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THE GRID:豊間根青地氏インタビュー(全2記事)

「日本人は資料作りに困りすぎ」 豊間根青地氏が語る、AI時代も変わらない資料作成の本質 [2/2]

副業で世界が広がった

——独立を決断した決め手は?

豊間根:副業の収入が本業とトントンぐらいになったんですよね。サントリーの入社5年目(の給料)って、そんなにめちゃくちゃもらえるわけではないんですけど、副業で本を出したり講演とかをやったりしているうちに本業とトントンぐらいになってきたんです。

「辞めても死なないし、これからいろいろ活動していく中で(金額が)増えることはあっても減ることはないんじゃないかな」と考えて、踏ん切りがついたというのも1個あります。

もうちょっといい話で言うと、やはり世界が広がるんですよね。会社の中で仕事をしていると、もちろんいろいろな経験をさせてもらえて、成長している実感もあります。けれども、やはり同じような人たちと顔を合わせて、同じような仕事をしている世界観だったんです。

そんな中でパワポ芸人として活動をしていると、本当に行ったことがないところに行ったり、ぜんぜん見たことがない世界を見たり、会ったことがないような人に会うことがどんどん増えてくるんです。自分の知っている世界が広くなる、できなかったことができるようになる感覚がめちゃくちゃおもしろくて、「これをもっと膨らませたい」と思ったのが理由でしたね。

——研修事業を育てられた理由は?

豊間根:今は社員が20名ぐらいいるのですが、もともとは個人で始めています。というのは、言うたら講演活動から始めているということなんですよね。でも、私の講演活動って、さっき出した資料もそうですけど、けっこうちゃんと作り込むんですよ。

一般的な講演と言えば、スライドにちょろっと文字が書いてあるだけで、講演者がほとんどしゃべりでカバーしているから、別の人が同じ資料を使ってもぜんぜん同じことを話せない、ということがよくあるんです。

けれども、僕の場合は講演で使う資料をきちんと作り込んでいました。なので、僕が話す内容を別のメンバーが話しても、「トヨマネ」(の話を聞きたいん)じゃなくて、あくまでノウハウを知りたい人に対して、(私が話すのと)同じ価値を提供できたんですよね。

自分が資料を作る能力があったからこそ、それが「型化」しやすかった。つまり、標準化・展開しやすかったんです。他のメンバーを採用して、彼らを教育していく時にも、そこが強く効いたな、というのは明確にありましたね。

もともと「60分とか90分、話してください」みたいな講演をやっていました。そこにワークを追加したり、診断を追加したり、フォローアップのサービスを追加したりして研修として仕立てるのは、お客さまを見つけさえすれば難しくありませんでした。もともと(資料として)作り込んでいたので、少し作り替えて研修として仕立てるだけという感じでした。

みんな資料作成に困っている

——起業当初の手応えは?

豊間根:前提として、みんな資料(作成)に困っているんですよね。今の時代、スライドはAIでいろいろ作れるようになりました。

でも、今でもその根っこの部分である「どこにピン留めして、どういう順番でストーリーを組み立てて、どう人を巻き込んでいくか」という部分には、やはり多くの人が困っています。そもそも当時は(今のような)AIはなかったので、パワポの操作レベルでもみなさんめっちゃ困っていたんですよね。

手応えという意味で言うと、研修って現場のためじゃないことがすごく多いんですよ。「研修」という言葉でイメージするのって、新入社員が一律で、大教室みたいなところで、みんなで膝を突き合わせて、眠いのを我慢してがんばって受けるようなイメージがあります。

もしくは「また人事が研修をやっているよ」とか、パソコンで内職をしている人がいるようなイメージになりがちなんですよね。それってやはり現場のニーズに合致していないんですよ。

これって、言ってしまえば当然なんです。人事や経営側の人って基本的に3年後、5年後の組織の人材ポートフォリオを見て、そこに対して打ち手として研修を実行していくんです。なので、現場の人のニーズに合わせるとどうしてもずれちゃうのは、当然と言えば当然なんですよね。

でも、現場に明確な「負」がある時に、資料を使って現場の「負」を解消し、彼らのエンゲージメントも作りながら、経営が考えている持っていきたい方向に持っていく研修が、うちはけっこううまいのかなと思っています。

だからこそ現場の声がめちゃくちゃポジティブになりやすいんですよね。「こんなに集まったのは初めてです」とか「こんなに満足度が高い研修は初めてです」という声を我々はよくいただくんですけど、そこがやはり手応えにつながっている気はしますね。

社名変更に込めた思い

——顧客のニーズをどうつかんでいますか?

豊間根:一番はやはりお客さまですよね。社員はお客さまの対面で実際にサービス提供をしていくわけです。そこでお客さまがポロっと言ったこととか、「次、ここでやってみたいんだよね」とか、実際に研修を受けたお客さまからのアンケートから(ニーズを)把握することがあります。

やはり次の一手を考えるため、「世の中で今ニーズが高まっているのはどういうものなのか?」にアンテナを張るのは、常々やっています。

うちは自社でメディアを持っていて、今登録者10万人ぐらいのYouTubeチャンネルをやっているので、動画を出して反応を見たりします。また、そこを中心にイベントを開催して、イベントでお客さまの集まり具合を見たり、集まったお客さまと対話する中で、「何が今、ニーズがあるのか?」に対して常にアンテナを張っていますね。

——社名変更に込めた狙いは?

豊間根:「シリョサク」という(会社は)もともと、その名のとおり資料作成を軸にしていたんですよね。

我々は「資料作成はスキルの総合格闘技だ」という言葉をずっと掲げていたんです。資料作成って難しいじゃないですか。それって単純にパワポのショートカットキーをいっぱい覚えているとか、色やフォントを見やすくするだけじゃないんです。

「ゴールを決めて、論点を設定して、情報を集めて、構造化して、示唆を出して、それを資料という目に見えるアウトプットにした上で、人に説明して、巻き込んで、価値として具現化していく。これら全部が資料作成だ」という考え方をしており、「資料作成」を会社名にしたわけですよね。

けれども、(その思いがなかなか多くの人に)伝わらなかったんですよね。ほとんどの人にとって資料作成は、言うたら雑務なんですよね。「面倒くさいし、もうそんなものはAIでやればいいし、伝わればいいし、こだわりたい人は色やフォントとかをきれいにしたがるけど、そんなの無駄でしょ」みたいに思われがちなんです。

我々の本質はそこじゃないんですけど、そこをわかっていただける方には、資料作成という軸はすごく共感していただきやすくて、めちゃくちゃいい名前だったんです。けれども、やはりこれからは「スライドはAIで作れるよね」というアテンションがどうしても世の中に広がっていく中で、「資料作成」を社名にするのはマイナスの方が大きいかなと。こういう考えが背景にあって、もともとの(社名を)変えました。

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