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デンマークに学ぶ、『短く働く生き方』へのライフシフト(全3記事)

空いた時間で「自分を高めよう」とする真面目な人の盲点 新しいスキルを身につけるより大事なこと [2/2]


いかにして16時に帰れるようになったか

時間がない。これは「私は16時に帰るのがとっても大変でした」っていう話を書いています(笑)。16時に帰る国にいる、めちゃめちゃ良い環境にいる。それでも私は別だと思っていたんですよ。

やはり私はデンマークに行って、それまで「読売新聞です」とか「ホワイトハウス取材してます」とか言ったらそれでも一目置いてもらっていたのが、いきなりここに来て何者でもなくなってしまった感がすごくあったので、がんばっていたんですよ。

それを取り戻そうとすごくがんばって、そのやり方を長時間労働しか知らなかったので、それをやっていたら夫とすごく軋轢が生まれてしまい。そこからどう変えたかという話もここに書いていますので、ぜひ読んでいただきたいんですけど。

やはりそれはワーキズムという価値観の弊害はありましたし、もう1つはタイムマネジメントとエネルギーマネジメントの違い。だんだん年を取ってくると、そんなに頭が長い時間働かないんですよ(笑)。

だから自分にとって最高のパフォーマンスをするっていうのは、よく寝て、よく食べて、器としての自分の体を整えておくと脳みそはちゃんとベストな状態で働いてくれる。要するに価値のある仕事は何かといった時に、そっちのほうが大事だなっていうことに気がついたってことですね。

長時間働いてもっと稼ぐ自由

あとよくある質問で、日本人にある「長時間働いてもっと稼ぐ自由」はどうなんだ。これはOECDの平均収入の表ですけど、日本が今、平均収入760万円。これはたぶん感覚的にもっと低い感じですよね。でも一応フルタイム換算だとこういうふうにOECDではなっているんですけど、デンマークだとだいたいこれぐらい。

世帯収入が日本の場合「760万円×2」っていう感覚、なくないですか? たぶんそんなにないでしょう。デンマークだとだいたいこれの掛ける2ぐらいのイメージなんです。

つまりこれは長時間働いてもっと稼ぐ自由というか、フルタイムの37時間で十分収入が得られていない構造的な問題のほうが、もっと深刻だよねっていう話だと思うんですよ。

要するに競争力のある企業を作らないといけなかったのに、産業の新陳代謝が悪いとか、そういうことも含めた大きな問題であり、さらには世帯処入が掛ける2にならない、女性が稼いでいないという話。

あと「16時に帰るのは仕事の意欲が低いんじゃないか」っていう疑問の方もいらっしゃるんですけど、熱意がないのは日本なんですよね。国際的な調査、ギャラップの調査とかでも平均よりもかなり低いんですよ。

一方デンマークの人って、仕事のモチベーションで国際ランキングでも1位だったりするんですよね。つまり彼らは37時間の間は仕事が好きなんですよ。やはり仕事って楽しいですよね。他人とつながって何かをやるとか。だけど37時間以上は働きません、っていう話なんですよね。

16時に帰るのは仕事の意欲がないって言うけど、すごくワークライフバランスが良いことに引きつけられて、やはり海外の高度人材とかが来るんですよね。その人たちをすごく優遇していますし、やはりそれってそうは言えないんじゃないの、というのはあります。

新しいスキルを身につけるよりも大事なこと

これが最後のスライドです。よく言われるのが、じゃあわかりましたと。だけど「そういう環境がない個人ができることは何ですか」といった時に私が思うのは、日本の方は真面目だからどんどん新しいスキルとかを身につけようとするけど、私はまずやることをむしろ減らしたほうが良いと思うんです。

スペースを空けるというか、それでさっき言った器としての自分を整える。やることを減らすと、何か良いチャンスが来た時につかめると思うんですよ。やはり頭がフラフラしているとそういうのも見えてこないし。

で、やはり行動しないと見えない風景がある。軽さが行動を生むと思うんですよね。それがチャンスをつかむことになると思うんですよ。

タイパ・コスパを超えたところに価値がある

私はこの1週間(日本に)来ることはしたんですけど、出版社の編集者の方に、当然本を書いたら行くものだと思っていたら「井上さんは来なくていいです」って言われたんですよね。

「あ、そうなんですか? 書店のイベントとかないんですか?」って言ったら「そういうのはもうセレブでもなければやりません」と(笑)。だいたい集客が大変だからね。で、もう昨今のPRはすべてSNSですと。それがやはり効率が良いから。

「日本に来てもらっても出版社としては何のイベントもご用意できません。来てもらってもいいけど何のアポも入らないことになるかもしれないけど、それでもよければどうぞ」みたいな話だったんですよ(笑)。

それを聞いて、そうなのかと思っていったんやめようと思ったんですけど、夫はしきりに「いや、それは行ったほうがいい」って言うし。

私はジャーナリストの特派員が集まるコワーキングスペースみたいな所で仕事しているんですけど、その人たちが「本を出すってすごいことだよ。これってマラソンの最後の1周みたいなやつだよ」みたいな(笑)。「それは行きなよ、絶対行かなきゃダメ」みたいにすごく言われて。

どうしようかなと思ったけど、けっこうリーズナブルな価格の航空券チケットが1席だけ残っていたので、「えいや」で買って来ちゃったんですよね。

で、来てみたら、もう(帰りの航空券を)買っちゃったから1週間何もないっていうので、いろんな昔のメディアの人とかにわーっと声をかけて「行くので何でもいいから取材受けます」って言ったら、さっきの500人来る国会とかも含めて、15個ぐらい予定が入っていて(笑)。

逆に「これ、私こなせるのか?」ってなってますけど、やはりそれもあの時、私が来なかったらなかったわけですよね。こうやってみなさんにお会いできているのも「行く」って決めたからこうなったわけで、けっこうそれって大きいと思うんですよ。やってみないとわからないし、っていう。

私はこういう言葉は本当に嫌いなんですけど(笑)、最近の特に若い世代はタイパ・コスパを考えちゃうらしいので。

別に何の保証もないですよ。だけどきっと見える風景が変わってくると思います。というわけで長くなりましたが、以上です。ありがとうございました。

(会場拍手)

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