【3行要約】・40代・50代の転職では、年齢やキャリアブランクがネックになると思われがちですが、それらを「キャリア資産」として活かせる可能性があります。
・実際の成功事例では、バックオフィス経験者や異業種転職者が、自身の強みを言語化し企業の成長への貢献意欲を示すことで高評価を得ています。
・転職を考える中高年の方は、多様な経験を強みとして捉え直し、企業貢献を軸にした職務経歴書作成が重要です。
前回の記事はこちら 40代後半・バックオフィス経験の方の転職実績
田中美和氏(以下、田中):ということで、「キャリア課題」を「キャリア資産」に変える視点をお伝えしたんですけれども、ここからは実際に私どもでご支援した事例を元に、さらに先ほどの視点を深めていきたいなというふうに思います。ここからは相武さん、よろしくお願いします。
相武まり子氏(以下、相武):ここからはWarisで実際にご支援をした転職事例をご紹介させていただきたいと思います。少し文字が多くなりますけれども、リアルな事例をお伝えしたいので、補足しながらお話しさせていただきたいと思います。
まず1人目、Aさんですね。ご転職当時は40代後半でした。新卒では証券会社にご勤務されていたんですけれども、結婚後にご家庭の事情で専業主婦になられて、10年ほど専業主婦を経験されてから、育児などが落ち着いたタイミングで、パートやフリーランスといったところでお仕事を再開されていました。
ご経験の内容としては、企業のバックオフィスと呼ばれる経理や総務、人事採用など、幅広く事務系の職種を担ってきた方です。Aさんは、2024年にWarisでご支援をさせていただいたんですけれども、スタートアップ企業の2人目社員として、バックオフィス全般を担うポジションで入社をされました。
評価のポイントとして、「スキルだけでなく、人間的にとても成熟されていて頼りがいがある」といった点も、企業さまからフィードバックをいただいております。
自身の強みの言語化、スタートアップ企業での働き方の理解
相武:ご転職成功のポイントを2つ挙げさせていただきましたが、まず1つ目、「ご自身の強み」をきちんと言語化できたこと。「キャリアカウンセラーとの面談を通じて」というところですが、キャリアブランクがあることとか、正社員から離れている期間が長いことをネガティブに思うのではなく、複数の企業で業務改善の経験をしてきたことを、謙遜することなくしっかり整理するということをされていらっしゃいました。
また2つ目としては、スタートアップ企業での働き方をよく理解されていたこともポイントです。スタートアップ企業は意思決定のスピードが非常に早いことが特徴ですし、やり方の正解があるというわけではなく、より良い方法があれば全員が提案して、どんどん良くしていこうというマインドが求められるものです。
Aさんは、ご経験でもその点をよくご理解されていたので、自ら業務を切り拓くマインドをしっかりアピールされていらっしゃいました。
実際Aさんのご入社後、「マニュアルやオペレーションがまったくできていない中でも、Aさんが足りないところをご自身で見つけて、自分でフローを構築してくれた」とか、「Aさんの人としての懐の深さにとても助けられている」といったお声、「人生経験豊富なAさんが入ってくれたことで何でも相談できる。コミュニケーションが円滑になった」なんていうお声も社内から多く上がって、「雰囲気がとても良くなった」というお声も企業側からいただく事例となっています。
40代前半・経験とは異なる職種への転職実績
相武:続いて、Bさんの事例もご紹介したいと思います。Bさんは40代前半でご転職を叶えられた方です。Bさんは、大卒後はフリーランスとして音楽活動などをされていたそうなんですけれども、ご友人が起業されたタイミングで、創業期に参画されるかたちで働いていらっしゃいました。
その会社で2回産育休を取られたんですが、「働き方について、もう少し自分と向き合って考えたい」とか、「もっと視野を広げたい」という思いから、転職活動を始められました。結果として、医療系サービスを運営する、当時20名程度ぐらいのスタートアップ企業にジョインされています。
これまでのご経歴とは違った領域で、経験職種とはやや異なる分野に挑戦されています。もともとはマーケティングとか広報のご経験をお持ちでしたので、マーケティングポジションでご選考が進んでいたんですけれども、企業とお話をされる中で、Bさんの姿勢やマインドが評価されて、「顧客対応を担うカスタマーサクセスのポジションを任せたい」というお話になりました。
このあたりも、「できそうなことは何でも任せてみたい」という、スタートアップ企業ならではのご判断かなと言えるとも思います。
視座が高く、自分とも・企業とも向き合っていた
相武:Bさんの転職成功のポイントですが、まず1つ目、Bさんは非常に視座が高い方で、「次の世代にどんな社会を残したいか」という視点を常に持っていらっしゃって、その点で自分が関わる企業やサービスを選んでいらした。この点がとても印象的でした。
あとは、単にご自身が「転職したい」「働きやすさを叶えたい」というだけではなくて、「自分の事業貢献が社会のどんなことにつながるのか」を意識されていた点も、企業側に響いたのかなと思っております。
そして2点目としては、自分とも企業ともしっかり向き合っていたという点が挙げられます。先ほど、ご経験とは少し違う領域でジョインされたというお話をさせていただいたんですが、ともすると、ちょっと無茶ぶりで「何でもやってみて」と聞こえてしまうかもしれないんですけれども、実はそうではなくて。
ご選考プロセスの中で、しっかり任せたいこと、それからBさん自身ができることを擦り合わせて、「それでしたら貢献できます」ということで、双方納得感を持った上でジョインを決められています。
だからこそ、事前にBさんもご活躍イメージが持てているし、企業側としても即戦力として迎えることができたという事例かなと思っております。
50代後半・経理の方の転職実績
相武:3人目で最後になりますけれども、Cさんの事例です。Cさんは転職当時、50代後半、かなりベテランの方でいらっしゃいました。新卒当時は大手の企業で経理をご経験されていたんですけれども、ご家庭のご事情で離職をされて、その後、フリーランスとして10年ぐらいで10社程度、経理を中心に担っていらっしゃったというご経験をお持ちでした。
フリーランスとしてのお仕事にもとてもやりがいを感じていらっしゃったんですけれども、「もう一度経理部門の中心人物として、責任ある仕事に関わりたい」という思いが強くなったということで、転職活動をWarisでご支援させていただきました。
結果として、デジタルニュースを配信する企業に転職が決まったんですけれども、実はこの会社さまは、Cさんが入社する前、経理の知見が社内にあまりなくて、経理組織の基盤を作りたいという状態でした。
そこに複数の企業でスペシャリティを発揮してきたCさんが入ってくれることで、すべてカバーしていただけるんじゃないかということでご入社に至っています。ご入社後は、「新システムの導入が完了しただけではなくて、経理部門の礎を築くことができた」というお声もいただいている事例になります。
「企業の成長を支えたい」意欲、求められるマインドの一致
相武:Cさんの転職成功のポイントとしても2点挙げています。まず1つ目は、「企業の成長を支えたい」という強い意欲があったこと。やはりCさんも、ベクトルがご自身の転職成功というところだけではなくて、企業の事業成長に向いているという点が高く評価されていたように思います。
2つ目は、特にスタートアップに求められている、「自分ができることは何でもやる」というマインドをしっかり示せたことだと思います。Cさんはご入社時点ではフリーランスのご経験が長いということもあって、マネジメント経験をお持ちではなかったんですけれども、非常に主体的に業務を進めるということで、早期に経理部門をリードしてくれたという実績があり、入社2年後には管理職に昇進をされて、今は経理部長になっていらっしゃるとうかがっています。
このように、Cさんの「経理の中心人物として、責任あるポジションに就きたい」という思いも叶えた事例となっています。
田中:ありがとうございます。