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START CAMP 2025 女性の社会参加における構造的問題を捉え、これからどうしていくべきか?(全4記事)

若い男性社員に見る育児意識の変化 管理職が子育て世帯を支援するためにできるアクションとは [2/2]

会社が健康面を支援するのも手段

白木:そういう状況になってきてしまってはいるんだけども、JTCにいる限りはそれを抜け出せないからどうしようかなって(笑)。関わる会社によって家庭内マネジメントがすごく変わってくることを身をもって実感しています。

私はわりとフレキシブルに動けるんだけど「すごく不公平だよね」みたいなことを本当に話していて。だからよく八つ当たりをしてしまいますね(笑)。

佐藤:世代のせいっていうのはある中で、製薬会社と関わっている時にそういう勉強をすると、例えば妻が更年期で苦しい中で、本当に日本人ってホルモン補充材、HRT(ホルモン補充療法)をほとんど使わない。それは親の世代が使わないから。あと月経困難症の時の低用量ピルもやらないとか。

でも、そういうものがあることによって、先ほどお話が出たのと違う観点で仕事がもう少しできるようになる。このへんもちょっと越えていきたくて、それは会社側からもっと自由に使えるようなエデュケートをしていくとか。

たぶん更年期の話は男性にとっても自分のパートナーが苦しくなくなるのはすごく良いことだし、生産性にもつながるし、生活のウェルビーイングも上がっていく気がします。ちょっとそんなふうに思ったりしました。

婦人科系医療の選択肢が少ない日本

篠田:すみません、すぐ私がパッと反応しちゃって、ちょっとしゃべり過ぎだなと思って反省しているんですけど。

佐藤:あと5分ぐらいです。

栢原:ぜひぜひ。

篠田:今の婦人科系の医療の選択肢って、本当に日本は先進国の中で極端に少ないですよね。低用量ピルの利用率も、欧米だといわゆる出産年齢の女性たちの20パーセントか30パーセントぐらいだと思いますが、日本は明らかに少ない。

そもそも認可されたタイミングが数十年遅いっていうことがある。前の世代や私の世代を含めて、現役の頃は日本にいるとその選択肢がなかったんですよね。かつ、産婦人科学会がそこを積極的に啓蒙しているかというとまったくなくて、むしろ女性が自分の体をコントロールすることに関する選択肢を、どちらかというと制限する。

例えば低用量ピルも診察や処方せんが必要で、普通に薬局では買えない、みたいなことが1個1個あり、本質的には、女性が自分の健康をコントロールする(ことに関する選択を)自分で決められるというコンセプトが弱い。

学会や社会への“外向きアクション”が必要?

篠田:先ほどの「学歴をつけると苦労する」と基本は一緒で、「女性が自分で判断をするのはかわいそうだから、男性が判断してあげましょう」っていうパラダイムがわりと色濃く出ているのが、その領域だというふうに見えるんです。

企業の啓蒙もどこに向かうべきかというと、もちろん社員たちに教育するのは当然そうなんですけど、より根底としては社会、例えば産婦人科学会に「もっと啓蒙をしなさいよ」と企業側が言うことは、1つのアクティビティとして有効かなと思いました。

佐藤:確かに。

杉山:企業だけでも解決できないですよね。産婦人科学会や、企業と関連する他のいろいろなステークホルダーがちゃんと見え切れていないのかなとはすごく思います。企業でアクションを起こしていくところはわかるんですけど、誰を巻き込んで、どういう規範を一緒に作っていくかがすごく大事なのかなと思いました。

放送倫理を担保している放送倫理・番組向上機構の方もそうだと思うんですけど、どういう放送をして次の世代にどういう女性像を見せるかも1つ(のアクション)だと思うんです。やはり企業単体では消費者までにしか届かない。仕組みを変える根本となるパラダイムを作る人たちに届かないとか。

子ども向け番組への要望

白木:ちょっとずつ(意識は)変わってきているけど、メディアには本当に気をつけてほしいなと思っています。(NHKに)悪気はないんだけども、私は本当に『おかあさんといっしょ』という番組のタイトルを変えてほしい(笑)。

(会場笑)

白木:でも『おとうさんといっしょ』っていう番組もできたんですよ。

篠田:あ、別にできたんだ。一緒じゃないんだ。

白木:ほんのちょっとだけ「お父さんに登ろう(とうさんのぼり)」みたいなアクティビティをやっているんですけど(笑)。『おかあさんといっしょ』(の放送日)はこんなにあって、『おとうさんといっしょ』はちょっと(だけ)。うーん、みたいな。

栢原:NHKですらそれですよ。

白木:そうなんですよね。そういうところがやはり、ちっちゃい時から洗脳されているというか(笑)。

杉山:無意識になってしまう。

白木:そう。そういう無意識のバイアスがある。

意思決定の場にもっと多様性が必要

佐藤:先ほど真貴子さんが言った、肌で呼吸できるような(自由に発言ができる)取締役会みたいな環境があったらもっと言えるのかなって。もちろん今の話とはぜんぜん違うけど。

これはジョークにしちゃいけないかもしれないけど、リーマン・ブラザーズが「リーマン・ブラザーズ&シスターズ」だったら、あんなバカなことはしなかったっていう。

(会場笑)

佐藤:だから、これは多様性の話で、全員男だけでやったら今の問題には気がつかないかもしれない。気がつかないのも悪いんだけど、やはり夏子さんみたいな方がそこにいるのがたぶん一歩前進で、「そういうチームを作ろうよ」と、社会や株主などいろんな人が言ってくると少し変わってくるのかな。

メルカリみたいな経営者の方がすごく考えている会社は特別だけど、みんながそれを見ながら、もうちょいそうなっていったらいいかな。

あたりまえを疑えるような問題提起を

杉山:自分が何を知らないのかわかっていない状態に、気がつけないと思うんですよ。

白木:本当に、そもそものところに気づけないんですよね。『おかあさんといっしょ』があたりまえにそこにあるけど。

篠田:そうじゃないものを見たことがないから気がつけない。

白木:「おとうさんともいっしょだよね」って。

篠田:それでいくと、この課題を問題提起するのが女性だけだと女性が見えていない世界がいっぱいあるから、それだとやはり進まないのかなって思いますね。

佐藤:……というモヤモヤ。

(会場笑)

栢原:モヤモヤになっちゃった(笑)。

佐藤:いったん時間になりました。たぶん対話は続くと思うんですけど、これからみんなで話していきたいということで。

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