囲碁の世界にも通ずる「難易度調整」のメリット
高橋:たぶん囲碁もハンデというんですかね。ありますよね、難易度を調整する……。
大沢:ハンデを使えば対等に戦うことができる。あと囲碁もちょっとヒントを与えるだけで、ご自身で気づかれて、どんどん流れを作っていかれる方も多いので、すごく喜ばれます。
高橋:囲碁とかも最初からすごく強い人を相手に素人の人がやっていたら、たぶん楽しさがぜんぜんわからない。ルールもよくわからないけど、「やっているうちに覚えろよ」と言われても、たぶん囲碁の楽しさはわからないじゃないですか。
大沢:そうですね、はい。
高橋:だから、大沢先生の本をもうちょっと早めに読んでいたら、たぶん囲碁の例えができたんですけど(笑)。
(会場笑)
高橋:将棋で藤井聡太さんのエピソードとかを出して、やはり将棋がすごく強い、もう随一のそういう人でも最初はルールがわからないおじいちゃん、おばあちゃん相手にやっていましたと。
もう明確にインタビューの中に、「がんばれば勝てるかもしれない人とやるのが一番いい」と書いてあったんですよね。がんばれば勝てるかもしれない人とやるのが一番いい。やはり囲碁ってそういう……。
大沢:そうですね。
高橋:やはりちょうどいい相手が大事ですよね。
大沢:そうですね。勝ったり負けたりする関係とか、「あともうちょっとで勝てたのに」という経験があると、上に自然に引っ張られるというか。囲碁の場合は振り返りとかをすると、自分がなぜ負けたのかという原因がわかるので、次は改善していこうとか、そういうふうに上達していきます。
「トライアンドハッピー」な考え方
高橋:やはり自分もそうなんですけど、だいぶハードワークで育ってきた人というのは、めちゃくちゃつらい環境で苦労して、うまくいかないのにもう悶絶しながら自分なりに手応えをつかんだという経験があるので、やはりそれはいいなと思いがちなんですけれども。
よくある「今時の若い人は……」みたいな話とか以前に、そもそも実はそういう教え方で生き残れる人は割合としては少ないけど、そういう人たちのほうが目立つじゃないですか。
だけど、そうなれずにやはり「つらいな」と思って挫折してしまう人のほうが世の中は多いので。本の中で書いてあるのは、「難易度を調整する」という、あんまりそういう角度から書いているマネジメントの本はないんですけれども。次の本に、「トライアンドエラー」という言葉はよくありますけど、「トライアンドハッピー」というのは、やはり試すといいことが起こるよと。

そのためにはさっき大沢先生が(おっしゃっていたように)囲碁もいきなりハイレベルな人に対等にやってもぜんぜん勝てないんですけど、やはり上司の役割はちょっと難易度をいいあんばいに調整してあげる、そこを設計するというところで。
特に営業の世界だと、マネージャーの人は「自分は売れる。プレイヤーとしてできますよ」という人がやはり多いので、つい同行して教えてあげるとか、そういうアプローチから入りがちなんですけど、ちょっと冷静にちゃんと難易度を調整してあげましょうと。
基本の”定石”を覚えると上達スピードは速くなる
高橋:型を作るのは囲碁の定石みたいな感じです。大沢先生の本にも(理論が)いくつも紹介されていますけれども、やはりある程度「これを知っておくといい」というのはありますよね。
大沢:ありますね。ぜひ覚えておいてほしいもの。
高橋:そうですよね。最低限覚えておきたいポイントをちゃんと作ってあげる。やはり囲碁もそういうのを覚えないでやるよりは、基本を覚えたほうがね。
大沢:はい。覚えたほうが上達スピードは速くなります。
高橋:楽しめますよね。
大沢:楽しめます。知っている形が出てくるとうれしくなりますよね。
高橋:そうすると最低限の土台ができる。これがわりと中心にあります。