囲碁を通して学ぶ「美学」
大沢:囲碁は戦いなので、争いが絶えないと思われる方も多いんですけど、囲碁には1目勝てばいいという美学がありまして、最後に1目勝てば、もうそれが立派な勝利ということです。
やはり自分だけが欲張るとあまりいいことはないじゃないですか。なのでWin-Winな状態で打ち進められると……1局の流れとしては自分も満足、相手も満足な状態で打ち進めるのが理想と言われています。ただ、なかなか理想どおりにはいかないので、ついつい無駄な争いをしてしまうとか。そういうことが学べます。

あとは、囲碁がAIの発展の礎になっているというお話が最近……。今AIがすごいじゃないですか。だけどもともとは囲碁の研究から始まって……私、こういうのを話すとすごく長くなるので(笑)。
大隅:本にだいぶ詳しく書いてあるので、巻きましょうかね。
大沢:そうですね、全部本に書いてありますね。あとは1局で喜怒哀楽すべてが解放されるので、仕事で忙しい方が忙しいからこそ囲碁を打ってスッキリさせる、瞑想効果があると、みなさんすごくおっしゃいますね。
あとは、「勝手読み」ですね。囲碁で勝手読みは日常的にあります。「相手はきっとこう思っているだろう」と自分で勝手に決めてしまうことです。だいたいそれは正しくないことが多いです。
相手がこう来ると思ったらもうぜんぜん違うところに打たれるという経験を繰り返すことで、「自分はなんでいつも自分勝手な思考でいるんだろう」というのを自然に囲碁で学べて、しかもそれを楽しみながらできるのがすごくいいかなと思います。
立場や年齢関係なく仲良くなれる「囲碁友」
大沢;あと、認知症予防にも効果があります。長年囲碁を教えてきましたが、ご高齢で元気な方がとっても多くて、囲碁会では80代、90代の方がいつもめちゃくちゃ元気に囲碁を打っていらっしゃいます。
そういう方を見ていて、私もふだんから健康の秘訣などのお話をうかがったり、将来こういうけがをしたりとかこういう病気になったりとか(の話を聞いています)。体はいろいろあるんですけど、精神的なものは、囲碁で夢中になってやっていると、みなさんすごく前向きに活き活きとされている方が多いなと思います。
あとはこの本にも書いてありますが、囲碁友ができる。やはりふだん出会えないような方と囲碁を通じて出会えて、好きなことでつながっているので、立場とか年齢とか国籍とかも関係なく、お互いに童心に返りながら囲碁を楽しんで仲良くなって、それで長いお付き合いが続いていく。
だから、お仕事で退職されると、お仕事関係の方はけっこう「もう会わなくなった」というのが多いんですけど。囲碁仲間はもう本当に親しくなれば死ぬまで楽しく囲碁を楽しめるので、私も本当に100歳まで囲碁を楽しみたいなと思っているぐらい楽しいです。
大隅:3歳から囲碁を学んで、100歳までやり続ける(笑)。
(会場笑)
大沢:そうなんです。元気でやらなきゃいけないので、元気でいるにはどうしたらいいかを周りの方に教えてもらっています。
デメリットは、夢中になりすぎること
大隅:こうやって聞くと、いいこと尽くめですよね。
大沢:そうですね。
大隅:逆に、デメリットがないんじゃないですか?
大沢:デメリットは、夢中になり過ぎるとちょっと他のことがおろそかになっちゃったり……。
(会場笑)
大隅:なるほど(笑)。
大沢:例えばご家族のそばにいなきゃいけないのに、囲碁が楽しいからついつい夢中になって……。
(会場笑)
大隅:ごはんを食べるのも忘れてしまうぐらい?
大沢:そうです。気がつくとあっという間に2時間とか経ってしまうぐらい、本当に夢中になっちゃうので。
大隅:確かに。時間を忘れますよね。
大沢:時間を忘れます。それだけ没頭できるものです。
大隅:ありがとうございます。
『仕事と人生に効く 教養としての囲碁入門』
『「任せて育つチーム」はどこが違うのか』