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挑戦する君たちへ 〜夢を追い続ける3人からのメッセージ〜(全4記事)

勝負勘は麻雀で磨いた!? CA藤田氏、GMO熊谷氏、楽天三木谷氏が学生時代を振り返る

日本を代表するIT起業家3名―楽天・三木谷浩史氏、GMOインターネット・熊谷正寿氏、サイバーエージェント藤田晋氏が一堂に会し、意見を交わしたセッション。本パートでは3名の学生時代のエピソードや起業を決意したきっかけについて語ります。

学生時代は麻雀に明け暮れた

小林麻耶氏(以下、小林):それではさっそくですが、トークセッションに参りたいと思います。本日は事前にご質問を220件も頂戴致しました。全部の質問に答えるわけにはいきませんので、ご質問が多かった内容を盛り込んで進行させていただきます。

本日はですね、学生の皆さんがほとんどだと思いますので社長の皆様も学生生活について伺いたいと思います。では、藤田さんからお願いします。

藤田晋氏(以下、藤田):あらためまして藤田と申します。以前も青学で講演させてもらったことがあって、学生時代は向こう側(客席)に座っていたのにこっち側に立てるってことにものすごく喜びを感じています。

必ず学生時代どんな感じでしたか? って青学生に聞かれると、本当にろくでもない学生だったなと。本当に言いたくないんですけど。

1、2年生の頃は学校に行かず麻雀にハマってまして、留年して3年生になれなかったのです。当時は本厚木に1、2年の教養校舎があったので、「厚木返し」って言っていたんですけど、4年生からこちら(青山)に来ました。

ここに来てから、ちょうど向かいの広告代理店でアルバイトをし始めて、それはインターンシップみたいなものだったんですけど、そこで急に目が覚めましてですね。

たしか俺は高校の時、将来起業家になるんだ! と言ってたのを思い出して、そこから経営学部の授業も面白くなってきました。学校行ったり会社行ったりして、そのときはちょっと勉強しました。

小林:ありがとうございます。では、麻雀の経験というのは今でもすごく活きてらっしゃるのではないですか?

藤田:知ってますね(笑)。実は僕、麻雀著名人代表戦というので優勝していて、今日これが終わったら、「麻雀最強戦」という日本の麻雀界で一番大きな大会に、著名人代表として出場するのです。頑張ります。

(会場笑)

小林:青学生としてすごく応援しています。

むちゃくちゃだった10代

小林:さぁ、そして熊谷社長はどんな学生生活を送られましたか?

熊谷正寿氏(以下、熊谷):あらためましてGMOインターネットの熊谷です。よろしくお願いします。僕は本当にむちゃくちゃな10代の頃を過ごしていて。

東中野という場所の東中野小学校、中野第三中学校というところを出て、高校は絶対に女の子のいる共学校に行きたいという不純な動機で、しかも華やかな高校生活を夢見ていたので、青山周辺にある共学校に行きたいと。そういう風に考えて選択をしたら実はこの青山学院と、すぐそこの國學院高校、この2校しかなかったんです。

僕は中学3年生の時に、職員室に夏休み頃に行って、「先生、そのどちらかに行きたいんです」と言ったら、中学校時代全く勉強をしていなかったので、「お前の偏差値でその2校には入れない。諦めなさい」と言われて。

僕は人に無理だって言われたことをして驚かしたりするのが好きな子供だったんで、それから数ヶ月間寝ずに勉強して、まあ、寝ましたけど(笑)。

気分的にはそんな気分で勉強して。実は同日受験日なんですよね、青学と國學院と。最終的にはいくじなしなんですけど、倍率が低い國學院高校を選びました。

で、見事國學院にはですね、主席で合格しました。自慢ポイントこれしかないんですけど。

主席で総代をやらせていただいたんですけど、できなかった子がわずかな時間勉強したらできちゃったんで、自分の実力を過信して遊びほうけて、2年で國學院高校を中退しました。本当にダメな10代だったんです。

学生時代から一番が好きだった

熊谷:うちの父が神楽坂という場所で事業を営んでいたもんですから、そこに拾われて、父の手伝いをしながら10代を過ごして、気がついたら19、20歳になっているわけですけど、周りみんな大学生になって勉強しているわけですよ。

僕は正直、高校を中退したことをすごく後悔して、でも取り返しがつかなくてですね、勉強しなきゃ! このままじゃ自分はダメになっちゃう。と思って悩んでいたある日、新聞で放送大学が開講するというのを見たんです。

高校の卒業資格が無くても、一定期間特修生という形で単位を取ると正規学生として認めてくれるという一文を見て、「神様が僕のために大学を作ってくれた!」と。よし、僕は放送大学で勉強しようということで、1985年の放送大学開講時に、千葉の本局に行って。

優先順位順だったんですよね、受付が。当時から一番が好きだったんですよね。1号学生として受け付けてもらうために0時0分に千葉の本局に行って、そこで願書を出して。放送大学に入学して勉強したと。

高校中退、通信制大学の放送大学に、それも10年いて、そのまま退学になってしまって。もう、本当に、僕みたいな人でもこんな会社が作れますという。典型的な、ダメな10代でした。

小林:共学を選んだということですけど、その楽しみはあったのですか?

熊谷:僕は母親の実家が美容院だったんですね。だから、子供の頃、ジャンプを読むんじゃなくて、マーガレットやりぼんを読んで育ったので、華やかな漫画に出てくるような学生生活を思い描いていたんですね。少女漫画みたいな。全然違いました。しかも1年半で終わってしまったんです。

小林:ありがとうございます。

全ては繋がっている

小林:三木谷社長はどんな生活をされていたのでしょうか。

三木谷浩史氏(以下、三木谷):もう、いかに勉強しなかったかって話をしなくてはならないんですけど(笑)。私は一橋大学という大学を出ました。当時ですね西の京大、東の一橋っていかに勉強しなくていい大学かと言われてまして、それで一橋に入ってテニス部のキャプテンをやりました。

この前、久々にスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学の卒業式での有名なスピーチを見直してみたら、つまり「ドットは全て繋がっている」という話だったんですよ。彼も、マーク・ザッカーバーグも、ビル・ゲイツも大学中退なんですけど。彼が言ってたのは自分の人生は全て繋がっていると。

自分はテニス部のキャプテンをやっていたんですけど、その時にだいたい100人ぐらいの組織を束ねてました。当時規模が大きくて、100人くらいの部員がいて、テニスコートが6、7面あって、OBからの寄付集めから、練習メニューを考えるまで全部自分たちでやらなくちゃいけない。

それが最初の経営の経験だったと思うんですけど、それがその後になって生きてきたんではないかという気がします。

麻雀で勝負勘を鍛えた

小林:ありがとうございます。お三方のお話を伺っていて、それぞれ違う学生生活を過ごされているんだなと思ったんですが、今から振り返ってみて、学生の時にやっておけばよかったな。10代、20代の時にこれはやっておけばよかったな。やっておいたからよかったな。ということがあったら教えていただきたいんですが。藤田社長はありますか?

藤田:この後麻雀大会があるので、どうしても麻雀のことばっかりが頭に……。

(会場笑)

小林:ちょっと! 集中してください(笑)。

藤田:やっぱり、麻雀をやっておいて本当によかったと思います。

(会場笑)

藤田:三木谷さんの言葉で、経営は右脳と左脳のキャッチボールだという言葉が僕は好きで、とくに起業家はそうですけど、才能があり、頭が良くて、かつ真面目に一生懸命に努力したら成功するのかと。そうではなくて、プラス勝負勘みたいなものが必要なんです。

もちろん、勝負勘だけで勝負してはダメ。知識、能力も上げなきゃいけないし、死に物狂いで努力しなきゃいけないんだけど。受験勉強だったら、頭良くて努力すればなんとかなると思うが、社会に出て起業や経営をやるとなると、それプラス勝負勘のようなものをどこかで培わなければいけない。

それを学生時代にかなりのめり込んでやった麻雀でそこに気付かされたというか、そういう面はあります。

小林:麻雀もすごく大事で、更に感銘を受けた本とかありますか?

藤田:本で言うと、経営者の中では結構有名な本ですが『ビジョナリー・カンパニー』という本を大学4年生の時に読みまして、それまではうっすらと将来起業しようという思いはあったんだけど、もともと別に社長になりたい願望が強かったわけでもないし、この事業がやりたいという事業欲が強いわけでもないし、お金持ちになりたいってつもりも個人的にそんなに強いわけではなかったんです。

でもやっぱり素晴らしい会社を作りたいということは、その本を読んだ頃から意識しました。会社自体がみんなで作り上げる芸術作品のようなものであるということが『ビジョナリー・カンパニー』に書いてあったんですけど、学生ながらにそれを読んで、自分の進むべき道がスパンと見えてきたような気がしたので、そういう意味では、素晴らしい本との出会いというのが人生を大きく左右することもあるなと思いました。

小林:ありがとうございます。

「人生最後の許され期」に何をするか

小林:熊谷社長はいかがでしょうか?

熊谷:さっきの話では僕みたいなのでもこんな会社が作れるよ、という話だったんですけど、じゃあ普通にしてたらこんな会社ができるかっていうとやっぱりダメで。人よりも何か努力をしないとダメだと思うんですよ。

というのは、人間って行動の9割が習慣なんですね。そして学生さんのうちは実は何をやっても許されるんです。学生さんとか新入社員とかを僕は「人生最後の許され期」って言ってるんですけど、人生最後の許され期の間に、いい習慣を身につけたほうがいいと。

例えば人間って挨拶をします。でも、目を見てする人と、目を見ないでする人、大きく2つに分けられるんですね。これって習慣なんですよ。目を見ない人は人から信じてもらえないから、この人なんだかやましいのかなって見えちゃうケースがあって、そういう悪い習慣を身に付けていると、5年、10年経つとものすごく、目を見て挨拶する人と差ができるんですよね。

だから、「人生最後の許され期」にいい習慣を身につけること。これが、僕が絶対に必要なことだと。夢を叶えるために、うまくいくために必要なことだと思ってます。人生、行動の9割が習慣。これを是非、僕は学生の皆さんの申し上げたい。

本を読む習慣、挨拶を明るく目を見てする習慣、いろんな人生にとってプラスの習慣を今のうちに身につけてください。これ、皆さんに申し上げたいと思います。

小林:ちなみに熊谷社長が学生さんにおすすめする本ってありますか?

熊谷:僕、20歳の頃は、自分の人生、今振り返ると自分の責任なんだけど、でも当時僕は人のせいにしてたんです。親が悪い、何が悪いって。自分の心の中がすごく嫌な状態。

人間の心の嫌な状態って「み」が付くんですよね。ひがみとか、ねたみとか、そねみとか、やっかみとか。で、「み」言葉が心の中にいっぱいある、嫌な若者だったんですね。でもそういう自分が嫌で、そういう自分を矯正しようと思って、いろんな本を読みました。その中でですね、カーネギーの『道は開ける』という本と出会ったんです。

この本は、本当に自分の性格を改造するため、あるいは、自分の心を前向きにするために、本当に僕のバイブルになっていて、皆さんのおすすめしたいいい本です。カーネギーの『道は開ける』ですね。

小林:ありがとうございます。

必ずしも直感で見たことが正しいわけではない

小林:続いて、三木谷社長、お願い致します。

三木谷:私は大学時代は朝8時から夜の日暮れまで毎日テニスコートにいました。それはそれで何も後悔していないんですけど。

時代は変わりまして、当然これからグローバルな時代が来ます。ご存知の通り、楽天は社内の公用語英語化を始め、普通のミーティングから資料から全て英語です。

やはりこれからスーパーパワー、チャイナが来るということで、どうしても日本人は中国でできないということがあって。うちも中国で失敗したんですけど。本気でやるなら中国語を勉強するだろうなというのがひとつですね。

それから2つ目はこれからもう、クラウド化が進み、アプリケーションやサービスレイヤーだけでなくて、モノも全てインターネットで繋がっていくとなると、やっぱりどんどんプロダクト・ドリブンになってくると思うんです。

だから、世界で成功しているインターネットの企業は、Facebookにしろ、Googleにしろ、みんな基本的にエンジニアが作っている会社で、彼らは多分我々のようなビジネスサイドから入った人たちのビジョンとは違った見方をするんだと思うんですよね。だから、必ずプログラミングは徹底的に勉強すると思います。

3つ目は、右脳と左脳って話がありましたけど、最近、ファーストブレインとスローブレインと言われてるんですよね。つまり、必ずしも直感で見たことが正しくない。それをもう1回裏の長いサイクルの脳で考えられるかどうか? というのが重要であると。

経営もそうなんですよ。右脳と左脳のキャッチボールなんですけど、やってることを裏でもう1回必ず見直していくということがすごく重要で、そのためにはやっぱり結構普遍的なルールっていうのがあるんですよね。アメリカの大学に行くと、いわゆるリベラルアーツ。つまり教養を学びます。過去から現代の哲学みたいな話であったり。

それは今になっても普遍的なルールだと思うんですよ。だからもうちょっとこう、リベラルアーツをしっかりと勉強しておけばよかったなと。やはり自分の中で、過去から振り返ってみる。中国の孫子でも何でもいいんですけど、そういうものを少し勉強しておけばよかったかなと。そういう風に思います。

小林:ちなみにおすすめの本ってありますか?

三木谷:そうですね、本人が書いた本じゃないですけど、『スティーブ・ジョブズ』という本があります。あれを読むと、やはり「自ら行動せよ」というメッセージが込められてるのかなと。それから「失敗から学ぶ」。

今度、新経連(新経済連盟)で「失敗力カンファレンス」っていうのをやるんですけども。「ドット・イズ・コネクテッド」ってスティーブ・ジョブズは言っているんですけど、全ては繋がっている。1回自分がAppleで失敗した経験が今になって生きている。っていう風に言ってるんですけど、その本はいろんな意味で面白かったです。

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