【3行要約】
・日本企業の人事は「誰かの仕事でないものは人事がやる」という状況でタスク過多に陥り、従来の成功パターンも通用しなくなっています。
・人事図書館の吉田洋介氏は「明治から続いた模倣・改善の人事モデルが、バブル以降の産業多様化で機能しなくなった」と分析します。
・今後は各社が独自のモデルを探索しつつ、個人のキャリアオーナーシップも促進する「組織と個人の共同模索」という新たな人事戦略が求められています。
歴史からひもとく日本の人事戦略の課題
栗原和也氏(以下、栗原):それではさっそくですが、ここから吉田さんへバトンタッチして、人事の歴史から見る現代へのヒントをひもといていただきたいと思います。吉田さん、よろしくお願いします。
吉田洋介氏(以下、吉田):ご紹介いただきありがとうございます。人事図書館館長の吉田です。今日はお集まりいただきありがとうございます。さっそくですが歴史好きな方はどれぐらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
これはいろんなところで聞くんですけど、あんまり手が挙がらないんですよね。
(会場笑)
あ、お二人いらっしゃいますね。「正直、学生時代はめっちゃ苦手でした」みたいな方はどうですか?
(会場挙手)
あ、多いですね、ありがとうございます。
(会場笑)
私も「歴史は得意か?」と言われるとそんなに得意じゃないぐらいのところから入っているんです。けれども、たどってみたらおもしろかったなというところがあるので、今日はできるだけわかりやすく解説したいなと思っております。(みなさんと)一緒に(やって)いければと思っております。
歴史から見るキャリアオーナーシップ
吉田:今日タイトルにさせていただいたのは「歴史から見るキャリアオーナーシップの意味~私たちはどう生きてきたのか?~」。ここもまた自分への問いかけとして壮大にしているところがあります。
今の時代を見るといろいろ大変なことがあるなと思います。けれども、少し時間軸を伸ばしてみた時に、今の時点というのはどう見えてくるのか。この大観を少し一緒に見ていけるといいのかなと思っています。

私の自己紹介もちょっと簡単にさせていただきます。もともと2007年にリクルートマネジメントソリューションズというところに新卒で入って、ずっと働いていました。少し前に辞めて、独立をして、「人事図書館」を作りました。これだけだと謎な感じはあるんですけれども、ずっと人事領域が大好きで、人事の学びが好きで取り組ませていただいています。
今日は「人事図書館とは」というところも簡単に(解説)させていただきます。今、人事の方は非常に成果を出しづらい環境に置かれている状況だと思っています。経営者も同じですね。「この筋道でいけば確実に儲かる」みたいなものが、以前よりもめちゃくちゃわかりにくくなっています。
成果を出していくこと自体が、そもそも熟練の人にとっても難しい。ただ一方で、熟練の人が育ちにくい環境もどんどんできてきている。我々が日々やることが慢性的なタスク過多になりがちですし、扱うテーマもどんどん広がっている。
例えば今日の「キャリアオーナーシップ」ということ1つを考えても、前までは扱わなくてよかったのに、今は扱う必要がものすごく出てきている。でもこれは、「誰の仕事でもなかったから人事がやる」みたいになっているんです。(人事が扱うべき)テーマは減るかというと、減らないんですよね。
「無理ゲー化」している人事の仕事を乗り越える
吉田:そんな中で、人事の人員がなかなか増えないとか。外部のベンダーさんが手厚いサポートをいろいろやってくれるので、実は人事が力をつけなくても回っていくものも増えちゃって、人事が伸びないみたいな構造も一部あったりします。

あと、「(人事向けの)公的な資格って何だろう? ちょっとよくわからない。キャリコンなのか、中小企業診断士なのか、社労士みたいな方向に行くのか。人事のド真ん中ってどれですか?」みたいな。
そういった中で、非常に自己効力感を持ちにくいとか、現場や経営から「人事の施策をやっても成果が出ないじゃん」と、信頼を失いやすい環境に置かれています。でも、我々は全力でやっていますよねというところがある。
なので、構造的にめちゃくちゃ難しいところを、経験が浅く、プロフェッショナリティが低くなりがちな人たちで立ち向かわなければいけないので、かなり無理ゲー化している。
この状況を1人や1社の人事で解決しようというのはすごく難しいので、集合知で乗り越えていきたい。そういうことで、今日は東京の人形町から歩いて10分ぐらいで着いたんですけど、人事図書館というリアルな図書館を作ってやっています。