人生もキャリアも「プロトタイピング」
私は研修でこのように言っています。企業研修でこれを言うと、だいたい「そうだ」って言っていただけるんですけど、致命的にならない失敗は良い失敗。でも、致命的になる失敗。これは本当の失敗と言っています。
致命的じゃない失敗というのは、学習になる失敗ですよね。致命的な失敗は、学習じゃなく立ち上がれないんですね。立ち上がるまでに労力が必要過ぎるというやつですね。例えば信頼を失うとか、風評被害を出してしまうとか、従業員さんが良くない状況になってしまうとか、法律的に違う処遇をしてしまって、その方に健康被害があったりすると、それはもう大きな問題です。
ここで、考えておくべきご紹介がこれです。「大勝負をして失敗をするのか、小さく勝負をして失敗するのか」。この感覚を持っておくといいですね。
とはいえ「じゃあ、会社を辞めます」という人がいたとしましょう。先のビジョンがないままに「会社を辞めます」と言うのは、行き先もわからずに「太平洋の航海に出ます」と言うようなものなんですよね。
ですから、荒波が来れば、また「会社、辞めます。あれ? 島がないぞ」ってなるわけです。島は消えるんですよね。
ですので「会社を辞めます」と言うのは別に悪いことじゃないかもしれませんが、やはり先のビジョンがないと、それは選択するべきじゃないでしょうね。いきなりの大勝負は、リスクがあります。
じゃあ、どうするかというと、スタンフォードの研究でおもしろい言葉がありまして、「人生、キャリアはプロトタイピングで」。つまりは、小さく実験しろって言っているんですね。

私自身も実際に体験しています。前職はリクルートさんという会社におったんですね。その時に新しい事業を任されたこともあります。あの会社って、すぐ新しい事業を作るじゃないですか。全部成功しているみたいに見えるでしょう? 確かに勝率は高いとは思うんですけど、私が担当した事業は成功と言えるかわからないです(笑)。
常に「小さな勝ち筋を早く見つけろ。絶対に大きくはいくな」と言われていました。「小さな勝ち筋を見つけて、それがわかれば、素早くスケールをさせるんだ」。広げるっていうことですね。「小さな勝ち筋も作れないのに、大きくいくな」。これをかなり厳しく言われていたんですね。
これもまた同じような言葉で「日常においても、そんなものをどんどんと実験しろよ」とよく言われるんですね。この実験のことを、彼らは「フィジビリ、フィジビリ」って、略語で言っていましたけど。私も「フィジビリでいいんじゃない?」と言っていました。フィージビリティということですね。「小さく実験してから考えればいいんじゃないの?」と。
グローバルではリーンスタートアップと言われます。アメリカのベンチャー企業がボコボコと生まれますよね。あれはリーンスタートアップでやっているという話なんですね。
話を戻すと、我々が「フィジビリ、フィジビリ」って言っていましたが、フィージビリティ、小さな勝ち筋を見つけてから勝負と。
私、キャリアも人生も日常の選択もそうだなと思っています。先ほど言いましたよね。いきなり転職って、私はしていないんですよ。いきなり起業もしていません。まず社内起業、社内異動。
社内起業については、ある方が社内で会社を作られて「そこの代表になれ」って言われただけなので、私が手を挙げて「この会社を作ります」じゃないんですけどね。「この会社があるけど、お前代表をやれ」っていう話なので、おかげさまで社内起業を経験させていただきました。「部長と経営者、ぜんぜん違うな」って思いましたよ。
本当にびっくりするほど違いますよ。部長ができてもベンチャー企業の経営はできないなと思いましたよ(笑)。
自分はできたとは言いませんけど、まったく違うところが多いんですよ。「こんなに違うのか。経験してよかったな」と思います。
あと、社内異動もやってよかったな。小さく実験していますでしょう? いきなり転職していません。あと、僕は副業をやってもいい会社だったんだけど、副業はしませんでした。でも、厳密に言うと、上司に言って本を書かせてもらったりとか。
無償で週末とかに練習がてら「企業研修をさせて」っていうふうに、知り合いを手繰って練習なんかしていましたが、「これ、いけるな」というような手応えがあるんですよね。なのでこういうこともいきなりスタートはしていません。準備というものをやっていました。
結婚もそうですね。これは私に限らずそうなんですけど、データがあれば私は知りたいなと思うんですが、結婚して、離婚なされる方も多いです。別に離婚が悪いとはぜんぜん言いませんよ。
でも、別れようと思って結婚する人はいませんので、あえて私が感じたことを言いますと、結婚前の同棲ってあるじゃないですか。プチ同棲でもいいですよ。あれでだいたい相手の癖ってわかったりするじゃないですか。「あれ? こいつ、ちょっと違うな」とかね、あれもなかなかフィジビリじゃないかなと思っています。
「小さな勝ち筋」を見つけてから勝負に出るのが大人の選択
ということも考えると「こんなはずじゃなかった」ということをよりなくしていき、「こうすればうまくいくんだな」ということを学んだ上で大きなチャレンジをしていくということは、1つのやり方かなと思っています。

では、まとめていきましょう。もし、失敗が怖いとか現状維持になりがちだなと思ったら、この3つを整理していただくといいかなと思います。
変化を起こしたほうが、最終的には幸福度が高いという研究がある。実際に、私もあなたの周りも、そのように思いません?
2つ目。10分後、10ヶ月後、そして10年後から見た時に「あの時やっておけばよかったかな?」と思わないかどうか。ここでまず判断するのもいいでしょうね。
そして3つ目。とはいえ、小さな勝ち筋を見つけてから勝負に出たほうが、余計なダメージはなくなりますよね。これも大人の選択、やり方かなと思います。参考になればうれしいです。