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『仕事と人生に効く教養としての囲碁入門』『「任せて育つチーム」はどこが違うのか』刊行記念対談~なぜできる営業パーソンは囲碁を打つのか~(全4記事)

なぜビジネスリーダーは囲碁を打つのか? 3万人を指導してわかった、3つの共通点 [1/2]

【3行要約】
・『仕事と人生に効く 教養としての囲碁入門』の著者で囲碁講師の大沢摩耶氏は、企業の社長やビジネスリーダーが囲碁をビジネスに活かしていると語ります。
・GoogleやAmazonにも企業クラブがあり、囲碁を通してコミュニケーションが円滑になって社内の雰囲気が良くなるといいます。
・1つのものを立体的・多面的に見る視点や、「相手はきっとこう思っているだろう」という自分の勝手な思い込みなど、碁盤を通して自然と学べることを解説します。

なぜできる営業パーソンは囲碁を打つのか

大隅元氏(以下、大隅):今日はみなさん、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。私はPHP研究所のビジネス書の編集長、大隅元と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

(会場拍手)

大隅:今日は、「なぜできる営業パーソンは囲碁を打つのか」というテーマで『仕事と人生に効く 教養としての囲碁入門』を書かれた大沢摩耶さんと、『「任せて育つチーム」はどこが違うのか 科学的に正しい「勝てる営業」のつくり方』を書かれた高橋浩一先生をお招きしての刊行記念対談を行いたいと思います。

もうここでお待ちになられていますので、さっそくお呼びしたいと思います。大沢さん、高橋さん、どうぞよろしくお願いします。

(会場拍手)

大隅:大沢さん、高橋さんにしましょうか。どうぞお座りください。こんなに広いのにここに密集しているのもおかしな話ですけども(笑)、この形式でやらせていただければと思います。今日は本当に誠品生活日本橋さんに初めて来ました?

大沢摩耶氏(以下、大沢):はい。

大隅:お二人とも初めてということで、すばらしい会場を使わせてもらっての講演なんですけども、誠品生活さんは台湾の書店さんなんですよね。なかなか珍しい本もあったり、台湾の壁があったり、お店もあったり。大沢さんは、台湾と囲碁の関係性みたいな(ところで)、最初にちょっと雑談を……。

大沢:台湾ではすごく囲碁が人気でして。

大隅:あ、そうなんですか。

大沢:日本でいうスイミングとかそれぐらい囲碁をやっているお子さんが特に多くて、なんで多いかというと、囲碁が子どもの教育にいいというのがすごく知られているので。だから台湾のお友だちはすごく多いです。

大隅:囲碁の台湾棋士もいらっしゃいますからね。

大沢:そうですね。経営者の囲碁会(経営者のための囲碁倶楽部)もやっていまして、その時に私の本にも書かせていただいた謝依旻さんという女流棋士のレジェンドの方に、明日ここでイベントがあるというお話をしたら、「すごく大好きな場所だ」と言っていました。「台湾発祥のところだ」といろいろ教えてもらったので、すごく楽しみにしていました。

囲碁×営業、“異色の対談”の経緯

大隅:高橋さんはどうですか? この誠品生活さんはご存じでしたか?

高橋浩一氏(以下、高橋):名前はうかがっていて、有隣堂さんのおもしろいお店があるよと知ってはいたんですが、今日初めて来ました。すごく雰囲気がいいですね。隣に日銀が……(笑)。

(会場笑)

大隅:まさかこんな真横に日銀があるとは、みたいな場所ですね。

ちょっとだけ、なんでこの対談をここでやるのかといういきさつを話させていただきます。

『仕事と人生に効く 教養としての囲碁入門』はPHPで私が担当させてもらった本で、1月に発売しました。高橋さんの『「任せて育つチーム」はどこが違うのか』、こちらもPHPから出させていただきまして、こちらはメインの編集者ではないんですが、私ももちろん伴走させてもらったということもありまして、すごく思い出のある本なんですけども。
どちらもこの本に関するセミナーとか講演会をそれぞれお話をされていた中で、大沢さんには、囲碁を、囲碁経験者以外のあまり囲碁に興味のない方にも知ってもらいたい、この本を読んでほしい、と。高橋さんには、この本の存在を営業職でない方に知ってもらいたいというニーズがありました。

また高橋さんからは、後からちょっと説明はあるかもしれませんけども、「大沢さんと一度話してみたい」というオファーをいただいたものですから。まずニーズがすごく合ったというところで、誠品生活さんでイベントができるという情報も仕入れて、そのタイミングがピッタリ合って、今日実現したということです。

「なぜできる営業パーソンは囲碁を打つのか」という、取ってつけたような内容ですけども(笑)。

(会場笑)

大隅:だから今日、これの正解が果たしてあるのかどうかは僕もわからないし、ちょっと着地点がわからないんですけども、何か不確定な予測不能な対談を、みなさんも一緒に楽しんでいただきながら時間を過ごせればなと思います。

3歳から95歳まで、3万人に囲碁を指導

大隅:それでは、それぞれ自己紹介と今回の本のご紹介をしていただきたいなと思います。最初は大沢先生からよろしいですか?

大沢:はい。みなさん、こんばんは。お忙しいところ、お越しくださり本当にありがとうございます。私は囲碁の講師をしております大沢摩耶です。3歳から囲碁を始めて、囲碁歴が43年で、もう年がすぐにバレてしまうという(笑)。

(会場笑)

大沢:講師歴は27年で、今まで教えてきた方は3万人です。教えながら大会にも出場していて、全日本女流アマチュア囲碁選手権大会で優勝、あとは世界戦のワールドマインドスポーツゲームズで金メダルを獲得しました。



大隅:この写真、めちゃくちゃ若いですね。

大沢:そうですね、だってもうこれ2012年ですもん。

大隅:これはフランス大会の時の?

大沢:そうです。フランスで初めて世界戦に出た時の思い出の写真です。この時、「国内だけじゃなくて、世界中で囲碁をこんなに楽しんでいる方がいるんだな」と初めて知って、自分の囲碁人生を変えてくれた大会でした。ここでいっぱいお友だちもできて、そこから世界戦にもたくさん出るようになりました。

大隅:この隣の子も相当若そうですね。

大沢:そうです。この子は台湾の。

大隅:あ、この子は台湾なんだ、へぇ。

大沢:この時は15歳でしたね。今は大学生になって……2025年とかにもお会いしたんですけど、いつも台湾のプレゼントをくれたり。そう考えるとけっこう長い付き合いです。

大隅:大会を通じて仲が良くなることもあるんですね。

大沢:そうです。囲碁は言葉が通じなくても碁盤を通じてコミュニケーションが取れるので、共通のものがあるとすごく仲良くなります。

大隅:ヨーロッパもけっこう囲碁が盛んなんですか?

大沢:ヨーロッパはすごく盛んですね。私の義理の兄がフランス人なんですけど、フランスでも囲碁は盛んです。考えるのが好きな方がけっこう多いので、どんどん(囲碁人口が)増えています。

今は囲碁番組に出演させていただいたり、あとは囲碁サロンを経営していたり。あとは、そうですね、教えている年齢が3歳から95歳(まで)。

大隅:おぉ。

大沢:この本を書いた時は、確か92歳と書いた気がしたんですけど。

大隅:更新したんですね。

大沢:95歳の方を教えていることを思い出しまして(笑)。

(会場笑)

大沢:あまり「年、いくつですか?」とか聞かないじゃないですか。「そういえば95歳の方がいた」と思って。今日も93歳の方に囲碁を教えてきました。本当に小さなお子さんからいくつになってもみんなで楽しい時間を過ごせるので、すごく楽しい日々を送っています。

ビジネスリーダーが囲碁をして気づくこと

大沢:今回、私は出版は初めてで、10年ぐらい前から、「囲碁の考え方が書いてある本があまりないから出してほしい」と、ちらほら言っていただいていたんですね。だけど、自分の中でどういうことを書いていいのかがあんまりよくわからなくて。

ビジネスリーダーの方々に囲碁を教える機会が多くて。経営者の方とか、企業のトップの方、あと政治家の方とかお医者さま、大学の先生とか会社員の方とか、いろんな方に囲碁を教えていく中で、みなさんがおっしゃる言葉にすごく共通点があるなと見つけました。



それが「囲碁とビジネスは一緒だ」。あと、「世の中にこんなに奥深いものがあるなんて知らなかった」。あとは、「先生の言葉は囲碁だけではなく、人生についても教わっているようだ」という。やはりそれなりの経験を持っていらっしゃる方が囲碁をやった時に、すごく表情が変わるというか。自分の中でいろんな発見をされて、すごい……何だろう、うれしそうにそういうことをおっしゃるので。

「あぁ、囲碁というのはすばらしいものなんだな」と、(私も)教えながらみなさんに教えてもらう感じでした。



今回の本にはそういうエピソードもたくさん書かせていただいていて、前書きに「ビジネスリーダーはなぜ囲碁を打つのか」ということで、株式会社ジェピコのエピソードを書かせていただいているんですけど。今日、ジェピコさんが(この講演を)聞きに来てくださっていて、ありがとうございます!

(会場拍手)

大沢:ジェピコさんは企業で囲碁を(やられていて)、会社内だけではなくご家族や取引先の方、みなさん合わせて70名以上の規模で箱根の囲碁合宿に年に2回も行くという……前書きに書かせていただいているんですけど。ちょうどあさって、また箱根の囲碁合宿でお世話になるんですが、今回は80名以上になるということで。

大隅:もちろん(今回の本は)全員読まれていらっしゃるんですよね?

大友将徳氏:当然ですよ、1人3冊。

(会場笑)

大隈:3冊! 普及活動がすごい……。

有名経営者たちも愛した囲碁

大沢:本当に企業の社長さんは囲碁がお好きで、それをビジネスに活かしていたり。あとスティーブ・ジョブズさんですね………これ、話すと長くなっちゃうけど。

大隅:かいつまんで(笑)。



大沢:そうですね。スティーブ・ジョブズは囲碁がとっても好きです。本には、東洋思想にすごく興味があって、仏教とか儒教とかを学ばれている中で囲碁に出会って、囲碁の思想からビジネスに活かしたというエピソードを書かせていただいています。稲盛和夫さんがビジネスパーソンに人気なので、稲盛さんのお話をすると、みなさん囲碁に興味を持ってくださったり。本当にいろんな方の……。

大隅:松下幸之助を忘れていますよ。

大沢:あ、松下幸之助さんもそうなんです。

大隅:我々の……。

大沢:はい、そうなんです。PHP研究所を作られた松下幸之助さんも囲碁がお好きだったんですよね?

大隅:けっこう好きだという話は界隈からいろいろ聞いていたんですよ。松下幸之助のIPを持っているPHPとしては、本当にそうなのかがわからないことには帯に書けないんですよね。

で、うちで松下幸之助研究をしている場所(松下資料館)が京都にあるんですけど、本当に(囲碁に興味が)あるのかをもう片っ端から文献を(読んで)探したんです。校了直前まで見つからなくて、「囲碁が好き」とどこにも書いていないと。

本当に校了前日ぐらいに、研究の方に「ありました」と言われて、一節だけあったんですよね。松下幸之助が、「囲碁とは人生を考える上で必要な作業だ」みたいな。それがあったおかげで、この帯にもね……。

大沢:これを載せさせていただくのはかなり珍しいことなんですよね。

大隅:そうそう。帯には入れられない。勝手に入れている出版社もありますけど(笑)、それはダメなんですよね。

大沢:(笑)。本当に有名な方々が囲碁からいろいろ学んでいるということですね。

囲碁クラブはGoogle、Amazonにも

大隅:Google、Amazonの企業クラブもありますね。

大沢:そうなんです。Google社とAmazon社、私も伺って交流会を行っていています。交流会を始めるようになってから、ふだん会わないような部署が違う方同士で交流をして、「囲碁を広めるためにはどうしたらいいか」というので私もお手伝いさせていただいたり。

囲碁をやることでコミュニケーションがすごく円滑になったりとか、ふだんできないような仕事の話も、囲碁をやりながらなんとなく自然に話ができる雰囲気になったりとか。社内の雰囲気を良くするために、囲碁はすごく有効だなと思います。

大隅:大沢さんは実際にAmazonに行かれたんですか?

大沢:実際に行きます。

大隅:囲碁サロンみたいなのがあるんですか?

大沢:なんか特注で四角いテーブルにもう碁盤を……。

大隅:埋め込まれている感じですか?

大沢:もう描いている。

大隅:描いている?

大沢:だけど、碁盤って実は長方形なんですね。正方形だと思われるんですけど、ちょっとだけ長方形なんです。作った方が囲碁をそこまで知らない方なので、正方形だからちょっと違和感があるねというので、いっぱい並んでいるんですけどそれは使わずに、普通に飲み物を置くテーブルとして使って。長方形のゴム盤を敷いて、みんな囲碁を楽しんでいます。

営業ができる人は3手先を読む

大沢:交流会になると30人ぐらい集まって、平日の夕方、みなさんお仕事を終えられてから囲碁を楽しんでおります。

大隅:外国人の方も多いんですよね。

大沢:外国人の方ばっかりですね。だから英語が飛び交っていて、国際的な雰囲気があります。

大隅:高橋さんもいろんな会社さんを見られていますけど、囲碁サロンや囲碁クラブみたいなものがある会社は見たことありますか?

高橋:いやぁ。囲碁クラブがあるかはわからないですけど、ご支援していると、そう考えるのがすごく好きな方はやはり(いらっしゃいます)。本にも書いてありますけど、「営業ができる方は3手先を読む」みたいな、そこは通ずるところがあると思いますね。

大隅:なるほど、後ほどそこを詳しく聞きたいと思います。

大沢:で、囲碁をされない方がもしかしたらいるかなと思って、碁盤というのはこういうものですと……。碁盤は正式には19×19の361マス目があります。



平面なんですけど、碁盤の見方としては山のような形、ピラミッド状に立体的にとらえます。立体的だと上から見る景色と下から見る景色、横から見る景色はぜんぜん変わってくると思うので、多面的に見ていくのがすごく大事になります。

天元と書いてあるのは……「天の元」ですね。ここは宇宙の始まりとも言える、終わりとも言えるみたいな。まぁ、囲碁は宇宙と呼ばれていますので、碁盤は宇宙のように無限に広がる世界で、立体的に見ていくのが大事だから、鳥の目とか虫の目を養うのにすごくいいとされています。

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