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「やりたいことがない20代へ」無職経験者・LoLLL大西が語る、“意外となんとかなる”キャリアの話(全3記事)

転職から1ヶ月半、待っていたのは人員削減 つまずきが伏線となってつながった、キャリアのかたち [1/2]

【3行要約】
・転職後わずか1ヶ月半で資金ショートによる退職を経験した大西氏の波乱のキャリアストーリー。PMF達成と謳われていた会社の実態と、その後の転機を語ります。
・大西氏は「会社都合の退職」という経験から、人との縁や流れを大切にするキャリア観を形成。
・今はコミュニティマネージャーとして活躍する大西氏は、挑戦し続ける姿勢と人との縁を大切にしながら、次のキャリアステップを模索しています。

前回の記事はこちら

PMF達成のはずが、裏で人力運用が続く現実

清野:次の転職に触れていければというところで、深掘りしていければなと思います。

2度目の転職で、新たな場へのチャレンジが起こりました。一方で、転職後1ヶ月半で「えっ? 無職?」みたいなところですね。

大西:(笑)。

清野:このあたりも、おもしろそうって言ったら失礼ですけど(笑)。

大西:いやいや、ぜんぜん大丈夫です(笑)。「おもしろそう」で大丈夫です。

清野:今だからこそ振り返られるところかなと思っています。ぜひお願いします。

大西:私も、おもしろがっていただけるとうれしいので(笑)、みなさんにおもしろがっていただければと思うんですけど。

2社目にはその後さらに2年ほど在籍し、組織もある程度大きくなってきて、自分にもやれることが増えてきたなと感じていました。もともと潰しが効くキャリアを目指していたこともあって、ちょうどその頃、コロナの影響で「リモートワーク」という言葉もよく聞くようになってきたんです。

それで、「意外と私のキャリアでも、そういうリモートの仕事ができるかもしれない」と思うようになりました。

さらに、自分の地域のことにも関心があって、「何かやってみたいな」と思っていたので、そういったことに関われそうなスタートアップを探して転職した、というのが2回目の転職のタイミングです。

少しマニアックな話になるかもしれませんが、入社時に、いわゆる「次はシリーズCの資金調達です」という、これから本格的な拡大期に入っていく段階だと聞きました。つまり、「PMF(プロダクトマーケットフィット)は達成していて、すでにサービスは売れる状態になっている。お客さんもついてきている。だから、ここからは資金を投下して人材を増やし、事業を一気に伸ばしていくフェーズです」という話でした。

当時は20人ぐらいの会社だったので、立ち上げからけっこうしっかりやれそうだし、リモートで働きやすそうだし、楽しそうと思って入ったのが、31歳ぐらいの時ですね。

会社からは事業はもう売上が立っていて、お客さんもしっかりいる状態だと聞いてはいたんですけど。蓋を開けてみると、けっこう裏側で人ががんばってやっているというか、プロダクト自体はなかなか追いついていない状態で(笑)、ベンチャーあるあるの状況でした。

プロダクトが追いついていないので、人が入ってなんとか合わせてやっているみたいな、結局人が裏側でめちゃめちゃ回しているみたいな状態でした。契約者数がどんどん増えているかというと、もちろんそういう状態なので解約もあったりして、結局、思ったより成長していかないという状態でした。

資金ショートを告げられた9月の全社朝会

大西:何が起きたかというと、今でもよく覚えているんですが、毎週水曜日に全社朝会のような定例ミーティングがあって、それが9月27日頃だったと思います。その朝、代表が「今日は大事な話があります」と切り出しました。

そして「今の事業の状況ですが、実はもう会社に資金が残っていません。資金調達に失敗しました。今後、事業を続けていくには、金融機関から融資を受けるしかありません。銀行から融資を受けるには、一時的でもいいので黒字化が必要です。そうなると、削減できるコストは人件費しかなく……本当に申し訳ないのですが、25人いる社員を12人に減らさなければなりません」と言ったんです。

そこからはすぐに、退職金が出ないことや、ハローワークの失業手当制度についての説明に移りました。「退職金は会社としては支払えないため、失業手当の制度を活用してください」という案内が続いたんです。

結果的に、エンジニアが辞めてしまうと開発が回らなくなるため、営業サイドの人間が主に対象になりました。私たち営業メンバーは、「これはもう辞めるしかないんじゃないか」と話し合い、翌日にはみんなでハローワークに行きました。

「9月30日までに結論を出してください」と言われていたので、9月末には各自が個別に意思を伝え、わずか2日間の猶予で退職することになりました。

新婚の妻の一言が背中を押した決断

清野:なるほど(笑)。今でも具体的な日付が記憶に残っているぐらい、すごくインパクトのある出来事だったんじゃないかなと思いますが、転職してすぐのタイミングで無職になることがわかった中で正直な心境としてはどんな感じだったのでしょうか。

大西:ビジネスのやり方を変えてやっていくので、今もその会社は残っているし、残るっていう選択肢もあったんですけど……私、その年の3月に入籍していて新婚半年みたいな状態でして、その翌年の3月に結婚式を挙げる予定があったんですよ。準備中のタイミングだったので、さすがにこれは自分1人で決めるもんじゃないなと思って、妻に相談した時に、「お願いだから辞めてくれ。もうその会社にはいないでほしい」と言われました。

もう自分1人の人生でもなかったので。それをきっかけに、「あっ、これはちょっともうやっていけないな」というふうに(思いました)。

もう懇願に近かったんですが、「お願いだから辞めてくれ」と(笑)。 「正直、これ以上その会社にいてもらうのは、私としてもちょっとどうなのかなって思ってる」と言われたんです。

もし周囲からそう見られているなら、自分も少し引いた目線で見てみようと思いました。妻の話も含めてフラットに考えてみると、確かにこの会社にはせっかく入ったばかりで、まだ1ヶ月半しか経っていなかったし、前職も辞めてここに来たので、簡単には決断できませんでした。

入社時も、ほかにもいくつか選択肢がある中でこの会社を選んで、自分なりに時間も労力もかけてきました。いわゆるサンクコストという言い方をするのかもしれませんが、そういった背景もあって、「ここで辞めてしまうのは嫌だな」と強く思っていたんです。

でも、そんな時に「いや、普通に考えて3日以内に辞めてって言う会社はヤバいでしょ」と言われて(笑)、それは本当にその通りだなと。そこでようやく一歩引いて状況を見直して、「ああ、これは確かに違うかもしれない」と思えた記憶があります。

清野:ちょっとこだわりたくなることもあるかなと思いますけれども、ちょっと引いて見た結果、冷静に判断できたと。

大西:そうですね。あとポジティブな目線で見ると、(入社して)1ヶ月半だったのは良かったなと思っています。言い方はあれですが、結局1ヶ月半前に職務経歴書を作っているので、その状態でそのまま転職活動を再開するだけなので。

1社、会社都合の退職という経歴が増えただけなので、「何があったの?」とは言われるかもしれないけど、もしかしたら自分のキャリアとしてもそこまでマイナスじゃないのかなとか思いました。

清野:そこの間が短かった分、切り替え自体もけっこううまくできたんですね。

大西:そうですね。別で内定をいただいた会社に、「やっぱり入れないですか?」と聞いたんですけど、さすがにもう募集が終わっていて駄目でした(笑)。

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