くるま氏が会場の新成人に直接質問
三浦:あと、「誰の影響を一番受けましたか?」みたいな。
くるま:格好いいな。「自分自身」? マジで?
(会場笑)
かっけぇな! 本に影響されたやつも格好いい。
三浦:いいですね。
くるま:「本って答えたよ」っていう人、います?
(会場挙手)
くるま:いるんですか。何の本ですか? (質問者の回答を聞いて)……自己啓発本で!? 「こうだ!」って?
(会場笑)
何ていうタイトルだったか覚えています? (質問者の回答を聞いて)……覚えていないけど、「もっと自分の人生を」みたいな、「切り拓け」的な、そっち系ですよね。「秒速で1億円稼ぐ方法」とか、そっち系じゃなくて。
(会場笑)
「億系」じゃなくて、『7つの習慣』みたいな、あっち系ですよね。
三浦:自己啓発にも系統がありますからね。
くるま:すげぇ。それで選んだんだ、ここに来て。みんな偉いなぁ。
三浦:すばらしいですね。挑戦したいこともあると。
くるま:挑戦……そりゃあ、あるでしょ。94パーセント。
三浦:これから見つかっていく人もきっといるんじゃないかな。
くるま:「ある」と回答している方……えぇ!? 「資格取得・スキルアップ」が一番?
三浦:すごいことですよね。
若手AI起業家の「ギラついた目」
くるま:このデータっていうのは、大学先とか就職先とかに配られるんですか? えらい真面目な回答ばかりで。
三浦:「推し活」とかもありますね。
くるま:「推し活」「親孝行」「企業インターン」。本当にすごいですよ。たぶん、今のあなたたちのちょっと上ぐらいの人たちの目のギラつき、尋常じゃないですからね。20代前半の「もうAIの時代です」みたいな。
三浦:そうですね。
くるま:全員目をキラキラさせて、「インターネット黎明期に大稼ぎしたおじさん、おばさん。俺たちの番がやってきました」みたいな顔をしているんですよ。「見ていろよ」みたいな、50歳のやつと同じ目をしていますよね。
三浦:そうですね。
くるま:ホリエモンとかの代と同じ目をしているんですよね。
(会場笑)
マジでそうなんですよ。やはりこの黎明期の……。
三浦:確かに「俺たちが、今のAI時代を背負っていくんや」みたいな空気がね。
くるま:そうそう……なんで大阪(弁)だったのかわからないですけど「俺たちが背負っていくんや!」って(笑)。
三浦:そういう子もけっこういるんじゃないですか。
くるま:プログラミングとか、そういうのをやっている人、絶対にいるでしょうね。
SNSが同世代の天才たちを可視化してしまう
三浦:そう思いますね。一通り見ていきましたけど。やはり18歳のみんなの応募の内容を見ていても、10年前、12年前の18歳と、悩み方がちょっと変わっているなっていう気もしているんですよ。
大学に行けば間違いないとか、ある程度は就職できれば間違いないっていう感じだった気がするんですけど、逆に今って見え過ぎて、自分が選んだものを「本当にこれでええんやったっけ?」みたいな空気をむちゃくちゃ感じるなと思っています。なぜこんなに選ぶのがムズいのか。どうしていけばいいのか。どう思いますか?
くるま:どう(笑)? ざっくりな質問! でも、本当に(選ぶのは)面倒くさいですよね。俺、みなさんが信じられないです。

さっき俺が冗談半分で言っちゃいましたけど、情報が足りないと言わせないみたいな空気もありつつ、だって「もうYouTubeでも勉強できるじゃないですか」みたいなことを言い出すじゃないですか。
「お金がないのが言い訳になりません」とか、「本気出したら教科書だけで東大行きました」みたいなやつがワラワラ出始めたせいで、「塾に行けないのは言い訳になりません」とか。
三浦:そうですね。
くるま:すごく怖い世界になっているじゃないですか。
致命的なダメージを避けるには「人の言葉を使わない」
三浦:しかも、「教科書だけで東大行きました」みたいな人も、たぶん昔からいたんだろうなと思うんです。(今は)そういう人が目立ってくるじゃないですか。そうすると、SNSとかはそういう人ばっかりに見えるみたいなのもあるんだろうなと。
くるま:本当、そうですね。でも人って結局、いろんな影響を受けながら、別にそういうのは成長していくものだと思うんですよ。
憧れて、高望みかもしれないけど、憧れたらちょっとそっちに近づいて、やはり駄目かなと思って、それこそ、今の例えで言ったら「教科書だけで東大に行こうとしてみて」みたいな。「駄目だったからやはりこの塾に行ってみて」とか、わからないけど、そういう紆余曲折があるのはいいことだと思うんです。
たぶん、決定的に、落ち込んだりショックを受けちゃったり、本当に立ち直れなくなるダメージを負うことだけが駄目じゃないですか。
三浦:そうですね、致命的な。
くるま:そうそう。そこで1回、そうならないための課題にフォーカスした時に、めっちゃ自分で意識しているのは、人の言葉を使わないということを考えています。
三浦:人の言葉を使わないこと?
押し付けられた「物差し」を疑う、くるま氏の流儀
くるま:長ったらしくなったらあれなんですけど、僕、自己肯定感っていう言葉がすごく苦手で。ある日突然みんな言い出したじゃないですか。みなさんは自己肯定感(という言葉が)が当たり前にありました? 「自己肯定感が低いので悩んでいます」とか、けっこう相談されることがあって。
三浦:僕もすごく多いです。
くるま:大げさに言うと「それ、何? なかった言葉なんだけど」みたいな。自分の事情とか意地とかプライドとか、それぞれあると思うんです。
それぞれの言葉があって、それを統合して、それこそ新書や新聞やメディア、ネットやSNSが自己肯定感っていう言葉をバンって、「これが正解の物差しです」みたいになって。
さっきの「不安を感じますか?」みたいな感じで、「自己肯定感はありますか?」って聞いてくるんですよ。そうすると、「ないかもしれないです」ってなって、不安になってきて、「あれ? 自己肯定感ないな。上げるためにどうしよう?」とか思うけど。
立ち止まって、「いやいや、その悩みって、あなたが持っていた悩みですか?」みたいな。「もうわかりますでしょ」っていう。
三浦:「そもそもなかったでしょう」と。
くるま:そう。「ないじゃん」系が、俺はけっこう苦手というか。「言語化」とかもそうなんですよ。これも勝手に人に言われて、乱暴ですけど、「そんな言葉、ねぇじゃん」と思っているんですよ。悩むぐらいならそういう言葉を無視していいじゃんっていうこと。
三浦:その言葉で、自分が鎖を付けられちゃう感じはあるかもわからないですね。
強い言葉から自意識を守ることが重要
くるま:どうしても伝えなきゃいけないから言葉ってあるわけで、本当は自分の気持ちって自分だけわかっていればよくて、それだけだと成立しないから、一応言葉があるじゃないですか。でも別に、苦しむ必要はないっていうか。
例えば同い年の30歳ぐらいがわかるやつで言うと、よくSNSで男女間の話をする時に、おごってもらった側の人が、女性でも男性でも、「財布を出さなかった。出す素振りすらない。あいつらムカつく!」みたいに言っているけど、「その経験、本当にした?」みたいな。
三浦:確かに(笑)。
くるま:「ネットで見たことと、ツイートとかポストで見たことと、自分が混ざっていない?」みたいな、「ああいうやつってメンヘラだよね。地雷だよね」とか言うけど、「本当に会ったことある?」みたいな(笑)。ない言葉を吸収して自分だと思って肥大化しちゃうっていうのが最近の言葉のめっちゃ怖いところだなと思っています。
三浦:確かに。
くるま:あれ、(自動車の)ハンドルを持った瞬間に性格が変わるやつと一緒ですからね。
(会場笑)
でも、大人でもいっぱいいるんですよ。あれって自分のことを「車(くるま)」だと……自分が「くるま」なのでややこしいんですけど。
(会場笑)
自分を「車(くるま)」だと思っているんですよ。まぁ、俺は思っているんですけど。

(会場笑)
伝わります、これ? 訳わからないですよね。高い服を着ていると、高い服を着ている人だと思うじゃないですか。自意識ってすごく不安定だから、もうデバイスに移動しちゃうんですよ。
だから車に乗っていると、「車だ」と思っちゃうから偉そうになっちゃう。強い言葉を知っていると、強い言葉のほうに頭が持っていかれちゃって、知らないうちに人を傷つけたり、逆にその基準に満たない自分に傷ついたりしちゃうから、あんまり難しいこと……(言葉が)長いやつはやめましょう。
難しい言葉は手放して、ワクワクする言葉で遊ぼう
三浦:自己肯定感。ちょっと長いですね。
くるま:「人生は選べる」とか。
三浦:「志」とか、「夢」とか?
くるま:いいじゃないですか。そんなもんでいいのかなって、僕はちょっと思うんですけどね。
三浦:自分の中にある言葉を使っていくみたいなことはすごく大事かもしれないですね。悩む時に、自分の中にある言葉で悩んでいくっていう。
くるま:そうです。「ネガティブ・ケイパビリティ」とか、そういうのは憧れて取りにいっていいんですけど、言葉はワクワクして遊んだら人に返したほうがいいですよ(笑)。持って帰っちゃうと自分の家がパンパンになっちゃって、手狭だなってなっちゃうので。
三浦:確かに。パソコンもデータが入り過ぎると重たくなっちゃうように、時代が人間をそうさせているなっていう感じがしますよね。
実際に10年前と今って、明確に時代が変わっていると思うんです。それこそAIがバーッて出てきていたり、世界情勢も不安定だったり、景気もちょっとどうなんだみたいな空気感があったりとか。
くるま:そうですよね。