【3行要約】
・「最低限だけ働く」静かな退職が日本でも広がり、職場の雰囲気悪化や同僚の仕事量増加など、周囲への悪影響が懸念されています。
・伊庭正康氏は「静かな退職者がいる職場では4人に1人が不利益を感じている」という調査結果を紹介し、5つのチェックポイントで自己診断を促しています。
・伊庭氏はフォロワーシップの発揮や自分の強みの活用など、論理的な対策で静かな退職を防ぐことが重要だと強調します。
職場に悪影響を与える「静かな退職」
伊庭正康氏:研修トレーナーの伊庭です。今日は35歳から60歳までの方、絶対に注意していただきたいんです。知らない間に静かな退職をしてしまっている可能性があるかもねという話をします。

「それは損なのでしょうか? 得なのでしょうか? 」ということで言うと、損なんですよ。だからこそ今日は5つの兆しと予防策を紹介します。まだ間に合います。絶対に大丈夫です。
メニューはこちらです。そもそも静かな退職とはいったいどういうものか。最近増えています。なんで注目されているんでしょうか? これを見ていきましょう。
そして、自分は気づかないけれども、周囲はこう思っているかもねということを紹介します。
5つのチェックポイントを紹介します。最後に、そうならないための予防策を3つ説明します。ご自身のため、そして同僚や部下にそんな方がいたら、ぜひここを押さえておいてください。
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本当に悪いことなのか
まず1つ目、静かな退職というのはどういうものか。なんで注目されるんでしょうか? これは2022年にアメリカのキャリアコーチの方が提唱して、一気に広まった考え方です。実際に2023年以降、日本でも増えていると言われる静かな退職。どういったものなのでしょうか?
このように言われています。「会社を辞めるつもりではないんだけれども、がむしゃらに仕事をせず、最低限やるべきことだけをやっておけば大丈夫という考え方」。これを静かな退職と言うんです。
「あれ、悪くねえじゃん」と思われたと思います。もう一度言いますよ。それ以上のことはやりませんけれども、ちゃんと最低限のやるべきことはやります。「え、これはダメなんですか?」ということなんですよね。こういう考え方の方が今、増えているんだけれども、ちょっと問題かもねという話になっている。そんな話をしていきます。
パーソル総合研究所さんの2025年の調査データによりますと、2023年以降に増えつつあり、今は5.8パーセントの方が静かな退職にカテゴライズされると言われています。女性やシニア、ミドルに多い傾向です。そういう感じはしますよね。
背景にあるのは介護など多様な事情
そして背景には、健康面の制約やキャリアの限界。もうこれ以上出世がないとかね。あとはライフステージ。子育てがありますとか、介護がありますとか。なので、もう仕方がありません。背景には多様な働き方があるから、そうなっていますということがイメージできますよね。
私もわかりますよ。子育てしている時はやっぱり両立が大変ですからね。あと、介護なんかが入ってきたらなおさらでございます。ということを考えた場合には、やはり仕事より生活を優先しますもんね。「なんであかんのですか?」という話ですよ。
でもね、あかんのですよ。それを今から紹介していきます。まず注目されている理由は、増えているということと、その悪影響が出ているからなんですね。職場に悪影響が出ているんです。だからあかんのですという話です。
それがまた書籍、最近、人事の関連で、すごく発信されている海老原(嗣生)さんという方がいらっしゃるんですよね。元リクルートのワークス研究所の方ですけどね。その方が書籍(
『静かな退職という働き方』)を出されて、日本でも一気に広まったという話でございます。
4人に1人が職場に静かな退職者がいると回答
さあ、「あかんのです」と言いましたね。「いいやん、別に」と思うけど、あかんのです。じゃあ何がいけないのでしょうか? ドン!
周囲はどう思っているのでしょうか? 「あかんのです」と言っております。職場全体にマイナスの影響が出る可能性があるからなんです。今度は2025年のリクルートマネジメントソリューションズさんのデータになります。
さあ、2社の大手調査会社のデータが言っているんですよ。増えてきていて、そしてこちらのほうでは「あかんのです」と言っているんですね。
こちらのデータでは、「あなたの職場に静かな退職をしている人はいますか?」と聞くと、「はい、います」という人が4人に1人だそうです。4人に1人は「はい、周りにいます」と言っています。
その方々の傾向としては、周りにそういった人がいると答えた人は、主観的な幸福感が下がっている、低く出るんですって。そしてもう1つが、不利益を被っているという傾向が高くなるんですって。
周囲の仕事量が増え、職場の雰囲気が悪化
じゃあ、どんな不利益があるの? 仕事量が増えております、ということなんですよね。例えば同僚にとっては、静かな退職の人はそれ以上仕事をするスタンスがないので、周囲の人が仕事を被っているというケースがある。これが1つ。
上司もそうです。プレイングマネージャーなんですよね。自分が巻き取っています。なので、不利益を被っているということがナンバーワンでございます。第1位なんですね。他には、職場の雰囲気が悪くなるというのもありました。
一方、恩恵を被っている人もいるんですって。それは若い方だそうです。若い方は、静かな退職者がいるおかげで自分の評価が上がっているから。それって、なんだか悲しいですね。「あいつが使えないから私の評価が上がってます」。なんということでしょう。これはちょっと私、悲しい恩恵かなと思っています。
さあ、そう考えた場合に、ライフスタイルが変わる、キャリアの限界がある。なので、戦略的な選択として静かな退職(をする)。「できる限り、最低限のことはやります」。間違いじゃないようなんだけれども、実は周囲が被害を被っている、不利益を被っているようであれば、それはダメということなんですよね。
でも本人が自覚していないことが多いんですよ。だからチェックしておきたいんですね。そうならないためにチェックしておきたいんですよ。