2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会:みなさんこんばんは。森川さんの初めての本『シンプルに考える』の編集を担当いたしましたダイヤモンド社の田中と申します。
今日はお集まりいただいてありがとうございます。実はいま、AmazonのKindleで総合第6位、紙の本で13位と発売以来一番ピークのタイミングでして、そういうタイミングでこの場を迎えられること大変ありがたいと思っております。
早速ですが、森川さんに、この本を出されるお気持ちや、何を伝えたくてこの本を作ったのかというあたりについて少しお話をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
森川亮氏(以下、森川):みなさんこんにちは。森川です。今日は遠くまでお越しいただきましてありがとうございます。
今回本を出すということに関して、実は去年の年末に出す予定だったんですが、いろいろ事情によって長引きまして(笑)。ようやく出すことになりました。
ただまあ、僕自身ずっと本のお誘いをお断りしていまして。会社を辞めるということになってから、何か節目として自分の考えとか、この世の中にとって何かプラスになるのであれば形に残したいなということで本を出すことになりました。
前職に入ったのがちょうど36歳です。この中で30代の方いらっしゃいますか? 40代の方? ありがとうございます。
36歳でソニーを辞めて前職に入りまして。その時に年収が半分近くになって。平社員で、赤字の30人くらいの会社に入ったんですけど。それまではある程度大企業にいながら新しいことをやってきまして。
いわゆる日本的な経営とかMBA学んだようなことが、実際ベンチャー企業に入ってみるとあまり活かされることがなく。
どちらかというと、やっぱり大企業にいるとスキルとかキャリアパスとか資格を取るとか、何かそういうことばかり気にしている人が多いと思うんですけど。実際の仕事というのはもっと生々しいもので。野生の中で獲物を捕らえるような、そういう部分が非常にあるんですよね。
そういうものをもっと大企業にいる方とか、これから起業する方とか、もしくは学生さんで社会に出る前とか、そういう人に少しでも知ってもらって、自分らしい人生を歩んでほしいなということで今回南場さんにも相談して出版をすることになりました。
たぶん、みなさん読んでいただいてるんですよね?
司会:ちょっとお聞きしていいでしょうか。この本をすでにお読みになった方どれくらいいらっしゃいますでしょうか。
(会場挙手)
司会:ありがとうございます。
森川:ありがとうございます。
司会:まだの方あそこで販売しておりますので、ぜひよろしくお願いします(笑)。
森川:よろしくお願いします。南場さんの本もぜひセットでお願いしたいなと思います。今日はよろしくお願いします。
司会:よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
司会:それでは、南場さんにお忙しい中駆けつけていただいていますので、早速ご入場いただいて対談を始めたいと思います。盛大な拍手でお迎えください。よろしくお願いいたします。では、南場さん、よろしくお願いします。
(会場拍手)
司会:今日はお忙しい中、南場さん、本当にありがとうございます。
森川:ありがとうございます。
南場智子氏(以下、南場):ありがとうございます。
司会:いまちょうど球団のDeNAが野球の試合を……。
森川:余計なこと言わないほうがいいですよ(笑)。忘れようとしてますから。
司会:すみません。お二人は、LINEさんとDeNAさん、同じヒカリエの建物の中に入っていて。お付き合いはかなり長いのでしょうか?
森川:あまりヒカリエではお会いしたことないですよね。
南場:そうですね。
森川:守安さんとは時々飲みに行ったりしてまして。何かあるごとにいらしていただいて、一緒に語り合ったりとか。最近はいろんなイベントでもご一緒することが多いですよね。
司会:ちなみに南場さんの大ヒット作である『不格好経営』をお読みになった方、どれぐらいいらっしゃいますでしょうか? 8割方が読まれてますね。やっぱりベストセラーは違いますね。
南場:ありがとうございます。
司会:この『不格好経営』と森川さんの『シンプルに考える』の中から、「お、これは」という言葉を抜き出させていただきまして、それをご紹介しながらおふたりに自由に対談をしていただきたいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
森川・南場:お願いします。
司会:一応、テーマは「結果を出す人の思考法」ということで。「すごい人はなぜすごいんだ?」ということで、まずそのテーマでお話いただきたいと思っています。
では、一つめの言葉ですが、こちらです。『不格好経営』からですね。ちょっと長いですが読み上げましょうか。
「自分の成長だへちまだなどと言う余裕がなくなるぐらい必死になって仕事と相撲をとっている社員ほど、結果を出せる人材へと、驚くようなスピードで成長する」というふうに南場さんはお書きになっておりまして。
まずは成長というテーマで南場さんから口火を切っていただければと思います。
南場:よく学生が就職先を選ぶ時に、自分が成長できるところという基準で選ぶ学生が多くて。それ自身は間違ってなくて正しいことだと思います。
しかし、入社した日からは給料が払われるわけなので、給料もらっている立場で「自分の成長が」というところをずっと意識しているという学生気分が続いていると、むしろ成長が遅くなるというか。パラドックスなんですけれど。
結局、プロとして自分を追い込んで、給料もらっているからにはちゃんと成果を出すということに必死になるということが、逆説的ですが成長にもつながるし、それはまた正しい姿だと思っています。
森川:そうですよね。学校じゃないですからね。社員の中でも「会社は何してくれるんですか?」という人が時々いますけど。やっぱりプロフェッショナルというのは求められたものに対して結果を出す。さらに成長するためにはその2倍3倍ぐらい出すつもりでやらないと、なかなかプロとしては足りないところがあるのかなと思います。
南場:そうですね。
森川:DeNAではどうでしょうか?
南場:DeNAでもそうだし、私、森川さんの本がすごいピンときたんですよね。結構『不格好経営』の第7章に書いてある考え方と重なるというか……。
森川さんの本を読んだ時にすごい違和感がなくて。特にモチベーションだへちまだっていうのもまさにその通りで。プロなのにどうしてそういうこと言うのかなって思うんですよね。
いままさに野球の話あったんですけど、マウンドに登ったりバッターボックスに入ったりしながら5万9千人の大入りのファンの前で「今日はちょっとモチベーション上がんねえな」とか「ちょっと打ちたくねえな」みたいな(笑)。
もう即、終わりですよね、それは。そんな選手はプロにはいないわけですよね。プロ野球選手とビジネスの我々とどう違うのかっていうと、本来は給料もらっている以上は違ってはいけないわけであって。そういうところがすごいピッタリきたので。今日楽しみに参りました。
森川:厳しいですよね、ビジネスの世界は。
南場:そうですよね。まあでも(森川さんは)すごい結果を出してるので……。
森川:いやいやいや。
南場:うちもcommが終わってLINEに切り替えてて(笑)。
森川:ありがとうございます(笑)。
司会:同じ成長というテーマで『シンプルに考える』の中ではこういう言葉がございまして。
「ゼロから結果を出さなければならない状況に自分を追い込んだときに、自分の能力が発揮されて、ものすごく成長できる」。
森川さんは今回で4回目の転職になるんですよね?
森川:そうですね。
司会:そのあたりの話も含めてお願いできればと思います。
森川:結局、南場さんの考えと一緒なんですけど。まずやっぱりビジネスというのは結果ありきなんですよね。もちろん、頭がいいとか、スキルがあるとか、いろいろな経験があるということも材料にはなるけれど、結局結果が出なければ全てがおしまいということで。
ビジネスの世界というのは、何か戦略が正しいとか、この通りにやったらうまくいくというものがなかなかないので。いざそれが起こった時に、何をするのか。これがすごく大事だなと思って。
最近よくサッカーに例えるんですけど、リフティングが得意な人が多くて。何か「こんなことできます」「こんなことできます」でも、バックパスしちゃうような。
やっぱりゴール前ではスキルがなくても、ハンドしてでもシュート打たないとやっぱり結果は出ないのかなというふうに思うと、やはりスポーツの世界と同じように厳しさを持って仕事に向かうべきかなと思っています。(南場に向かって)いかがでしょうか?
南場:立派です。結果論ですよね、成長って。それを目標にしていると、やっぱりずっと学校気分なんだろうなと思います。
しかも私がこの歳になって誰にも負けないと思うのが、実は成長です。去年の自分が常にいつもすごい恥ずかしいので。成長してるってとても良いことだと思うんですよね。でも、結果論ですね。
森川:(南場さんは)やっぱり常にチャレンジされてらっしゃるから、結果として成長してらっしゃるということもあるでしょうし。プロとして厳しい目を自分に向けてらっしゃるから、そういう環境に身を置けるのかなと。
南場:4回転職とおっしゃってたじゃないですか。その中で、成長が目的意識化しやすい環境というのはあるんですか? 会社によってプロ意識の違いというのは大きいのでしょうか?
森川:大企業になるとだんだん評価システムが複雑になって。本質的には結果を出すか出さないかで評価すればいいんでしょうけど。
「結果(主義)がシビアでけしからん」とか「モチベーション下がる」とかいう話になると、頑張った、何かわからないケーキ屋みたいなのが出てきて。「お前よくやった」みたいな形になってしまって(笑)。
それで成功体験になると、結果は出てないんだけど毎年評価が高いみたいな人が出てきちゃったりするんだと思うんですよね。
南場:そうすると、さっきおっしゃってたようにビジネスの世界って、運もありますよね。
すごく優秀な人間が、自責点ではないというか、何か別のことで成果が出ないという時にプロセスを全く見ないという評価はどうか。誤謬(ごびゅう)もあると思うのだけど、どうなのか。
森川:短期と長期で考えると、短期で結果が出なかったとしても長期で出るのかなと。一度や二度評価されないからといってやる気をなくすのはプロとしてはどうかなと。
もし経営者であれば結果でしか評価されないということを考えると、それもある意味事業投資だと考えて、次に成果を出すという気持ちでやるべきかなとは思っています。
南場:森川さんが社長時代のLINEというのは、やっぱり純粋に、圧倒的に結果オンリーで見ていた?
森川:実は、社員はあまり評価を気にしていないというのが一番のポイントでして。一番大事なのはユーザーさんに認めてもらうかどうかなので。上司が評価しようとしまいとあまり関係ない組織体にしたんですよね。なのでそのぶん仕事に集中できるというか。
南場:なるほど。例えば、新しいすごいおもしろいプロジェクトが生じた時に、それにアサインされるかどうかは重要かも知れません。DeNAの場合だと評価を気にしたり、上司にどう思われるかを気にしてると周囲から「おもねり!」と嫌がられたりからかわれたり。
そういうカルチャーなのであまりピラミッド的な評価は気にしないですけど、おもしろいチャンスが取れるかどうかというところは気にするんだよね。
森川:ああ、はいはい。そうですね。
南場:うちは、失敗したけどそのプロセスが良かった人間にチャンスを与えたりするんですよ。そういうのはないの?
森川:結果的に粘り強い人は最後に結果を出しているような気がしますね。例えば仕事でも、やらなければいけない仕事もあるけど、やらなくてもいい仕事もあるじゃないですか。
やらなくてもよくても、仮に仕事とは関係のない時間であってもそれをやり続けて結果的に成果が出たりする場合もあるので。やっぱり最終的には粘り強い人が……。
南場:結果ね。
森川:はい。かなと思ってますね。ただまあ目先の評価・結果よりは、自分がユーザーさんに対してちゃんとものを提供できているかとか。
南場:そうだよね。それは私たちの業界だとインターネットのいわゆるアプリとかネットサービスなので、それに勝る喜びはないよね。
森川:そうですね。すぐ結果が出るので怖い世界ではありますけど。上司が評価するよりはユーザーさんが評価したほうが、シビアですよね。
南場:シビアだし、そのほうがリアリティがあってうれしいですよね。それ以外というのはあまりピンとこない。
司会:ちなみにお二人にお伺いしたいんですが、さすがのお二人も時には結果が出なくてうまくいかない局面っておありだったと思うんですね。そういう時に諦めずに続ける、気持ちを掻き立てるやり方というか、そういうのってお持ちなんでしょうか?
南場:私自身は結果が出ないからやる気が出なくなるということはないので、そういう選択肢がないというか。人によって何をモチベーションの源泉にするかってあると思いますけど、私の場合は結局やらなきゃいけないという状況に追い込まれているので(笑)。あまりふらふらすることはないです。
実はここに2人並んでいるのは結構感慨深いというか。森川さんの本を読んでいただければわかるんだけど、森川さんがすごい苦しんでる時にDeNAがうまくいったり。
今度は森川さんのところがすごくうまくいった時に、DeNAが逆に1歩遅れてと。そしてまたDeNAが盛り返した時にどうとか。戦いを臨んで、DeNAがまた敗れたりとか。要するに、2社が公の場に並んでいるというのは非常に画期的なぐらい、お互い……あれだよね。
森川:そうですよね。お互い長い間いろいろありましたからね。
南場:それでテレビの番組か何かで初めて会ったんですよね。あの時もそういう意味でどんなふうに接していただけるのかなと思ったのを覚えています。もともとの質問に戻ると、なんだっけ? 結果が出ない時にどうやって自分を駆り立てるか、ですか? どうなんですか、森川さんは。
森川:僕自身も結局、特に経営者の場合はやる気とか関係なくやらなきゃいけないというか(笑)。責任感がないと何もできないですから。やれるまでやるか、クビになるかどちらかですよね。南場さんがすごいのは、週末会社に来てるんですよね。それがすごいですよね。
南場:そうですか?
森川:落ち着いたところもあるのかなと思いつつ、さらに新しいチャレンジをしてらっしゃるというか。
南場:そうですね。いろんな次元でやってます。
森川:素晴らしいです。
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