【3行要約】
・周囲と比べて焦って転職する人と、今の職場で着実に実績を積む人。若手のキャリアの明暗を分ける違いはどこにあるのでしょうか。
・佐藤人材・サーチ代表取締役社長の佐藤文男氏は、3年から5年のキャリアを積んで転職する世代こそ「真の第二新卒」だと語ります。
・安易な外部への転職に走る前に、社内公募による異動や憧れの企業への「リベンジ転職」を成功させるための判断基準を考えます。
転職のベストなタイミングとは?
入江美寿々氏(以下、入江):みなさん、こんにちは。
佐藤文男氏(以下、佐藤):こんにちは。
入江:クロスメディアの入江です。今回の業界ビジネスチャンネルは「転職」をテーマにお送りしていきます。キャリアと業界をテーマにこれからお送りしていくので、その中でもみなさんの関心があるんじゃないかなという、転職という切り口で今日はお届けしていきます。
このチャンネルは今10万人登録を目指しておりまして、がんばっているのでご協力お願いいたします(笑)。
佐藤:そうですか(笑)。はい、よろしくお願いします。
入江:今回のゲストが、佐藤人材・サーチ会社代表取締役社長であり、山梨学院大学で客員教授も務めていらっしゃる佐藤文男さんです。よろしくお願いいたします。
佐藤:よろしくお願いします。
入江:佐藤さんの今までの経歴を少しだけお話しいただけますか?
佐藤:私は大学を卒業したあとに、新卒でまず旧日商岩井(現・双日)に入って、総合商社で人事を3年、営業を3年経験したあとに、1990年に思いきって外資系のソロモン・ブラザーズという証券会社に移りました。今で言うシティグループ証券会社です。
そちらに転職して人事を約1年半やったあと、今度は異業種のメーカーで営業マーケティングを6年ぐらいやりまして、37歳の時にこの人材紹介の世界に入りました。
1997年ですから、まだ転職が一般的でもなくて、自分の定職経験を踏まえて逆に「今後転職が一般的になるだろう」という思いのもとに、この業界で今年で30年目を迎えます。
入江:節目なんですね。
佐藤:ええ。社長兼プレイヤーで今後もがんばっていきたいと思います。やはりこの業界、転職業界って最前線にいないと現状がわからないので、プレイヤーも続けたいなと思っています。
2003年に自分の会社の佐藤人材・サーチを立ち上げて、今年で24期目を迎えます。10期目を迎えた時に、いわゆる武者修行とは言えないですけど……私は海外駐在をした経験がなかったので、思い切って2013年から1年半シンガポールで人材紹介の仕事に携わってきました。
そういった面で転職を支援する仕事もしつつ、いろんな候補者の方とも会ってきたので、そういう自分の実体験を踏まえて転職に関するコメントをさせていただきたいと思っております。
20代の安易な転職に警鐘を鳴らす
入江:今回のテーマなんですけれども、これ悩む人が多いと思うんですよね。「今が転職するべきタイミングなのかどうか」について分析するというテーマでいこうと思います。
佐藤:テレビの宣伝で「転職のタイミングをお手伝いします」みたいなコマーシャルがありますけれど、私自身の持論として今、特に20代の若い方について「安易に転職してしまう人が多いな」と思っています。
とりあえず新卒で入社した会社にはいろんな思いもあって、入ってから期待と違うことも多々あるとは思うんですけど。新卒で入った会社でいろいろと実績を積むため、いろんな経験を積むために、3年から5年は必要だと思っているんです。
自分で選んだ組織ですから、仕事は自分が思うようでない仕事であったとしても、できたら3年から5年続けて、実績を出してから次の転職を考えると。今けっこう1年以内、あるいは1年前後で転職を考える人が増えてきていると聞いていますから、それはぜひ私としてはお止めしたいなと思っています。

もう1つ理由があって、大企業であれ中小企業であれ、みなさんを評価する上司になる方って40代、50代の人がいらっしゃると思うんですね。そういった世代の人はどちらかというと転職が一般的でない状況で育ってきた方ですし、ましてや転職経験がない人もいらっしゃると思うんですね。
そういう人たちの考え方というのは、やはり「ある程度仕事をしないと評価できない」と思われていますから。みなさん自身がせっかく新卒で入った職場で評価を得るのに3年から5年がんばって、それである程度実績を出して評価をもらう。私としてはここまでやるべきじゃないかと。
付け加えますと、今「第二新卒」という言葉があります。新卒で入社して1、2年で転職される方を指されるみたいなんですけど、私としては真の第二新卒というのは、新卒で入った会社で3年から5年、ちゃんとキャリアを積んでから次の転職をする世代。3年から5年キャリアを積んだという状況を、第二新卒と呼びたいなと考えております。
上司や周囲から評価される「実績」の基準とは?
入江:先ほど年数で教えていただいたんですけれども、まず実績っておっしゃっていて、その実績がどの程度のものなのか……3年働いていても実績がそんなにない人もいれば、みなさんそれぞれかなと思いますが、実績ってどういう基準でとらえればいいんですか?
佐藤:これは先ほど申し上げたように、上司ないしは周囲から評価を得るということですね。自分で実績を評価するものではなくて、周囲、特に上司から評価してもらうものですから。
上司とのコミュニケーションを通じて、1年目が終わって評価を得たら、次の2年目の目標を立てる。2年目にどういう目標を達成するかってことをやった上で、2年目の終わりにまた上司と相談してフィードバックをもらう。で、3年目の目標を立てる。
そうやって1年、2年、3年とホップステップジャンプというかたちで仕事を積み重ねていくと、3年目が終わる頃には、それなりに周囲にも認めてもらえる評価につながると思うんですね。
今ちょっとお話があった「なかなか3年やっても実績がない」って、それはご本人がちゃんと上司とか周囲とコミュニケーションを取って、フィードバックをもらっているかだと思うんです。
フィードバックをもらっていれば自分の立ち位置ってわかりますから。今このままじゃダメだ、どういうことをすべきだというのが、自分だけの判断じゃなくて周囲からアドバイスをもらえますから。それを元に次の1年ごとにステップアップを目指す。私はこれが一番大事なことだと思っています。
入江:例えば1年目の目標を達成していて、人によって目標を達成するスピードって違うじゃないですか。ほかの人が3年かかることを1年でできる人もいるでしょうし。
逆に転職を基準にした時に、3年間やったそれなりの実績っていうのがどれくらいの基準というか……評価がちょっと難しいなっていうイメージがあるんですよね。どういう基準で実績と言えるのかなって。
同期と競わず「自分中心」で日々のレベルアップを目指す
佐藤:営業だったら数字もできますし、管理部門だったらどういうことを達成したかですけど、要は周囲からのフィードバックをもらうこと。フィードバック=評価なんですね。だから必ず上司を含めた周囲からのフィードバックを大切にしていくということと。

もう1つはもちろん同期で入って、当然いろいろと達成感が違ったり、職場によってもそれこそ上司との相性とかもあって、なかなかうまくいかないことはあると思うんです。
だから当然新卒で入った入社3年から5年は、同期で入った仲間と競うんじゃなくて、意識することなく「自分は自分」ということで、自分なりにいかにキャリアップしていくか。自分を中心に考えたらいいと思うんですね。
新卒から3年〜5年ぐらいは慌てることはないです。そこらへんで周囲と比較して「このままでいいんだろうか」って悩んじゃって、安易に転職に走ってしまう人がけっこう多いので。
逆に首囲から評価されていないんだったら「自分は次に何をすべきか」と、そうやって自分をレベルアップしていくことはすごく大事だと思います。徹底的に自分というものにベースを置いて、社内でのキャリアアップに努めてもらいたいと思います。
入江:周囲と比べて焦って転職するのはちょっとネガティブな転職というか、逃げみたいなところがあるのかなとは思うんですけど。逆に例えば2年とか働いてもっとやりたい仕事とか、別の会社でやってみたいことに出会った時は、実績と気持ちみたいなところは、どう判断したらいいんですかね。
佐藤:2年というのはまだ私の基準からしたら、もう1年やってほしいなって思うんですけど、そこは柔軟に考えて。2年経ってどうしてもやりたい仕事があった時に、1つ私がお勧めしているのが、外への転職じゃなくて社内での異動ですね。
社内公募ってありますけど、社内で2年がんばって次に移るチャンスがあれば、それはぜひ。転職も決して外への転職だけじゃなくて、社内転職もありだっていうことは、大事なことなんですね。
だから2年やっていて、社内で自分が気に入った仕事があれば、社内公募制度でエントリーしてみるのもありかなと思っています。
「社内転職」という選択肢と、憧れの企業への「リベンジ転職」
佐藤:外で転職をしたいというのであれば、最終的にその人の判断ではありますけれども……自分が行きたかった企業で仕事をしたいというのがあれば、2年以上経っているのであればやぶさかではない。
ただ、よくあるんです。新卒で就職した時に、自分が就職したい企業にまず入れていない人がいるわけですね。そういう人たちが、自分が希望しているところに転職したいと。それはそれで私も大事だと思います。
だから例えば今おっしゃったように今の所で2年がんばって、どうしても自分が入りたいなと思った業種や企業のポジションがあれば、チャレンジするのはありだと思います。
私が自分の著書でも書いていますけど、リベンジ転職っていう言い方をしているんです。これは新卒の時に入れなかった業種や企業に対して、やはりこれも今の会社で3年から5年やって、ある程度実績を積んでからそういうところに転職していくのは、私は背中を押したいなと思っています。
もう1つ付け加えると、新入で入って2年ぐらいでどこか新しい企業、どうしても入りたかった企業にチャレンジする。逆に注意してほしいのが、2年ぐらいだとまた新卒をもう1回やり直すっていう感じになるんですよ。
これは私は非常にロスだと思っているんですね。だからある程度3年ぐらいやって実績が出てきたら、現在いる会社なり職場で積み上げたものをベースにして、次の会社に転職したあとも培ったものを活かせると思うので。
結局1年や2年の短い間で次の会社に転職すると、またゼロベースで実質的な新卒から始まるような感じになっちゃう。
だから理想を言えば、例えば22歳か23歳で新卒で入社して、5年くらいいると27歳から28歳ですね。そこから初めての転職をされると、5年やっていればある程度自分でもその会社でいろんな経験を積めたなって自負があるし。
受け入れる企業も職場も「ある程度他社さんでちゃんとキャリアを積んできたな」っていうので、新卒(のような扱い)で受け入れるって感覚がないですね。やはりそういうかたちで迎え入れられたほうが、私としては絶対に良い転職のタイミングではないかなと思うんですね。
パワハラやメンタル不調時は「緊急避難としての転職」を
入江:相当環境が悪いとか、そういう時は除くって感じですよね(笑)。
佐藤:はい。例外として、入った職場で上司からのパワハラがある、あるいは精神的に会社に行くのが嫌になってしまう。こういうメンタルなところを我慢してまでは、行く必要ないと思いますね。
上司とうまく合わせるっていうのも1つのキャリアアップになるんだけど、その上司自体がパワハラ(気質)であったり、その職場に行くのがどうしてもしんどいなってなったら、それは無理する必要ないです。そういう場合は逆に緊急避難としての転職はありだということです。
だから冒頭、私があるべき転職論を申し上げましたが、無理をしてまでどうしてもその職場にいる必要はないので。それはもう別問題ですから、次の職場を探されるのが懸命であると思います。
入江:自分を守るためにもですね。
佐藤:はい。例外としてしっかり申し上げておきたいと思いますね。
入江:平均すると3年から5年を目安にということですね。
佐藤:はい。重要なことは自分の評価じゃなくて、評価するのは相手ですから。相手の世代も考えて、彼ら上司に納得してもらうためにも、3年から5年があるべき期間ではないかなというのは未だに変わっていません。
入江:わかりました、ありがとうございます。