「今の仕事がやりたいことじゃないかも」と悩むのは時間の無駄　転職するかどうか悩んだ時の判断軸 [1/2]

転職するか残留か悩んだら

豊間根青地氏（以下、豊間根）：仕事をもっと。

岩本紘佳氏（以下、岩本）：おもしろく。

豊間根・岩本：「シリョサクTV」です。お願いします。

豊間根：今日は、「転職したほうがいいかどうかを考える2つの問い」です。転職って人生におけるすごく重要な意思決定じゃないですか。ちなみに僕自身は、転職したことはないんだけど。

岩本：転職ではないですね。

豊間根：大学卒業からのサントリーからの起業なので、いわゆる転職はしたことないんだけど。規模で言うと40人ぐらいの規模の会社の代表をやっていて、採用をする立場でもあるし、採用をするということは、基本的には転職をしてもらう立場。

逆に採用面接でいろんな対話をする中で、いろいろ思うところがあるので、転職するかどうか迷っている人に何か参考になる動画になったらいいなと思っています。ヒロカも転職したことはないけどね。

岩本：まだないですね。

豊間根：いずれするかもしれないから、参考になるといいなと思っております。まず、大前提ですよ。「転職したほうがいいかどうか」という問いに関して、結論、したければしたほうがいいです。

やりたいことをやったほうがいいので、基本的にはしたければしたほうがいいんですよ。ここでも1個大事なのは、意思決定は自分でしたほうがいいですね。自分で決めて、「俺はこういうことをしたいから転職をするぞ」と。

例えば、誰々さんに相談して、「転職したほうがいいよ」と言われたからするとか、誰々さんが「お前はもう転職しろ」と言われたからするみたいな、人に意思決定を委ねると不幸になるので、絶対に自分で決めてからしてほしい。最後に決めるのは自分なんでね。その大前提はあります。

「ジョブホッパー」に対する企業側の本音

豊間根：もう1個前提があって、これはもう事実として、ジョブホッパーって転職市場で評価されづらいです。例えば30歳、8年目です、5社目ですみたいな。1社に1年か1年数ヶ月ぐらいしかいなくて、めちゃくちゃ転職している人って、基本的に評価されにくいです。一般論として「この人ってうちの会社に来ても、すぐ辞めちゃうんじゃないか」って思われるわけですよ。

岩本：確かに。

豊間根：だから、「石の上にも三年」とか言うけど、あれって採用市場という意味で言うと、一定正しい。例えばじゃあ30歳、8年目ですといったら、4社目ぐらい。要は3年ぐらいは各社で勤めているほうが、見た目的にいいです。というのと、これも一般論なんだけども、転職する時の理由がネガティブだと、転職活動でけっこう苦労しやすい。

例えば、「こういうキャリアに挑戦したいから転職しています」とか、シンプルに「年収を上げていきたいから転職活動しています」とか、未来へのステップアップみたいな意味で転職活動をしている人と、「今の職場環境が悪すぎる」とか「今の上司がウザすぎるから転職活動しています」みたいな人だと、圧倒的に前者のほうがポジティブに活躍してくれそうじゃないですか。

岩本：そうですね。

豊間根：なので、面接でどう話すかと、実際の理由が何かはもちろん別なんだけども、ネガティブな理由で転職をすると、それは転職先でも、もしくは仕事を探す時にも苦労しやすいというのも前提にあります。

「やりたいこと」なんてないのが当たり前

豊間根：あと、これは僕が常々言っている話なんですけど、転職を考える時に、「自分がやりたい仕事って何かな？」と考える瞬間があると思うんですけど、これ、ないんですよ。

岩本：（笑）。ないんですか。

豊間根：みんな勘違いしているんですよ。自分が生を受けた瞬間に、「俺のやりたいことはこれだ！」みたいな、運命のように背負って生まれてくるものだと思っているんですけど、これは大間違いで、普通やりたいことなんかなんですね。

ある人もいるんですけど、それって後天的なものなんですよね。動いて、いろんなインプットをして、いろんな人に会って、アウトプットして、フィードバックを受けて、自分というものを世界の中で相対化していって、徐々に「あ、俺がやるべきこと・やりたいことってこれかな」というのが、おぼろげに浮かび上がってくるものなんですよ。

かつ、そのインプットとか行動を繰り返していくと、前はこれがやりたかったけど、だんだん「こっちかな」とズレてきたりするんだよね。俺ってサントリーにいた頃、パワポ芸人をやっていた頃は、パワポのプロフェッショナルになりたかったわけですよ。パワポインフルエンサーになりたかったんです。でも今は、偉大な企業をつくる経営者になりたいと思っています。

それってやはり、いろいろ活動して、行動して、フィードバックを得た結果、自分の認知が変わっているんですよね。かつ、パワポインフルエンサーになりたかったかといったら、別にもともとそうじゃなかったわけなので。活動していろんな試行錯誤をしている中でおぼろげに出てくる、かつそれがズレることもあり得るという認識をまず持ったほうがいい。

20代のうちに1回は転職したほうがいい理由

豊間根：あとは20代のうちに、1回は転職したほうがいいというのが僕の持論です。

岩本：なんでですか？

豊間根：まず大前提、我々は井の中の蛙なんですよ。我々は、思っている以上に世の中のことを知らないので。僕もぜんぜん知らないです。なので、仕事とか会社という、自分の人生の長い時間を占めるものを変えるという経験は、世界の広さを認識する上で非常に良い経験なんですよ。

何をもって良いとするかなんだけど、別に60歳、70歳まで勤め上げるという価値観もあっていいんだけど、いろんなことを知りたいとかいろんな世界に飛び込んでいきたいというイメージが少しでもあるのであれば、目安はやはり20代のうちに1回転職するのが程良いかなと僕は思っています。

という前提の上で、じゃあ「転職しようかな？　どうしようかな？」と迷っている方に、2つ問いかけたいことがあります。1つ目が、「今の会社で自分がやってきたことに納得しているかどうか？」なんですよ。

僕はどっちかというと採用をする立場なのですが、「転職どうですか？」と聞いた時に、「やり切ってないから、転職はまだ考えていません」という方がいるんですよ。「今の自分の職場、立ち位置で、自分が納得できる成果をまだ出せていないから、まだやらないといけないんです。だから転職はしないんです」ってすごく良くて。

岩本：向上心は持っていそうですよね。「自分の会社に来てもがんばってくれそうだな」というポテンシャルが見えるというか。

「今の仕事をやり切ったか」よりも「自分が納得しているか」が大事

豊間根：そうそう。かつ、今の「良い」というのは、うちに来てくれるかどうかは別として、人生観としてめっちゃいいなと思うんですよね。「成果を出す」「価値を出す」ということを軸で考えているんですよ。

「自分が何をやりたいか」とか「どう思われたいか」とか、自分が不満があるかどうかではなくて、自分が価値提供できたかどうかという、他者に対してどういうバリューを出せたかの軸で考えることが、キャリアを切り拓くんですよ。

「自分がこうしたい」とか「自分がこれをやりたい」とかじゃなくて、「この人に、周りの人にこうなってほしい」「周りの人を喜ばせたい」というふうに、他者軸でキャリアを考えていくと、自然と広がっていくんですよね。「やってきたことに納得しているかどうか？」というのは、1個の問いなんです。

ただ、そういう人がやり切っていないから転職しちゃいけないかといったら、別にそういうわけではなくて。自分の中で、いったんここでできることはやった。「もともと描いていた成果はまだ出せていないけど、これからやっていきたいビジョンが見えてきたから場所を変える」というのも、別に判断としてはぜんぜんあっていいと思います。

転職してもうまくいかない人の思考

豊間根：いずれにせよ、自分が納得しているかどうかが問題なんですよね。ちなみに言うと、僕はサントリーでやり切ったとはぜんぜん思っていないです。

岩本：そうなんですか？

豊間根：なんかね、視野が狭かった。だって、あんなに大きい会社で、あんな「やってみなはれ」で挑戦が重んじられる会社なんだから、もっといろんな勉強をして、もっといろいろ提案したら、ぜんぜんできることはいっぱいあったなって、今振り返ると思うんです。でも別に、あのタイミングで独立するのは正解だったとも思っている。というふうに、納得できていればいいですね。

岩本：そうですね。

豊間根：後で後悔しないかというのが1個ポイントです。2個目がけっこうポイントかなと思っていて。転職するのはいいんだけど、「転職してどうなりたいんですか？」と。転職というのは目的じゃなくて手段なんですよ。

仕事というのは、自分の人生における1つのパーツじゃないですか。仕事を変えるというのも、自分の人生の長い軸における1つのピースが切り替わるということであって、自分の人生の中でどうなっていきたいか。何をするために転職するのかということがないと、結局転職してもうまくいかないんですよ。

原因がいわゆる他責になっているんですよ。転職が目的になっちゃうと、絶対次に行ってもうまくいかないので。だから、「今人事の仕事をしているけど、私はどうしてもマーケがやりたいから、マーケティングの仕事に転職するんです」でもいいし。

あるいは、「今の会社がぬるすぎるから、もっとめっちゃブラックな会社にあえて飛び込むんです。それでスキルを身につけるんです」でも、シンプルに「年収を上げるんです」でも何でもいいんだけども、転職を目的にしない。「転職をして、じゃあ何がしたいのか？」ということを明確にしておかないと、絶対転職しても「何をしたかったんだっけ？」って、また悩むんですよ。

岩本：ずっとうまくいかないみたいな。