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社長トーク(全5記事)

新しい技術を学べば新人でも戦える ゲーム開発会社トップが就活生に向けてアドバイス

ゲームデベロッパー10社と大学・専門学校が、渋谷ヒカリエにて合同就活イベント「HEAT渋谷」を開催。その中で、「ゲーム業界で今後必要とされる人材とは?」をテーマに、アールフォース・エンターテインメント・横山裕一氏、ヴァンガード・杉山智則氏、リズ・磯野貴志氏、ランド・ホー・塚本昌信氏の4人のゲーム会社社長によるトークイベントが行われました。DeNA(ディー・エヌ・エー)・馬場保仁氏を司会に語られた、ゲーム業界を目指す学生が、学生時代にやっておくべきこととは。

次に来る技術は何なのかに注目する

杉山智則氏(以下、杉山):えっと、私もちょっと皆さんの、未来を考えて行動するといいことあるよということを、是非ちゃんと伝えていきたいなと思うんですけど。例えば今、私すごいファミコンのプログラミング技術持ってますって言って、就職できるとはあまり思えないでしょ?

だけど今この技術を持って就職するよっていうことに言った時にその技術にフォーカスしている会社があったら、あーうちに是非来てくださいって言われますよね。だって。

磯野貴志氏(以下、磯野):2〜3年前のUnityがそうです。

杉山:そうです。実は2〜3年前のUnityがそうだったんです。今でも実はUnityは魅力です。人材全然足りません。だって今一線で働いているメンバーだって、Unityを今学んでいる人もいるわけで、そうなれば皆さんが学べば同じラインでしょ。

今、学んでやることによって、今一線のプロの人たちと新入社員がほぼ同じ技術レベルで戦えることになるよね。だから「次、何来るの?」っていうのはすごい考えたほうがいい。

現実に今あるのはインディー専門がある専門学校で、その専門学校はチームを作ってゲームはどんな感じってのは、ゲーム制作の練習兼自分の能力をアピールする取り組みをやってるんですけど、そこで3人がですね、企画者。プランナーが3人集まってゲーム作りました。

「君たち、絵とかプログラムどうしたの?」って聞くと「Unityです」。それで本当に他のプログラマーやグラフィックが入ったチームと同じ、それ以上のサンプルというかゲームをまとめ上げた。

プランナー3人集まって、ゲームができる時代になっているんですね。

そういう意味でUnityとかはすごいあるので、そういう何が次に来る技術なのかっていのはすごく気にして、それを身につけて、就職に取り組むと、まずいいよねっていうのが1個目。

コミュニケーション能力を活かしてゲーム開発に関わる

杉山:2個目はですね、さっき磯野さんも仰ってましたけど、プロとアマの垣根がなくなる。もう1個あるんですね。日本と海外の垣根もなくなります。

どういうことかといますと、横山さんが言われたオフショア。オフショアってどういうことかといいますと、うちもタイの会社と中国の会社と一緒にゲームをつくってます。

つまり絵だったり、ポリゴンのモデルだったり、っていうのを作っていただいて、こっちへ持ってきて、それを使ってゲームを作ってます。もちろんクライアントさんにはOKもらってからなんだけど。そういうふうなことをやってます。

人件費が違うでしょ。だからこれからはアマ=安いかもしれない。そんなことないかもしれないんだけど。そういうゲームクリエイターとしてのライバルは、日本だけじゃなくてワールドワイドになるんですよ。

で、どういう仕事が求められるかって言うと「これは素晴らしいものだ、だからこれを使おう」であるとか、もらったものがだいたいね、100%になってないんですね。

そうすると80%でもらったものを100%にしてもらうためのコミュニケーションとか。プログラマーはうちは出していないからあれなんですけど、特にグラフィックのほうとか自分で描く、描きたいとか思っているかもしれないんだけど、そうではなく、素晴らしい絵に押し上げるコミュニケーション能力なんていうのでも、ニーズはたぶん出てくると思います。

つまりアウトソーシングという部分がひろがっていくだろうなあとは思っています。

自分の能力を早く把握することが大切

杉山:それは日本国内から、ワールドワイドが近い状態になっているので、例えば絵を描く、ポリゴン作る、いろいろなところがあると思いますけども、そういう部分を日本でまとめる、海外と協力してやっていくっていうような技術とかノウハウとか、まとめる力。難しいですけどね。

そういう能力があっても実は仕事はでてくる。

作るよりもそういう仕事の方が、多くなるかもしれないなーとも実は思っていて、「安いでしょ?」という話もあったんですけど、そういうような部分がこれから出てくるかもしれないよ、っていうふうには思ってます。

ではそこに対して、「自分はどういうような能力技術を持っているとやっていけるのか?」「ゲーム業界で活躍できるのか?」ということも考えてみるといいかもしれませんね、っていうところですね。

馬場保仁氏(以下、馬場):アニメの世界とか映画の世界とか、なかなか日本の中だけで今、作られなくなっていて、結局海外オフショアされることが多くなっているんですね。そうなると君らの夢を摘むことになっちゃうから。

もっとおもしろい話を言うと、結局大事なのは、自分が何ができるのかということを、早く把握することなんですよ。そのためには一生懸命やんなきゃいけない。何かを。それをやり切ったところではじめて、自分ができることを把握できるはずだよ。

自分の意志でゲームをつくれ!

横山裕一氏(以下、横山):やってるやつは少ないですよ。本当に。こん中でゲーム業界に本当に進みたいと思っているやつで寝る前、飯食う時間も惜しいからゲーム作ってるっていう人はたぶんほとんどいない。でもそういうやつしか勝てない。残念だけど。

馬場:ちょっと厳しいこといいましたね。でも、結局そういうことなんです。

横山:でも、そういうふうにはいつでも成れるんですよ。

馬場:そう、その気にさえなればいいからね。

横山:そう、その気にさえなれば。器用なやつは他の人の2倍できるから。でもやらなきゃいけないの。ほんまに。

「僕はゲームの作り方がわからないんですけど、この会社入ったらゲームの作り方教えてくれますか?」

アホかと。そこで「ゲーム、僕作ったことあるんですよ」って言って持って行ってご覧なさいよ。絶対、「おっ!」って思ってくれるから。漫画の持ち込みと一緒ですよ。本当に「おっ!」って思ってくれるから。絶対に武器になる。

磯野:学校の作品とは別にですね。

横山:そう、学校の作品とは別にね。

磯野:自分一人で。自分で作った。

横山:そう。

磯野:プログラマーだろうと、プランナーだろうと、グラフィッカーだろうと1人で作りましたっていうのが一番いいですね。

馬場:できちゃう時代だってことですね。

杉山:できちゃう時代なんで、なんだけど。私は最初2人で作っているから。

(会場笑)

杉山:だから1人でもできるんだけど、いいパートナーがいなければ、いい仲間がいなければ、1人でもできるけど、3人でもいいよ。でも言われてやるんじゃなくて自分でやろうよ。それを持って行ったら絶対に違うよ。これはそう思う。

横山:そう、違う違う。間違いなく違う。このあいだ、社員旅行に行ったの。そしたらうちの新人グラフィッカーがずっとバスの中で絵を描いてたの。すごいでしょ。

すごいけど、俺は彼女採って良かったなって思ったもん。本当に。すごく絵が好きなの。そりゃ上手くなるわ。ゲームもそう。作れば作るだけ上手くなる。俺はシナリオライター、天才シナリオライターなんだけど。

(会場笑)

馬場:今、笑うとこじゃないっすね。

横山:今、笑うとこじゃない。ここで笑ったら、他で笑ったらしばくからね。でも書いて書いて書いて、最後までちゃんと話書いてから上手くなったわ。うん。もちろん生まれた時にペンを持って生まれてきたんだけど。

馬場:じゃ次いきます(笑)

(会場笑)

でも、ゲームづくりだけが人生か?

塚本昌信氏(以下、塚本):ちょっといいですか。盛り上がっているとこ申し訳ないですが、僕は全く逆だと思ってまして、皆さん学生さんだと思っているんですけど、学生は学生の間にしかできないことをやっておくべきだと思うんですね。

馬場:それも、だと思うんですけど。

塚本:最終的にその会社に入って、今皆さん仰られたようなことができるかできないかの力を見抜く力が、僕らに必要だと思うんです。入ってから本当にできる子は、できると思うんで。それができるかできないかは、話せばわかると思いますし、そのための面接だと思うので。

もちろん熱意を見せるとか、やらないよりはやった方がもちろんいいんですよ。いいに越したことはないんですけどもただやはり、今になって、今僕45歳なんですけど今になって思うのは、学生時代にもっといろんなことやっときゃよかったって思うんですよ。

山ほど時間あったんで、映画もいっぱい観ときたかったし、本も読んどきたかったし、この歳になって後悔するんですね。

やっぱり学生の間は、学生の間にしかできないことを目一杯楽しんできて欲しいんです。そうした方は面接しててもやっぱ僕会ってとても素敵だなーて思うんですね。

いろんな考え方があるっていうことで、こういう話をしましたが僕はそう思いますね。

馬場:ありがとうございます。

杉山:今のー。

馬場:いやそろそろもう終わりたいんですよ。

(会場笑)

杉山:最後です。今すごい大事なことがあって、一生懸命やることが大事なんですよ。つまり中途半端に映画を観るだけじゃダメなんですよ。

映画を突き詰めるということが大事なんです。だからゲームじゃなくていいです。でも何かを突き詰めることは大事です。それがゲームじゃなくてもいいけど、突き詰めていってと私は思います。

馬場:そうですね。あー、いいまとめでした。

横山:でも今、僕塚本さんの話、感銘を受けた。確かに。時間ないけど。そりゃすごいわ。確かにそうやね。ゲーム作るだけが人生じゃないもんね。

(会場笑)

最近は通年採用も増えてきている?

馬場:はい。社長達からひと言と思ったけど、今のでおしまい。せっかくだから質疑応答でここに来ていないと聞けないことがあるので。

参加者:あのーたぶんここに来てらっしゃる学生さんって、みんないわゆる新卒一括採用だと思っているんですよ。だけど最近は通年採用もゲーム業界で増えて来て、新卒も中途もいいと思えば、いつでも採りますよっていうところが増えていると思うんですね。

皆さんの会社はどうなのか、その辺ちょっとアピールされると、学生さんもより理解が深まるのではないかと思います。

馬場:なるほど。じゃあ一言ずつ。

横山:うちは通年採用です。しかも学生社員もいます。学校行きながら社員、ちょっと給料は低いかもしれないけれども、そういうのもあります。

馬場:はい。

杉山:弊社も通年採用です。ホームページから応募していただければいつでも採用の方に採用手続きの方にまわります。あと仮に1回落ちたとしても3か月経っていれば人は変わってますから、3か月後に再チャレンジしてくれてもウエルカムです。何度でもチャレンジしていただければいいかなと思います。

塚本:基本的には通年採用ですね。先ほど言った合同の新人研修とか前の年の途中に入った方とかも、本人の希望により次の期に参加したりしてもらってます。

磯野:うちも通年です。あと卒業年度でなくてもOKなんで。卒業年度に就職できなかったからゲーム業界をやめるんじゃなくて、他の仕事しながらやっぱりゲーム業界ってことで、1年目2年目3年目ぐらいまでなら全然OKです。新卒として扱うんで。採りますよ。

欧米テイストのイラストに需要はあるか

馬場:なるほど。ありがとうございます。他に質問ある方、せっかくなんで。あとね、たぶん時間無いから3人ぐらいしか受け付けられない。どうぞ。

質問者1:ちなみにDeNAはどうなんですか?

馬場:ゲームの採用っていうのは、話がだんだん長くなるから……。ゲームクリエイター採用ってやつを、今年から本格的に始めていて、そういう意味でゲーム職に関しては一括採用してますけど、通年採用もしてます。

なんならインターンという形で、一旦受け入れてそっからその子たちの適正を見るっていうのをしたうえで見極めようとしているので。なので今はすでにインターンも始まっていて、実際やっている子たちもいます。

なのでチャンスをみんなに与えていて、その中で育成しながら、育てられる人、面倒をちゃんと見ていける人、さっき新卒じゃなく育つのは中堅だっていう話もありましたが、それと同じようにどちらも育っていかないとって思っているので、その観点で一括でも採用しているけれども、通年でも採った上で一緒に切磋琢磨していっているところです。

質問者2:お話ありがとうございます。私は今回の説明会以外にも、いろんなソーシャルゲームの会社から、グローバルとかワールドワイドっていうキーワードをよく耳にするんですけども。

私は教育はほとんど英語圏の方で行っていて。必然的に絵の方も日本よりも欧米よりの絵になっていますけれども。日本の会社でデザイナーとして絵柄は美少女系とか萌え系でなくて、どちらかといえばアメリカとか欧米のものに寄っている絵の、そういったデザイナーの需要はあると思いますか?

横山:もちろんあるでしょう。あなたにぴったりの会社があるはずですよ。うちのグループだと、サイバーエージェントグループだと、Cygamesなんかは海外で『神撃のバハムート』なんかを出してますし、どっちかっていうと厚塗りのカードイラストやってますから、そういう会社がいっぱいあります。

塚本:うちの会社とかもですね、海外の取引、実は多かったりしますんで海外の方がお客さん多いし、むしろそういう方のほうが売れるかもしれないですし。是非面接なさってください。

質問者2:はい。ありがとうございました。

杉山:あの最後ですけど、最後っていうか、まー最後になるんですけど。あの是非うち受けてください。

(会場笑)

杉山:うちは本当にワールドワイドにヒットさせたいと思っているので、アメリカの感覚はすごい重要だと思っています。なので是非よろしくお願いします。

質問者2:こちらこそよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

ソシャゲは終わってしまうのか?

馬場:はい、他に? 何しに来た、今日! それぐらいの気合いでちゃんと誰か手を上げて……。あ、どうぞ。

質問者3:東京コミュニケーションアート専門学校のイケダです。今日はためになるお話しをいただいて、ありがとうございます。最近というよりも結構前から言われていることなんですけども、ソーシャルゲームがそろそろ終わってしまうということを耳にしまして、そこのところ、どう思っていらっしゃるのでしょうか?

塚本:DeNAさんの前でなかなかその話は(笑)。

馬場:別に全然(笑)。

杉山:ソーシャルゲームの定義っていうところがひじょうに難しいことじゃないかと思うんですけれど、広い定義、つまり何かというとですね。

人と人がゲームを通じてつながって楽しむということが、ソーシャルゲームだとするならば、全然逆に拡大していくと思っています。これからもっとたくさんの人がゲームを介してつながるなんて超おもしろいっすよ。

それはいろんなつながり方、いろんなやり方で競うかもしれないし、協力するかもしれないし、いろんな形でつながると思います。

逆に言うと昔のですね、Webでぽちぽちやってというのをソーシャルゲームだ、と定義するならばそれは終息するんじゃないですか、と私は思います。

磯野:同じゲームはいつか飽きるんで。同じシステムは全然続かない。違うシステムが生まれるって話です。

塚本:全く一緒です。さっき言ったように、今のゲームの形態がソーシャルゲームってわけじゃなくて、いろんな形を巻き込んでどんどんどんどん変化していくと思いますので、終わらないと僕は思っています。

横山:同じですよ。僕らが作ってるのは、今たまたまソーシャルゲームと言ってるだけで僕らは最初から最後までゲームしか作ってないんで。

磯野:かっこいい。その通りですね。

横山:かっこいい(笑)。あとで500円(笑)。だから、それだけです。で実は僕はネイティブよりもWebのほうが熱いんじゃないかなと思っています。

なぜかというとAppleとGoogleが30%もとるからです。ここが課金形態の問題になるんです。

課金形態というのは集客形態となるんですけど、だから僕はDeNAさんに諦めて欲しくなくてそこをもうちょっと上手くいいシステムを作ってですね、是非12%ぐらいでそれを皆さんにやっていただければいいかなと考えてます。

馬場:さて、そろそろ良い頃合いに来たということで。

(会場笑)

馬場:じゃあ、時間も来たのでこれでおしまいにしたいと思いますけれども。じゃあ最後に社長の皆さんへ盛大な拍手を。

(会場拍手)

馬場:はい。皆さん、ありがとうございました。今日皆さんから一番メッセージがあった、ある意味エネルギーだと。ちゃんと好きなことにこだわって突き詰めて欲しいことだったと思うので、それを徹底して忘れずに今日は帰ってください。

じゃあ終わりたいと思います。ありがとうございます。

一同:ありがとうございました。

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