だったんですけど、あれが私を本当に成長させて、その時のコネクションで、アメリカにも行けたので。
その時には、アメリカでは十分に人脈ができていて「アメリカで大変だったでしょ?」って言われるんですけど、人間関係で苦労したことは1回もないんですよ、アメリカでは。
そういう意味では、今から思うと非常にいいステップになったと思いますが。その時は、一番苦労したと言われると、その経験が大きかったですかね。
司会:ありがとうございます。
司会:その苦労があった時に、どうやって毎日モチベーションを高めているのか、っていうのを聞きたいんですけど。いかがでしょうか。次は、石谷さんから。
石谷:そうですね。立場が上になってくると、吉田さんも仰ったんですけど、どうしても自分で手を動かす、ってことは少なくなってくるんですよね。
チームの人をどうやってモチベートして、そこから結果を出していくか、っていうことが大きくなってくるので、その中で人が育ってくれている、っていうことであるとか、指導とかを通して、ビジネスが伸びていくっていうのを見る時っていうのは、非常にモチベーションになりますし。
もう1つは、子供を2人連れてアメリカへ行ったんですけど、もちろん彼女たちは全然英語も喋れなくて。苦労はしたと思うんですけど、幸いなことに、非常にちっちゃかったので、半年くらいすると、本当にベラベラになってきて、子供たちも視野をどんどんそういう環境の中で広げていくという成長を見る時っていうのは、非常に大きなモチベーションになりました。
今も私は、組織を活性化していくってことは、1つの大きなモチベーションです。
長谷川:吉田さん、いかがですか。
吉田:彼女の話がまさにそうだと思うのは、苦労が何を作るかっていうと、レジリエンシーっていうのかな、強さなんですよ。これってね、どんなに素晴らしい「成功する10か条」とか読んでもダメで(笑)。
絶対、筋力トレーニングと一緒で、自分でやんなきゃダメなのよ。ライザップ?
(会場笑)
あれ、絶対自分でやらなきゃダメなの。隣の人にやってもらっても、絶対筋肉付かないじゃないですか。間違いなく、レジリエンシー。これ、強いってことは、これから男性社会云々も越えて、グローバルに社会が広がって、ものすごい競争社会の中で、私たちは自分の光るものを守って、いろんなありとあらゆるものから、自分で自分を守って伸びていかなければならないんですよ。
その時に、最後の最後、誰があなたの敵になったとしても守ることができるのは、自分の強さだと思うんですよね。
今のお話の通りで、いろんな苦労が自分をライザップしてくれる。なんでライザップになるのかわからないけど(笑)。でも、わかりやすいでしょ?
筋トレをしてくれると。それは人にやってもらうことじゃない。そういう意味は、私は最近「こんちくしょうボックス」っていうのが出回ってるんですけれども。あるメディアで話したら、バーっと火が付いたように。
嫌なことってあるわけじゃないですか。「自分がダメだ」とか、「あぁ、本当にもう……」とかっていうことばっかりでしょ。「もっとうまくやればよかった」とか、「上司に怒られて」とか、「客に怒られて」とか。
そんな毎日じゃないですか。あれを、モヤモヤっとして置いておかないんです!
ある時、明確にゴージャスなボックスっていうのをヴァーチャルに作って、そこに集めることにしたの。なぜならば、ある年になると、似たような場面に出会った時に、この失敗の連続のモヤモヤが、ものすごいエネルギーになって、自分の燃料になるっていうのがわかったんですよね。
そうすると、この悔しい思いとか、できなかったとか宝じゃないかと! だから、「こんちくしょうボックス」っていうのを作りましてですね。何だったらやってみてください!
毎回「うぅっ」とかってきた時に、バッと貯金するんですよ。いいんです!
その時はそれで、嫌なことだとか、ダメな思い出を貯金しておく。またね、1ヶ月後かもしれない、1週間後かもしれない。30年後かもしれない。必ず似たような場面ができた時に、思い出したようにこのおもちゃ箱から、「うわぁ〜!」っとか出てくるんですよ。
この時ですよ! 「絶対に自分で、今度は自分が褒められるようなことをやってみせよう!」と、いうようなことですかね。
司会:皆さん、今日から「こんちくしょうボックス」をですね。
吉田:もうちょっと、いい名前にしていただけますか?(笑)
司会:そうですね、ネーミングがユニークな感じで(笑)。
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