【3行要約】
・「仕事で強みを活かすのが正解」と思われがちですが、北の達人・木下勝寿氏はその発想自体を見直すべきだと語ります。
・木下氏は、苦手分野を最低限カバーできるようになると仕事全体を1人で回せるようになり、結果として成果も上がりやすくなると提言します。
・なぜ強みを磨くよりも、その役割を引き受けるほうが成果につながるのか。木下氏が仕事の構造を具体例とともに解説します。
「強みを活かせ」は成功法則ではない
――木下社長! これまでにたくさんの社員さんを育ててこられたと思うのでぜひ教えてほしいんですけど、「強み」の見つけ方と磨き方ってどうしたらいいですか?
木下勝寿氏(以下、木下):その考え方はですね、ぜひ今すぐ捨ててください。
――捨てるってどういうことですか?
木下:世の中では「強みを活かせ」ということが、さも正解のように言われています。だけど、あれはぜんぜん嘘だと思うんですね。
――ええっ。
木下:本当は逆なんですよ。強みなんて活かそうとしちゃダメなんですね。
――でも、強みを活かすのが成功の近道じゃないんですか?
木下:みんなそう思いたがるんですよね。自分だけの才能を探すって、宝探しみたいでワクワクしますよね。で、診断ツールとかで「あなたはこういう人ですよ」みたいな正解を教えてもらうと安心もします。
でも、みんなが強みを磨こうとするからこそ、そこはライバルだらけの激戦区になるんですね。そんなところで勝負をしても、勝てるのはほんの一握りの人なんですよ。
――でも、強みを磨かなかったら仕事ができなくないですか?
木下:そんなことはぜんぜんないんですね。今日は99パーセントの人が見向きもしない、本当に磨くべき最強のスキルについてお話ししたいと思います。
“苦手を任せる側”ではなく“任される側”が勝つ
木下:まず「強みを活かせ」って、「自分が得意なところに集中して、そうじゃないところは誰かに任せましょう」という考え方なんですね。実は勝ち筋は、今言いました「強いところは自分がやって、苦手なところは誰かに任せましょう」。この「誰か」になるのが一人勝ちできる勝ち方なんですね。
――そっちですか!
木下:そっちです。強みを活かそうとする人は、逆に言うと苦手部分の克服を全部やめて、苦手なことを誰かに任せることによって仕事を成り立たせようとしているので、「誰かがいないと仕事が完成させられない人」なんですね。つまり強みを活かそうとしている限り、弱みを克服しない人は独り立ちできない人になります。

まず仕事の構造を理解してほしいんですけども、例えば大企業であろうとベンチャー企業であろうと、仕事の種類は20種類ぐらいあるんですね。
これは概念としてとらえてください。「大企業だから多い、ベンチャー企業だから少ない」ではまったくなく、仕事の種類はどこの会社にも経理がある、どこの会社にも営業がある。「どこの会社にもこれがある」みたいに全部あります。
よくベンチャー企業とかで「各自が得意な分野だけを持ち寄ってやりましょう」みたいなことってありますよね。でも、この20種類が埋まることはないです。みんなが得意な部分だけやっても、絶対に5種類ぐらい余るんですね。誰も得意じゃないみたいな。
やりたいことしかやらない人間が集まっている場合って、ここの5種類が浮くので、まずこの人たちだけでは仕事が完成しないんですよ。メンバーにもよると思いますけども、主に事務管理的なところが多いかもしれませんね。
みんながやりたがらない仕事にこそ価値がある
木下:結局、人の得意な部分ってだいたい似通っているんですね。なので、一方で残る5種類もけっこう似通っているんです。この5種類のことをできる人が、どこに行っても重宝されるんですね。
つまり、自分の得意なことしかしない人が集まったところで、仕事って回らないんです。残ったところをきっちりできる人が重宝されます。残る5種類をやる人って少ないんですよ。ライバルがいないので、そこそこできるだけで十分トップクラスになれますね。

――ちなみにこの5種類って、どういうものが挙げられますか?
木下:例えばよくあるのが、営業とかはすごく得意なんだけども、受注したあとに伝票処理をして、きちっとやっていくのは苦手な人とか。
――いますね。
木下:けっこういますよね。細かく丁寧にきっちりやるべきことをやるっていうところ。みんな大雑把におもしろいところをやりたがるんですけども、それをきっちりとかたちにしようとすると、細かく詰めていく必要があります。
ここがだいたい浮いてしまうので、ものすごい大型受注をしたんだけれども、そこができなくて、ちゃんと納品されなくて入金がないっていうのはあったりすると思うんですけども。